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波動関数は数学的実在だと考えます

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Kenji Kobayashi

未読、
2003/07/08 20:48:592003/07/08
To:
QED も初等的にしか理解していない人間が言うのもおこがましいのですが、私
は波動関数は数学的実在だと考えます。

----------------------------------------------------
>シュレーディンガーの波動函数は、いったい、いかなる(物理)量の
>波動を表わしているのかに

波動関数は通常の物理的実在ではありません。

波動関数は複素振動をしています。直接には観察できない複素振動をしている
とすること自体が通常の物理的実在であることを放棄していると考えます。

その振動は p=hν の式で物理的実在である運動量を規定しています。でも、
この振動は物理的実在ではありません。別の、速度が二倍の座標系から見れば、
運動量が二倍になります。すると振動数も二倍になってしまうからです。(相
対論により時間の遅れを考慮に入れれば、二倍より小さな値になるのでしょう
が)

ペル不等式の実験は波動関数の収束は瞬時に行なわれることを示しています。
波動関数の遷移は、連続的な光の速度以下で行なわれているののでは無いこと
を示しています。この意味でも波動関数を通常の物理的実在とは言えないと思
います。

Shroedinger 方程式は potential V に依存して波動関数の位相成分が変化す
ることを主張します。でも potential V も直接に観測されるものではありま
せん。ポテンシャル(ベクトル・ポテンシャルも含む)この意味で、ポテンシ
ャルも波動関数と同等な、物理的実在というよりも数学的実在と言うべきと
考えます。

アインシュタインは「神様はサイコロ遊びをなさらない」と言いました。でも
ベル不等式の実験は「神様がサイコロ遊びを行なう」ことを示しています。(
アインシュタインが現在まで長生きしたならば、神様に対する理解を変えると
思います。アインシュタインは反対のことを言いましたが、良いところを突い
ていたと思います。)波動関数は確率的な存在であると考えます。こんなもの
を物理的実在とすべきではないとも考えます。

数学的実在、物理的実在などの言葉で、哲学のオントロギーを論ずる気持ちは
ありません。その能力もありません。でも数学的な実在が存在すると主張しま
す。自然数や、代数構造は人間がかってに考え出したものではありません。こ
れらは人間が自然から抽象により導き出した数学的実在だと考えます。自然数
や台数の規則はは実験により検証でき間せん。この理由で物理的実在ではない
と考えます。同時に自然数は人間の妄想によって作り出したものでもありませ
ん。その意味で数学的な実在であると主張します。同様な意味で、幾何学的な
空間構造も数学的な実在だと主張します。(実験による検証の可能性について
は微妙なところがありますが。)

私は、実験による直接的な観察・検証ができない波動関数は、自然数や幾何学
構造などと同様な意味での数学的実在だと考えます。

===============================
EMAIL ke...@nasuinfo.or.jp
小林憲次
===============================

Shinji KONO

未読、
2003/07/08 22:24:582003/07/08
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <befon4$1sv1$1...@news.jaipa.or.jp>, "Kenji Kobayashi" <ke...@nasuinfo.or.jp> writes


> 数学的実在、物理的実在などの言葉で、哲学のオントロギーを論ずる気持ちは
> ありません。その能力もありません。

そういう人が、結局、大混乱な議論を展開したり、自分勝手な存在論
を人に押しつけたりするんだよな....

ま、でも、そういう言葉で自分なりに納得できる区別ができるんだったら、
それでいいのかもね。

> 波動関数は複素振動をしています。直接には観察できない複素振動をしている
> とすること自体が通常の物理的実在であることを放棄していると考えます。

電波とか交流電流とかも複素振動なんだけど、どうします?

これは物理的実在の数学的表現だよね。数学的実在ってのは、たぶ
ん、対応する物理的実在を持つ数学的表現のことなのかも知れない。
数学者は整合的な表現でありさえすれば、それに対応する物理的実
在ってのは気にしないみたい。

> 私は、実験による直接的な観察・検証ができない波動関数は、自然数や幾何学
> 構造などと同様な意味での数学的実在だと考えます。

電子とか陽子とかを「直接的な観察・検証ができる」というのかど
うかと、波動関数(ってよりは、確率で表される物理状態だな) を
「直接的な観察・検証ができる」かどうかとは、僕はそれほど差は
ないと思います。

物理的実在とか存在物って、人それぞれにいろいろ思い込みがあって、
勝手な仮定が入り込んでいるものなんだよね。いわく、

物理的実在は連続である
物理的実在は物である
物理的実在は数学的実在とは違う

そのあたりの隠れた仮定を見抜いて見直すあたりが物理学者は得意
なんだと思うんだけど、実は、見抜くと言うよりは勝手な思い込み
なだけなことが多いかも。例えば、

光は追い抜けない

ってのはアインシュタインの勝手な思い込みだったかも...

僕は、
確率現象は、事実だ
と思うし、そういう意味で、実在だと思います。なので、別に波動
関数が実際に伝わっていたとしても別に困らない。でも、それを「
波動関数は物理量だ」みたいな言い方をするには、物理量って言葉
に余計な定義が入ってしまっているかな。

物理量は測定できるもの

なわけだけど、そこには「測定」の定義みたいなものがあるみたいね。

---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus,
PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科,
科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)

Kenji Kobayashi

未読、
2003/07/09 1:29:122003/07/09
To:
「波動関数は数学的実在だと考えます」を書いた小林@那須です。先の記事で
は名のるることを忘れていました。

また先の記事で単純な誤りを書いてしまいました。

>その振動は p=hν の式で物理的実在である運動量を規定しています。でも、
>この振動は物理的実在ではありません。別の、速度が二倍の座標系から見れば、
>運動量が二倍になります。すると振動数も二倍になってしまうからです。(相

「p**2/2m = E =hν」 であり、また「√二倍」に修正させてください。


>電波とか交流電流とかも複素振動なんだけど、どうします?

交流回路での複素数は、単純に便法で使われているだけです。フーリエ変換と
の相性が良いためです。交流信号が複素振動しているわけではありません。電
波の複素振動は不勉強で知りません。一般的ではないとも思います。

交流回路では複素数をなくして sin/cos 表記をすることも可能ですが、波動
関数では複素数をなくすことができません。[P,Q] = ih` と複素数が基本的な
ところで出てきてしまいます。自然自体が複素数を要求していると考えます。


>物理的実在とか存在物って、人それぞれにいろいろ思い込みがあって、
>勝手な仮定が入り込んでいるものなんだよね。いわく、

安易に哲学的な用語を持ち込んでしまうべきではないと思います。「物理的実
在」の言葉は簡単に定義できませんから。

でも波動関数には、

・直接に観測できない複素振動をしている
・波動関数の振動数が、等速運動する座標系からみたとき変わってしまう
・波動関数の遷移が光速を超えて瞬時に行なわれる

普通の物理量ではありえない性質があります。河野さんは、それでも波動関数
を物理的実在と考えられますでしょうか。

Shinji KONO

未読、
2003/07/09 3:43:302003/07/09
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。存在物に関しては割と寛容です。
愛とかも実在だと思っていたりするかも...

In article <beg94f$21dj$1...@news.jaipa.or.jp>, "Kenji Kobayashi" <ke...@nasuinfo.or.jp> writes


> 交流回路での複素数は、単純に便法で使われているだけです。フーリエ変換と
> の相性が良いためです。交流信号が複素振動しているわけではありません。電
> 波の複素振動は不勉強で知りません。一般的ではないとも思います。

こういう「便法」とか、結構、好きな言い方かな。こう考えたらど
うでしょう?

速度とか位置とかは、単純に便法で使われているだけです。量子力
学の観測演算子の交換関係が、速度とか位置とか回転の交換関係に
似ている(そう、あくまでも似ているだけ....) から。量子的実在
が、速度を持ってユークリッド空間を移動していたりするわけでは
ありません。

そう考えると実在なのは、物理状態であり、粒子や位置や速度じゃ
ないって気がして来ませんか?

> 交流回路では複素数をなくして sin/cos 表記をすることも可能ですが、波動
> 関数では複素数をなくすことができません。[P,Q] = ih` と複素数が基本的な
> ところで出てきてしまいます。自然自体が複素数を要求していると考えます。

そうですね。それは何故かと言うと、

y'' = a^2 y

みたいな簡単な微分方程式が持つ性質が、

exp(at)

みたいなものが持つ代数構造に強く結び付いているからです。それは、

exp(ax) = exp(x)^a
exp(x+y) = exp(x)exp(y)

みたいな簡単な性質なわけですよね。これは、つまりは、

速度とかが持つ運動学的な対称性

に結び付いています。繰り返しになるけど、僕達が見ているのは、
量子力学に出て来る演算子の対称性であり、ユークリッド幾何学の
中の運動ではないってわけなんだけどさ。

複素数が複数の要素を持っているってわけじゃなくて、ある代数
構造を持つ物理量が、たまたま、複数の実数で表されるって感じ?

