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テッド・チャン

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Shinji KONO

未読、
2004/01/19 7:49:072004/01/19
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

最近、出張が多い割りにあんまり読めなかったんですが...

テッド・チャンの「あなたの人生の物語」をようやっと読みました。
長編書かない人なのね。ちょっと、もったいない気がする。大味な
長編が多い中で、こういうのはうれしいかも。

この人は、思考停止と多重視点が良いですね。あるところから、
すっぱり「説明停止」。で、そこからあとは割りと緻密に世界を
構成してく。そんな感じ。説明過多で現実世界との整合性に
苦心するより、こっちの方が良い感じ。

表題作は僕にはいまいちでした。ただ、本のタイトルとしてはいい
かな。非因果的な認識を持つ宇宙人の言語ってのは、アイデアとし
ては面白いけど、ちょっと使いこなせてなかったかな。

イーガンにタッチが似てるんだよね。「顔の美醜について」は、イ
ーガンの「しあわせの理由」とアイデアとしても近いし。イーガン
よりも多重視点で書いているところが、うまくいっているんだな。
イーガンだったら、もっと「どうして、カーリーが可能か」とか、
それに付随する成果は何が可能かとかいろいろ追求するんだろう
けど、チャンは、そこだけしか議論しないって感じですな。

「地獄とは神の不在なり」は、思考停止ポイントが「天使降臨と奇
蹟が実在だったら?」ってところなんだよね。これも、複数の視点
がうまく取り扱われていると思う。

ただ、イーガンよりは科学に関する理解が浅いと思う。「ゼロで割
る」なんかは、「論理学が矛盾していたら」なんていうテーマなん
だけど、最初のゼロで割るって話あたりから既にあやしいし、矛盾
を導出するあたりも追求が甘すぎ。現代数学は、何回か矛盾の露呈
を経験して来ているので、そのあたりを勉強してから書いて欲しか
ったな。特に、それで悲惨な目にあったカントールに関して記述が
ないのは致命的だと思う。

「理解」は、僕は似たようなのを読んだ記憶があります。偶然の治
療の副作用で超人になった人の話。アルジャーノンをあげる人も多
いと思うけど、ちょっと違うな~ なんだったかなぁ。超能力スパ
イ物だったような気もするし。この後の話も知りたい気がする。
超人ものはもう一つ入ってますが、まぁ、どうでもいい話だね。
ちょっと、軽いんだよな。のりが。イーガンの方が僕の好みか。

バビロンの塔とか七十二文字とかは、僕には面白いとは思えません
でした。割りと楽観的な終り方が、むしろ、テッド・チャンの現状
認識の甘さみたいなものを強調していて、面白いと思うより馬鹿馬
鹿しいと思っちゃう感じ。特に、七十二文字は、僕は、悲劇で終る
べき物だと思う。

---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus,
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科,

Shinji KONO

未読、
2004/01/20 3:42:232004/01/20
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

もう一つ。川又千秋っていうと、何故か少しはずれ気味の日経の書
評を思い出しますが... 「宇宙船∞号の冒険」です。ザウルス文庫
で、A300を使って読みました。ザウルス文庫は割りと便利。もっと
でないかなぁ。くだらん、e-Book に負けるな~

この∞ですが、何故か、メビウスと読むようです。話は、絶滅した
人類の最後の男が生物の生きる意味を求めるための宇宙船の旅に
でる話。

タイトル的にはビーグル号を連想するんですが、(オロモルフ号っ
て説もあるが...) どっちかっていうと、神話的な話を目指したも
のなのね。

結構時間がかかったのは、僕のスケジュール的な問題なので、話の
せいではないと思う。思うけど、途中までは読みづらかったです。
少しアイデアが強引なせいもあると思う。別に人類が絶滅するのを
遺伝的パラドックスみたいなもので無理に説明しなくていいです。
余計、うさんくさくなっちゃう。少し話に矛盾してもいるし。

基本的は、宇宙船に乗って、どんどん未来にいくみたいな話なわけ
ですけど、この手の話は、いろいろ読んだ気がする。それに、また、
一つ付け加えられたってな感じですね。嫌いじゃないけど、この本
は、少し冗長な感じ。

Shinji KONO

未読、
2004/01/27 8:51:302004/01/27
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

カードの「シャドウ・オブ・ヘゲモン」(邦訳だと「ザ」が落ちる
のはルールですか?) ですけど...

