SCO が一部にだけ公開したというスライドの写真が出ています。
http://www.heise.de/newsticker/data/jk-19.08.03-000/
(vergrerte Fassung) とあるところが拡大画像のリンクです。
Linux サイドから「'70 年代から存在する」等のコメントがあるようですが、
V7 の sys/malloc.c に相当する部分があり、4.3reno の
sys/kern/subr_rmap.c にもこの部分が残っています。ですが、
4.4BSD には無く、AT&T UNIX ライセンスが無くても入手できた Net/2 や
4.4BSD-Lite にもありません。ということは、最近(2002 年 1 月)
自由に使えるようになった、32V 以前が対象のいわゆる
"Ancient Unix Source Code" にあたるソースになると思われます。
これについては、現在ではコピーして使っても法的な問題は
無い訳ですが、元々 Linux に存在したコードではないでしょうから、
なんかの機能と一緒に持ち込まれたもの(あるいは紛れ込んでしまったという
可能性もありますが)でしょう。
今更メモリ割り当てのコードを他のシステムから拝借しないといけない
本質的な必要があるとは思えないので。
そうすると、やっぱり持ち込んだ人がどれだけ配慮していたかに
かかっているということになります。
元々 32V や BSD のコードをベースに機能を盛り込んだものならば
全く問題なし
SysV をベースに機能を盛り込んだものならば、Linux へ持って来る時に
32V や BSD に使われている範囲を越える部分を削除するか書き換える
必要がある
ということになるのではないでしょうか。
もう一枚の方は mutex_spinlock() とかあるので、32V や BSD には
無いコードだと思われます。
プロジェクトとしては、こういうのにはなるべく「関わらない」で済むような
態度を取った方がいいんじゃないでしょうか。グレーな部分を切り離せるように
しておくとか。 # たいへんだろうけど。
--
持田 修司 NETside Technologies Inc.
-- Equal Opportunity for All Good Architectures, NetBSD. --
> もう一枚の方は mutex_spinlock() とかあるので、32V や BSD には
> 無いコードだと思われます。
と思ったら、これ一枚目の画像の関数の続きですね。これは V7, 32V, 3BSD で
だいたい似たコードです。ただし mutex_spinlock() の部分はありません。
この行も赤いってことは、そのまま SysV にあるんですかね?
4.0BSD 以降はループの頭の方に大きな if ブロックが追加されています。
In article <ul8y8xm...@pine.yorie.netside.co.jp>
MOCHIDA Shuji <moc...@netside.co.jp> writes:
> 持田@NETside です。
> SCO が一部にだけ公開したというスライドの写真が出ています。
> http://www.heise.de/newsticker/data/jk-19.08.03-000/
> (vergrerte Fassung) とあるところが拡大画像のリンクです。
> Linux サイドから「'70 年代から存在する」等のコメントがあるようですが、
> V7 の sys/malloc.c に相当する部分があり、4.3reno の
Slashdot.jp によると、AT&T UNIX 7th Editionのmalloc.c とほと
んど同じようです。
http://slashdot.jp/articles/03/08/19/2256245.shtml?topic=17
http://minnie.tuhs.org/UnixTree/V7/usr/sys/sys/malloc.c.html
その malloc.c ですが、SGI 用の Linux のコードにしか含まれて
いないという話を見ました。
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http://www.japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000047623,20060514,00.htm
Linuxコミュニティは米SCOの証拠を一蹴
2003年8月21日(木) 10時18分
...
オープンソースのリーダーで、有名なDebianの開発者であるBruce Perensは、
CNET News.comが米国時間の8月20日に行ったインタビューに答え、「これらが
最高の証拠か?これらの証拠はでっち上げだ」と語っている。
...
