ザウルス文庫で「青い宇宙の冒険」と「果てしなき時の流れの果て
に」 を500円で売っていたので買ってみました。(今度はクレジッ
トカード。ビットキャッシュ考えた馬鹿は死んでいいです。おつり
返せ~) 「果てしなき時の流れの果てに」はzbfではなくてテキス
ト形式なので、Unix からでも読むことは可能です。.exeなんだけ
ど、lha x で展開できるみたい。500kbぐらいのものですね。
青い..が76年で、果て..が66年なんですね。古い~ でも、ある意
味では古くなってないかな。特に、青い... の方の超宇宙みたいな
考え方は、今でも生きているんだよね。まぁ、元気なうちに虚無回
廊の続きを書いて欲しいと誰もが思っている... のか、みんな忘れ
ているのか...
「青い宇宙の冒険」は、夜中の変な音を学校の先生と一緒に調べて
いるうちに、420年前に遭難した超宇宙船に連れて行かれてしまっ
た小学生の男女の話です。そこの死にかけている宇宙人から「青い
宇宙へいき、この宇宙を救え」と言われるのだけど、青い宇宙とは
なにか? 何故、ドイツやアフリカかから集まった人々が、宇宙を救
うにはどうすればいいのか? やっぱり、面白いね。ちなみに、うち
にはないので、僕は、当時、立読みで読み切ったらしい。
古いと感じるのは、青い宇宙の冒険に出て来る小学校の先生方の描
写ですね。あの頃は、小学校の先生って偉かったのね。近所の遺跡
(?)の歴史を古文書から調べているなんて、なんかすごい。
「果てしなき時の流れの果てに」は、多元宇宙もの+ワイドスクリ
ーンというある意味での黄金パターン。「電話の音」に首をかしげ
るティラノザウルスからはじまって、5つの巨大電子頭脳衛星の「
ポーカダイスプログラム」による未来からの干渉の検出とその妨害、
そして、太陽の異常から逃れる地球人の前に現れた時間警察(とは
書いてないんだが、そういうものだよね)。彼らは、そこにいる松
浦を自分達の組織に拉致してしまう。一方、で、「上と下が超空間
で継っている砂時計」っていう遺跡を発見した野々村と、氏は、時
間警察と争うルキッフのグループに連れ去られ、松浦に追われるこ
とになる。その追跡劇のあとに彼らは...
みたいな話なんだけど(思い出した?) エピローグ(2)とエピローグ(1)
が結構良いんですよね。もはや、そんな女性は日本では消滅したな。
当時も「ネアンデルタール人とホモサピエンスって交配可能だ
ろうけど、子どもできるのか?」とか思ったけど、今も良くわか
らない。
文章の硬さ、インテリ臭さみたいなのが66年代かなぁ。今の学生は
難しいって文句言うかもね。「場の理論」とかいう言葉を知ったの
は、きっとこの本が最初だったんだろうなぁ。でも、さすがに、66
年76年だと、今のインターネットとか携帯電話は予測の範囲外って
ところですね。
---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus,
PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科,
科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)
> 「果てしなき時の流れの果てに」は、多元宇宙もの+ワイドスクリ
> ーンというある意味での黄金パターン。「電話の音」に首をかしげ
> るティラノザウルスからはじまって、5つの巨大電子頭脳衛星の「
> ポーカダイスプログラム」による未来からの干渉の検出とその妨害、
> そして、太陽の異常から逃れる地球人の前に現れた時間警察(とは
> 書いてないんだが、そういうものだよね)。彼らは、そこにいる松
> 浦を自分達の組織に拉致してしまう。一方、で、「上と下が超空間
> で継っている砂時計」っていう遺跡を発見した野々村と、氏は、時
> 間警察と争うルキッフのグループに連れ去られ、松浦に追われるこ
> とになる。その追跡劇のあとに彼らは...
> みたいな話なんだけど(思い出した?)