> でも波動関数には、
> ・直接に観測できない複素振動をしている
> ・波動関数の振動数が、等速運動する座標系からみたとき変わってしまう
> ・波動関数の遷移が光速を超えて瞬時に行なわれる
> 普通の物理量ではありえない性質があります。河野さんは、それでも波動関数
> を物理的実在と考えられますでしょうか。

野球のボールと波動関数と、どっちが実際の世の中に近いと言われ
れば、野球のボールでしょう。でも、どっちが実際の物理に近いか
って言われれば波動関数でしょ? 物理的実在と言われると、僕は後
者に近い語感を持ってます。なので、後者だな。

特に、個々の電子とか光子とかって異常な動きをして良いわけだし、
実際するわけですよね。それに比べて、波動関数は、まだ理解でき
る振舞をするっていう、そういう感じ。どっちが、まとも? どっちが
本物?

こういう考え方って異常かなあ?

Kiyohide Nomura

未読、
2003/07/09 8:57:592003/07/09
To:

野村@物理.九大です。

ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) writes:

> 河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

> > 波動関数は複素振動をしています。直接には観察できない複素振動をしている
> > とすること自体が通常の物理的実在であることを放棄していると考えます。
>
> 電波とか交流電流とかも複素振動なんだけど、どうします?

電磁波と、波動関数は事情が違うと思います。

============================

電場のみを3角関数
E= E_0 cos (w t -k x)
で書くと
|E|^2
が波打って見えます。

でも、電磁場のエネルギーは
|E|^2 + |B|^2
という形になっているので、磁場まで考えると平面電磁場のエネルギー密度は
一定ということになります。

運動量に関してもポインティングベクトル
E X B
の形考えると平面電磁場の運動量密度は一定の流れとなります。

エネルギー密度と運動量密度組み合わせて流れの保存則出来ます。

この場合、電場を実数のみで表示するか、複素数で表示するかは単なる便法に
過ぎません。磁場までセットにして考えると不都合は起きませんから。

==============================

量子力学の波動関数から、同じようにして確率密度、流れの密度が作れます。

この場合、実数のみで構成しようとすると確率密度、流れの密度が波打って見
えることになります。このような変動は理論上も不都合ですし、実験的にも観
測されていません。

むりやり量子力学の波動関数を実数のみで構成しようとするなら、2成分の実
数がいると思いますが、結局そのルールは複素数を使ったものと同じになりま
せんか?

=============================

もっと先に進み、場の量子論まで進むと、複素表示の位相の自由度はゲージの
自由度と結び付き、それからでてくる保存量が電荷ということになります。
更に大局的ゲージ変換を局所化すると、マックスウエル方程式がでます。

また、複素表示の位相の(=ゲージ)自由度はジョセフソン効果、アハラーノ
フ・ボーム効果で観測可能です。

> > 私は、実験による直接的な観察・検証ができない波動関数は、自然数や幾何学
> > 構造などと同様な意味での数学的実在だと考えます。

ジョセフソン効果、アハラーノフ・ボーム効果のような実験を解釈するのに、
実数のみで量子力学組み立てようとすれば非常に不自然なことになりませんか?

--
===============================================
Kiyohide NOMURA
Department of Physics,
Kyushu University,
812-8581 Fukuoka
JAPAN

e-mail:kno...@stat.phys.kyushu-u.ac.jp
http://maya.phys.kyushu-u.ac.jp/
TEL,FAX:+81-92-642-2566
================================================

GON

未読、
2003/07/09 12:31:142003/07/09
To:
"Kiyohide Nomura" <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> wrote in message news:5ffzlf9...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp...
>
> 野村@物理.九大です。

>
> ==============================
>
> 量子力学の波動関数から、同じようにして確率密度、流れの密度が作れます。
>
> この場合、実数のみで構成しようとすると確率密度、流れの密度が波打って見
> えることになります。このような変動は理論上も不都合ですし、実験的にも観
> 測されていません。
>
> むりやり量子力学の波動関数を実数のみで構成しようとするなら、2成分の実
> 数がいると思いますが、結局そのルールは複素数を使ったものと同じになりま
> せんか?
>
> =============================

その2成分の実数を次のように採ると有名な方程式が2つ得られます。

波動関数ψをその絶対値の2乗、すなわち確率密度ρと位相因子Sを使って

ψ(x,t) = √ρ(x,t) * Exp[iS(x,t)]

と表わして、これをシュレディンガー方程式へ代入してρとSの満たすべき方程式
を求めるとFokker-Planck方程式と量子版Hamilton-Jacobi方程式が得られます。

この2つの方程式だけ見る限りには複素数のルールは意識できないですよね。

実は、量子の運動を、背景のガウシアンノイズによる外力を受けながら運動する
といった描像もあって、伊藤の確率過程から出発してシュレディンガー方程式を
導くといったことも可能です。
(→Nelsonの確率過程量子化)

この描像だと基本は粒子の確率過程であって、シュレディンガー方程式は
確率密度の満たすべきFokker-Planck方程式とNelsonさんが導入した確率微分
を使って表されるNewtonの運動方程式(Nelson方程式)を複素統合して得られます。

具体的には、この2つの方程式を「・・・=0」の形に変形して、その左辺をそれぞれ

(FP方程式の左辺)+i×(Nelson方程式の左辺)=0

の形で複素統合し、得られたBurgers方程式と同型な方程式をCole-Hofp変換して
線形化すると若干の変形の後シュレディンガー方程式が得られます。

これって多少技巧的に見えるのですが、実際にシュレディンガー方程式が得られるのを
見るとちょっと驚きます。

この描像だと一見シュレディンガー方程式は副次的なものに見えてしまいます。

どっちが基本的でどっちが単なる数学的便宜なんでしょうか?

M_SHIRAISHI

未読、
2003/07/09 13:51:332003/07/09
To:

GON wrote:

> 実は、量子の運動を、背景のガウシアンノイズによる外力を受けながら運動する
> といった描像もあって、伊藤の確率過程から出発してシュレディンガー方程式を
> 導くといったことも可能です。
> (→Nelsonの確率過程量子化)
>
> この描像だと基本は粒子の確率過程であって、シュレディンガー方程式は
> 確率密度の満たすべきFokker-Planck方程式とNelsonさんが導入した確率微分
> を使って表されるNewtonの運動方程式(Nelson方程式)を複素統合して得られます。
>
> 具体的には、この2つの方程式を「・・・=0」の形に変形して、その左辺をそれぞれ
>
> (FP方程式の左辺)+i×(Nelson方程式の左辺)=0
>
> の形で複素統合し、得られたBurgers方程式と同型な方程式をCole-Hofp変換して
> 線形化すると若干の変形の後シュレディンガー方程式が得られます。
>
> これって多少技巧的に見えるのですが、実際にシュレディンガー方程式が得られるのを
> 見るとちょっと驚きます。

「何かの本で読んだことのある話だな」と思って、探してみたら、この本↓に載ってた。

“Quantum Fluctuations” by Edward Nelson (Princeton Univ. Press, 1985)

GON

未読、
2003/07/10 4:53:402003/07/10
To:
"M_SHIRAISHI" <eu...@apionet.or.jp> wrote in message news:3F0C5625...@apionet.or.jp...

> 「何かの本で読んだことのある話だな」と思って、探してみたら、この本↓に載ってた。
>
> “Quantum Fluctuations” by Edward Nelson (Princeton Univ. Press, 1985)

なんとなく、あなた好みの世界観だと思うんですけど、どうですか?

M_SHIRAISHI

未読、
2003/07/10 11:48:572003/07/10
To:
GON wrote:


実は、その本は永くツンドクの状態で、殆んど読んではオランのだよ。 

# と言うより「難しゅうて、読む気が湧かん!」のが実状。 (^^;)

GON

未読、
2003/07/10 18:52:552003/07/10
To:
"M_SHIRAISHI" <eu...@apionet.or.jp> wrote in message news:3F0D8AE9...@apionet.or.jp...