シャドウ・オブ・エンダーは、確かに良かったんだけど... それの
続きですか。で、さらに2冊でるとな。うーん。でも、買っちゃう
んだけど。

登場人物が多様になって、その点は良いんだけど、舞台がなぁ。な
んか、1950年代に戻った地球の世界情勢では、あまりに、レトロす
ぎない? ちょっと核とか軽視しすぎ。MDとか出て来ないのもなんか
変。惑星表面では使えないっていうんでしょうけど、対応した超兵
器があってもおかしくないよね。恒星間飛行を手にいれて、星間戦
争に勝った人類が、1950年代と同じ戦争をやってるなんて、へどが
出ます。が、人類なんて、そんなものだってのもわかってます。

ピーターに関しては、なんか良い落ちがついていて、一方では、ビ
ーンには厳しい。なんでかなぁ。ま、そんなものなのかも知れない
けど。

9.11 が良い影響を作家に与えることはないわけだけど、それでも、
カードは少し鈍感すぎない? いや、この本が彼なりの答えなの?
それもちょっとなぁ。

ABE Masayuki

未読、
2004/01/30 7:53:072004/01/30
To:
Shinji KONO <ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp> wrote:
>シャドウ・オブ・エンダーは、確かに良かったんだけど... それの
>続きですか。で、さらに2冊でるとな。うーん。でも、買っちゃう
>んだけど。

去年 "Shadow of the Hegemon" と "Shadow Puppets" を読みましたが
話はちゃんと終わっていました。

# 去年読んだ英語の本はこの2冊だけ。

早川書房は外伝扱いをしていますが、やなガキ、いや、とても優秀なバトルス
クール出身者たちに焦点があたっているこちらの方が「死者の代弁者」以降より
も「エンダーのゲーム」の正統な続きに思えました。

>ピーターに関しては、なんか良い落ちがついていて、一方では、ビ
>ーンには厳しい。なんでかなぁ。ま、そんなものなのかも知れない
>けど。

主人公がひどい目にあい続けるのがカードの芸風ですから。

私にとっては、ビーンたちが色気づいて切れ味が鈍ったように見えることと、
ピーターが人間的なことが不満です。
アシルが怪物担当なのはわかるのですが、エンダーやヴァレンタインがあれほ
どピーターを恐れていたのに。

>9.11 が良い影響を作家に与えることはないわけだけど、それでも、
>カードは少し鈍感すぎない? いや、この本が彼なりの答えなの?

9.11などよりも、冷戦の終結後に数十年以上昔の宗教や民族の対立が再燃した
ことの方を重視しているのではないでしょうか。

ボード・ゲーマーとしては、エンダーが指揮したのはあくまで戦術レベルだった
のが、スケールも破壊力も遥かに小さくなった地球上の戦いが戦略レベルになって
いる点も楽しめました。

--
阿部雅之

Shinji KONO

未読、
2004/02/01 8:31:082004/02/01
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <bvdka6$sj2$1...@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>, at...@infoseek.to (ABE Masayuki) writes


> Shinji KONO <ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp> wrote:
> 去年 "Shadow of the Hegemon" と "Shadow Puppets" を読みましたが
> 話はちゃんと終わっていました。

おぉ、そうなんだ。安心して次を待とう。

> # 去年読んだ英語の本はこの2冊だけ。

カードは読みやすいですよね。

> 私にとっては、ビーンたちが色気づいて切れ味が鈍ったように見えることと、
> ピーターが人間的なことが不満です。
> アシルが怪物担当なのはわかるのですが、エンダーやヴァレンタインがあれほ
> どピーターを恐れていたのに。

それは、僕もそう感じました。お父さんに褒められて喜ぶなよ...
ビーンになめられてるし~

> ボード・ゲーマーとしては、エンダーが指揮したのはあくまで戦術レベルだった
> のが、スケールも破壊力も遥かに小さくなった地球上の戦いが戦略レベルになって
> いる点も楽しめました。

あーいうボードゲームって、どれくらい現実的なんでしょうね?
後読み的に、そうなっているってのはあるんだろうけど。

9.11 とか、そのあとのブッシュ政権の強引なイラク侵攻と、その
後のていたらくぶりを見てると、「かっこいいボードゲーム的展開」
みたいなのが嘘臭いです... 単にブッシュ政権に戦略がないってこ
となのかも知れないけど。あるいは、イラクは単なる見せかけで、
裏では着々と戦略が進んでいるとか? (あるわっきゃない...)

