法律に関する質問なのですが、個人がホームページをつくり、そこに「広告主」を募
集するとします。つまり、そこのホームページに誰かの広告を載せてお金を稼ごう、
というわけです。
この場合、その個人が自分の住所などを公開する必要はあるのですか?(金銭の取引
がある場合は、法律で定められた表示が必要だ、という話を聞いたことがあるのです
が・・・)
>From:"tomomichia" <tomom...@yahoo.co.jp>
>Date:2004/02/01 17:22:06 JST
>Message-ID:<bvicvf$k8u$1...@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>
>
>初めて投稿するものですので、投稿するグループが正しくない場合はすみません。
内容的にはいいんですけど
もし自身がこのようなことをはじめようとして質問しようとしているなら
「商用禁止の利用」にひっかかると問題視する読者はいると思いますよ。
私自身「利益をあげようというのに無料でfj利用するの?」
とは思いますし。
>法律に関する質問なのですが、個人がホームページをつくり、そこに「広告主」を募
>集するとします。つまり、そこのホームページに誰かの広告を載せてお金を稼ごう、
>というわけです。
>
>この場合、その個人が自分の住所などを公開する必要はあるのですか?(金銭の取引
>がある場合は、法律で定められた表示が必要だ、という話を聞いたことがあるのです
>が・・・)
お金を稼ぐという点では立派に営利目的です。
たいていの行政法規では事業者として扱われるでしょう。
さてインターネット通販でよく氏名等の表示をしていますが
これは昔の訪問販売法、
今の「特定商取引に関する法律」の適用を受けるからです。
これの要件は大きく分ければ2つあり
1つは「販売業者・役務の提供の事業を営む者」
もう1つは「指定商品・指定権利の販売もしくは指定役務の提供」
であることです。
個人であっても収益目的なら前者の要件は満たします。
問題は後者で
特定商取引に関する法律施行令
別表第3の13号
「プログラムを電子計算機に備えられたファイルに記録し、
又は記録させること。」
に該当するとなればばっちり適用されますな。
(実は私個人はこの適用はないと思うんだけど……。)
特定商取引法の消費者に対する解説として
http://www.kokusen.go.jp/mame/data/mame03_f02.html#kanren
がいいと思います。
なお、自分でサーバーを立てて接続しているのであればともかく
いわゆるレンタルサーバーの場合や
web用のスペースを使わせてもらっているにすぎない場合
商用利用を禁止している例が結構あります。
そういうところでこういうことをやると
契約解除されてもう使えなくなってしまうことが容易に想像できますので
そういうとことの契約書をよく読みましょう。
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Talk lisp at Tea room Lisp.gc .
c...@nn.iij4u.or.jp 佐々木将人
(This address is for NetNews.)
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ルフィミア「まさと先輩、今年もよろしくお願いします。」
まさと「振袖着れるようになったの?」ルフィミア「はい。勉強しました。」
「特定商取法」の存在はわかりましたが、どこを見ても、実際に何を表示すればいい
のか、書かれていないようで、頭を悩ましています。
法律そのものにおいても、「広告」には、さまざまな表示が必要だとかかれています
が、そのほかのことはかかれていないように見えました。
また、インターネットを見てますと、多くのホームページには、広告募集している、
と書かれているのにかかわらず、何の表示もありませんが、結局表示は必要ない、と
いうことなのでしょうか?
(法律はまったくわからない素人で、申し訳ございません)
この書き込みは、営利目的、というより、ただたんに法律を知りたいだけですので、
ご了解のほど、よろしくおねがいいたします。
"SASAKI Masato" <c...@nn.iij4u.or.jp> wrote in message
news:20040202...@nn.iij4u.or.jp...
>From:"tomomichia" <tomom...@yahoo.co.jp>
>Date:2004/02/03 20:43:09 JST
>Message-ID:<bvo1gf$986$1...@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>
>
>「特定商取法」の存在はわかりましたが、どこを見ても、実際に何を表示すればいい
>のか、書かれていないようで、頭を悩ましています。
どこを見ました?
法律の明文できちんと書かれていますよ。
11条で4項目の他「経済産業省令で定める事項」をあげております。
経済産業省令で定める事項とは
「特定商取引に関する法律施行規則」8条で10項目ほど。
ちなみに同規則9条は法11条の記載基準について
具体化しています。
(ちなみに国民生活センターの該当ページには
これらの条文番号があがっていたはずです。
あがっていれば六法全書なり
総務省行政管理局の法令データ提供システムで
いきなり引けます。)
>また、インターネットを見てますと、多くのホームページには、広告募集している、
>と書かれているのにかかわらず、何の表示もありませんが、結局表示は必要ない、と
>いうことなのでしょうか?
まず世間の人がそうしているからといって
法律上そうしなくてもいいということではありません。
彼らは法律に反しているのかもしれないのです。
次に個人が営利目的でなく行う場合には
特定商取引に関する法律の適用はありません。
例えば個人がヤフーオークションに1回くらい出品して
たまたま利益を得るというのではこの法律の適用外です。
でも個人でも利益を得る目的ではじめるのであればこの法律の適用を受けます。
さらにリンクを張っただけでは
先にあげた「プログラムを……」にあたらないという可能性もあります。
(リンクはプログラムじゃないですね。)
ではバナーを貼るのはどうでしょう?
「広告を集める」というだけでは法律の適用があるかは判断できません。
広告を集めるということが条文のどの行為にあたるのか
またどれにもあたらないと言えるのかは
それこそ具体的に何が行われたかによります。
「広告を集める」というのは
法律を適用するためにはちっとも具体的ではありません。
質問が具体的でなければ答だって同じ程度に具体的ではなくなるでしょう。
ここのグループは、いつのころからか、
満足の行く回答は得られないと思って
いて間違いないでしょう。
http://oshiete1.goo.ne.jp/oshiete.php3?c=306
あたりに聞かれるのがベストかと。
ここのグループは、いつのころからか、
まともな答えが返ってくることが
ほとんど期待できないグループに
なってしまったように思う。
(こういうことを書く私も不親切
なのだろうが)
ここのグループより、
http://oshiete1.goo.ne.jp/oshiete.php3?c=306
などに質問するほうが、親切に答えて
もらえるのではないだろうか。
> 初めて投稿するものですので、投稿するグループが正しくない場合はすみません。
ここのグループは、いつのころからか、
まともな答えが返ってくることが
ほとんど期待できないグループに
なってしまったように思う。
(こういうことを書く私も、まともな
答えを返してないが)
ここのグループより、
http://oshiete1.goo.ne.jp/oshiete.php3?c=306
などに質問するほうが、親切に答えて
もらえるのではないでしょうか。
In article <401FD673...@inter7.jp>,
ユーザ5561 <55...@inter7.jp> wrote:
>ここのグループより、
>
>http://oshiete1.goo.ne.jp/oshiete.php3?c=306
>
>などに質問するほうが、親切に答えて
>もらえるのではないでしょうか。
親切かもしれないけど、的確かなぁ?