そう言われると、Nelsonフリーク(笑)の私としては書籍を紹介せずにはいられない。(^^;)

一番のお勧めは元論文を読むことです。

E. Nelson, Derivation of the Schrodinger equation from Newtonian mechanics
, Physical Review 150 (1966)

物理屋さんは上の論文が一番読みやすいかも。

数学的にきちんと書かれているのは次の書籍(PDFファイル)です。

E. Nelson, Dynamical Theories of Brownian Motion second edition, 2001

初版は1967年にPrinceton University Pressからですが、東大の鈴木さんが
TeXで打ち直して、第2版がなんとNelsonさんのサイトから無料でダウンロード
できます。(内容は初版と同じです)
http://www.math.princeton.edu/~nelson/books/bmotion.pdf

日本語で見たいなら保江邦夫氏の本がわかりやすいでしょう。

・保江邦夫著 「量子の道草―方程式のある風景」日本評論社(絶版)

啓蒙書の形態をとってますが後半はNelson理論と著者の確率変分学についての解説です。

・保江邦夫著 「Excelで学ぶ量子力学―量子の世界を覗き見る確率力学入門」
講談社ブルーバックス

量子の運動をNelsonの確率力学に基いてExcelを使って視覚的に捉えようとした啓蒙書です。
Nelson理論については簡単な説明しかありません。


・保江邦夫著 「数値確率解析入門」朝倉書店

確率微分方程式の物理への応用例が載ってます。

・江沢洋著 「物理学の視点―力学 確率 量子」 培風館(絶版)

私が一番初めにNelson理論を知ったのはこの書籍です。この書籍の後半に具体的な解説が
あります。絶版ではありますがわかりやすくてお勧めです。


Hideki Kato

未読、
2003/07/10 22:35:412003/07/10
To:
加藤@ODNです.

In article <3988546...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>, Shinji KONO wrote:

>> 交流回路では複素数をなくして sin/cos 表記をすることも可能ですが、波動
>> 関数では複素数をなくすことができません。[P,Q] = ih` と複素数が基本的な
>> ところで出てきてしまいます。自然自体が複素数を要求していると考えます。
>
>そうですね。それは何故かと言うと、
>
> y'' = a^2 y
>
>みたいな簡単な微分方程式が持つ性質が、
>
> exp(at)
>
>みたいなものが持つ代数構造に強く結び付いているからです。それは、

指数関数が微分演算子の不動点である,という言い方でもいい?

> exp(ax) = exp(x)^a
> exp(x+y) = exp(x)exp(y)
>
>みたいな簡単な性質なわけですよね。これは、つまりは、
>
> 速度とかが持つ運動学的な対称性
>
>に結び付いています。繰り返しになるけど、僕達が見ているのは、
>量子力学に出て来る演算子の対称性であり、ユークリッド幾何学の
>中の運動ではないってわけなんだけどさ。

確かに.

>複素数が複数の要素を持っているってわけじゃなくて、ある代数
>構造を持つ物理量が、たまたま、複数の実数で表されるって感じ?

で,高次代数方程式の根は複素数で表される,と.でもこれは「たまたま」
なんじゃなくて,人間が長い時間掛けて表現方法を探した(develop した)
結果,こういう手段(means)を見つけ出した,って事なんじゃないか
なぁ.

>特に、個々の電子とか光子とかって異常な動きをして良いわけだし、
>実際するわけですよね。それに比べて、波動関数は、まだ理解でき
>る振舞をするっていう、そういう感じ。どっちが、まとも? どっちが
>本物?

確率ってなんなんだろなぁ~.

>こういう考え方って異常かなあ?

私も異常?(笑
--
Hideki Kato <mailto:ka...@pop12.odn.ne.jp>


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Kiyohide Nomura

未読、
2003/07/10 23:40:272003/07/10
To:

野村@物理.九大です。

"Kenji Kobayashi" <ke...@nasuinfo.or.jp> writes:

> 「波動関数は数学的実在だと考えます」を書いた小林@那須です。先の記事で
> は名のるることを忘れていました。

...

> >電波とか交流電流とかも複素振動なんだけど、どうします?
>
> 交流回路での複素数は、単純に便法で使われているだけです。フーリエ変換と
> の相性が良いためです。交流信号が複素振動しているわけではありません。電
> 波の複素振動は不勉強で知りません。一般的ではないとも思います。
>
> 交流回路では複素数をなくして sin/cos 表記をすることも可能ですが、波動
> 関数では複素数をなくすことができません。[P,Q] = ih` と複素数が基本的な
> ところで出てきてしまいます。自然自体が複素数を要求していると考えます。

電波の複素振動は、sin/cos 表記をすることも可能ですが、その場合、電場を
cos とすると磁場は sin の関係で、エネルギー、運動量の関係考えると必ず2
つ成分の組み合わせででますね。その意味では波動関数との類似性はあります。
違いは、電場、磁場を独立に観測可能であることでしょう。

その意味で電磁場の複素表示と波動関数の複素表示は意味が違います。

> でも波動関数には、
>
> ・直接に観測できない複素振動をしている
> ・波動関数の振動数が、等速運動する座標系からみたとき変わってしまう
> ・波動関数の遷移が光速を超えて瞬時に行なわれる
>
> 普通の物理量ではありえない性質があります。河野さんは、それでも波動関数
> を物理的実在と考えられますでしょうか。

確かにおっしゃるとおりです。

波動関数を2つの実数の組として表現することも形式的には可能なようですが、
独立に観測可能ではないはずです。
# GON さん、間違っていたら指摘して下さい。

しかし、1つの平面波に対応する波動関数の位相は観測可能ではないですが、2
つ(ないしそれ以上)の平面波に対応する波動関数の位相差は観測可能ですよ
ね。
# 現実に電子波(中性子波)の干渉縞観測可能ですし。
これを波動関数の複素表示なしに説明しようとすると困難なことになりません
か?無論、他に確率密度、確率の流れ(いずれも観測可能)なものに対する保
存則や実験事実とも辻褄合わせなくてはなりません。

つまり、全体の波動関数の位相には不定性あり、観測手段もない(だから座標
系のとり方によって振動数変わっても、物理量には関係しない)が、位相差は
観測可能であり、位相差を表現する手段として複素数表示を用いていると。

=======================================================

小林憲次さんの問は、
「では、波動関数の複素表示は認めるとして、波動関数全体の不定で観測手段
もない位相部分の物理的意味はなにか?」
と置き換えると意味があります。

Shinji KONO

未読、
2003/07/11 2:37:442003/07/11
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <5fllv56...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp>, Kiyohide Nomura <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> writes
> > ・波動関数の振動数が、等速運動する座標系からみたとき変わってしまう


> しかし、1つの平面波に対応する波動関数の位相は観測可能ではないですが、2
> つ(ないしそれ以上)の平面波に対応する波動関数の位相差は観測可能ですよ
> ね。

この論法だと、直接観測できないものは実在と言えないってな
感じかな? だとすると、電位とかも、

絶対的な電位は観測できず、その差しか測定できない

ので実在として怪しくなっちゃうかな...

> 小林憲次さんの問は、
> 「では、波動関数の複素表示は認めるとして、波動関数全体の不定で観測手段
> もない位相部分の物理的意味はなにか?」
> と置き換えると意味があります。

そうね。

物理理論を表現しようとする時、何故か、ぴったりした数学表現が
ないので、

ちょっと大きめの数学表現を使う
そして、同値類で縮小して使用する
その同値類はゲージ変換群で決まる

ってかん感じかな?

数学的表現自体は、人間の記号的な物のとらえ方によって制限され
ていて、記号の直積表現と、その拡張に偏っているわけなので、仕
方ないのかも知れませんね。

ゲージ変換自体に物理的意味がないと感じるのは、それが数学表現
からの引き算される部分だからですよね。でも、ヒルベルト空間が
実在かと言うと、それもあやしい。

物理的実在 = 大きめの数学的表現 - ゲージ変換

確率自体を実在としてとらえるのは、結局は、連続群あるいはヒル
ベルト空間に測度定義するのと同じですよね。でも、それは、ある
意味では人間の持つ記号的な直観に束縛された考え方であって、量
子力学から定義される観測の確率とは離れているような気がします。

この前、議論したときは、僕は、波動関数は実在ではなくて、「実
在するのは、「ブラウン管に写った電子の衝突だけだ」みたいな主
張だったな。でも、波動関数の方が実在であり、電子の衝突は、そ
の表れに過ぎないっていう考え方もありだと思います。便利な方を
とればよいわけだね。どっちでも良いはず。

M_SHIRAISHI

未読、
2003/07/11 12:50:262003/07/11
To:
Hideki Kato wrote:

> 確率ってなんなんだろなぁ~.


fj.sci.math で、“ベルトランのパラドックス”を題材と
して、そのことを議論しているところなのですが、
ここで私見披露しておくと:-

1930年代に登場し、その後、ずーっと“確率論の標準
理論”と考えられていたもの(コルモゴロフの理論)は
「根本的な部分で」間違っており、確率は集合の測度など
ではなくて、“不完全仮言命題(partial conditional)”
に対しての測度である。


# Wolfgang E. Pauli (1900-58) も言っている:-
「(コルモゴロフの理論)は、物理学者には、一層、
遠いしろものである」。

M_SHIRAISHI

未読、
2003/07/11 14:10:292003/07/11
To:
当方、Edward Nelson の“Quantum Fluctuation”のほうは
ツンドクなのだけれど、“The Philosophy of Quantum Mechanic”
by Max Jammer, John Wiley & Sons, 1974 という本を、かつて、
読んだことがあるので、以下、その中(pp.436-437)から、
「量子力学の確率過程論的解釈への批判」を引用しておくと;ー


But even granted quantum mechanics could consistently
regarded as a stochastic theory and microphyasical property
could be described as performing some kind ofBrownian motion,
such account would immediately raise the question of interaction
of particles with the ether and thus the existence of hypothetical
entities.


