高校生の知り合いに聞かれたことなのですが答えに窮しました。
細胞膜の性質について質問させてください。
教科書や参考書を見ますと、選択(的)透過性と能動輸送について
次の2通りの記述が見られます。
(1).選択(的)透過性の1つの原因として能動輸送がある。
輸送も透過性の一種と考えるということか?
(2).選択(的)透過性と能動輸送が併記してある。
エネルギーが必要か否かで分けるということか?
これは「選択(的)透過性」という言葉を広義か狭義かで捉える違いと
言ってしまえばそれまでかもしれませんが、
「選択透過性について○○文字以内で説明せよ」などの
問題の場合、能動輸送を説明に加えるか加えないかでは
大きな違いが生じると思います。
専門家の間ではどのように使うのが普通なのでしょうか?
また指導要領ではどちらの意味で使うようになっているのでしょうか?
何卒ご教示をよろしくお願いします。
#2年前の投稿ですので、質問者は既に見ていないでしょうが・・・
#古い記事なので、全文引用します。
"Sakurai" <sat...@sakura.email.ne.jp> wrote in message
news:3ecb9b65$0$3101$44c9...@news2.asahi-net.or.jp...
指導要領については知らないので書けません。
選択透過性ってなに?という問題ならば、溶質の違いによって
透過性が異なる性質という単純な概念です。ただ、について
説明せよとなると、溶質の透過を担うメカニズムに触れないわ
けにはいきませんね。その一つに能動輸送があると考えて
下さい。ただ、能動輸送はエネルギー依存なので、透過性の
測定方法によっては関係しなかったり、関係したりするので
単純に、広義か狭義かという関係ではありません。選択透過
性と能動輸送は、関係はあるけれど、生体膜の異なる性質
についての概念だとするのが妥当でしょう。
蛇足ですが、生体膜の溶質の透過のメカニズムには、能動
輸送(ポンプを介した輸送)の他、チャンネルを介した輸送、
トランスポーターを介した輸送があります。
> 選択透過性ってなに?という問題ならば、溶質の違いによって
> 透過性が異なる性質という単純な概念です。ただ、について
> 説明せよとなると、溶質の透過を担うメカニズムに触れないわ
> けにはいきませんね。その一つに能動輸送があると考えて
> 下さい。ただ、能動輸送はエネルギー依存なので、透過性の
> 測定方法によっては関係しなかったり、関係したりするので
> 単純に、広義か狭義かという関係ではありません。選択透過
> 性と能動輸送は、関係はあるけれど、生体膜の異なる性質
> についての概念だとするのが妥当でしょう。
ですね。
> 蛇足ですが、生体膜の溶質の透過のメカニズムには、能動
> 輸送(ポンプを介した輸送)の他、チャンネルを介した輸送、
> トランスポーターを介した輸送があります。
蛇足に蛇足ですが...
トランスポーターには、ABCトランスポーターに代表されるように、
エネルギーを必要とするものがありますので、これらは能動輸送に含
めるべきものだと思います。
--
Yoshiaki FUYAMA
fuy...@cosmos.dti2.ne.jp
#FOXP2スレッドでは大変助かりました。m(__)m
"Yoshiaki FUYAMA" <fuy...@cosmos.dti2.ne.jp> wrote in message
news:fuyamay-F3DD5A...@news.media.kyoto-u.ac.jp...
> トランスポーターには、ABCトランスポーターに代表されるように、
> エネルギーを必要とするものがありますので、これらは能動輸送に含
> めるべきものだと思います。
そうですね。
トランスポーターに関わると問題は複雑になりますが・・・(^^;;
トランスポーターを能動輸送に含めることに同意することもでき
ますが、ABCトランスポーターを理由にもってこられると、ち
ょっと考察が必要ですね。
ABCトランスポーターはご指摘のように能動輸送に含めるべき
ものもありますが、このファミリーは非常にdivergentなので、
ご指摘のポンプだけでなく、チャンネルや、輸送そのものの機能
を失ってレギュレーターとなったものまで含まれています。歴史
的にはABCトランスポーターという呼称から始まったのだと思
いますが、現状では、ファミリー全体を呼ぶ時はABCタンパク
質と呼び、個々のファミリーメンバーがポンプならば、GSX-ポン
プとか、機能の実態に沿うような呼び方をするようになってきて
いる傾向にあると思っています。
他にもエネルギー依存のトランスポーターと呼ばれるものがあり
ますね。(^^;; 用語統一を目指すのがよいと思います。
さて、トランスポーターからATPのエネルギーに依存するポン
プを除くと、シンポーター、アンチポーターの働きを能動輸送と
するかどうかということがクローズアップされてきます。
その前に、コトランスポーターをどう扱うかということがありま
すね。私はコトランスポーターと呼ばれているタンパク質の実例
をよく知っている訳ではありませんが、おそらく、シンポーター
なんでしょうね。中にはアンチポーターも含まれているかもしれ
ません。とにかくコトランスポーターはシンポーターかアンチポ
ーターのどちらかであることは間違いのないところでしょう。
シンポーターやアンチポーターの活性は、共役イオンの膜を挟
んだ濃度差が効いてきますので、電気化学ポテンシャル依存とい
うことですね。電気化学ポテンシャルはエネルギー量なんで、こ
れらのタンパク質が担う輸送は能動輸送と言っても差し支えない
でしょう。
しかし、一般的に通じる能動輸送の現在の定義はどうなんでしょ
うね。?エネルギー依存というのは、ATP依存とほぼ同義で使わ
れているのではないでしょうか?したがって、トランスポーター
による輸送は能動輸送に含めない研究者が多いのではないでしょ
うか?