---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus

河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科

ABE Masayuki

未読、
2004/02/04 7:33:272004/02/04
To:
Shinji KONO <ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp> wrote:
>> # 去年読んだ英語の本はこの2冊だけ。
>
>カードは読みやすいですよね。

同感です。
"Shadow of the Hegemon" は3日で読みおわりましたが、私として異例の
速さでした。会話が多そうなのも効いているのでしょう。

>9.11 とか、そのあとのブッシュ政権の強引なイラク侵攻と、その
>後のていたらくぶりを見てると、「かっこいいボードゲーム的展開」
>みたいなのが嘘臭いです... 単にブッシュ政権に戦略がないってこ
>となのかも知れないけど。あるいは、イラクは単なる見せかけで、
>裏では着々と戦略が進んでいるとか? (あるわっきゃない...)

今のUSAはブラックゴーストに支配されているようなものですから、国家と
しての戦略などあるはずも。

--
阿部雅之

Shinji KONO

未読、
2004/03/02 22:37:072004/03/02
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

猶予とかいて「いざよい」と読ませるらしいです。これって何にも
賞はとらなかったのね。日本人作家のSFで、この超大作は珍しい。
他には「消滅の光輪」ぐらい? 読むのに1ヵ月は時間かけすぎだけ
ど、最近は、そんなものです。

月にいる三っ目のカミス人が事象変移装置アスタートを使って地球
人を操作している世界で、姉(イシス)と弟(アシリス)の禁断の恋と、
悪人バールの野望が交錯して、「なんでもあり」の世界が地球にで
きてしまい、幾何学的な世界観の中でイシスとバールの戦いが始ま
るみたいな話です。

なんでも思い通りになる世界って、どういうルールを入れるかって
のが問題になるわけなんだけど、事象変移させる人の人数を数人に
制限するのは仕方ないとしても、その間の調節方法にはなんか工夫
が必要だったんじゃないかなぁ。ちょっと簡単過ぎ。時間と可能世
界を多次元空間の軸として見るのも少し単純すぎ。なのでSF的な用
語はいいんだけど、概念的にはレベルに達してないと思います。や
っぱりエネルギー保存則はどうするんだよとか思わないものなんだ
ろうけど、それでも、なんかいるんじゃないの? 量子力学や相対論
の世界観は、これらよりもはるかに複雑ですけど、それに匹敵する
ものを要求しているわけはないんだが...

なんでも思い通りになるっていう単純な面白さはあるんだよね。で
も、登場人物は割りとその点、ストイック。バールも。

「エイダ」も小説の世界が現実になるみたいな話だし、この話もア
シリスに関してはそうなんだよね。ただ「エイダ」よりは、こっち
の方が面白かった。でも、話としても、ちょっと当り前すぎな気も
する。禁断の恋をあきらめるっていう選択肢はこの手の展開では許
されないんじゃないかなぁ。まぁ、それでもいいんだけど、なんか、
もう少し。別なものっていうか。

それでも話が面白いのは、話自体も幾何学的な構造を持っているから
だと思う。きっと紙にそういうグラフかなんかを書いて始めたんじゃ
ないかなぁ。こういうのは嫌いじゃないです。

一種のワイドスクリーンバロックでもあるんだろうけど、意図的に
親子関係を避けているのは逆に不自然かな。

あと、割りと、漫画の影響あるのかな? 月がなんとななっちゃうって
のは幻魔大戦ですよね。三っ目で超能力って言うと3x3 Eyesだし。
アスタートは、エスカフローネの運命改変装置だし。

何でも思い通りになるで成功しているのは「順列世界」だと思う。
事象変移装置の裏にそういう仮想世界を持って来ても良かったんじ
ゃないかなぁ。

---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus

河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科

ishida yuusuke

未読、
2004/03/03 14:05:282004/03/03
To:
こんにちわ、いしだゆうずけです。

In <3989510...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp> Shinji KONO wrote:
> 三っ目で超能力って言うと3x3 Eyesだし。
「三つ目が通る」じゃないの??

--
ishida-yuusuke #5002(greenmover)

Shinji KONO

未読、
2004/03/13 21:52:252004/03/13
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

93年の「異星人ナノテク」物ですね。タイトルが内容に比べて
かっこ良すぎ。

月の観測装置に異常が発見されて、それが異星からのナノロボット
によるものであることがわかる。月は隔離されてしまうが、ナノロ
ボットは巨大な建造物を作り始める。一方で、南極にいるパーヴ博
士は、独自にナノ研究を進めていたのだが...

