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人間は物ではありません。(Re: 日本がだめになったのは筋を通さないか らだ。)

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Sin'ya

未読、
2003/10/24 21:34:112003/10/24
To:
>>>>> In <4nElb.1105$l63....@news1.dion.ne.jp>
>>>>> "yam" <h_...@h8.dion.ne.jp> wrote:
yam>  盗まれたものは返してもらうべきであって、
yam>  盗み返すべきではないといっているのだがね?
yam>  っま、理解できないか・・・

上記のたとえは、拉致被害者の「一時帰国」に関しては適切でないと思いま
す。
人間は物ではありません。
たとえば、敗戦後に日本国外に持ち出された美術品が日本で展示されるため
に日本に持ち込まれたが、日本側は返却を拒んでいるというような例なら、
yamさんのたとえは適切だと思います。
が、たとえば、国内で複数の人が誘拐され、警察に知らせずに誘拐団と交渉
しているとしましょう。その過程で、誘拐団側との何らかの約束とひきかえに、
一部の人が一時的に解放されたとしましょう。一時的に解放された人を誘拐団
側に返さないのは、盗み返す、あるいは、拉致し返すことにあたるのでしょう
か?

日本政府が「一時」帰国の約束を守らないのは非難されるべきだという主張
には賛成ですが、いま日本にいる拉致被害者が北朝鮮に戻るかどうかは本人が
決めるべきだと思います。本人の意思が尊重されているならば問題ないと思い
ます。
このような考えは国際(人道)法の考え方にも違反していないと思うのですが、
くわしい方、どうでしょうか?
---
兼松真哉

yam

未読、
2003/10/24 22:35:392003/10/24
To:

"Sin'ya" <ksi...@quartz.ocn.ne.jp> wrote in message
news:bncjum$d63$1...@news-est.ocn.ad.jp...

> yam>  盗まれたものは返してもらうべきであって、
> yam>  盗み返すべきではないといっているのだがね?
> yam>  っま、理解できないか・・・
>
> 上記のたとえは、拉致被害者の「一時帰国」に関しては適切でないと思いま
> す。
> 人間は物ではありません。

 人道上戻せなくなったという事実と、戻さないのは
 筋が通っていないというのは、別の話でしょう。
 この点に関しては小野さんが既に述べたとおり

"Takao Ono" <ta...@hirata.nuee.nagoya-u.ac.jp> wrote in message
news:0310231535...@flame.hirata.nuee.nagoya-u.ac.jp...
> ということで, 個人的には「『一時帰国』ということで日本に帰ってき
> たんだから, ちゃんと (?) 北朝鮮に帰すのが筋であった」と思っていま
> す. ただ, 今となっては帰すことが不可能でしょうし, それについては
> 私も認めます.
> # 少なくとも人道的な見地からいえば今さら帰ってもらうわけにはいか
> # ない.

 だと思いますね。

> が、たとえば、国内で複数の人が誘拐され、警察に知らせずに誘拐団と交渉
> しているとしましょう。その過程で、誘拐団側との何らかの約束とひきかえに、
> 一部の人が一時的に解放されたとしましょう。一時的に解放された人を誘拐団

 よく、自分さえ良ければいいとか言って、テロリストとかに
 身代金払うやつがいるけど、それが、さらに破壊活動や
 テロの資金になって、さらなる被害者を生むことになる事を
 まるで考えていないのでしょうかね?