例えば、既に締め切られている「天皇が犯罪を犯したら?」にしても、
結論はいちおう正しい(裁かれることはない)ですけど、
そこに至る過程の説明にちょっと眉唾です。
・「天皇は人間ではない」
…これは論外に誤りでしょ?
・「天皇は日本に住んでいるが日本人ではない」
…日本人って言い方からして法律の概念じゃないと思うんですが、
どっちにしても日本で犯罪を起こせば、何国人かはそもそも関係ない…
以下、
・「天皇は最高権力者。最高権力者のやることは犯罪にならない」
・「民法・刑法は天皇はそんなことをするはずがないという前提できている」
…と続くのですが…(ため息が出ている人も多いと見た)
これ、天皇は日本国の象徴、日本国民統合の象徴であることから、
日本国の裁判権に服させられない(つまり手続法の問題)ってことですよね。
上記の回答の中に、そのことをきちんと説明したものが1つも無かった時点で
(「刑法」「民法」と実体法の名前しか出てこないあたりがねぇ)
『親切かもしれないけど、的確かなぁ?』
と感じてしまうところです。
-------------------------------------------
Yasuyuki Nagashima
yas...@horae.dti.ne.jp
-------------------------------------------
Yasuyuki Nagashima wrote:
> 長島です。
> >ここのグループより、
> >
> >http://oshiete1.goo.ne.jp/oshiete.php3?c=306
> >
> >などに質問するほうが、親切に答えて
> >もらえるのではないでしょうか。
>
> 親切かもしれないけど、的確かなぁ?
爆笑しました。こんな大笑いできるページがあるなんて
初めて知りました。きょう一日の沈んだ気分がいっぺんに
吹き飛んだのでした。
> 例えば、既に締め切られている「天皇が犯罪を犯したら?」にしても、
> 結論はいちおう正しい(裁かれることはない)ですけど、
> そこに至る過程の説明にちょっと眉唾です。
ちょっとなんて水準じゃないです。TPOさえ損なわなければ
たいていのところで立派なお笑いで通用します。
> ・「天皇は人間ではない」
> …これは論外に誤りでしょ?
> どんな人:一般人
> 自信: あり
> 良回答(10pt)
自己に対する判断がすごいやね。
10ptと採点する主体もすごいです。
> ・「天皇は日本に住んでいるが日本人ではない」
> …日本人って言い方からして法律の概念じゃないと思うんですが、
> どっちにしても日本で犯罪を起こせば、何国人かはそもそも関係ない…
> 種類:アドバイス
> どんな人:経験者
> 自信: あり
いったいどんな経験に裏打ちされた自信なんだか…
> 以下、
> ・「天皇は最高権力者。最高権力者のやることは犯罪にならない」
> 種類:回答
> どんな人:一般人
> 自信: あり
他者からは一般人だとみなされないだろうなあ…
アメリカ合衆国で道を尋ねると親切で自信たっぷりに
間違った道を教えられるという笑い話がありますが、
目的地への道を尋ねるのとは比較にならないくらい
いっちゃってます。
> ・「民法・刑法は天皇はそんなことをするはずがないという前提できている」
> …と続くのですが…(ため息が出ている人も多いと見た)
> 種類:回答
> どんな人:経験者
> 自信: あり
> 良回答(20pt)
どの回答もはにかみながらとか片目つぶってニヤニヤ笑いながらではなく
真面目な回答(とかアドバイス)と読み取れるところがすごい。
> これ、天皇は日本国の象徴、日本国民統合の象徴であることから、
> 日本国の裁判権に服させられない(つまり手続法の問題)ってことですよね。
>
> 上記の回答の中に、そのことをきちんと説明したものが1つも無かった時点で
> (「刑法」「民法」と実体法の名前しか出てこないあたりがねぇ)
> 『親切かもしれないけど、的確かなぁ?』
> と感じてしまうところです。
クォリティ不問、根拠不要の回答がこんなにトンデモな性質だと
恰好の例示をしてもらって実に楽しめました。
当然、実用にならないということも承知しています。
--
mailto:shi...@dd.iij4u.or.jp 渋谷伸浩
続くようならfj.news.usageあたりで。
>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2004/02/05 23:46:20 JST
>Message-ID:<bvtkqe$gl6$1...@newsl.dti.ne.jp>
>
>In article <401FD673...@inter7.jp>,
>ユーザ5561 <55...@inter7.jp> wrote:
>
>>ここのグループより、
>>
>>http://oshiete1.goo.ne.jp/oshiete.php3?c=306
>>
>>などに質問するほうが、親切に答えて
>>もらえるのではないでしょうか。
>
>親切かもしれないけど、的確かなぁ?
これは彼の投稿のその前の部分
>ここのグループは、いつのころからか、
>まともな答えが返ってくることが
>ほとんど期待できないグループに
>なってしまったように思う。
>(こういうことを書く私も、まともな
>答えを返してないが)
で、全てわかると思いますよ。
法律の解釈の話だから
「的確」とか「まとも」というのは
「法解釈学の世界で通説判例と評価されている説に基づいている」
ということを意味していると置けますよね。
(そういう意味でないなら、
言語感覚を再検討すべきです。)
そうすると
「いつのころからかまともな答が返ってくることがほとんど期待できない」
というのですから
・昔はまともな答が返ってきていた
・今はまともな答が返ってこない
ということを主張している訳ですが
第1に「昔はまともな答が返ってきていた」
というのがだいぶん怪しい。
今から12~3年前のfj.soc.lawなんて
法学部生だってだけで専門家扱いだったし
そして展開された議論だって
今なら長島さんが「眉唾」と言ってしまうような内容でした。
……もしかしたらそういう眉唾を「まとも」と思っているのかもしれない。
今から7~8年前のfj.soc.lawなら
私がfj.sci.lawのCFAかけたころで
およそ法律学の主張と言えないものが
大声でなされていたような状態で……。
……もしかしたらそういうのを「まとも」と思っているのかもしれない。
その後のfj.soc.lawは投稿数は減っているかもしれないけど
法律的に間違ったことを書くと
法律的に間違っているとたたかれてしまうか
無視されてしまう訳で
それは今も基本的に続いている訳です。
……もしかしたら法律的に間違っているとたたかれるのを
「まともな答が返ってくることがほとんど期待できない」
と思っているのかもしれません。
さらにもう1つ言うと
fjの場合やはり根底には
「自分でも調べてみる」ことが要求されている部分というのがありまして
昔から「質問したらサマリーをまとめて投稿しろ」なんて言われているけど
要約なんて作業は自分でも勉強しないとできないものでしょ?