【試訳】

しかしながら、たとえ、量子力学が一種の確率過程の理論である
とみなすことに矛盾が生じず、なおかつ、ミクロな粒子がある種の
ブラウン運動を行っているのだとしても、このような説明からは直ち
に次のような疑問が生じてくる:-

即ち、ミクロな粒子とエーテルとはどのような相互作用をしている
のかという問題と、そのように仮想されたものが、果たして、本当に
実在しているのかという問題である。

Shinji KONO

未読、
2003/07/11 21:57:282003/07/11
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <3F0EFD95...@apionet.or.jp>, M_SHIRAISHI <eu...@apionet.or.jp> writes


> ツンドクなのだけれど、“The Philosophy of Quantum Mechanic”
> by Max Jammer, John Wiley & Sons, 1974 という本を、かつて、

この手の本はいい加減なことが多い。

> could be described as performing some kind ofBrownian motion,
> such account would immediately raise the question of interaction
> of particles with the ether and thus the existence of hypothetical
> entities.

これはいわゆる隠れたパラメータ、つまり、理論自体は決定的だけ
れど、(エーテルなどの)隠れたノイズにより確率的な結果出るって
いう理論の話じゃないかな。残念ながら、そういうノイズを観測
理論と整合性があるように入れることはできなかったんですね。

僕も、量子力学を、「確率過程 + 干渉による影響」みたいな形に
捉えるのは、哲学的には間違っていると思う。それは、「第一次近
似(古典力学) + 第二次近似(量子力学)... 」とか、「第一次近似(
相互作用無し) + 第二次近似(1対1の相互作用)... 」とかの摂動論
的な計算の便法に過ぎないと思う。その値が収束すれば、それが正
しい結果を与えるとしても、量子力学の本質とはずれているような
気がする。まぁ、いろんな量子力学の表示の一つなんでしょうけど

KGK == Keiji KOSAKA

未読、
2003/07/12 8:08:552003/07/12
To:
! "<behg0j$m5r$1...@news512.nifty.com>" という記事で
! Thu, 10 Jul 2003 01:31:14 +0900 頃に GON さん は言ったとさ:

> この描像だと一見シュレディンガー方程式は副次的なものに見えてしまいます。

> どっちが基本的でどっちが単なる数学的便宜なんでしょうか?

この問いはあまり意味がない気がする。
どっちかが基本的だってのを決める基準なんてないんじゃない?

せいぜい、どっちを基本的とすると便利/分かりやすいか? ぐらいで。
--
KGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGK
KG KGK (life name: Keiji KOSAKA), Dept. of Phys., Okayama Univ. K
KG k...@film.rlss.okayama-u.ac.jp http://film.rlss.okayama-u.ac.jp/~kgk/ K
KGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGKGK
# どっちかを基本的と取ること自体、数学的もしくは物理的な便宜じゃない?

M_SHIRAISHI

未読、
2003/07/12 14:39:542003/07/12
To:

Shinji KONO wrote:

> 河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
>
> In article <3F0EFD95...@apionet.or.jp>, M_SHIRAISHI <eu...@apionet.or.jp> writes
> > ツンドクなのだけれど、“The Philosophy of Quantum Mechanic”
> > by Max Jammer, John Wiley & Sons, 1974 という本を、かつて、
>
> この手の本はいい加減なことが多い。

Max Jammer教授は、知る人ぞ知る、Einstein に大きな影響
を与えた Ernst Mach (1831-1916)に比壁する大変な碩学で
あって、力の概念とか、質量の概念,時空の概念に鋭い批判
と分析を加えた有名な三部作を書いているんだけど、何か?

GON

未読、
2003/07/13 7:30:422003/07/13
To:
"M_SHIRAISHI" <eu...@apionet.or.jp> wrote in message news:3F1055FA...@apionet.or.jp...

あっ、これ邦訳ありますね。

マックス・ヤンマー著/井上健訳 「量子力学の哲学(上・下)」 紀伊國屋書店

これはかなりの良書です。歴史的な部分が詳しいですね。初期の半古典的な解釈に始まって
Bornの確率解釈へ至るまでの歴史や量子力学をめぐる有名なEinstein-Bohr論争について
上巻に詳しく書かれてあります。下巻では隠れた変数理論や量子論理、量子力学の確率過程的
解釈(Nelsonさんについてはちょっとだけ触れられています)、統計的解釈、観測の理論(この本
では測定理論と訳されてますがいわゆる観測の理論のことです)が紹介されています。

いい加減どころか、かなりしっかりした書籍です。河野氏のような物理もわからないでいい加減な
コメントする人間とは大違いのきちんとした人の書いた書籍です。(笑)

この書籍については、別に著者が量子力学に代わる何か1つの理論に傾倒しているわけでなく
そういった多くの試みについて歴史的網羅的に紹介しているので、コペンハーゲン的な解釈に
基づく標準的な量子力学の教科書では味わえない新鮮さはありますね。

河野氏のような天下り的なものの把握の仕方に慣れきってしまっている人間には、問題意識が
どこにあるのかを理解するのは不可能だろうと思いますが(笑)、朝永さんの教科書と同様、
基本的な理解から出発して問題解決へ至る思考の経緯を自然な形で展開している点は
評価できます。

量子力学ですでに確立されているきれいな部分だけを抽出した教科書とは違って、いわゆる
泥臭い部分の集大成みたいなもんでしょうか。(笑)

わたしもこの書籍を読んでNelsonさんの確率過程量子化が突然現れたものでないことを知りました。
すでにそれ以前に量子力学からのアプローチの中でFokker-Planck方程式は得られていて
確率過程論からもFokker-Planck方程式が得られることから自然な発想として量子力学が
確率過程論に結びつくだろうことは容易に予想がついていただろうと推測されます。
その具体的な方法を思いついたのがNelsonさんであると理解してます。

さすがにこの書籍は1974年初版ですのでParisi-Wu流の確率過程量子化には触れていませんが
それでもこの本以上に歴史的経緯について詳しく書かれた書籍は見たことがありません。

そのぐらい良い本です。

Shinji KONO

未読、
2003/07/13 7:56:052003/07/13
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <3F1055FA...@apionet.or.jp>, M_SHIRAISHI <eu...@apionet.or.jp> writes


> > > ツンドクなのだけれど、“The Philosophy of Quantum Mechanic”
> > > by Max Jammer, John Wiley & Sons, 1974 という本を、かつて、

> Max Jammer教授は、知る人ぞ知る、Einstein に大きな影響
> を与えた Ernst Mach (1831-1916)に比壁する大変な碩学で
> あって、力の概念とか、質量の概念,時空の概念に鋭い批判
> と分析を加えた有名な三部作を書いているんだけど、何か?

どっちも知らないなぁ。割と網羅的な本なのね。このあたりを良く
勉強したのは79年ぐらいなので、知っていても不思議はないんだが...
有名な三部作の方のタイトルは? 機会があったら読んでみましょう。

フォッカー・プランクの確率方程式自体は量子力学とは関係ないで
すよね。そのあたりが、波動関数の実在性とどう関係するのかって
GON は言っているのか良くわからん。別に、ニュートン近似でも同
じような議論はできるわけだけど、ニュートン近似+誤差みたいな
形に分解して見せても、波動関数の実在性の議論には関係ないんじ
ゃないかなぁ。

GONも、もう少し単語だけじゃなくて、自分の言葉で説明してみれば?

僕は、実在性に関して、いくつか基準を挙げて(どういう基準だっ
たかわかる? 明示的には書かなかったんだけど) 、今回は、波動関
数が実在するという立場を取っているわけだけど。ちなみに、前回
は逆の立場で、観測だけが実在で、波動関数は実在しないと言う立
場で議論してました。もう、10年前になるかも。

koun...@mbh.nifty.com

未読、
2003/07/13 20:26:382003/07/13
To:
鴻池です。

"Shinji KONO" <ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp> wrote in message
news:3988557...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp...