> 日本政府が「一時」帰国の約束を守らないのは非難されるべきだという主張
> には賛成ですが、いま日本にいる拉致被害者が北朝鮮に戻るかどうかは本人が
> 決めるべきだと思います。本人の意思が尊重されているならば問題ないと思い
> ます。

 人道上の観点から考えれば、帰るかどうかは、本人達の
 判断に任せるべきでしょうね。
# 言い方は悪いけど「帰ってきちゃったんだから仕方が無い」
 ただし、帰らない場合に「日本はウソをついた」という
 事実は否定できないという事です。
 それをごっちゃにして、ウソをついて奪還したのを正当化
 するのは、まるで筋違いだと指摘しているだけです。


SASAKI Masato

未読、
2003/10/25 9:00:042003/10/25
To:
佐々木将人@函館 です。

法律の話をしたいのか
政治の話をしたいのか
きちんと切り分ける必要があるでしょう。

両方にクロスポストしている時点で
「問題が整理されていない」と認識するべきです。

この投稿のフォロー先はfj.soc.law限定です。

>From:Sin'ya <ksi...@quartz.ocn.ne.jp>
>Date:2003/10/25 10:34:11 JST
>Message-ID:<bncjum$d63$1...@news-est.ocn.ad.jp>
>
> 日本政府が「一時」帰国の約束を守らないのは非難されるべきだという主張
>には賛成ですが、いま日本にいる拉致被害者が北朝鮮に戻るかどうかは本人が
>決めるべきだと思います。本人の意思が尊重されているならば問題ないと思い
>ます。
> このような考えは国際(人道)法の考え方にも違反していないと思うのですが、
>くわしい方、どうでしょうか?

そもそも国際法の問題として論じているのですか?
国際法の問題として
「日本政府が「一時」帰国の約束を守らないのは非難されるべきだという主張
 には賛成」
というのがよくわかりません。

拉致が巷間報道されている状況で間違いなければ
「外国に行ってその国の人間を勝手に連れてくる」というのは
相手国の主権を侵害する行為であり
その損害を補償する方法は原則「原状回復」です。
この場合の原状回復とは「連れてきた人間を帰国させること」な訳ですから
原状回復が実現したことをもって
「約束を守らないのは非難されるべき」という評価が出てくるのが
私には謎です。
「いや、一時帰国の約束は(国家間の約束なので)条約にあたるのだ。
 一時帰国の約束を果たさないことが条約違反にあたるのだ。」
という反論をするのであれば
まず真っ先に議論しなければならないのは
先行する国際法違反と後行の国際法違反の衝突の処理であって
それなしに「一時帰国の約束を果たさないのは非難されるべき」とか
「でも本人が戻りたくなければそれでいい」というのは
法律論としてはあまりにもラフだと思います。
(仮に一時帰国の件が条約として国際法上の拘束力を持つにしても
 それは不法行為に対して原状回復を目的にした行動であることに
 争いはないと思うし
 対抗措置として国際法上の違法性を阻却するという私の主張は
 割と多くの賛同が得られると思います。)

国際法の議論と国際政治の議論もしくは感情論が
混同されているのではないでしょうか?

----------------------------------------------------------------------
Talk lisp at Tea room Lisp.gc .
c...@nn.iij4u.or.jp 佐々木将人
(This address is for NetNews.)
----------------------------------------------------------------------
ルフィミア「兄さん、秋休み、終わっちゃったね?」
まさと  「それ青いブレザーでキュンキュンさせながら言わないと……。」

Sin'ya

未読、
2003/10/25 21:33:102003/10/25
To:
>>>>> In <20031025...@nn.iij4u.or.jp>
>>>>> c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:
SASAKI> 法律の話をしたいのか
SASAKI> 政治の話をしたいのか
SASAKI> きちんと切り分ける必要があるでしょう。

SASAKI> 両方にクロスポストしている時点で
SASAKI> 「問題が整理されていない」と認識するべきです。

私の投稿は政治の話でしたが、その内容が法律を考慮するとどうなのか、も
し解説してくださる方がいたらうれしいな、と思いました。
国際政治における行為は国際法の観点からアムネスティなどの人権団体など
から批判されることもあるので、場合によっては、クロスポストしてもかまわ
ないと思います。
特に、人道・人権・戦争に関する国際法は、しろうとが条文を読んでも理解
できないようなものではなく、過去の政治的行動のつみかさねであり、また、
人々の道徳的・倫理的な考え方がもとになって作られていると思います。その
ような法律は、法律そのものがきわめて政治的なものなのではないかと思いま
すが、どうでしょうか。