Perensはまた、SCOが開示したコードの中には当初SGIによってBSDライセンス
で公開されたメモリアロケーション機能も含まれていたとしている。同氏によ
ると、このコードはLinuxが動作する特定のSGIマシンにだけ影響するもので、
世界中で100台程度のマシンにしか影響はなく、今後登場するLinuxからは削除
されているという。SGIにコメントを求めたが回答は得られなかった。
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> もう一枚の方は mutex_spinlock() とかあるので、32V や BSD には
> 無いコードだと思われます。
mutex_spinlock を Linux 2.4.20 で探してみました。
arch/ia64/sn/io/ate_utils.c の atealloc() ですね。Copyright
(C) 1992 - 1997, 2000-2002 Silicon Graphics, Inc. All rights
reserved. となっています。Perens が言っているのは、このこと
かなあ。となると、SCO が訴えるべきは、IBM でなくて SGI よう
な気もするんだけど。
lock/unlock の入れ方は、誰がやっても似たような話になるので、
たまたま一致していたからといって、即座にコピーしたという話に
はならないと思います。
SCO は、Unix のコードの 80 万行くらいが、不正に Linux に取り
込まれたと言っているみたいですが、Lunix と言っても、カーネル
部分は、そんなに大きくはないですよね。ユーザ・レベルのプログ
ラムの話も含んでいるのでしょうか。
続きは Followup-To: fj.unix としておきます。
\\ 新城 靖 (しんじょう やすし) \\
\\ 筑波大学 電子・情報 \\
> ----------------------------------------------------------------------
> Linuxコミュニティは米SCOの証拠を一蹴
> Perensはまた、SCOが開示したコードの中には当初SGIによってBSDライセンス
> で公開されたメモリアロケーション機能も含まれていたとしている。同氏によ
> ----------------------------------------------------------------------
「BSD スタイル」の、Caldera International Inc. のライセンスですね。
> lock/unlock の入れ方は、誰がやっても似たような話になるので、
> たまたま一致していたからといって、即座にコピーしたという話に
> はならないと思います。
まあ、コピーしたものだとしても、これひとつで損害を被ったということには
ならないでしょうが。
2002 年 1 月付の PDF が出回ってる、Caldera の Copyright は、付いてます?
今日、技術評論社の雑誌、「Software Design」を見たら、Bart
Eisenberg の連載、Pacific Connection でもSCO 問題が出ていま
した。SCO は、「スコ」と読むんだそうです。
この記事の中で、知的財産担当弁護士 G.Gervaise Dvis へのイン
タビューがあって、タイトルが「知的財産の訴訟はとにかく馬鹿げ
ている・・・」でした。弁護士が自分で言うんだから。200万ドル~
500万ドルもかかるとか。1時間会うのに1万ドル。
In article <ul8fzjt...@pine.yorie.netside.co.jp>
MOCHIDA Shuji <moc...@netside.co.jp> writes:
> 持田@NETside です。
> 「BSD スタイル」の、Caldera International Inc. のライセンスですね。
誤訳かな。
> 2002 年 1 月付の PDF が出回ってる、Caldera の Copyright は、付いてます?
PDF は、知らないんですが、ate_utils.c に付いている Copyright
は、Silicon Graphics, Inc. だけです。
------------------------------------------------------------
% head arch/ia64/sn/io/ate_utils.c
/* $Id: ate_utils.c,v 1.1 2002/02/28 17:31:25 marcelo Exp $
*
* This file is subject to the terms and conditions of the GNU General Public
* License. See the file "COPYING" in the main directory of this archive
* for more details.
*
* Copyright (C) 1992 - 1997, 2000-2002 Silicon Graphics, Inc. All rights reserved.
*/
#include <linux/types.h>
% pwd
/usr/src/linux-2.4.20
% egrep -i Copyright arch/ia64/sn/io/ate_utils.c
* Copyright (C) 1992 - 1997, 2000-2002 Silicon Graphics, Inc. All rights reserved.
%
------------------------------------------------------------
> まあ、コピーしたものだとしても、これひとつで損害を被ったということには
> ならないでしょうが。
はい。指摘されたファイルを捨てて、同じ機能を持つもの別のもの
と入れ替えればいいので。
もう1つ、Bart Eisenberg の記事には、法廷アナリストの
Johnson-Laird の話がありました。著作権がらみでは、実質的な類
似性が問題になって、他に書き方がないような話なら、著作権によ
る保護はそんなには受けられないと言っています。
あと、プログラマからすると、怖い話なのですが、ある会社でプロ
グラムを書いて、別の会社に移った時、前の会社のプログラムが頭
に残っていて、新しい会社でそれが使えるかという話もありました。
答えは、契約によるです。
Bart Eisenberg の記事で fj.unix で出てこなかった話としては、
この著作権の話と頭の弁護士の話くらいかな。
Bart Eisenberg の記事で Beaverton という地名が何回か出てくる
のは、個人的にちょつと懐かしかったです。1999年くらい3ヶ
月ほど住んでいたので。OSDL の在るところです。あと、IBM の
Sequent 部門もあったみたい。なかなか住みやすい所でした。
In article <ul8y8xm...@pine.yorie.netside.co.jp>
MOCHIDA Shuji <moc...@netside.co.jp> writes:
> 持田@NETside です。
> プロジェクトとしては、こういうのにはなるべく「関わらない」で済むような
> 態度を取った方がいいんじゃないでしょうか。グレーな部分を切り離せるように
> しておくとか。 # たいへんだろうけど。
既に始まったプロジェクトは、そうなのかもしれないけれど、これ
から始める時には、いろいろできそうですね。