話は良く書けていると思います。佳作です。が、名作じゃないんだ
よな。それは、たぶん、この事件を通して誰も成長している人がい
ないからなんじゃないかな。単なる事件になってしまっている。人
間関係も良く書けているとは思うんだけど、なんかERみたいな感じ。
面白く読める人もいると思うけど、僕には少しずれているかな。

93年のナノテクに対する夢みたいなのを膨らませるとこんな風にな
るんでしょうね。でも、「ブラッド・ミュージック」を越えられな
いのは、ちょっと枠がありすぎるからだと思う。

ナノテクに関する描写が曖昧なのは仕方ないかな。アナロジーとし
ては細菌研究所みたいな感じなんだけど、どうも外れている気がす
る。ナノロボットにX線が有効な理由が良くわからない。月の隔離
が破られる理由も説明なしだし。何かナノロボットの動力に関する
説明とかあれば良かったんだけど、それだと、逆にうさんくさくな
るのかなぁ。

ナノテクは結局どうなるんでしょうね? まだ最初の10年だし、
どうなるかわからないところもあるけど、

動くための動力や、化学反応のためには、
それに見合った入力と出力がいる

と思う。巨大な構造物を作ったり、たくさんの自己複製を作ったり
すれば、それに対応した廃棄物がでるんじゃないかなぁ。熱だけで
るってのは、ちょっと理想的すぎ。

ナノロボットが巨大な構造物を作るってのはインパクトはあるんだ
けど、スケール的なギャップを埋めるには、なんか中間構造物があ
るのが普通だと思う。自分の大きさの1000倍のものをいきなり、自
分だけで作るってのは不可能。だとすれば、最初に自分の10倍程度
のロボットを作るんじゃないかな。それを何段か繰り返すみたいな
感じでさ。

Shinji KONO

未読、
2004/03/14 1:48:212004/03/14
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

二つ費すほどの作品でもないんですが、少し、書き残したので....

終り方が「いきなり終る」って感じになってるみたい。力尽きました
なのかな。

南極の方の「宇宙からの物体X」も、あれで終るはずないし、月の
巨大構築物も、これからどうなるかに興味があります。なんで、こ
こで終る?

でも、なんか意表を付かれて終るって感じじゃないんだよね。あ、
やっぱり、ここが限界かっていう感じ。二人で書いているから、打
合せながらやっているはずなので、最初からこういうように終らせ
るつもりだったんでしょうけど。

ナノマシン(ナノバグ、ナノロボット、まぁ、いろいろ呼び方はあ
るけど)を宇宙にばらまくっていうのはいいんだけど、ちょっと、
宇宙の広さを甘く見てない? 銀河の宇宙の密度は割合に高いんだけ
ど、恒星の密度ってあまり高くないから、地球と月に降り注ぐ程の
密度で宇宙にばらまくには、かなりばらまく必要があると思う。狙
って、打ち込む、あるいは、軌道修正しながらってことになると、
やっぱり、カプセルみたいなのにいれた方がいいんじゃないかな?
太陽風にさからってナノマシンが重力で地球に落ちるって、なんか、
直観的に変な気がする。

ベアの「天空の劫火」では、かなり巨大な機械を送り込んで来る
わけですけど(大半は仮想質量という設定なんだけど)、恒星間
の移動だと、やっぱり、それくらないとだめなんじゃないかな。

ナノマシンって、まだ「セントラクドグマ」がないんだよね。分子
数個では知性を持ちようがない。やっぱり、ウィルス、あるいは、
単細胞レベルでしょ? 大きさ的には。もっと大きくすると、自己複
製の仕組みがかなり複雑になってしまう。単細胞でも自己複製の仕
組みはかなり複雑。ウィルスは単純だけど複製は細胞レベルに寄生
しているわけだし。

だとすると「複製をおこなう比較的大きくて複雑な機械」と、
「小さくて単純な機械」っていう二段構成の方がいいんじゃない?
赤血球とかも赤血球自体が直接増殖するわけじゃないよね。

Shinji KONO

未読、
2004/04/01 21:17:162004/04/01
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

いままで読んでませんでした。デビット・ブリンは、どうも相性が
悪くて。映画の方を先に見ました。映画はたんなるアクションもの
になっていて、最後にケビン・コスナーの「銅像が立つ」ってので
切れそうになってました。

既に今では珍しい核戦争後もの。臆病者が郵便屋さんの制服を見つ
けて、郵便ネットワークを再構築していく... みたいな話なわけで
すね。ブリンにしては話は割りと進む方かな。短篇とその続きみた
いな構成だからか?