でも
>(こういうことを書く私も、まともな答えを返してないが)
に端的に現れているように
そう書いておきながら「このグループは」とはじめるあたり
「自分ではやらないけど他者からおいしい答だけいただこう」
という依存の姿勢が見え見え。
……そういう人には確かにfjは合わないわ……。
(にもかかわらずなぜ読み続けるかは正直なところ謎。)
せっかくだし……。
知らない人は復習だ!
>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2004/02/05 23:46:20 JST
>Message-ID:<bvtkqe$gl6$1...@newsl.dti.ne.jp>
>
>例えば、既に締め切られている「天皇が犯罪を犯したら?」にしても、
>結論はいちおう正しい(裁かれることはない)ですけど、
>そこに至る過程の説明にちょっと眉唾です。
>
>・「天皇は人間ではない」
>…これは論外に誤りでしょ?
……実は人間ではなかったとか(笑)
>・「天皇は日本に住んでいるが日本人ではない」
>…日本人って言い方からして法律の概念じゃないと思うんですが、
> どっちにしても日本で犯罪を起こせば、何国人かはそもそも関係ない…
ですな。人間である限り。
(刑法の冒頭を読めば
日本国内の犯罪には日本国刑法が適用されることがまるわかり。)
>以下、
>・「天皇は最高権力者。最高権力者のやることは犯罪にならない」
>・「民法・刑法は天皇はそんなことをするはずがないという前提できている」
>…と続くのですが…(ため息が出ている人も多いと見た)
今のfj.soc.lawだとため息が出てしまう読者が多いということでしょう。
>これ、天皇は日本国の象徴、日本国民統合の象徴であることから、
>日本国の裁判権に服させられない(つまり手続法の問題)ってことですよね。
でし。
もともと天皇が訴追されないことの根拠は
皇室典範21条が
摂政について「その在任中訴追されない。」と定めており
「摂政ですら訴追されない。いわんや天皇をや。」
という解釈に求められております。
>上記の回答の中に、そのことをきちんと説明したものが1つも無かった時点で
>(「刑法」「民法」と実体法の名前しか出てこないあたりがねぇ)
>『親切かもしれないけど、的確かなぁ?』
>と感じてしまうところです。
ですね。
この問題に正確に答えるのに
皇室典範21条が出てこない解説というのは
(別に21条の条文をあげなくてもいいんですよ。
わかっている人が読むと
「あ、この書き手は皇室典範21条を意識して書いているな」
というのが伝わるもので十分です。)
いくら親切でも的確さには欠けると思います。
一方なんでも3行以内で知りたい、それ以上は読みたくないという人も
世の中にはいる訳でして……。
某サイトでこの私の文章を長々書き込むことがいいかどうかというと
これまたそれなりに問題にはなります。
そう考えれば、結局
「適切なメディア選択をすると、自分の希望がかなえられます。」
という話に落ちてしまいます。
実は私は読んでないんであれだけど……。
>From:"Shibuya, Nobuhiro" <shi...@dd.iij4u.or.jp>
>Date:2004/02/06 21:15:59 JST
>Message-ID:<4023857F...@dd.iij4u.or.jp>
>
>クォリティ不問、根拠不要の回答がこんなにトンデモな性質だと
>恰好の例示をしてもらって実に楽しめました。
もしかしたら最悪の例を見てしまったのかもしれないんであれだけど……。
(fj.soc.lawだってこの点では人のこと言えねえわな。)
ただfjが「根拠を要求する」
そのことで「クオリティを要求する」てえのはあると思うし
その要求を満たさないと
「たたかれる」
「無視される」
という次第だと思っています。
ちなみに「笑われる」というのもありますね。
> ただfjが「根拠を要求する」
> そのことで「クオリティを要求する」てえのはあると思うし
> その要求を満たさないと
> 「たたかれる」
> 「無視される」
> という次第だと思っています。
たたく人とか無視する人ってそんなにいるのかな。
たたかれるべき人がたたかれつづけるために佐々木さんが一人で
頑張ってたたきつづけても無駄だと思います…。
--
ayu
SASAKI Masato wrote:
> 佐々木将人@函館 です。
> ..........
>>・「天皇は日本に住んでいるが日本人ではない」
>>…日本人って言い方からして法律の概念じゃないと思うんですが、
>> どっちにしても日本で犯罪を起こせば、何国人かはそもそも関係ない…
>
>
> ですな。人間である限り。
> (刑法の冒頭を読めば
> 日本国内の犯罪には日本国刑法が適用されることがまるわかり。)
> ..........
> もともと天皇が訴追されないことの根拠は
> 皇室典範21条が
> 摂政について「その在任中訴追されない。」と定めており
> 「摂政ですら訴追されない。いわんや天皇をや。」
> という解釈に求められております。
素人質問なのですが、上を読むと、刑法と皇室典範に矛盾がある
ように思えます。その状態で訴追されない根拠を皇室典範に求め
るということは、刑法より皇室典範が上位であることになります。
皇室典範が上位であるということはどこかに書かれているので
しょうか?憲法と皇室典範にはそれらしき文はなかったと思うの
ですが...
solsys wrote:
> そるしすです。
>
>>>・「天皇は日本に住んでいるが日本人ではない」
>>>…日本人って言い方からして法律の概念じゃないと思うんですが、
>>> どっちにしても日本で犯罪を起こせば、何国人かはそもそも関係ない…
<snip>
>>もともと天皇が訴追されないことの根拠は
>>皇室典範21条が
>>摂政について「その在任中訴追されない。」と定めており
>>「摂政ですら訴追されない。いわんや天皇をや。」
>>という解釈に求められております。
>
>
> 素人質問なのですが、上を読むと、刑法と皇室典範に矛盾がある
> ように思えます。
矛盾があると思えるのは、法解釈以前に日本語の読解力が
いまいちだからでしょう。
<bvtkqe$gl6$1...@newsl.dti.ne.jp> で長島さんが
日本国の裁判権に服させられない(つまり手続法の問題)ってことですよね。
と仰ってるんですが、ちゃんと読みました?
