「自民党をぶっ壊す」と豪語した小泉氏は、自民党はぶっ壊せなかったが、橋本
派はぶっ壊したと、マスコミは面白半分に論評する。
郵政族、道路族の巣窟である橋本派は郵政三事業の民営化、道路公団の民営化を唱
える小泉氏にとっては目の上のたんこぶであるには違いないから、そうだろうと思わ
せる話ではある。
確かに今回の総裁選では反小泉で固まっている橋本派は統一候補は出せず、橋本
派の二人の実力者、野中元幹事長と参院自民党幹事長の木村氏が対立して、木村氏は
早々と小泉支持を宣言するという、一見分裂したかのように見える。
しかし、野中、木村は目指すところは一緒なのだ。つまり、財政再建より景気浮
揚、デフレ退治に小泉政策を転換させ、郵政、道路公団問題は、そこそこにお茶を濁
して「既得利権」の擁護を図ろうという点では全く同じなのである。両者の違いは、
野中派が対立候補を立てて小泉氏を牽制しようとするのに対して、木村派は、選挙の
カンバンとしてだけ小泉氏を利用して、参院の利権代表議員を温存し、再選された小
泉政権を党内から撹乱し、構造改革を牽制しようとの作戦なのだ。こういう作戦の違
いだけなのだ。橋本派は依然として健在である。
この両者の作戦の違いは、ひょっとすると、小泉政権を二つの作戦で挟み撃ちに
するために、二人で示し合わせた高等戦術なのかも知れない。
村上新八