SASAKI> 「いや、一時帰国の約束は(国家間の約束なので)条約にあたるのだ。
SASAKI>  一時帰国の約束を果たさないことが条約違反にあたるのだ。」
SASAKI> という反論をするのであれば
SASAKI> まず真っ先に議論しなければならないのは
SASAKI> 先行する国際法違反と後行の国際法違反の衝突の処理であって
SASAKI> それなしに「一時帰国の約束を果たさないのは非難されるべき」とか
SASAKI> 「でも本人が戻りたくなければそれでいい」というのは
SASAKI> 法律論としてはあまりにもラフだと思います。

ラフかもしれませんが、そんなにむずかしい問題なんですか?
約束をやぶったことは謝罪するべきでしょう。その後どう処理するかは別と
して。

SASAKI> (仮に一時帰国の件が条約として国際法上の拘束力を持つにしても
SASAKI>  それは不法行為に対して原状回復を目的にした行動であることに
SASAKI>  争いはないと思うし
SASAKI>  対抗措置として国際法上の違法性を阻却するという私の主張は
SASAKI>  割と多くの賛同が得られると思います。)

なるほど、解説ありがとうございます。
---
兼松真哉

SASAKI Masato

未読、
2003/10/26 5:37:362003/10/26
To:
佐々木将人@函館 です。

>From:Sin'ya <ksi...@quartz.ocn.ne.jp>
>Date:2003/10/26 10:33:10 JST
>Message-ID:<bnf88m$s9b$1...@news-est.ocn.ad.jp>
>
> 私の投稿は政治の話でしたが、その内容が法律を考慮するとどうなのか、も
>し解説してくださる方がいたらうれしいな、と思いました。

もしそういうものであればそのことを明記すべきでしょう。

> 国際政治における行為は国際法の観点からアムネスティなどの人権団体など
>から批判されることもあるので、場合によっては、クロスポストしてもかまわ
>ないと思います。

そのことを明記した上でフォロー先を指定すべきでしょう。
(なお、法律学と政治学の違いについて後述)

> 特に、人道・人権・戦争に関する国際法は、しろうとが条文を読んでも理解
>できないようなものではなく、過去の政治的行動のつみかさねであり、また、
>人々の道徳的・倫理的な考え方がもとになって作られていると思います。その
>ような法律は、法律そのものがきわめて政治的なものなのではないかと思いま
>すが、どうでしょうか。

そういう考え方が全くの誤りであることをまず認識してください。
私の投稿やwebサイトの論述を信用しなくとも
国際法の適切な概説書の冒頭にある「国際法とは何か」の部分を読むと
懇切丁寧に上記の考え方の誤りを正してくれます。

端的に言えば政治学と法律学の区別がついていないから
こういう考え方になると言っても過言ではありません。

法律はたいていある目的実現のために制定されたり成立します。
そしてその目的実現のための方法が法律制定以外にもある以上
法律制定自体政治の問題とも言えます。
法律制定自体政治の問題とも言えるのであれば
法律の内容の決定もまた政治の問題と言えることにも何の疑いもありません。

この点において国内法と国際法の違いは全くありません。

さてそうは言ってもたいていの大学では
政治学と法律学は別物だと扱われています。
それはなぜかと言えば学問分野としては別だと考えられているからです。
法律学の定義自体にはいろんな説がありまして
例えば私がよくいう「法律という客観的存在をその研究対象にする」
で言うなら
国際法と国内法は法律である点において全く違いはなく
それゆえ国際法(学)は法学に、国際政治(学)は政治学に分類されます。
(国際関係論がどうなるのかはちょっとわからない。
 もしかしたら社会学かもしんまい。)

そしてその解釈の技術論にも国内法と国際法の本質的差はありません。
国内法ならだめだが国際法なら
「素人が条文を読んでも理解できないようなものでな」いから
なんとかなると考えているのであれば
大きな勘違い以外の何物でもありません。