--
稲川 史(ふひと) http://www.za.ztv.ne.jp/fuhito/
~fuhito/rtmach/Inferno.html (Inferno on RT-Mach + Lites)
まあせっかくですからさらに解説しましょう。
>From:Fuhito Inagawa <fuh...@za.ztv.ne.jp>
>Date:2004/02/07 18:30:45 JST
>Message-ID:<4024B045...@za.ztv.ne.jp>
>
>矛盾があると思えるのは、法解釈以前に日本語の読解力が
>いまいちだからでしょう。
>
><bvtkqe$gl6$1...@newsl.dti.ne.jp> で長島さんが
>
>日本国の裁判権に服させられない(つまり手続法の問題)ってことですよね。
>
>と仰ってるんですが、ちゃんと読みました?
ちなみに法解釈としてもだめだめです。
まず刑法とは
「何が犯罪にあたるか。犯罪にあたる場合どういう刑罰を科すか。」
を定めた法律です。
(この種のものを実体法と言います。
刑法で言うなら「犯罪」そのもの、
犯罪の実体について定めた法ですから。)
しかし実際にある人に対し裁判をして有罪判決をとって
検察庁が刑の執行を指揮し、それに基づいて刑務所がその人を収容する
そういう具体的な動き
(この場合は刑罰権の発動)
について定めたのは刑法ではありません。
それは刑事訴訟法です。
(刑事手続について定めた法ですから手続法と言います。)
刑事訴訟法は刑事手続について定めていますが
その中でどういう人について刑罰権を発動するかも書いてあります。
そしてその中には天皇について書かれていません。
……まあ刑事訴訟法は一般法ですから……。
そして等しく法律であるところの皇室典範では
摂政について明文で定めています。
また天皇についても解釈によって適用があるとされています。
刑事訴訟法は限定がないし
皇室典範のこの条項は天皇と摂政に限定されますから
刑事手続については刑事訴訟法が一般法
皇室典範が特別法にあたります。
一般法と特別法では特別法が優先しますから
皇室典範の規定が適用になって「天皇は訴追されない」
という結論が出ます。
ちなみに皇室典範の当該条文を実際に見ました?
摂政不訴追の規定は21条本文な訳ですが
同条但書には
「但し、これがため、訴追の権利は、害されない」
とあります。
これは要するに
「在任中は訴追できないけど、
そのことで例えば訴追権の時効消滅はしないよ。」
ってことを意味します。
……訴追の権利が害されないってことはだ
前提としてもし天皇・摂政の地位から下りれば
訴追可能になるということです。
そして裁判で有罪になれば……。
すなわちある人のやったある行為が犯罪になるかどうかの議論と
「もし犯罪だとした時に」刑事手続にのせることが可能かどうかの議論は
全く別だということなのです。
別なものが矛盾する訳がありません。
>刑法より皇室典範が上位であることになります。
なりません。
よって
>皇室典範が上位であるということはどこかに書かれているので
>しょうか?
前提が誤った質問です。
仮に問題が正しいとしても
>憲法と皇室典範にはそれらしき文はなかったと思うの
>ですが...
というのは疑問を持つ根拠になっていません。
効力について何も書かれていない時に
・後法は前法に優先する
・特別法は一般法に優先する
というのは法解釈学における常識であり前提です。
・上位規範は下位規範に優先する
というのも国内法に限り同様。
余談だけど某ネットにこんな長いの書いていいのかい?(笑)
At Mon, 02 Feb 2004 22:25:42 +0900,
in the message, <20040202...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>「商用禁止の利用」にひっかかると問題視する読者はいると思いますよ。
便乗して確認をしますが、「商用利用の禁止」と言うのは、fj「で」商売をす
るのを禁止するのみならず、fj以外で行っている商売に関して質問したりする
ことまで含むんでしょうか?
--
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wat...@yahoo.co.jp
In article <c029ca$pdq$1...@nntp.tiki.ne.jp>,
solsys <sol...@bu.iij4u.or.jp> wrote:
>素人質問なのですが、上を読むと、刑法と皇室典範に矛盾がある
>ように思えます。
詳しいことは佐々木さんが書かれた<20040207...@nn.iij4u.or.jp>を
見ていただくことにして…
一般に異なる法律で矛盾するように見える
条項が存在するケースはいくらでもありまして、その場合
「特別法は一般法を破る」「後法は前法を破る」
という原則があります。
・賭博は刑法の処罰対象だが、特別法によって公営ギャンブルはOK
・富くじ販売は刑法の処罰対象だが、ジャンボ宝くじやロト6などは特別法に
よって許可されている
・堕胎、同意堕胎は犯罪だが、優生保護法に従えばOK
…等。
>その状態で訴追されない根拠を皇室典範に求め
>るということは、刑法より皇室典範が上位であることになります。
「訴追」というのは、刑事訴訟に乗せることを言いますから、
刑法じゃなくて刑事訴訟法の問題です。
つまり「犯罪を犯していても犯罪扱いされない」んじゃなくて
「犯罪を犯していても天皇という地位にある限り刑事手続にかけられない」
これは法解釈としてはかなり意味の違うことなんです。
もしかしてfj.sci.lawネタかな…とも思いつつ、
私の主張を裏付ける文献も見つけられていないんで、ちょっと様子見。
(芦部先生の概説書には何も書いていなかった…)
In article <20040206...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:
>もともと天皇が訴追されないことの根拠は
>皇室典範21条が
>摂政について「その在任中訴追されない。」と定めており
>「摂政ですら訴追されない。いわんや天皇をや。」
>という解釈に求められております。
私は皇室典範21条が無いとしても同じ結論になるんじゃないかと
考えているんですが、どうでしょう?
天皇の民事裁判権に関する平成元年11月20日最高裁判決はつまるところ
「日本国憲法で日本国、日本国民統合の象徴と定めている人物を
日本国憲法下で定められた司法機関の裁判権に服させることはできない」
と言っていると思うのです。
そうであれば、これは刑事裁判権についても同じ説明が可能じゃないかと。
SASAKI Masato wrote:
> 佐々木将人@函館 です。
>
> まあせっかくですからさらに解説しましょう。
> .....
解説ありがとうございました。よく分かりました。m(_ _)m
>「商用禁止の利用」にひっかかると問題視する読者はいると思いますよ。
ここまで気がまわるのならば、質問者の質問にもっと的確に
答えられるのではないだろうか。ぼそっ.
>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2004/02/08 07:40:27 JST
>Message-ID:<c03pbg$5hu$2...@newsl.dti.ne.jp>
>
>もしかしてfj.sci.lawネタかな…とも思いつつ、
私もそう思うので
fj.sci.lawにクロスポストした上
フォロー先をfj.sci.lawに限定しています。
>私は皇室典範21条が無いとしても同じ結論になるんじゃないかと
>考えているんですが、どうでしょう?