> 河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
>
> In article <3F0EFD95...@apionet.or.jp>, M_SHIRAISHI
<eu...@apionet.or.jp> writes
> > ツンドクなのだけれど、“The Philosophy of Quantum Mechanic”
> > by Max Jammer, John Wiley & Sons, 1974 という本を、かつて、
>
> この手の本はいい加減なことが多い。
>

"Shinji KONO" <ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp> wrote in message
news:3988559...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp...
> 河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
>


> In article <3F1055FA...@apionet.or.jp>, M_SHIRAISHI
<eu...@apionet.or.jp> writes

> > Max Jammer教授は、知る人ぞ知る、Einstein に大きな影響
> > を与えた Ernst Mach (1831-1916)に比壁する大変な碩学で
> > あって、力の概念とか、質量の概念,時空の概念に鋭い批判
> > と分析を加えた有名な三部作を書いているんだけど、何か?
>
> どっちも知らないなぁ。割と網羅的な本なのね。このあたりを良く

もしよろしかったら,河野さんが「 この手の本はいい加減なことが多い。」
判断した根拠を教えて頂きたいのですが。(記事を読む時の参考に
したいので。)

--
******************************
keizi kounoike
******************************

Shinji KONO

未読、
2003/07/14 0:38:302003/07/14
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <besu8m$d1e$1...@news511.nifty.com>, <koun...@mbh.nifty.com> writes


> もしよろしかったら,河野さんが「 この手の本はいい加減なことが多い。」
> 判断した根拠を教えて頂きたいのですが。(記事を読む時の参考に
> したいので。)

哲学と量子力学と名がつく本は、どうでもよい内容が多いって話で
すけど。一般的にそうだと思う。量子力学になって新しい視野が
開けたというよりは、昔の哲学を再発掘したような議論になること
が多いみたい。心身問題とかさ。

物理の本でも、少し触れたりするのが普通みたいなんだけど、あま
り深く追求しないことになっているらしい。

フォンノイマンなんかは無限後退みたいな罠にはまってるみたいね。
で、途中で止めちゃう。並木先生の岩波新書とかも、フォンノイマン
に近い(といっても、道筋は全然違うんだけど)。物理の理論の中で
閉じて観測問題とかを議論するのは、ちょっと難しいというか無理
だと思う。

ディラックとかファインマンとかは、観測をより操作的にとらえて
いるようので、より明解な説明になっていると思います。実験器具
みたいなものが観測を可能にするので、その実験器具の考察とかを
丁寧にするんですね。

朝永先生のは、観測問題を避けている本の書き方だと思います。そ
ういうことも可能。

EPR とかベル不等式とかになると、なんとなく議論が発散するよう
に感じます。別に、量子力学でなくても同じような問題はあるのに、
無理に量子力学に特化させているって感じ。

Ishikawa

未読、
2003/07/14 12:31:392003/07/14
To:

>
> この論法だと、直接観測できないものは実在と言えないってな
> 感じかな? だとすると、電位とかも、
>
> 絶対的な電位は観測できず、その差しか測定できない
>
> ので実在として怪しくなっちゃうかな...

むむ? 差が観測できるだから問題ないとおもうのですが。

それはともかく、
件の Dirac がいってたかとおもいますが、(例の教科書版の
最後の方に書いてあったかと。版によって違うと恐縮ですが。)
ここまでうまくいく数学理論を、自然がつかってないはずはないという
意味では、
十分に自然を理解する場合の実体と見なしていいといえることもあるとおもいま
す。

ただし、いまの波動関数のイメージが
「ここまでうまくいく数学理論」
と思うかどうかは人によって異なるでしょうが。

野村さんが言及した電子線の実験による位相差の検出は、
ある意味で理論を綺麗に書くための便宜的な意味しかないと
いえないこともない関数(vector potential)の値が
実際に位相差として観測される物理量と関係するということで
結構、衝撃的だったのですが、あれを衝撃的と
うけとるための準備が多すぎるのが、物理学の根本の問題(って
大げさかもしれないけど)を理解するためには多少やっかいですね。


いま見直したら元の見出しは
「数学的実在だ」となっていますが、
きれいな数学で、しかも自然を反映としているとすれば
一部は物理的実在と考えてもいいかもしれません。

(言葉の遊びになってもいけませんが、
あくまでも一部はということです。あまりあたえられた数学モデルに拘泥すると
実際には、自然がもっとへんてこりんな数学構造をもっていることに
気付かないかもしれません。このあたりの 多少突き放した態度を
もてるかどうかが、最前線の研究者としては重要なんだろうとおもうんだけど、
どうなんでしょう。ちなみに Kolmogorov の本を読んだときには、短くまとめた
エッセンスを読んで、これはその通り[というか、自然現象に
適用する方法は別として、本質はこれだとおもったという意味。]と
おもった口ですが、一方、まともにKolmogorov 風の確率論すら勉強してない
物理学の学生も結構過去にはいたのではないかと多少不安。)

量子力学というかミクロの世界の描画は、たぶんつぎの100年か200年かけ
ても
ああだこうだやっていて、一方で、本質はしらず、半導体工学とか
応用面はどんどんすすんでいって、そのうちまた本質と向き合わざるを得ない状
況がきて
またなにかブレイクスルーがでるのでしょうけど。
それまで生きているかな?

--
int main(void){int j=2003;/*(c)2003 cishikawa. */
char t[] ="<CI> @abcdefghijklmnopqrstuvwxyz.,\n\"";
char *i ="g>qtCIuqivb,gCwe\np@.ietCIuqi\"tqkvv is>dnamz";
while(*i)((j+=strchr(t,*i++)-(int)t),(j%=sizeof t-1),
(putchar(t[j])));return 0;}/* under GPL */

M_SHIRAISHI

未読、
2003/07/14 12:40:492003/07/14
To:

Shinji KONO wrote:

> ディラックとかファインマンとかは、観測をより操作的にとらえて
> いるようので、より明解な説明になっていると思います。

そのディラックが言ってるんだよな:-「結局はアインシュタイン
のほうが正しかったということになるのかも知れない」。

koun...@mbh.nifty.com

未読、
2003/07/14 20:51:232003/07/14
To:
鴻池です。

"Shinji KONO" <ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp> wrote in message

news:3988563...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp...


> 河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
>
> In article <besu8m$d1e$1...@news511.nifty.com>, <koun...@mbh.nifty.com>
writes
> > もしよろしかったら,河野さんが「 この手の本はいい加減なことが多い。」
>

> 哲学と量子力学と名がつく本は、どうでもよい内容が多いって話で
> すけど。一般的にそうだと思う。量子力学になって新しい視野が
> 開けたというよりは、昔の哲学を再発掘したような議論になること
> が多いみたい。心身問題とかさ。

それこそどうでもよい話しなんですが,余計混乱してきたので。
哲学や量子力学の本は,
いい加減なことが多い=どうでもよい内容が多い
ということでしょうか。この場合の主語というか対象者は何(誰に)になるのでしょ
うか。

Narita Takaoki

未読、
2003/07/14 22:49:132003/07/14
To:
成田です。

<bevk36$is1$1...@news511.nifty.com>の記事において
koun...@mbh.nifty.comさんは書きました。

> "Shinji KONO" <ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp> wrote in message
> news:3988563...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp...

:


> > 哲学と量子力学と名がつく本は、どうでもよい内容が多いって話で
> > すけど。一般的にそうだと思う。量子力学になって新しい視野が
> > 開けたというよりは、昔の哲学を再発掘したような議論になること
> > が多いみたい。心身問題とかさ。
>
> それこそどうでもよい話しなんですが,余計混乱してきたので。
> 哲学や量子力学の本は,
> いい加減なことが多い=どうでもよい内容が多い
> ということでしょうか。この場合の主語というか対象者は何(誰に)になるのでしょ
> うか。

なんか読み間違えというか、河野さんもちと書きたりないというか、そ
んな気が。

「哲学と量子力学」といった類いの名がつく本(もしくは量子力学の本だ
けれど哲学しているとか)は、いいかげんな内容のことが多いと言いたか
ったのではなかろうか、河野さんは。

少なくとも私にはそう読まないと、たしかに何を言っているか理解不能。

--
成田 隆興 @ エー・アイ・ソフト株式会社 CS 品質推進課
E-mail tak...@aisoft.co.jp
『十分間で決断し、短い理由を添えよ。』

koun...@mbh.nifty.com

未読、
2003/07/15 0:42:412003/07/15
To:
鴻池です。

"Narita Takaoki" <tak...@aisoft.co.jp> wrote in message
news:bevq39$pao$1...@news01.highway.ne.jp...
> 成田です。
>
> なんか読み間違えというか、河野さんもちと書きたりないというか、そ
> んな気が。

