都筑道夫さんが亡くなられて、2ヶ月余り過ぎてしまいました。
この人から私が受けた印象は「凝」の一言です。
どの作品も、息詰まる程きっちりと書き込まれていました。
ところで、以前からひとつふたつ気になっていたことがあります。
私は「なめくじ長屋捕物さわぎ」シリーズの光文社版を持っているのですが、
その最初の「ときめき砂絵」の解説では「血みどろ砂絵」の "よろいの渡し"
(雑誌掲載時は "人喰い船" )が第一作だと書かれています。
ですがこの光文社版では、新しい作品から後戻りする形で、段々古くなってい
ます。
「血みどろ...」を最初に読んでいないので、身分制度やセンセー達の境遇をよく
知らないままずっと来ました。 で、「血みどろ...」を読んだ時は少々面食らい
ました。 どうして発表順に発売されなかったのでしょうか。
もうひとつ。
都筑氏といえば話題になるのが佐野洋氏との「名探偵論争」。
ですが私はこの経緯をよく知りません。
都筑氏は "名探偵" を必要としていた、そしてシリーズ物を認めていた。
佐野氏は反対だった、で良いのでしょうか(大雑把ですが)。
この論争は結局どういうふうに落ち着いたのでしょうか。
事情に詳しい方、教えていただけますか。
話は若干変わりますが、現代の推理小説は(名)探偵が必ずといっていい程出て
きますね。 そして出版社の意向かどうかわかりませんが、大抵シリーズ化
していき、2作3作と続いていく。。。
都筑氏の望んだ通り、と言っていいのかな?
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メメン党のモリ
メメン党のモリ wrote:
> 私は「なめくじ長屋捕物さわぎ」シリーズの光文社版を持っているのですが、
> その最初の「ときめき砂絵」の解説では「血みどろ砂絵」の "よろいの渡し"
> (雑誌掲載時は "人喰い船" )が第一作だと書かれています。
> ですがこの光文社版では、新しい作品から後戻りする形で、段々古くなってい
> ます。
> 「血みどろ...」を最初に読んでいないので、身分制度やセンセー達の境遇をよく
> 知らないままずっと来ました。 で、「血みどろ...」を読んだ時は少々面食らい
> ました。 どうして発表順に発売されなかったのでしょうか。
このシリーズは昔は角川文庫(その前は桃源社)で出ていて、光文社
文庫版は角川文庫に入っていなかった分からスタートしたのです。
ただ、角川文庫から光文社文庫に移行した分も順番が逆なんですね。
この辺の理由はよく分かりません。
それはともかくとして、古本屋でも図書館でも良いから、是非、昔の
角川文庫版(あるいは桃源社版)を探してみて下さい。山藤章二氏に
よるイラストが絶妙なんですよ。
> 都筑氏といえば話題になるのが佐野洋氏との「名探偵論争」。
> ですが私はこの経緯をよく知りません。
> 都筑氏は "名探偵" を必要としていた、そしてシリーズ物を認めていた。
> 佐野氏は反対だった、で良いのでしょうか(大雑把ですが)。
まあ、大雑把に言えばそういう事です。
背景として、松本清張らによる社会派推理小説の流行以降、「名探偵」
が活躍するタイプの探偵小説は時代遅れであるかのような風潮が有り、
都筑氏の『黄色い部屋はいかに改装されたか』はそのような風潮の中
において書かれたものであるわけです。
> この論争は結局どういうふうに落ち着いたのでしょうか。
明確な決着が着いたわけではありません。
都筑氏も佐野氏も自作でそれぞれの主張に沿った創作を行ったわけで。
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吐普加美◇久留賢治 ◆hisa...@aecl.ntt.co.jp ◇寒言神尊
依身多女◆HISADOME KENJI◇hisa...@lares.dti.ne.jp ◆利根陀見
"HISADOME, KENJI" <hisa...@lares.dti.ne.jp> wrote in message news:401CEBDE...@lares.dti.ne.jp...
> このシリーズは昔は角川文庫(その前は桃源社)で出ていて、光文社
> 文庫版は角川文庫に入っていなかった分からスタートしたのです。
> ただ、角川文庫から光文社文庫に移行した分も順番が逆なんですね。
> この辺の理由はよく分かりません。
出版社の意向ってことでしょうかね。 よくわかりませんが。
> それはともかくとして、古本屋でも図書館でも良いから、是非、昔の
> 角川文庫版(あるいは桃源社版)を探してみて下さい。山藤章二氏に
> よるイラストが絶妙なんですよ。
そうなのですか、それはぜひ見てみたいものです。
図書館も古本屋もどちらも探してみます。
> 背景として、松本清張らによる社会派推理小説の流行以降、「名探偵」
> が活躍するタイプの探偵小説は時代遅れであるかのような風潮が有り、
> 都筑氏の『黄色い部屋はいかに改装されたか』はそのような風潮の中
> において書かれたものであるわけです。
新本格の先陣、綾辻行人氏の一作も、この風潮に逆らってでしょうね。
> > この論争は結局どういうふうに落ち着いたのでしょうか。
> 明確な決着が着いたわけではありません。
> 都筑氏も佐野氏も自作でそれぞれの主張に沿った創作を行ったわけで。
それぞれ自分の信じる道を進んだわけなのですね。
よくわかりました、ありがとうございました。<(_ _)>
(私は佐野氏では「密会の宿シリーズ」が好きなんですが、氏にとっては余り
歓迎できないことかもしれませんね)
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メメン党のモリ
メメン党のモリ wrote:
>>背景として、松本清張らによる社会派推理小説の流行以降、「名探偵」
>>が活躍するタイプの探偵小説は時代遅れであるかのような風潮が有り、
>>都筑氏の『黄色い部屋はいかに改装されたか』はそのような風潮の中
>>において書かれたものであるわけです。
>
>
> 新本格の先陣、綾辻行人氏の一作も、この風潮に逆らってでしょうね。
私の印象では、綾辻行人が登場した頃(昭和末期)には、もうそんな
風潮は薄れていたと思います。
既に、「幻影城」系の方々や島田荘司らの活躍が有りましたから…