その可能性はあると思います。
>天皇の民事裁判権に関する平成元年11月20日最高裁判決はつまるところ
>「日本国憲法で日本国、日本国民統合の象徴と定めている人物を
> 日本国憲法下で定められた司法機関の裁判権に服させることはできない」
>と言っていると思うのです。
この判例はあまり細かく書いていないので
2つの解釈が可能だと思います。
1つは
>そうであれば、これは刑事裁判権についても同じ説明が可能じゃないかと。
というもので、
特に皇室典範の規定がなくとも同じことが言えるので……とするもの。
ただもう一方で上記判例は平成元年のものですが
それ以前から皇室典範の摂政の規定につき
「いわんやおや」の解釈は主張されていたところなので
平成元年の最高裁判決はその通説に依拠した上で
それが民事裁判権に拡張される根拠として
上記のとおり述べたにすぎず
もし皇室典範の規定がなかったり
「いわんやおや」の解釈を否定している場合にまで
類推することはできない
(この場合「なくても一緒」とまでは言えない)
とする考え方も十分に成立し得ると思います。
万が一わからない人がいるとあれなんで……。
>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2004/02/08 07:40:22 JST
>Message-ID:<c03pbb$5hu$1...@newsl.dti.ne.jp>
>
>つまり「犯罪を犯していても犯罪扱いされない」んじゃなくて
>「犯罪を犯していても天皇という地位にある限り刑事手続にかけられない」
>これは法解釈としてはかなり意味の違うことなんです。
もともと犯罪という言葉に対して
法律学上の定義とは別に
日常語として何らかの定義が与えられているかもしれませんが
(もっとも私自身は日常語としても犯罪というのは
刑事法によって処罰の対象となるものを指すのであって
そうでないものを犯罪と言うのはかなり特殊な用法だと
思っているところでありますが……。)
法律学上の用語としては刑事法で定めのあるもの
言い換えれば構成要件として定まっているものが犯罪なのですし
fj.soc.lawでも特に限定がなければその用法になると思います。
その上で
「内閣の助言と承認の下に天皇として行った行為が構成要件に該当する」
場合には
「法令上の行為」「正当業務行為」にあたる可能性がありますが
そうでなければ
(例えば天皇が個人の恨みつらみから
誰かを殺害するにいたった場合ですな)
たいていは
「構成要件に該当」して「違法性阻却事由もなく」
「責任も認められる」ことにより
犯罪となるんだけど
皇室典範の規定等から
「刑事手続」にかけられないということな訳です。
犯罪になるけど刑事手続にかけられないものとして
日本駐在の外国の外交官が犯罪を犯した場合があります。
At Fri, 06 Feb 2004 20:33:08 +0900,
in the message, <20040206...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>法律の解釈の話だから
>「的確」とか「まとも」というのは
>「法解釈学の世界で通説判例と評価されている説に基づいている」
>ということを意味していると置けますよね。
>(そういう意味でないなら、
> 言語感覚を再検討すべきです。)
fj.sci.lawでないことを考慮に入れるとしても、判例通説ではなくても法理論
的に十分成立つものまで含めてもいいと思いますけど
(判例通説と言えるものがない場合など特に。)。
判例通説でないからと言って「まともでない」とは言わないでしょ?
(「交付契約説はまともで創造説はまともでない」などと言ったら、そっちの
方が言語感覚がおかしい。)
>「自分ではやらないけど他者からおいしい答だけいただこう」
>という依存の姿勢が見え見え。
>……そういう人には確かにfjは合わないわ……。
> (にもかかわらずなぜ読み続けるかは正直なところ謎。)
いや、「だから読み続けていても主体的に議論する投稿はしないのだ」ですん
なり理解できます。
「おいしい答えをいただこう」だから「読み続ける」けど、「自分ではやらな
い」から「主体的に議論する投稿はしない」と。
つまり、「教えて君」と同類。
ただ「教えて君」はfjでは冷遇されるから、質問する程度の積極性すらも排除
してひたすら読者専門に徹しているだけ。
「参加して主体的に議論する」という点ではfjには「合わない」かも知れない
けれど、いわゆるROM化している分には「依存の姿勢」であるとしても、fjに
合う合わないは問題にならない。
# そういう生き方もまた人それぞれ。
日本評論社の「特定商取引方ハンドブック」P.27によれば、指定商品・権利・
役務とは国民の日常生活に係る取引に置いて販売・提供されるものを言い、
「一般的に消費者が日常生活の中で行う取引は、専ら事業活動に用いるものを
除き、すべてこれに含まれうる」。
# 88年改正で定義規定がそう変ったと書いてあるのだけど、その定義規定とや
らが条文のどこにあるのかが解らないのが一般向け解説書の嫌なところ。
全部読めば解るのかも知れんが、あんな分厚い物読んでられるか。
で、「広告掲載契約」というのは、「一般的に消費者が日常生活で行う取引」
なんですかね?
At Fri, 06 Feb 2004 21:15:59 +0900,
in the message, <4023857F...@dd.iij4u.or.jp>,
"Shibuya, Nobuhiro" <shi...@dd.iij4u.or.jp> wrote
>> ・「天皇は人間ではない」
(中略)
>> どんな人:一般人
>> 自信: あり
>> 良回答(10pt)
>
>自己に対する判断がすごいやね。
>10ptと採点する主体もすごいです。
# 「主体」とは誰?
何点満点なんだろう?
100点満点で10点なら……、やっぱりどうかしてる。
0点しか考えられないや。
……と言うか元々が単なるジョークで、それをジョークとして採点すると
10ptってことでは?
つまり「座布団1枚」と言っているようなもの。
>> ・「天皇は日本に住んでいるが日本人ではない」
(中略)
>> 種類:アドバイス
>> どんな人:経験者
>> 自信: あり
>
>いったいどんな経験に裏打ちされた自信なんだか…
やっぱり天皇経験者?:-P
>> ・「天皇は最高権力者。最高権力者のやることは犯罪にならない」
>
>> 種類:回答
>> どんな人:一般人
>> 自信: あり
>
>他者からは一般人だとみなされないだろうなあ…
単に「特別な地位、身分の人間でない」という意味の「一般人」なんでしょ
う
(非常識な一般人であると。
つまり単に常識人でないだけ……。
一般人は常識人だと思ったら、大間違いだぜ。)。
# やっぱりジョークとしか思えないな。
ところで「回答」と「アドバイス」と何が違うの?