> しかし、一般的に通じる能動輸送の現在の定義はどうなんでしょ
> うね。?エネルギー依存というのは、ATP依存とほぼ同義で使わ
> れているのではないでしょうか?したがって、トランスポーター
> による輸送は能動輸送に含めない研究者が多いのではないでしょ
> うか?
そうですか。私はこの分野は素人同然ですが、ABCトランスポーター
による輸送はATPを消費する能動輸送の一種であると思っていました。
高校の教科書などでは、能動輸送は「濃度勾配(あるいは電気的勾配)
に逆らった輸送」と定義されているのが一般的だと思います。( )内
の記述が入ったものは少ないですが。
これがエネルギー依存であることはいうまでもありませんが、エネルギ
ー源をATPに限定しないこの定義で特に問題はないように思いますが、
いかがでしょうか?
--
Yoshiaki FUYAMA
fuy...@cosmos.dti2.ne.jp
訂正します
"Hiroyuki" <smi...@hotmail.com> wrote in message
news:ct84th$rv0$1...@bgsv5648.tk.mesh.ad.jp...
> このファミリーは非常にdivergentなので、
diverse
ですね。
大ボケしておりました。m(__)m
"Yoshiaki FUYAMA" <fuy...@cosmos.dti2.ne.jp> wrote in message
news:fuyamay-E37498...@news.media.kyoto-u.ac.jp...
> In article <ct84th$rv0$1...@bgsv5648.tk.mesh.ad.jp>,
> "Hiroyuki" <smi...@hotmail.com> wrote:
>
> > しかし、一般的に通じる能動輸送の現在の定義はどうなんでしょ
> > うね。?エネルギー依存というのは、ATP依存とほぼ同義で使わ
> > れているのではないでしょうか?したがって、トランスポーター
> > による輸送は能動輸送に含めない研究者が多いのではないでしょ
> > うか?
>
> そうですか。私はこの分野は素人同然ですが、ABCトランスポーター
> による輸送はATPを消費する能動輸送の一種であると思っていました。
用語の問題で私が誤解しているだけかもしれません。(^^;;
ABCタンパク質のなかで、ATPを消費する能動輸送を担うタンパ
ク質をABCトランスポーターと呼んで他と区別しているのかもしれ
ません。
私が(私のフィルターを通して)読んだ限りでは、ABCトランスポー
ターとABCタンパク質の区別がはっきりしないので、用心のため、
同じものを指しているのだと現在は思っています。
どうなのかな?と思って、Webを探っていましたら、ABC型トランス
ポーターという表現を見つけました。このあたりの混同を避けるた
めの意識した名称なんでしょうね。
で、ABCタンパク質とABCトランスポーターを同義とすると
(平成15年度学術創成研究費新規交付課題要点一覧から、抜粋)
> 研究課題名 新たな膜輸送機構の分子基盤
> 研究代表者 稲垣 暢也(秋田大学・医学部・教授)
> 研究の概要 ABC蛋白質はアミノ酸配列がよく保存された巨大な膜
(中略)
> ABC蛋白質の第二の特徴として、その機能的多様性があげられる。す
> なわち、ABC蛋白質は、これまでに知られていたトランスポーター、イ
> オンチャンネルに加えて、レギュレーターや脂質膜輸送として機能する
> ことが明らかになりつつある。本研究では特に、ABC蛋白質の新たな機
(後略)
ということで、様々なメンバーが見つかってきていますので、能動輸送
の話をするときには注釈が必要だと思ったのでした。
> 高校の教科書などでは、能動輸送は「濃度勾配(あるいは電気的勾配)
> に逆らった輸送」と定義されているのが一般的だと思います。( )内
> の記述が入ったものは少ないですが。
>
> これがエネルギー依存であることはいうまでもありませんが、エネルギ
> ー源をATPに限定しないこの定義で特に問題はないように思いますが、
> いかがでしょうか?
そのとおりですね。反論はございません。
自己フォローです。書き忘れたことがありました。
"Hiroyuki" <smi...@hotmail.com> wrote in message
news:cta00l$d4c$1...@caraway.media.kyoto-u.ac.jp...
> ひろゆきです
> > 研究の概要 ABC蛋白質はアミノ酸配列がよく保存された巨大な膜
> (中略)
> > ABC蛋白質の第二の特徴として、その機能的多様性があげられる。す
> > なわち、ABC蛋白質は、これまでに知られていたトランスポーター、イ
> > オンチャンネルに加えて、レギュレーターや脂質膜輸送として機能する
> > ことが明らかになりつつある。本研究では特に、ABC蛋白質の新たな機
ここでも、トランスポーターと言う言葉が使われています。
歴史的な理由があるのでしかたないですが、機能別に
もっと適切なものに区別する名称に整理統一されること
が望ましいと思います。
#あと、「パーミアーゼ」もどうにかならんかな(^^;;