旧長銀が再生し、新生銀行が19日東証への上場を果たした。その初値は825
円、売り出し価格を300円も上回る大手銀行トップの株価である。旧長銀を買収し
た米投資グル-プは、株式の一部を売却して、旧長銀買投資1200億円の倍以上の
2200億円の利益を上げ、更に7000億円を越える株式を保有するという。ほく
ほく顔が目に見えるようである。それに引きかえ、政府の旧長銀に投入した公的資金
8兆円のうち4-5兆円は国民の負担になることが確実になった。馬鹿を見たのは国
民だけだったのだ。
新生銀行の株が高値をつけたのは、旧長銀売却時の、債権の価値が下がった場合
は政府が買い取ると言う条件の「瑕疵担保責任」を活用して不良債権を整理し、身軽
になったことが大きい。この約束を活用して、新生銀行は発足時(00年3月)の不
良債権1.9兆円を03年9月には1/10以下の1542億円までに減らすことに
成功したのだ。
現在の新生銀行の資産総額、貸出し額は共に旧長銀の1/4と小ぶりではあるが、
「リスクに見合った貸出し金利」を実行したり、支店長の席を銀行フロアの玄関先の
受付の位置にしたり、支店長が玄関前に立ってテッシュを配ったり、従来の銀行の慣
習を破るやり方をしてはいる。
それにしても、5兆円とい巨額な国民負担は納得がゆかない。金融庁の責任だ
が、破綻を防ぐ手を打つのが遅れて、慌てふためいて売却したことが間違いだったの
であろう。馬鹿馬鹿しい限りである。
村上新八