的確じゃないし、嘘を平気で吹聴しているという点では「親切」とも言いたく
ないですね。
# 確かに「嘘かほんとか」は「親切」かどうかとは無関係ではあるけど。
>例えば、既に締め切られている「天皇が犯罪を犯したら?」にしても、
>結論はいちおう正しい(裁かれることはない)ですけど、
どうですかねぇ?
# 民事は、判例がありますが刑事にはありません。
通説的には、無答責というのは確かですが、これとてその根拠は色々考えら
れるし、まして「通説以外は正しくない」というものではない以上、例えば
杉原先生の見解からは「刑事責任を負う」という結論だって導けます。
ここで私が言いたいのは、どれか一つ正解があってそれ以外は正解ではない
かのような発想をしてしまってはいけないということ。
今の学校教育の弊害だろうけど。
法律は道具だから最終的にはどれか一つの結論及び理由を選択しなければな
らないけれど、それはあくまでも裁判所がその説を選択したというだけのこ
とであって、それ以外は「正しくない」というものではありません。
「判例通説でない」ということを「正しくない」と同義に考えるのは、短絡
です。
重要なのは、いろいろな考え方があり得ることを理解した上で、判例通説の
線を押さえ、それ以外の説の言い分も理解して、最終的に自分がどう考え
るかを決めること。
それができない限り、「ハウツーものの知識」の領域を出ません。
民事については、判例上は民事裁判権が及ばないことになっていますから訴訟
要件を欠くものとして訴え却下になります(*1)。
なお、原審たる東京高裁の判断では観念的には民事責任は生じ得ます。
憲法学説上は民事責任を認めるのが通説、と言っていいでしょう。
民事訴訟法上の通説では、民事裁判権も認めています
(この辺の理由付けは、多く、「否定する理由がないから」っていう極めて消
極的な理由付けであるわけだが……。
まあ、確かに例外扱する理由がないなら「原則通り」でいいわけなんだけ
ど。)。
(*1)
ただし、最判平成元年11月20日は、訴「状」を却下すべきものとしている。
その根拠は不明。
強いて言えば、明らかに訴えが不適法だからということだろうか。
その上で、本件において訴え却下した一審判決を維持した原審は「違法として
破棄するまでもない」と言っている。
が、そもそも、訴状を却下すべき場合に却下しなかったとしても、訴状の送達
により訴訟係属が生じればもはや命令で却下はできず判決で却下しなければな
らないと考えるべきであるから原審は正当である。
原審の却下判決を(本来)違法とする最高の判断の方がむしろ理論的に理由が
解らない。
……まさか、送達していないのか?
しかしそれなら、係属しないからそもそも却下判決が出るわけがないと思うの
だが……
(ところでどこに送達したんだろう?
公示送達とは思えないし。)。
# 思うに、裁判権を否定して訴状却下という結論にしたのは、天皇制反対とい
う政治的な理由で天皇相手の訴訟を乱発されるのを防ぐというこれまた政治
的配慮があったんじゃないかと。
まあ、裁判所がやるべきことだとは思えないし理論的にも問題だからおおっ
ぴらには言えないだろうけど、配慮自体は理解できないこともない。
刑事については、そういう心配はしなくていいと思うけど。
ちなみに、天皇が原告となることはできるのだろうか?
外交特権のように特定事件について原告となった場合に免除を放棄したこと
になるかということ。
多分ならないと思う。
とすれば、すなわち天皇の裁判を受ける権利は民事に関しては保障されな
いってことにはなります。
一方、刑事については判例はありませんが学説上は無答責というのがおそらく
通説。
そしてこの意味は、(1)裁判権がないからなのか(2)訴追を認めないだけ(以
下、不訴追特権と呼ぶ。)なのか(3)そもそも犯罪自体が成立しない(以下、
免責特権と呼ぶ。)のかは検討の余地ありだと思います
訴追されない結果として無責任という記述もあるのでその場合は、裁判権の問
題か単に不訴追特権があるだけのどちらかであるが、いずれにしろ犯罪自体は
成立するということでしょう。
なお、法律学小辞典は、裁判権が及ばないとしています。
ちなみに、不訴追特権があるだけなのか免責特権があるのかによって、もし実
際に起訴したとしたら公訴棄却の判決になるか無罪判決になるかの違いが理論
上は生じることになります。
もっとも、天皇の構成要件該当行為について一般に免責を認め犯罪不成立とす
るのならば、天皇を被告人とする起訴状の記載は「何らの罪となるべき事実を
包含していない」ものとして公訴棄却の決定となるかも知れません。
……と言うか、民事での訴状却下にはこれが一番近いので、ありそうな気がし
ます。
この点伊藤先生は、「刑事責任については、……少なくとも天皇は象徴として
の地位を保有する間は訴追されない……かりに退位を認めるときにも退位前の
行為については刑事責任を追及されることはない……」と述べています。
これは、免責特権を認め犯罪の成立自体を否定していると「も」読めます。
# 不訴追特権と裁判権がないこととは一応別のもの。
例えば、国務大臣について内閣総理大臣の同意なき起訴をした場合、公訴棄
却の判決の根拠は刑訴法338条4号。
裁判権がないならば1号になるし、同意があれば途端に裁判権が生じて起訴
ができるというのは理論的に無理があると思う。
……外交特権って不訴追特権とか免責特権とかではなくて裁判権免除(と言
うのもなんか変な言葉ではあるが。)だよな……。
>・「天皇は人間ではない」
>…これは論外に誤りでしょ?