はい,成田さんの言うとおり読み違えています。

> 「哲学と量子力学」といった類いの名がつく本(もしくは量子力学の本だ
> けれど哲学しているとか)は、いいかげんな内容のことが多いと言いたか
> ったのではなかろうか、河野さんは。

ただ,河野さんの思いが,一般論として上のようなことだとしても,読んでもいない
本に対して,いきなり「いい加減な内容だ」と断を下す心が知りたかっただけなので
す。

koun...@mbh.nifty.com

未読、
2003/07/15 0:42:412003/07/15
To:
鴻池です。

"Narita Takaoki" <tak...@aisoft.co.jp> wrote in message
news:bevq39$pao$1...@news01.highway.ne.jp...
> 成田です。
>
> なんか読み間違えというか、河野さんもちと書きたりないというか、そ
> んな気が。

はい,成田さんの言うとおり読み違えています。

> 「哲学と量子力学」といった類いの名がつく本(もしくは量子力学の本だ
> けれど哲学しているとか)は、いいかげんな内容のことが多いと言いたか
> ったのではなかろうか、河野さんは。

ただ,河野さんの思いが,一般論として上のようなことだとしても,読んでもいない


本に対して,いきなり「いい加減な内容だ」と断を下す心が知りたかっただけなので
す。

--
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keizi kounoike
******************************

Kiyohide Nomura

未読、
2003/07/15 5:20:062003/07/15
To:
ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) writes:

> 河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
>
> In article <5fllv56...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp>, Kiyohide Nomura <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> writes
> > > ・波動関数の振動数が、等速運動する座標系からみたとき変わってしまう
> > しかし、1つの平面波に対応する波動関数の位相は観測可能ではないですが、2
> > つ(ないしそれ以上)の平面波に対応する波動関数の位相差は観測可能ですよ
> > ね。
>
> この論法だと、直接観測できないものは実在と言えないってな
> 感じかな? だとすると、電位とかも、
>
> 絶対的な電位は観測できず、その差しか測定できない
>
> ので実在として怪しくなっちゃうかな...

それは枠組にもよりますね。

通常、エネルギーの原点は勝手にとって良くって、たとえば場の量子論で零点
エネルギーの寄与は無限大だけれども定数なので正規積とることで無視します。
この事情は
> 絶対的な電位は観測できず、その差しか測定できない
に似ています。

ところが、一般相対論との整合性まで考え始めると、こんな勝手は許されませ
ん。
超対称性とか仮定して、フェルミオンとボソンの零点エネルギーの寄与を打ち
消すようにでもしないとまずいです。

そこまで大げさなことを持ち出さなくっても、場の量子論で零点エネルギーの
寄与はカシミール効果として観測及び実験可能ですね。

===============================================

> > 小林憲次さんの問は、
> > 「では、波動関数の複素表示は認めるとして、波動関数全体の不定で観測手段
> > もない位相部分の物理的意味はなにか?」
> > と置き換えると意味があります。
>
> そうね。
>
> 物理理論を表現しようとする時、何故か、ぴったりした数学表現が
> ないので、
>
> ちょっと大きめの数学表現を使う
> そして、同値類で縮小して使用する
> その同値類はゲージ変換群で決まる
>
> ってかん感じかな?

まあ、そうなんですが、観測不可能な部分が物理的意味がないとは言い切れな
いわけで、ゲージ場の理論まで拡張していくと(電磁場や重力場ふくむ)もっ
と広い枠組にまでいくんで、もっと広い視野で見ることが生産的かな。

Shinji KONO

未読、
2003/07/15 5:38:212003/07/15
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <bf01m6$4rn$1...@news511.nifty.com>, <koun...@mbh.nifty.com> writes


> ただ,河野さんの思いが,一般論として上のようなことだとしても,読んでもいない
> 本に対して,いきなり「いい加減な内容だ」と断を下す心が知りたかっただけなので
> す。

そのあたりは、読む人にまかせます。

ま、しかたないんだけど、哲学に詳しい人は物理は苦手で、物理に
詳しい人は哲学が苦手なことが多いので、しかたのないところかと。
観測理論とかも、哲学の復習に時間を費したようなところもあるか
らなぁ。

波動関数とかも波という言葉から伝搬するっていうようにとらえる
人も多いけど、重要なのは位相の存在であって伝搬ではないよね。
そもそも、媒体がないし。そういう意味で、白石氏の「波動関数は
物理的実体ではない」っていう指摘は正しいわけ。(当り前なんだ
けどさ)

一方で、観測事実じたいの持つ物理的実体性ってのも結構怪しい。
それは確率的にしか決まらないものだったりするから。

じゃぁ、そのあたりは、実体とかってのよりは、予測にどう役にた
つか? みたいなプラグマティズムみたいなもので押し通して良いの
か? というと、それにしては、なんか「きれいすぎる」ところがあ
るんだよね。

Shinji KONO

未読、
2003/07/15 11:05:322003/07/15
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <5fn0fgg...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp>, Kiyohide Nomura <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> writes
> > ので実在として怪しくなっちゃうかな...
> それは枠組にもよりますね。

そう、実在をどれに選ぶかは「枠組」によるんだよね。

> ところが、一般相対論との整合性まで考え始めると、こんな勝手は許されませ
> ん。
> 超対称性とか仮定して、フェルミオンとボソンの零点エネルギーの寄与を打ち
> 消すようにでもしないとまずいです。

一般相対論と量子論は出発点も違うし、「枠組」という点では両立
しないものなのかも。でも、両方とも同じくらい「もっともらしい」
んですよね。

> そこまで大げさなことを持ち出さなくっても、場の量子論で零点エネルギーの
> 寄与はカシミール効果として観測及び実験可能ですね。

場の量子論の真空に関する特異性みたいなのは、時空間をアプリオ
リに導入してしまうことから来るんじゃないかと僕は思ってます。
零点エネルギーは見掛けのものなんじゃないかなぁ。

なんだけど、それは観測できるっていう意味では「ある」んだよな。
Higgs 粒子なんかも「便利だから導入された仮想的存在」みたいな
ものの例として使って来たんですが、最近、「発見「されちゃった
みたいだし。

> まあ、そうなんですが、観測不可能な部分が物理的意味がないとは言い切れな
> いわけで、ゲージ場の理論まで拡張していくと(電磁場や重力場ふくむ)もっ
> と広い枠組にまでいくんで、もっと広い視野で見ることが生産的かな。

「生産的」ってのは重要ですね。

例えば解析力学の「作用」なんかはどうでしょう? 物理理論ではも
っとも生産的なものですけど、これは物理的実在だと思いますか?
「ハミルトニアン」とかは?

なんかどちらも実在っぽくないのは何故かなぁ。

Nakagawa

未読、
2003/07/15 12:04:492003/07/15
To:
中川@つくば です

"Kiyohide Nomura" <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> wrote in message
news:5fn0fgg...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp...
> そこまで大げさなことを持ち出さなくっても、場の量子論で零点エネルギーの
> 寄与はカシミール効果として観測及び実験可能ですね。

そうですか?
この前議論した時から私も論文を漁ったわけではないけれど、

> 場の量子論で零点エネルギーの
> 寄与はカシミール効果として観測及び実験可能

とした論文はありますか?
それに、もし零点エネルギーがカシミール効果に影響するのなら、
カシミール効果を一般化されたVan der Waals力として導いた、
FeynmanだかLandauだかの論文は間違っているとでも?

Van der Waals力があるから、零点エネルギーの存在は
観測および実験可能という主張は「と」の部類だと思うし…

カシミール効果は零点エネルギーの寄与である、
という視点で計算すると、たまたま結果が一致する、
という、面白い結果が一人歩きしているだけでしょう。

Kiyohide Nomura

未読、
2003/07/16 5:46:282003/07/16
To:

"Nakagawa" <nak...@silk.plala.or.jp> writes:

> 中川@つくば です
>
> "Kiyohide Nomura" <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> wrote in message
> news:5fn0fgg...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp...
> > そこまで大げさなことを持ち出さなくっても、場の量子論で零点エネルギーの
> > 寄与はカシミール効果として観測及び実験可能ですね。
>
> そうですか?
> この前議論した時から私も論文を漁ったわけではないけれど、
>
> > 場の量子論で零点エネルギーの
> > 寄与はカシミール効果として観測及び実験可能
>
> とした論文はありますか?