実のところ法律学は職人芸ではなく学問体系ですから
きちんとした手順を踏めば誰でも理解できるものです。
したがって国内法と同様に国際法を理解することができます。
国際法なら素人でもなんとかなるのと同じ程度に
国内法なら素人でもなんとかなります。
もし両者が違うと思っているのであれば
この場合のきちんとした手順は
まず「違うという誤った考えを捨てる」ことです。

>SASAKI> 「いや、一時帰国の約束は(国家間の約束なので)条約にあたるのだ。
>SASAKI>  一時帰国の約束を果たさないことが条約違反にあたるのだ。」
>SASAKI> という反論をするのであれば
>SASAKI> まず真っ先に議論しなければならないのは
>SASAKI> 先行する国際法違反と後行の国際法違反の衝突の処理であって
>SASAKI> それなしに「一時帰国の約束を果たさないのは非難されるべき」とか
>SASAKI> 「でも本人が戻りたくなければそれでいい」というのは
>SASAKI> 法律論としてはあまりにもラフだと思います。
>
> ラフかもしれませんが、そんなにむずかしい問題なんですか?

難しいかどうかはわかりませんが
法的な思考ならまずこう考えなければいけません。

そしてこの程度で難しいというのであれば
これをなんの気なしにできる程度にまで熟練する必要があります。
(法的義務の存在を主張するためには
 法的義務の根拠を示さなければならないことは
 法解釈の基本中の基本ですし
 複数の法的義務の内容が衝突する場合には
 それを処理しなければならないと認識することも
 これまた法解釈の基本中の基本です。)

> 約束をやぶったことは謝罪するべきでしょう。その後どう処理するかは別と
>して。

謝罪というのも国際責任が発生した際の解除方法であり
国際法上の制度の1つです。
(参照 国家責任に関する暫定条文草案45条2項(b))
そして国際責任が発生した場合にはその解除方法の大原則は
原状回復なのは前投稿でも述べたとおりですし
同43条もそのことを示しています。
今回の拉致問題で謝罪を法的義務と考えるのであれば
今日本に帰って来ている被害者を北朝鮮に帰すのが原状回復で
それもまた法的義務と考えなければなりません。
(むしろ謝罪より優先される。)

にもかかわらず
「本人が帰りたくないと言えばそれは尊重される。」というのは
その法的義務と矛盾した主張です。

確かに嫌がる人間を強制的に引き渡せば
人権上の問題は発生するかもしれませんが
その人権上の問題が国際法上の問題としても
やはり上記「引き渡すべき法的義務」との衝突が問題になります。
それらについて適切な解決策が示されなければ
国際法の議論としては誤り以外の何物でもありません。

(ちなみに本人が嫌がれば強制的に引き渡せないという
 一般的な国際法のルールは存在しません。)

Sin'ya

未読、
2003/10/26 8:21:512003/10/26
To:
>>>>> In <20031026...@nn.iij4u.or.jp>
>>>>> c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:
SASAKI> この点において国内法と国際法の違いは全くありません。

... 略 ...

SASAKI> そしてその解釈の技術論にも国内法と国際法の本質的差はありません。
SASAKI> 国内法ならだめだが国際法なら
SASAKI> 「素人が条文を読んでも理解できないようなものでな」いから
SASAKI> なんとかなると考えているのであれば
SASAKI> 大きな勘違い以外の何物でもありません。

これは私の書き方に問題がありました。
国際法だから「「素人が条文を読んでも理解できないようなものでな」い」
ではなく、人道・人権に関する基本的な法律についてはそうだ、と訂正します。
(国内法の例だと憲法。)

... 略 ...
SASAKI> (ちなみに本人が嫌がれば強制的に引き渡せないという
SASAKI>  一般的な国際法のルールは存在しません。)

