一つは、国家民族主義です。これは、国家を重要視し、ときにその
国家の中心に何かを据えつけ、求心的に自らのよって立つところを
確保しようという考え方です。
もう一つは、国土の風光明媚な景観や雅な文化、つまり、国の粋な
事物の経験を通して、遠心的に自らのよって立つところを確保しよ
うとする考え方です。そして、この考え方こそ、志賀重明らが提唱
した正しい意味での国粋主義なのです。
日本では、国家民族主義的なものは小さくなりました。しかし、国
粋主義的な活動はますます充実しています。能や歌舞伎などの伝統
芸能も、はたまた、JポップやJアニメなどの新しい文化も、強い遠
心力を持って世界中に広がっています。
フォーリン・ポリシー誌が注目したのは、この民族主義のこの国粋
主義的な部分なのです。
国粋主義者は時の為政者層に逆らうことがあります。利休は秀吉に
逆らいました。戦中にも、多くの文学者たちが政府に逆らいまし
た。しかし、彼らの愛国心が弱かったというわけではありません。
Naoya Kinjo wrote:
> 民族主義といっても、大きく二つに分かれます。
>
> 一つは、国家民族主義です。これは、国家を重要視し、ときにその
> 国家の中心に何かを据えつけ、求心的に自らのよって立つところを
> 確保しようという考え方です。
なるほど、そうしますとこの考えは必然的に所謂identetyを模索する立場につな
がると考えてよろしいのでしょうか?(なお、identetyは単なる集団の特徴を言
い表すのではなく、ほぼ大多数が意図し、実際にも彼等の精神的支柱にまで高め
られたものを言う)
> もう一つは、国土の風光明媚な景観や雅な文化、つまり、国の粋な
> 事物の経験を通して、遠心的に自らのよって立つところを確保しよ
> うとする考え方です。そして、この考え方こそ、志賀重明らが提唱
> した正しい意味での国粋主義なのです。
この考え方は、以上のご説明からはいまいち明確にならないような気がするので
すが、如何なものでしょうか?すなわち、国土の風向明媚な景観をさほど持ち合
わせていない国民は民族主義とは無縁と言うことになりますし、国内に粋な物事
が有るとはさほど感じない国民や他国との相対比較上粋だと思えない国民も民族
主義とは本来的に無縁と言うことになりましょう。
しかし、仮に他国との相対比較上どんなに粋だと思えるところがないとしても、
日本民族はあくまでも日本民族であり、この日本民族としての自尊心を認めても
らうことを当然のこととして主張できる力としてはこの考え方では弱すぎるよう
に思えます。
>
> 日本では、国家民族主義的なものは小さくなりました。しかし、国
> 粋主義的な活動はますます充実しています。能や歌舞伎などの伝統
> 芸能も、はたまた、JポップやJアニメなどの新しい文化も、強い遠
> 心力を持って世界中に広がっています。
この考えの説明をお聞きするとなにか風俗的なものつまり、民族主義とは一種の
風俗主義と言えなくはないような響きとなって伝わってくるのですが、この受け
取り方は誤解でしょうか?
> フォーリン・ポリシー誌が注目したのは、この民族主義のこの国粋
> 主義的な部分なのです。
>
> 国粋主義者は時の為政者層に逆らうことがあります。利休は秀吉に
> 逆らいました。戦中にも、多くの文学者たちが政府に逆らいまし
> た。しかし、彼らの愛国心が弱かったというわけではありません。
フォーリン・ポリシー誌が何に注目したかとは別に、時の為政者に何かの理由か
ら逆らうことがあるかどうかは民族主義とはなんら関係ありません。単に好みに
そぐわないから逆らうのと大差ありません。ですから後半の記述は民族主義の話
と離れた一般的な事柄であります。また、たしかに時の為政者に逆らう気持ちが
アンチ愛国心だと言えないことも事実です。
しかし、この場合の愛国とはいったい何を指しているのでしょうか?たとえば、
例示の利休を取り上げれば、利休は単純に茶を楽しむ場所、あるいは楽しむ環境
がなくなっては困ると考えたに過ぎないかもしれないのです。すなわち、国家風
俗に着眼するのみの民族主義者の愛国とは本来の愛国とはなり得ないのであっ
て、もしそれでも真実愛国的だと言うのであれば、その立場は実は言葉には現れ
ない<他の何ものか>に無意識に着目してそう主張している、と言わざるを得な
いのであります。
--
KENTAROU
From article <3e9228a6.7896%mounta...@pop06.odn.ne.jp>
by Naoya Kinjo <mounta...@pop06.odn.ne.jp>
> もう一つは、国土の風光明媚な景観や雅な文化、つまり、国の粋な
> 事物の経験を通して、遠心的に自らのよって立つところを確保しよ
> うとする考え方です。そして、この考え方こそ、志賀重明らが提唱
> した正しい意味での国粋主義なのです。 ========
志賀重昴 です。
日本風景論は昔に読みましたが、まだ手にはいりますかね。
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Akira Hatakeyama E-Mail: ak...@sra.co.jp
http://www.sra.co.jp/people/akira/index.html
chigasaki-minami, tsuzuki ward, yokohama, japan
>・・・まだ手にはいりますかね。
岩波文庫 800円
日本風景論
志賀 重昂【著】・近藤 信行【校訂】
(紀伊国屋では 在庫僅少)
解釈・入門?用
岩波現代文庫 1100円
大室幹雄著
志賀重昂『日本風景論』精読
これら 今や 例えば 紀伊国屋の各店舗のどの棚に
あるかも Webで分かるんですね。もっとも Webから
注文して宅配が 楽は楽ですが。そのうち Webで読
めて さらに 読まなくても読んだ気にさせてくれるか?
以上。
"Akira Hatakeyama" <ak...@sra.co.jp> wrote in message
news:b706cf$1vcb$1...@sranhh.sra.co.jp...