場の量子論の零点エネルギーからカシミール効果を理論的に導く議論は
Chapter 3, 2-4 Vacuum Fluctuation
in
"Qunatum Field Theory" by C. Itzykson and J-B. Zuber
にあります。

実験的なカシミール効果の精密測定に関しては1990年代にナノテクノロジーの
進歩とともに進展がありました。

S. K. Lamoreax:
Phys. Rev. Lett., Vol. 78, (1997) pp.5-8

U. Mohideen and A. Roy:
Phys. Rev. Lett., Vol. 81, (1998) pp.4549-4552

他に、Casimir-Polder 効果が実験的に計測されています。
2枚の平行金属版に挟まれた空間で零点エネルギーの変化により、原子のラム
シフトに影響がでるというものです。

C. I. Sukenik, M. G. Boshier, D. Cho, V. Sandoghdar, and E. H. Hinds:
Phys. Rev. Lett., Vol. 70 (1993) pp.560-563

> それに、もし零点エネルギーがカシミール効果に影響するのなら、
> カシミール効果を一般化されたVan der Waals力として導いた、
> FeynmanだかLandauだかの論文は間違っているとでも?
>
> Van der Waals力があるから、零点エネルギーの存在は
> 観測および実験可能という主張は「と」の部類だと思うし…

ある状況においてカシミール効果による力とVan der Waals力は一致します。
しかし、より精密に理論的に計算すると両者のずれがでてきます。
例えば、Van der Waals力は常に引力ですが、カシミール効果による力は形状
によっては斥力にもなります。また、運動している場合には相対論的効果によ
る違いがでます。

で、上記の
C. I. Sukenik et al.
の実験ではその違いが見え、場の量子論に基づくカシミール効果の方を支持す
る実験結果を得ています。

==================================

> この前議論した時から私も論文を漁ったわけではないけれど、

> 観測および実験可能という主張は「と」の部類だと思うし…

文献漁る前にいきなり決めつけないで下さいね。

Nakagawa

未読、
2003/07/16 10:27:582003/07/16
To:
中川@つくば です

"Kiyohide Nomura" <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> wrote in message

news:5fd6gan...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp...


>
> "Nakagawa" <nak...@silk.plala.or.jp> writes:
>
> > 中川@つくば です
> >
> > "Kiyohide Nomura" <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> wrote in message
> > news:5fn0fgg...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp...

>


> 他に、Casimir-Polder 効果が実験的に計測されています。
> 2枚の平行金属版に挟まれた空間で零点エネルギーの変化により、原子のラム
> シフトに影響がでるというものです。

零点エネルギーがラムシフトの項にあらわに入っているのですか?
そうだとしたら、カシミール効果を持ち出さなくても、
ラムシフトの存在が、零点エネルギーの存在を証明しているのですか?

> ある状況においてカシミール効果による力とVan der Waals力は一致します。

ということは、「ある状況におけるカシミール効果」は、
場の零点エネルギーを全く考えずに計算できるのですか?
それとも「ある状況におけるVan der Waals力」は
零点エネルギーの存在を仮定しないと計算できないのですか?

私は、Van der Waals力が零点エネルギーの存在を証明している
という説を聞いた事がありません。

カシミール効果とVan der Waals力の関係を考えると、
カシミール効果が突如、零点エネルギーの存在を証明するという説明が
理解できません。

零点エネルギーの話と真空のゆらぎの話が
ごっちゃになっているようですね。

Kiyohide Nomura

未読、
2003/07/17 6:10:262003/07/17
To:
"Nakagawa" <nak...@silk.plala.or.jp> writes:

> 中川@つくば です
>
> "Kiyohide Nomura" <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> wrote in message
> news:5fd6gan...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp...
> >
> > "Nakagawa" <nak...@silk.plala.or.jp> writes:
> >
> > > 中川@つくば です
> > >
> > > "Kiyohide Nomura" <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> wrote in message
> > > news:5fn0fgg...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp...
>
> >
> > 他に、Casimir-Polder 効果が実験的に計測されています。
> > 2枚の平行金属版に挟まれた空間で零点エネルギーの変化により、原子のラム
> > シフトに影響がでるというものです。
>
> 零点エネルギーがラムシフトの項にあらわに入っているのですか?
> そうだとしたら、カシミール効果を持ち出さなくても、
> ラムシフトの存在が、零点エネルギーの存在を証明しているのですか?

関連文献は示しましたので、fj に疑問(や議論)投げかけるだけでなく、自
分でも文献に目を通して下さい。
# 中川さんはある程度の物理の素養はあるようですし。

そうしないといつまで立っても議論が噛み合いません。

M_SHIRAISHI

未読、
2003/07/15 14:45:512003/07/15
To:

Shinji KONO wrote:

> ま、しかたないんだけど、哲学に詳しい人は物理は苦手で、物理に
> 詳しい人は哲学が苦手なことが多いので、しかたのないところかと。

Max Jammer教授は、れっきとした物理学者であり、かつ哲学にも
造詣が深いんだけど、何か?

GON

未読、
2003/07/17 20:33:322003/07/17
To:
<koun...@mbh.nifty.com> wrote in message news:bf01ks$4qh$1...@news511.nifty.com...

> ただ,河野さんの思いが,一般論として上のようなことだとしても,読んでもいない
> 本に対して,いきなり「いい加減な内容だ」と断を下す心が知りたかっただけなので
> す。

単にそういう類の人間だってことでしょう。(笑)

つまり、科学者にあるまじき先入観を単純に標榜しているだけですね。

ということで、河野氏は単なるコンピューター使いであって科学者ではありません。

GON

未読、
2003/07/17 20:36:022003/07/17
To:
"M_SHIRAISHI" <eu...@apionet.or.jp> wrote in message news:3F144BDF...@apionet.or.jp...

これは彼の先入観ですから、言っても無駄です。

彼はコンピューター関係の書籍以外はあまり読んでいないのでしょう。(笑)

GON

未読、
2003/07/17 20:44:242003/07/17
To:
"Shinji KONO" <ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp> wrote in message news:3988569...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp...

> > そこまで大げさなことを持ち出さなくっても、場の量子論で零点エネルギーの
> > 寄与はカシミール効果として観測及び実験可能ですね。
>
> 場の量子論の真空に関する特異性みたいなのは、時空間をアプリオ
> リに導入してしまうことから来るんじゃないかと僕は思ってます。
> 零点エネルギーは見掛けのものなんじゃないかなぁ。

ちゃんと量子場の理論を勉強してから言いましょう。

> なんだけど、それは観測できるっていう意味では「ある」んだよな。
> Higgs 粒子なんかも「便利だから導入された仮想的存在」みたいな
> ものの例として使って来たんですが、最近、「発見「されちゃった
> みたいだし。

ちゃんとそのニュースのフォローも見ましょう。

> > まあ、そうなんですが、観測不可能な部分が物理的意味がないとは言い切れな
> > いわけで、ゲージ場の理論まで拡張していくと(電磁場や重力場ふくむ)もっ
> > と広い枠組にまでいくんで、もっと広い視野で見ることが生産的かな。
>
> 「生産的」ってのは重要ですね。
>
> 例えば解析力学の「作用」なんかはどうでしょう? 物理理論ではも
> っとも生産的なものですけど、これは物理的実在だと思いますか?
> 「ハミルトニアン」とかは?
>
> なんかどちらも実在っぽくないのは何故かなぁ。

「実在」云々を議論していることぐらい物理的に意味のないことはありません。
それは単に人間の主観に属するものであって、ある何かを実在と思おうと思うまいと
観測結果には影響ありません。

そんな無駄な議論、それこそ哲学科へ逝って延々やってれば良いんです。

Shinji KONO

未読、
2003/07/17 21:16:222003/07/17
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <bf7ft8$7uh$1...@news512.nifty.com>, "GON" <g...@mocha.freemail.ne.jp> writes
> 「実在」云々を議論していることぐらい物理的に意味のないことはありません。

物理は、本来は、実在を問題にするものなはずですけどね。

> そんな無駄な議論、それこそ哲学科へ逝って延々やってれば良いんです。

僕は、その議論を大学4年間やってました。

哲学の初歩を勉強していれば、

> それは単に人間の主観に属するものであって、ある何かを実在と思おうと思うまいと
> 観測結果には影響ありません。

みたいなことは言わないはずなのさ。

例えば、時間や空間の性質を主観抜きに定義してみてごらん。
では、質量は?

理論の前提抜きに測定を定義できるのか? できないなら、その
アプリオリな理論はどこから持って来る? 自分が信じている
だけなんじゃないの?

無反省な物理学者ってのは哲学者のかもみたいなもんだな。
もっとも、そんな物理学者は、今は、生き残ってないとは
思いますけど。

Nakagawa

未読、
2003/07/18 10:37:262003/07/18
To:
中川@つくば です

"Kiyohide Nomura" <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> wrote in message

news:5fwueh4...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp...


