tokio wrote:
公設秘書の給与は直接本人に渡すのは常識でしょう。どうして代議士を経由しなけれ
ばいけないのですか至急規則を改めるべきです、簡単な事と思いますが。
ぼくは議院規則を読んでいない。で、それだけで既に不十分の説明しかできないが、
自分のこれまでの理解を整理する意味も込め、自分の考えを吐露したい。まず、どう
いう規定になっているかを見てみよう。秘書に関係する規定を拾うと、憲法規定が有
り、それを受けて議院規則が制定されてる。また、それらとは別系統で国会法が秘書
について言及している。すなわち、
憲法第58条第2項
「両議員は、各々その会議その手続き及び内部の規律に関する規則を定め、…」
議院規則 (これはぼくには不明)
国会法第132条第1項
「各議員に、その職務の遂行を補佐する秘書二人を付する」
ところで、国会法が「秘書二人を付する」とした趣旨は何か。憲法の趣旨を実現する
ための具体化の役割を負う国会法は憲法の趣旨と連続的に捉えられなければなるまい。
国会の役割は唯一の立法機関である。その国会の構成メンバーが国会議員である。し
たがって、国会議員の特徴的役割は「法案の作成」にある。この「法案作成」がスム
ーズに行われるためには種々の調査能力なり研究能力なりが要求される。これを国会
議員に与えずして「法案作成」を憲法が要望するとすれば半ば矛盾と言わざるを得な
い。よって憲法の趣旨を推及し、国会法は「二人」の秘書を付する、とした。
ここまでで分かることは、憲法はもちろんとして国会法は国会議員の本来の活動を有
効ならしめるとの観点からしか興味を示していない。従って国が歳費を捻出するにも
この「国会議員の活動の便宜に供する」との趣旨以外の何ものでもない。
次に、憲法が第58条で議院に規則制定権を与えた趣旨を問おう。それは、各議院が
内閣・裁判所など他の国家機関や他の議院から監督や干渉を受けることなく、内部組
織及び運営等に関し自主的・自律的に決定できるようにするためである。
もし、tokio氏の言われるように、議院規則が国からの歳費が国会議員を「経由」して
処理されるとしたとすれば、各議院はそのやり方が最も「国会議員の活動の便宜に供」
した形になると考えたからであって、このような判断はもちろん議院の自律権の範囲
内のことである。“自分に取って便利且つ有効か否かは自分が一番知っている”
さらに言うならば、国会議員の所までたどり着いた歳費がその後秘書にどのようにして
払われるか等は議院規則に詳らかにされていない以上、一律の基準等無いと考えるべき
である。議院規則に詳らかにされないならば一般公務員の場合と同様にする、とするの
も一つの解決策では有ろうが、しかし、しっくりこない。一口に公務員と言っても様々
であるし、また、一般に公務員と言われているのは行政府管轄下の職員をさす。
思うに、この秘書給与の問題は、議院の自律権を尊重し、あくまでも議院規則の解釈、
それも当該議院がどう考えるかに任されなければならないものであった。裁判所や行政
機関が安易に関わることではない(犯罪の場合は別の機会)。そして、もし議院規則が
不明な場合には大原則に戻って、議員と秘書との当事者間の純然たる契約あるいは意思
の推測に委ねられるとすべきものであった。その方が遥かに柔軟な対応が可能であるば
かりでなく、心置きなく裁判所管轄の問題として取り上げることが理論的に可能となる
一方で、議院の自律権も尊重されたことになる。それは、国会議員としての国に対する
違反は無いとする点で大きな違いがある。民事訴訟で敗訴すること等は国会議員の政治
生命を絶たれる理由に等なる筈が無い。これでいいのである。
【感想】国民はこの問題についてあまりにも感情論に走った憾み
が有る。そして、もし、以上のことを渦中の国会議員が
主張すれば、いくら正しくても印象はますます悪くなる
一方であるという性質を持った問題であった。だから反
論ができなかったのである。国民にはそのことを汲んで
やれるだけの賢さが必要だった。ここでもぼくは国民の
賢さを期待しないわけには行かない。
以上。(詐欺罪が問題になったことについては別の機会)
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隣のけんちゃん