なるほど。了解しました。これらを知っていれば、知識さえあれば、正しく
判断できそうですね。この問題については。
---
兼松真哉

mac-in

未読、
2003/10/26 9:43:222003/10/26
To:
mac-inです

<20031026...@nn.iij4u.or.jp> において
SASAKI Masato さんはお書きになりました。

> (ちなみに本人が嫌がれば強制的に引き渡せないという
>  一般的な国際法のルールは存在しません。)

なるほど、そうなんですか。

ただ、本人が拒否している場合、引き渡す前に拘束する必要が出て
くると思うのですが、犯罪者でもない日本人を日本国内で拘束でき
る方策が、あまり思い付けません。

北朝鮮の出入国管理法(かそれに相当する法律…があったとして)
の違反(旅券の期限切れなど)ということで日本側で拘束するとか、
北朝鮮関係者が拉致被害者を日本国内でも常にコントロール下に置
ける環境を整えることを約束すれば、連れ帰らせることができるこ
とを保証することも可能かも、とか考えてみたんですが…

どういう手段が取れるんでしょうか。
--
mac-in@横浜

yam

未読、
2003/10/26 18:00:582003/10/26
To:

"mac-in" <mac...@mx8.ttcn.ne.jp> wrote in message
news:3f9bdd8a.1126%mac...@mx8.ttcn.ne.jp...

> 北朝鮮の出入国管理法(かそれに相当する法律…があったとして)
> の違反(旅券の期限切れなど)ということで日本側で拘束するとか、

 拘束する目的は、日本国内に留め置くためですよね。
 入国管理法の一般的な運用は、国内に不法に滞在している
 外国人を国外に退去させる事を目的に行われるのに対して
 まったく逆の目的で使おうというわけですね。
 そういうご都合主義の運用は、混乱を招くだけだと思います。
 そもそも期限切れで滞在している事が問題だと言うのなら、
 「現状回復」は違法滞在の解消であって、入管で拘束後、
 北朝鮮に強制送還って事になるのでは?
# 中国における脱北者の扱いと同様ですね。
 都合で法の精神を捻じ曲げるというのなら、やはり筋が通って
 いないと思いますね。
 筋は通らないけど人道上仕方が無いんだというのはありだろうけど、
 筋が通っていることにしちゃえってのは通らないと思う。


yam

未読、
2003/10/27 4:58:052003/10/27
To:

"yam" <h_...@h8.dion.ne.jp> wrote in message
news:6uYmb.1418$l63...@news1.dion.ne.jp...
>  「現状回復」は違法滞在の解消であって、入管で拘束後、
>  北朝鮮に強制送還って事になるのでは?

"yam" <h_...@h8.dion.ne.jp> wrote in message
news:7nElb.1106$l63...@news1.dion.ne.jp...
>  現状回復?原状回復じゃなくて?


Takao Ono

未読、
2003/10/27 5:32:052003/10/27
To:
小野@名古屋大学 です. 法律論には入る気がないので politics 限定.

<bncjum$d63$1...@news-est.ocn.ad.jp>の記事において
ksi...@quartz.ocn.ne.jpさんは書きました。
ksinya> が、たとえば、国内で複数の人が誘拐され、警察に知らせずに誘拐団と交渉
ksinya> しているとしましょう。その過程で、誘拐団側との何らかの約束とひきかえに、
ksinya> 一部の人が一時的に解放されたとしましょう。一時的に解放された人を誘拐団
ksinya> 側に返さないのは、盗み返す、あるいは、拉致し返すことにあたるのでしょう
ksinya> か?
一時的に解放された一部の人を返さないのは「一時的に解放された一部
の人」によってはいいことなんです. なにせ, 解放されたんだから.

