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落城

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no one

未読、
2003/09/09 13:11:292003/09/09
To:
落城

爺「姫! さ、早う。
  城の守備大将、加藤殿は今朝最後の250人の兵と共に城外へ打って出て討ち死
に。
  敵はもう城門まで迫っております。
  敵方の火矢にて方々から火の手があがっております。
  早う、早う。」

姫「爺、待ちや。
  化粧ののりがいまいちなのじゃ。」

爺「姫! 何を言っておられます。
  急がねば退路をも断たれまする。」

姫「爺、お前は落城と化粧ののりとどちらが大事と心得る!」

爺「そ、それは落城では?」

姫「痴れ者! もちと常識をわきまえよ。
  呆れたものだわ。」

爺「すでに母君は敵に捕らえられたとか。」

姫「なに、母君が。
  よ、よ、よ・・・」

爺「さすればお急ぎを。」

姫「何を申す。
  お前は化粧ののりを何と心得る!」

爺(くっそう、馬鹿娘が。
  手も足もつけられんわい。
  ここは如何にすべきや・・・
  そうだ! こいつは置いて逃げ、敵方に渡せば
  敵方も手をやいて手こずり足手まといとなる。
  そうだ、それが良い。
  ふ、ふ、ふ。我ながら悪魔的な名案だわ。
  よし、いくぞ!)

爺「姫! さらば。」 と言うつもりが
 「姫! 爺は最後まで姫をお守りいたしますぞ。」

爺(な、何ということを喋るんじゃ、わしは。
  くっそう、長い間の奉公生活で口がすっかりサラリーマンになっておる。)

姫「当たり前じゃ。何を申しておる。」

爺(よし! 何も言わず逃げ去る。
  この手だ。)

姫! さらば、と逃げるつもりが
姫の足下にひざまずく。

爺(な、何をするんじゃ、わしは。
  くっそう、長い間の奉公生活で足がすっかりサラリーマンになっておる。)

姫「よしよし、今しばらく待ちや。
  白粉ののりが今いちなのじゃ。」

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