右翼の人じゃないの?(^^;
人間ではなくて現人神なんでしょう。
>・「天皇は日本に住んでいるが日本人ではない」
>…日本人って言い方からして法律の概念じゃないと思うんですが、
まあ、日本人が日本国籍を有する人という意味なら、一応判例では「天皇とい
えども日本国籍を有する自然人の一人(上掲最判の原審。)」なので日本人で
すな。
単に血統上日本人とかいうことならやっぱり日本人ですわな。
でもそれは、法的根拠にはならない。
>・「天皇は最高権力者。最高権力者のやることは犯罪にならない」
右翼の人じゃない?(^^;
きっと「統帥権の総攬者」なのでしょう。
>・「民法・刑法は天皇はそんなことをするはずがないという前提できている」
このくらいなら「理由になってないしそれ自体にも根拠がないけど必ずしも誤
りとは言えない」だけ「論外に誤り」よりはマシかも知れません
(でもまあ全く根拠ねぇからなぁ……。)。
……ああ、刑法はともかく民法の方は判例通説的には反してますね。
学説上は民事責任を認める方がおそらく通説なのは上でも触れたけど、上掲最
判の原審も裁判権はないとしつつ「天皇といえども……私法上の行為をなすこ
とがあり、その効力は民法その他の実体私法の定めるところに従うことにな
る」と述べているので、民法は天皇の私法上の行為に適用されます。
ってことは、判例通説では少なくとも民法については天皇は適用範囲外とは考
えていないということになります。
>…と続くのですが…(ため息が出ている人も多いと見た)
元々たかが知れていると思っているのでまるで期待してないから溜息は出ない
が、呆れて開いた口が塞がらない……。
あるいは、ある意味予想通りで苦笑い……。
# 半分くらいは予想できるところではある。
正直言って私の知る限りネット上で一番まともな法律議論ができているのは
fj.*.lawだ。
無論変な投稿もいっぱいあるが、余所は大概変な投稿だけで終っている。
>これ、天皇は日本国の象徴、日本国民統合の象徴であることから、
>日本国の裁判権に服させられない(つまり手続法の問題)ってことですよね。
上記伊藤先生の見解は、免責特権を認めていると「も」読めるわけですが、な
らば実体法の問題だと思います。
「国会議員の免責特権」
(これは前の方で定義した「免責特権」とひとまず区別する趣旨。)
は手続法上の問題ではないだろう(*2)。
これが、単に手続法上の問題ならば、退位を認めた場合に在位中の犯罪となる
べき行為について訴追の可能性があるはずです(*3)。
しかし伊藤先生は退位後の訴追も認めない見解であり、これは単なる不訴追特
権ではなく免責特権と考えているからとも言えます(*4)。
でないと理論的根拠なさ過ぎ。
つまり、実体法上犯罪とならないと考えることもできます
(そうだとすれば、仮に起訴しても「無罪」となる。)。
この場合の、免責特権の法的性質は……、違法性阻却事由ではないんじゃない
のかという気がする。
とすれば、国会議員の免責特権とは性質が違う可能性もある
(なお、個人的には免責特権ではなくて不訴追特権か裁判権なしでいいん
じゃないの?とは思いますが。
退位後にも無答責とする必要はあるまい。)。
ちなみに、摂政(あるいは国事行為の臨時代行者たる皇族)は「在任中訴追さ
れない」だけで退任後の訴追は認めている(皇室典範21条、国事行為臨時代行
法6条)ので犯罪は成立することが前提で単なる不訴追特権でしかなく手続上
の問題です。
(*2)
もっとも、東京地判昭和37年1月22日は、「訴訟障碍」という表現を使ってお
り、「国会議員の免責特権」は一種の手続規定と捉えている様子。
なお、判決は無罪だったが、これはそもそも立証が不充分だったとか実質的違
法性を欠いたとかいう理由であって、当該行為が「国会議員の免責特権」の範
囲内かどうかの判断は不明。
一方、民事が問題となった札幌高裁平成6年3月15日は、違法性を問題にしてい
るのでこちらは間違いなく実体法上の問題。
もっとも、免「責」と言うからには本来は、違法だけど責任がないではないの
かねぇ。
刑法みたいに違法は客観、責任は主観ということを言わないからどちらでもい
いといえばいいのだけど、同じことを非議員がやれば違法になるわけで、人で
変るのは責任じゃないのか?という気はする。
もっとも、議員というのは単なる身分であって「その人」という個性の問題と
は別であるし(いわば違法身分。)、院外でやればやはり責任を負うので、そ
の意味では状況によって決る問題だから違法性の問題でいいのかも知れない。
(*3)
「国会議員の免責特権」の場合は在職中の該当行為について退職後に責任追及
を認めることはできない。
将来に渡って無答責としないと51条の趣旨は貫徹できないから。
だからこそ、免「責」特権なのではないか、つまり、「国会議員の免責特権」
も含めて免責特権は犯罪成立阻却事由と考える方が理論的にはすっきりするの
ではないかと考えるもの。
(*4)
退位後の行為については述べていないが、こちらは責任を問えそうな雰囲気。
即位前の行為の責任を退位後に問えるかという点もおそらく肯定するんじゃな
いかな。
在位中時効が停止するのかどうかは疑問だけど。
>上記の回答の中に、そのことをきちんと説明したものが1つも無かった時点で
>(「刑法」「民法」と実体法の名前しか出てこないあたりがねぇ)
って言うか、佐々木さんも述べているとおり最低でも皇室典範21条を出せ
よ、って感じですね
(ただし、皇室典範21条は根拠にならないとする説もあります。後述。)。
それと上掲最判を見れば、種々の点で間違いだらけなのはすぐ判ります。
以下参考。
杉原先生は、有斐閣法学叢書7「憲法II統治の機構」P508で、
「刑事責任については、皇室典範二一条が……と規定している。この規定や75
条から、天皇も在任中は訴追されないと類推する有力な見解がある。しか
~~~~~~~~~(すずき註。)
し、賛成しがたい。不訴追特権は、……憲法上の明確な根拠を要する。天皇
が象徴であるということは、天皇が象徴として機能しうる状態におかれなけ
ればならないという要請も含まれていると解することによって、不訴追特権
はかろうじて可能となると解される(象徴と刑事訴追が両立しないことは、
実体的に象徴と犯罪が両立しないことを意味し、この点からも生前譲位の制
度の創設や皇室典範16条2項の活用が必要となる)。」
と述べています。
これは、
皇室典範21条は天皇「不訴追」の根拠とならない。
天皇不訴追の根拠は天皇の象徴性に求めることしかできない。
と言っているわけですが、後ろの方の()内の記述からは、
象徴としての機能を果たすことの担保として訴追を受けない。
訴追を受けるような犯罪を犯した天皇は、象徴にふさわしくないものとして
退位させることができるようにするかまたは皇室典範16条2項の「重大な事
故」に当るものとして摂政を置くべきである。
退位の場合は無論、退位しなくても摂政を置くことによって「象徴としての
機能は摂政が代行する」状態にすれば天皇を訴追しても象徴としての機能を
害することはない。