でも, じゃあ「一時的にさえ解放されなかった残りの人」にとってはど
うなんでしょうね. その人たちのことも考えて「一時的に解放された一
部の人を返さない」という選択肢を取るのかなぁ?
# 解決するという点から見ると, かえって問題をややこしくしているだ
# けのような気が.
--
名古屋大学大学院 情報科学研究科 計算機数理科学専攻
小野 孝男

SASAKI Masato

未読、
2003/10/27 6:57:162003/10/27
To:
佐々木将人@函館 です。

>From:mac-in <mac...@mx8.ttcn.ne.jp>
>Date:2003/10/26 23:43:22 JST
>Message-ID:<3f9bdd8a.1126%mac...@mx8.ttcn.ne.jp>
>
>ただ、本人が拒否している場合、引き渡す前に拘束する必要が出て
>くると思うのですが、犯罪者でもない日本人を日本国内で拘束でき
>る方策が、あまり思い付けません。

そうするとそもそも本人に対して強制できる根拠がないのに
強制することを外国に対して約束してしまうこと自体が
問題なのです。
国内法を理由に国際法上の義務を免れることはできませんから。

ちなみに規定のはっきりしている方から説明していましょう。

国際法上
B国内にA国が入っていて誰かを連れてくるということは
A国によるB国の主権の侵害になりますから
その誰かの国籍を問わず国際責任を発生させます。
それは北朝鮮が日本から日本人を連れていこうと
韓国が日本から韓国人を連れていこうと変わりません。

次にB国に対しA国がA国内にいる誰かの引き渡しを要求しても
A国はその誰かの国籍を問わず引き渡しに応ずる義務はありません。

しかしその例外として
国家が自ら引き渡し義務を約束した場合があります。
その多くが例えばハイジャック防止条約のような多国間条約であり
日米犯罪人引き渡し条約のような二国間条約ですが
名称は条約となっていない国家間の約束であっても
効力としては変わることはありません。

そして日本には逃亡犯罪人引渡法という法律があって
他国から条約上の義務として犯罪人の引き渡しを要求された場合の
その手順がきちんと定められています。
(外務大臣→法務大臣→東京高検検事長と通知がなされ
 東京高検検事長が東京高裁から仮拘禁許可状をとって執行する。
 そのようにして身柄をおさえたあと
 東京高検が東京高裁に審査請求をし
 それが通れば引渡許可決定が出て
 それに基づき法務大臣が引渡状を出して引き渡すという手順。)

前の投稿で
(ちなみに本人が嫌がれば強制的に引き渡せないという
 一般的な国際法のルールは存在しません。)
と書いたのは
まさにそういう国際法のルールがないことによる訳ですが
その一例として
犯罪人引渡義務が発生した場合には
本人の意思に反して引渡が行われるという点があげられるからです。

そして日本がある人の引渡義務を負ったとしても
それを実現する国内法が存在しないということはいくらでもある訳です。
逃亡犯罪人引渡法が適用にならないと
(日本国内の犯罪を理由に刑事訴訟法が適用にならない限り)
強制的に身柄を確保する手段はたぶんないと思います。
そうなってしまうと

>どういう手段が取れるんでしょうか。

任意の出国を促すしかない、強制的な手段はないということになりますし
任意の出国もかなわなければ
日本は国際法違反を犯してしまうということになります。

SASAKI Masato

未読、
2003/10/27 7:27:512003/10/27
To:
佐々木将人@函館 です。

>From:Sin'ya <ksi...@quartz.ocn.ne.jp>
>Date:2003/10/26 22:21:51 JST
>Message-ID:<bnghpn$i95$1...@news-est.ocn.ad.jp>
>
> 国際法だから「「素人が条文を読んでも理解できないようなものでな」い」
>ではなく、人道・人権に関する基本的な法律についてはそうだ、と訂正します。
>(国内法の例だと憲法。)

それでも問題です。
社会問題に割と興味のある人が憲法の人権規定の問題を
問題意識たっぷりに論じて憲法の答案としては落第ということは
むしろよくある現象であり
だからこそ憲法においては
「憲法だからこそ法であり法の解釈であることを徹底させよ」
ということがよく言われているところです。