なんだけど割りと映画は忠実に作っていたのね。ゴードンの臆病さ
が実はコスナーに合っていたのだというのがわかりました。

ただ、ブリンって、どうしてしょうもない落ちをつけるのかなぁ。
ポストマンには(映画にはない) 変な落ちが二つついていて、どっ
ちも、うまく収まってないと思う。でも、きっと、この落ちを最初
に考え付いて、そこから書いていっているんだろうとは思うんだけ
ど。

デーナが結構中心的な働きをするんだけど、ぜんぜん出て来ないの
はどうしてなんでしょう。男(ゴードン)から見たら、そうなるって
のはわかるんだけど... デーナの考え方は面白い。このfj を見て
ても、男は有害な馬鹿ばっかりだし、デーナの考えは正しいかなと
思います。一種の人工的な進化なわけだし。

どっちかっていうと、そういうことを続けるとどういう社会に
なるのかっていう方が気になったかな。

Shinji KONO

未読、
2004/04/06 5:20:592004/04/06
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

伊藤典夫が後書で B+ とか書いてますが.... これは、廉価盤「永
劫」ってところですね。「うーん、まぁ、いいか、飛ばして読んじ
ゃえ」って感じ。まとめ方も「ま、そんな感じ」悪くはないんだけ
どさ。

後書にベアの永劫が出て来ないのがなんか不思議。設定はそっくり
と言って良いんじゃないかなぁ。ハーラン・エリソンだったら訴え
ているんじゃないかと思うくらい。まぁ「道」は出て来ないんだけ
どさ。

無限の並行宇宙を結ぶ門があって、そこを行き来する「巡り人」が
いて... ベアでも出て来る邪悪な種族がいて... ただ、どうも円環
上の構造を持っているらしく前後にしかいけないっていう設定なの
ね。地球が特異点だっていう設定は無理筋。

同じ並行宇宙でもDiasporaのかっこ良さとは違う「ださーい」感じ。
物理的な設定が皆無だからなんだよな。この手の設定に「情報は伝
えられず、物体は送れる」みたいなのは良くあるんだけど、逆の方
が説得力はあると思う。

巡り人が持っている「ハードメモリ」つまり、人間の記憶のバック
アップは便利そう。僕も欲しいです。(つい最近も、そんなこと書
いたな) テッド・チャンにもおんなじようなものが出て来てたな。

モリアクが次の世界の予想するってのが出て来たときに、なんとなく
「観測理論」的な話が出て来るのか?! とか期待したんですが、
そんなことあるはずもなく...

印象が薄いのは、やっぱり、ジェイの人格に魅力がないから?
人類の命運を握るプロジェクトの推進者なんですよね。もう
少し、何かないとだめだと思う。

Shinji KONO

未読、
2004/05/09 23:24:262004/05/09
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

名作ドゥームズデイ・ブックと同じダンワージ教授のいらっしゃる
オックスフォード史学部航時学科ものですね。といっても活躍する
のは大学院生だけですが。

一応、航時者が変な子として歴史を変えてしまってどうこうという
タイムパラドックスを真正面から扱っている話です。過去から持っ
て来てしまった○○、コヴェントリーの聖堂、エニグマ暗号、いや、
まぁ、いろいろ。

解決方法と言うか、落ちも割と納得できるかな。(そんなの絶対わ
かるわけないだろってのと、どうせそうだと思ってたの半々くらい)

「神は細部に宿る」でしたっけ、この本そのものがそういうところ
があるみたい。ミステリ風に謎解きが中心なんだけど、
鳥株(そもそも、そんな言葉、日本語にあんのかよ~)の行方
トシーが結婚するCなんとか氏は一体誰か
ってのが問題なんですけど、問題の意義そのものに共感できないぞ。

ただ「わからないのが当然」で始めて、徐々に分からせていくって
のは、割と面白かったです。前の方に戻って「う、確かに、そうい
う言ってるけどさ」って感じ。特に、ダンワージ教授がネッドを送
り出す当たりに集中しているので、そのあたりに気を付けて読むと
面白い。ネッドはタイムラグでぼろぼろで、そのネッドの視点で書
かれているから、それで一人称視点としては正しいし。

ネッドのお相手のベリティは少し描画不足な気がする。ネッドの一
人称視点だけで書かれているので仕方ないんだけど。ベリティの一
人称も含めて、多重人称形式で書いて欲しかったかな。でも、それ
だとちょっとあれすぎか。

システムが修復できなくなると
ネットを開かなくしたり
ネットの誤差を増大させたり
偶発事を増やしたり
するってのは、もっともらしいけど、なんか、もう少し「法則」が
欲しいですね。それを越えると「シュレディンガーの猫」的な多重
事象になるってな記述もあるみたいですが、それはコニー・ウィリ
スの能力を越えているみたいで、その部分は出て来なかったですね。
このあたりを開拓するともっと面白くなったような気がする。テッ
ド・チャンかグレッグ・イーガンに書いて欲しいところ。

史学部ものは続編が執筆中らしく、それは、この本のあの話に絡む
であろうことは確実なので期待します。この本は、大森望が持ち上
げすぎ。それほどのできじゃないだろってなところですね。

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