> "Nakagawa" <nak...@silk.plala.or.jp> writes:
>
> 関連文献は示しましたので、fj に疑問(や議論)投げかけるだけでなく、自
> 分でも文献に目を通して下さい。

私が知りたいのは、
零点エネルギーの話が出るとは、
「零点エネルギーの存在は昔から知られているvan der Waals力が
証明しています」という人はいなくて、Casimir効果が引き合いに出され、
それでいてなおかつ、
「Casimir効果はvan der Waals力と場合によっては同じです」
という、不思議な関係についてです。

最近の実験技術の進歩や、ラムシフトへの影響じゃありません。

ピントはずれな「関連文献」を探す時間があるのなら、
野村さん自身の言葉でその関係を教えて頂きたいのですが…
私はGoogleなんかと対話しているわけじゃあないんですから。

> # 中川さんはある程度の物理の素養はあるようですし。

すみません。私の素養では理解できません。

真空のゆらぎの存在が、
零点エネルギーの存在証明になるのなら別ですけれど…

Shinji KONO

未読、
2003/07/18 13:09:202003/07/18
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

あんまり良く覚えてないけど、調和振動子の零点エネルギーとそれ
ほどずれた話じゃないはずですよね。

In article <bf90er$j77$1...@pin3.tky.plala.or.jp>, "Nakagawa" <nak...@silk.plala.or.jp> writes


> 私が知りたいのは、
> 零点エネルギーの話が出るとは、
> 「零点エネルギーの存在は昔から知られているvan der Waals力が
> 証明しています」という人はいなくて、Casimir効果が引き合いに出され、
> それでいてなおかつ、
> 「Casimir効果はvan der Waals力と場合によっては同じです」
> という、不思議な関係についてです。

単に、零点エネルギーの重力への寄与(と、その測定)っていうそう
いう話なんでしょ? 特に矛盾しているとは思いませんけど。

ちゃうのか?

> 真空のゆらぎの存在が、
> 零点エネルギーの存在証明になるのなら別ですけれど…

この手の話で思い出すのは、電子の質量の話かな。電子の質量は、
特異点を除いた空間そのものから全部導出されるみたいな説がある
んですよね。(確か、今は、全部は導出されないはずだけど) 相対
論以前以後、量子電磁力学とかいろいろ変遷はあるわけですけど。
おんなじような議論が繰り返される。

では実在なのは、質量0の特異点なのか、はたまた、質量を持つ時
空間なのか? どうでもいいっちゃ、どうでもいいんだけど、物理と
してどうなのかっていうのは、はっきりさせたいですよね。

僕は、特異点である電子の質量が0みたいな変な性質が出て来るの
は、時空間点を基底とした表現で議論するからだと思ってます。実
際、重力理論的には点が問題になることは絶対無いですよね。近接
作用論だから。一方で、量子論的な重力理論だと、観測抜きに質量
を考えても意味が無いはずです。僕は、零点エネルギーにも、そう
いう「本当は議論しちゃいけない部分」みたいなところがあるんだ
と思うんだけどさ。

なので、ある基底で議論すると一般化されたファンデルワールス力
になって、別な基底で議論すると零点エネルギーになるってのもあ
りだと思う。「そういうのを零点エネルギーは実在するというのか?」
というなら、粒子の位置とかも実在物とは少し距離が出てしまいま
すね。

M_SHIRAISHI

未読、
2003/07/18 11:08:192003/07/18
To:

GON wrote:

GON vs KONO で、一波乱ありそうな雲行きになってきたな。 ヽ(^。^)ノ


M_SHIRAISHI

未読、
2003/07/19 10:30:202003/07/19
To:

Shinji KONO wrote:

> 河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
>
> In article <3F1055FA...@apionet.or.jp>, M_SHIRAISHI <eu...@apionet.or.jp> writes
> > > > ツンドクなのだけれど、“The Philosophy of Quantum Mechanic”
> > > > by Max Jammer, John Wiley & Sons, 1974 という本を、かつて、
> > Max Jammer教授は、知る人ぞ知る、Einstein に大きな影響
> > を与えた Ernst Mach (1831-1916)に比壁する大変な碩学で
> > あって、力の概念とか、質量の概念,時空の概念に鋭い批判
> > と分析を加えた有名な三部作を書いているんだけど、何か?
>
> どっちも知らないなぁ。割と網羅的な本なのね。このあたりを良く
> 勉強したのは79年ぐらいなので、知っていても不思議はないんだが...
> 有名な三部作の方のタイトルは?

"Concepts of Force"(Harvard Univ. Press), "Concepts of Mass"

あとの一冊の書名は、うろ覚えだけど、"Concepts of Time and Space"

・・・だったかな?

M_SHIRAISHI

未読、
2003/07/19 13:07:312003/07/19
To:

M_SHIRAISHI wrote:

Amazon.co.jp の洋書検索で "Max Jammer"と入力すると、何冊か
ヒットするようね。


Kiyohide Nomura

未読、
2003/07/20 5:26:052003/07/20
To:
"Nakagawa" <nak...@silk.plala.or.jp> writes:

> 中川@つくば です
>
> "Kiyohide Nomura" <kno...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> wrote in message
> news:5fwueh4...@maya.phys.kyushu-u.ac.jp...
> > "Nakagawa" <nak...@silk.plala.or.jp> writes:
> >
> > 関連文献は示しましたので、fj に疑問(や議論)投げかけるだけでなく、自
> > 分でも文献に目を通して下さい。
>
> 私が知りたいのは、
> 零点エネルギーの話が出るとは、
> 「零点エネルギーの存在は昔から知られているvan der Waals力が
> 証明しています」という人はいなくて、Casimir効果が引き合いに出され、
> それでいてなおかつ、
> 「Casimir効果はvan der Waals力と場合によっては同じです」
> という、不思議な関係についてです。

中川さんの主張が今一つ飲みこめないですが、
「特殊相対論で速度が光速に比べ十分小さい場合、ニュートン力学の結果と
(近似的に)一致する。」`
からといって(これは近似的には正しい)、
「昔から知られているニュートン力学によって、特殊相対論が証明されます。」
という主張は成り立ちませんよね。

実際のところ、特殊相対論が広く認められたのは、
「速度が光速に比べ小さい場合でも、ニュートン力学の結果からのずれを測定
することができて、しかもそのずれが特殊相対論で予想されるものと一致し
た。」
「その後速度が光速に近い場合で、特殊相対論で予想される効果と(極めて正
確に)一致するものが測定された。」
ということですよね。
# だからといって「ニュートン力学は間違っている」というわけでなく、
# 「特殊相対性理論の近似としてはニュートン力学は意味がある。」
# ですよね。

で、「Casimir効果とvan der Waals力」の関係に戻ると、
「ある近似では、Casimir効果とvan der Waals力はほぼ同じ結果を与える。
しかし、最近の実験技術の進歩により、Casimir効果による予想と van der
Waals力からの予想の食い違いが測定できるようになった。
その結果は、Casimir効果による予想の方をを支持する。」
ということです。

> ピントはずれな「関連文献」を探す時間があるのなら、
> 野村さん自身の言葉でその関係を教えて頂きたいのですが…
> 私はGoogleなんかと対話しているわけじゃあないんですから。

あのー、資料は示したんですが、fj での他人の解説に頼るより、たまには自
分で関連文献に目を通したらいかがですか?
何も私は中川さん専門の物理の解説係ではありません。

Kiyohide Nomura

未読、
2003/07/20 5:38:562003/07/20
To:
ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) writes:

> 河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
>
> あんまり良く覚えてないけど、調和振動子の零点エネルギーとそれ
> ほどずれた話じゃないはずですよね。
>
> In article <bf90er$j77$1...@pin3.tky.plala.or.jp>, "Nakagawa" <nak...@silk.plala.or.jp> writes
> > 私が知りたいのは、
> > 零点エネルギーの話が出るとは、
> > 「零点エネルギーの存在は昔から知られているvan der Waals力が
> > 証明しています」という人はいなくて、Casimir効果が引き合いに出され、
> > それでいてなおかつ、
> > 「Casimir効果はvan der Waals力と場合によっては同じです」
> > という、不思議な関係についてです。
>
> 単に、零点エネルギーの重力への寄与(と、その測定)っていうそう
> いう話なんでしょ? 特に矛盾しているとは思いませんけど。
>
> ちゃうのか?

(1990 年代に)実験的に測定しているのは電磁場の零点エネルギーです。
正確にいえば、境界条件変えたことによる電磁場の零点エネルギーの変化分を
力として測定しています。

> なので、ある基底で議論すると一般化されたファンデルワールス力

「一般化されたファンデルワールス力」てなんですか?
ファンデルワールス力の一般化は一意的にできるんですか?

Casimir効果なら、電磁場の場合のみならず、(重力場、QCD など)他の量子場
でも定義できますね。
# 測定はともかく。
# 量子異常とかに関係するんだっけ?

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