憲法の精神とか人権の精神を理解することは
それほど難しくはありません。
しかし憲法を法として解釈する場合の注意点というのは
他の法律と実は変わりませんし
それは国際法の人権規定でも一緒です。

> なるほど。了解しました。これらを知っていれば、知識さえあれば、正しく
>判断できそうですね。この問題については。

この問題に限らず法を正しく理解することによって
法を適用することで法的に明解な答が与えられる問題というのは
存在しているのです。
(拉致問題が日本のマスコミの報道どおりなら
 法的には割と明解な答が出せる方の部類の問題だと思います。)
しかし法的な解答が問題の解決としてベターかどうかは
これは話が別な訳です。

その別の解の例がたとえば政治的な解であり
だからこそ法律と政治とをきちんと分けて考えなければならないのです。

そしてこれは国際問題には限りません。
ご近所のトラブルだって同じです。

mac-in

未読、
2003/10/27 9:34:212003/10/27
To:
mac-inです

<20031027...@nn.iij4u.or.jp> において
SASAKI Masato さんはお書きになりました。

> そうするとそもそも本人に対して強制できる根拠がないのに
> 強制することを外国に対して約束してしまうこと自体が
> 問題なのです。

その通りだと思います。そして、
国と国の間で約束を行う場合に、文書化しないとはいえ、
権限の範囲を超えた約束をするとはちょっと考えにくいので、
「単純に身柄を戻す約束」とは違うのではないか、
と想像しています。

戻る際には協力する(航空機の手配やその他手続き等をする)
とか、妨げない、などではないかと。

#単なる想像の話ですし、これ以上は law ではないので、
#ここまでにします。

> 逃亡犯罪人引渡法が適用にならないと
> (日本国内の犯罪を理由に刑事訴訟法が適用にならない限り)
> 強制的に身柄を確保する手段はたぶんないと思います。

逃亡犯罪人引渡法をちょっと読んでみましたが。軽い犯罪だと適用
にならないんですね。そもそも日本人は除外になってますし、
拉致被害者には到底適用できないですね。

"両方"の国の法律で共に重罪でないと駄目など、なかなかうまく
できていると思います。
施行前の犯罪にまで遡って適用するところはちょっと珍しい。

> そうなってしまうと
>
> >どういう手段が取れるんでしょうか。
>
> 任意の出国を促すしかない、強制的な手段はないということになりますし
> 任意の出国もかなわなければ
> 日本は国際法違反を犯してしまうということになります。

なるほど。
となるとやはり、そんな出来ないかもしれない約束をするほど
外務官僚はバカではないと思いますし、思いたいですね。
--
mac-in@横浜

SASAKI Masato

未読、
2003/10/28 10:18:132003/10/28
To:
佐々木将人@函館 です。

>From:mac-in <mac...@mx8.ttcn.ne.jp>
>Date:2003/10/27 23:34:21 JST
>Message-ID:<3f9d2ced.1129%mac...@mx8.ttcn.ne.jp>
>
>逃亡犯罪人引渡法をちょっと読んでみましたが。軽い犯罪だと適用
>にならないんですね。そもそも日本人は除外になってますし、
>拉致被害者には到底適用できないですね。
>
>"両方"の国の法律で共に重罪でないと駄目など、なかなかうまく
>できていると思います。
>施行前の犯罪にまで遡って適用するところはちょっと珍しい。

はい。
(日本人が対象外なのは
 国際法上「自国民不引渡の原則」が認められるからです。)

>となるとやはり、そんな出来ないかもしれない約束をするほど
>外務官僚はバカではないと思いますし、思いたいですね。

「条約は国家間の合意であれば形式を問わない」というルールを知らない
外務官僚はもぐりだと言っていいほどの基本的な事項ですから……。
そう思いたいところですし
まあ願望はともかくとして
「どういう合意があったのか」ということを確定しないと
その先にだって確定的には進めないというのは確かなのです。

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