つまり、天皇不訴追の根拠を欠くことになるから、天皇の訴追自体が可能と
なる。
という趣旨を含んでいるように読めます(*5)。
とすれば、天皇であっても刑事訴追を受ける可能性はあるというのは理論的に
は成立ちます。
そもそも摂政の不訴追特権自体、
「摂政に重大なる事故ある場合は、更迭できるのであるから、摂政が訴追さる
べき重大な事故を起こした場合、当然摂政更迭が行われ……、新摂政が就任
し、……国務渋滞の心配がなくなったのであるから、前摂政に対して訴追が
行われることになる。」(日本評論社「別冊法セミ 基本法コンメンタール
憲法[第三版]」P.24三段目)
と指摘のあるところです。
ちなみに、その後に、
「摂政訴追禁止の意味は右のようなものに過ぎないからこの規定(皇室典範21
条のこと。すずき註。)から天皇の刑事無責任を類推することは(……)到
底不可能であろう。」
と続きます。
つまり、
摂政と言えども更迭により実質的には訴追を受けることになる。
ならば、皇室典範21条は、実質において摂政不訴追を保障する役にはほとん
ど立たない。
そのような規定を根拠に天皇が刑事無答責と言うのは、無理がある。
ということ。
しかし、そうだとすれば、天皇の刑事無答責は単なる不訴追特権に止まらない
ということが前提になるのではないかと思いますが。
単なる不訴追特権ならば、摂政の不訴追特権としょせん同程度の不訴追特権し
かないと考えれば、別に「無理」ではないですから。
ただし、「実質的に無答責でない」ことになりますけど。
(*5)
いや、実際には含んでいないだろう。
単に、訴追を受けるような犯罪に当る行為を犯した天皇は象徴たる地位にふさ
わしくないから退位させられるようにするかそうでないなら摂政を置いて事実
上退位したと同然の処遇をすべきだ、と言っているだけでその後で訴追できる
かどうかは論じていないというのが本当のところだと思います。
だけども、そうであっても、訴追の可否に言及していないだけです。
杉原先生のように訴追の可否を象徴性から導く以上、法律上ないし事実上象徴
でなくなることにより理論的には訴追可能という結論を導くことはできます。
むろん、象徴性を根拠にしたとしても、
摂政を置いて国事行為を行わなくなってもなお象徴であることに変りはない。
象徴としての機能を果たすかどうかと象徴であるかどうかは必ずしも同じでは
なく、仮令象徴としての機能を果たしえなくなってもなお天皇である限り象徴
であることに変りはなく、刑事訴追は受けない。
と言うこともまた可能。
決して「余事」ではないでしょう。あなたの考えの方が正当だと思うし、深く考えて
いると思う。表面には現れていないにしても。
ただ、S氏は「実務レベルでの法律問題を質問されたときに答えるもの」ということ
で意見を述べられたのであろう。たしかに、一般的に見てもそういう場合がありうる
であろう。
しかし、そのような「法律実務状況を尋ねる場」としてfj.soc.politicsを利用する
こと自体が誤り。その誤った問題提起に「ありうる」事にして答えた答えも誤りで、
いわば二重の誤り。
--
みんなのけんちゃんですた。
失礼!politicsではなく、lawでした。
At Thu, 12 Feb 2004 03:33:39 +0900,
in the message, <402a7583.7127%szk_wat...@yahoo.co.jp>,
SUZUKI Wataru <szk_wat...@yahoo.co.jp> wrote
|ただし、「実質的に無答責でない」ことになりますけど。
ただし、「実質的に無答責でない」ことにもなり「得」ますけど。
# その理由は上記引用部分の後に書いてあるとおり。
まるでグループに関係のない投稿をして喜んでる
佐々木将人@函館の投稿なんかがいい例ですね
鋭い指摘です。一般に、このS氏はご自分をなにかfj.soc.lawの申し子のような妄想
のとりこになっていると思う。
そもそも、ここはニュースグループであることを忘れている。解説してあげる、とか
よく口に出すが、そのようなことはニュースグループの必須の要請でもないし、余計
な思惑が入り込んでいる。仮にそれを求める者があっても、それに対する解説は自己
の<一考え>を述べるにすぎず、そのことを完全に忘れた投稿が目に付く。ある者に
その個人固有の質問を受け、言葉どおりに、個人が望む固有の解説をすると言うのな
らば、それはメールでやるべき。
それと、よく、「lawとは関係ない」とか言ってクレームをつけるが、ご自分ほど無
関係な話を大量に語る投稿者も少ないのではないか。ただそれがまとまった形で「無
関係」にはしていないだけ。確かにS氏は<かさぶた知識>ではあるが豊富な方だと
は思う。それでよく(よけいな)解説?はしてくれている方だとも思う。ところが、
その解説?のさなかにニュースグループ違反の無関係な話を割り込ませて誤魔化す事
が誰よりも多い。むしろそんな紛らわしい誤魔化しをするよりは、まとめて無関係な
ジョーク(ブラックを含め)やってくれたほうが自然であろう。(笑い)息が詰まる
こともあるしね。(大笑い)
ニュースグループと言う観点からは、自己の述べる考えは原則として<一個人の意見
・考え>であるとする所から出発し、ある考えの紹介であるならばそれが引用である
ことを明確にする、という手法が望まれる。引用か自分の一考えに過ぎないかをごっ
ちゃ混ぜにしているやり方は迷惑千万であるだけでなく有害だ。
少々長くなるが、最後に最もS氏の投稿がニュースグループ的で無い点を指摘しよ
う。氏は用語の使い方がより法律的であればあるほどlawにふさわしい、とするよう
である。しかし、ぼくはそうは思わない。参加者の中には法律専門用語などすぐには
出て来ず、あるいは既に忘れてしまっている者も居るであろう。そういう場合でも、
S氏よりも遥かに優れた法的センスで考えを述べられる投稿者もいたし今もいるであ
ろう。私見によれば部分部分であってもこれらが見て取れ、あるいは正確な理論をま
とっては居らずとも価値の軽重判断に長けた投稿は、やたら専門用語で綴ってはいて
も視点や発想あるいはセンス等の欠落した投稿などよりは遥かに law 的で有る。法
を論ずることは<言葉いじり>ではない。
このことを知らないと、思いもよらない勇み足をしてしまう。嘗て語られた「民主主
義と違憲立法審査権」の問題で、自分の立てた民主主義概念に破綻をきたしてしま
い、どうやって繕うかかを見ていたら、内容が少しも変わっていないのに「ことば」
変えれば筋が通るだろうとするなどの例はその最たるもので、それこそ非law的であ
りド素人的である。そして都合が悪くなるとす解説者?が逃げてしまう。程度を著し
く下げるものとなっている。(注)ニュースグループの投稿には専門用語性などより
はもっと大事なものがある。それは<ひたむきな姿勢>に他ならない。
(注)渋谷先生・堀部先生の書物も読まれたし。学生向けのものでさえ、
S氏程度では終わっていないことを確認されたし。文句がおありな
らいつでも対応してあげます(笑い)。
--
みんなのケンちゃん