思い出しました、懐かしいですねえ~。30年以上前の作品ですよね。
> エピローグ(2)とエピローグ(1)
> が結構良いんですよね。もはや、そんな女性は日本では消滅したな。
> 当時も「ネアンデルタール人とホモサピエンスって交配可能だ
> ろうけど、子どもできるのか?」とか思ったけど、今も良くわか
> らない。
なんかこれ「ネアンデルタールとクロマニヨン人の交配」の可能性は西欧人科学者
のDNA探求により否定されましたが、現代コーカソイドの恰好をさせたネアンデル
タール人の復元姿(背広+ネクタイ)をみると???・・・こーゆーヨーロッパ人て違
和感なくいるよね!と思うので信じられないところが残りますね。
> 文章の硬さ、インテリ臭さみたいなのが66年代かなぁ。今の学生は
> 難しいって文句言うかもね。「場の理論」とかいう言葉を知ったの
> は、きっとこの本が最初だったんだろうなぁ。でも、さすがに、66
> 年76年だと、今のインターネットとか携帯電話は予測の範囲外って
> ところですね。
硬い文章に近い形で普段も思考しているか否かなのでしょうね。ラフにイメージを連ねる
女性脳的思考の方が安定しており、より適応しているのかも知れませんが生半可な知識
でも無理やり「想像」するのがSFの醍醐味であり思弁だと思います。
秩序が上下に連続的に構造をなしているという点が古臭さを感じますが小松さんの作品
としては秀逸な一品だと思います。
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EN yasuhi...@jcom.home.ne.jp 【月下独酌】
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グレッグ・ベアの女王天使です。斜線都市の方を先読んだんですけ
ど、こっちの方はなかなか読めなかった。斜線都市は原題は「/」
なのね。なーるへろ。
実はハードかバーの原書を持っていたんですが、もののみんごとに
挫折。だって難しいんだもの。あとがきを見ると訳者も音を上げて
たので、まぁ、しかたないかと。
セラピーとナノテクによる変容者の未来のLAで、詩人のエマニュエ
ルが5人を殺し失踪。それを追う漆黒の女性捜査官マリア・チョイ。
一方、エマニュエルはとらえられ、天才科学者により僭脳されつつ
あった。
みたいな話なんですけど、まぁ、気合いがはいってますね。でも、
ちょっと狙いすぎな感じもしないでもないです。小松左京の「ゴル
ディアスの結び目」も狙いすぎだと感じたけど。でも、面白い作品
ではありますね。
21世紀は脳の時代とか言われてますが、人工知能が意識を持つかと
か、そんなのを合わせて、「国」と呼ばれる脳の中の構造に潜入し
て行く話が同時進行するわけで、そういうテーマに合わせすぎかな。
ディテールにはいろんなアイデアが投入されているんだけど、根本
的なアイデアに欠けるところがベアっぽいかも。
終り方が陳腐。まるでハリウッドみたいな終り方だね。もしかして、
映画化とか意識したのかなぁ。直前まで、すごく盛り上がるのに。
斜線都市の方が曖昧な感じで、その方が、この設定に合っている気
がしました。
---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus,
PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科,
科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)
-
グレッグ・ベアの女王天使です。斜線都市の方を先読んだんですけ
ど、こっちの方はなかなか読めなかった。斜線都市は原題は「/」
なのね。なーるへろ。
実はハードかバーの原書を持っていたんですが、もののみんごとに
挫折。だって難しいんだもの。あとがきを見ると訳者も音を上げて
たので、まぁ、しかたないかと。
セラピーとナノテクによる変容者の未来のLAで、詩人のエマニュエ
ルが5人を殺し失踪。それを追う漆黒の女性捜査官マリア・チョイ。
一方、エマニュエルはとらえられ、天才科学者により僭脳されつつ
あった。
みたいな話なんですけど、まぁ、気合いがはいってますね。でも、
ちょっと狙いすぎな感じもしないでもないです。小松左京の「ゴル
ディアスの結び目」も狙いすぎだと感じたけど。でも、面白い作品
ではありますね。
21世紀は脳の時代とか言われてますが、人工知能が意識を持つかと
か、そんなのを合わせて、「国」と呼ばれる脳の中の構造に潜入し
て行く話が同時進行するわけで、そういうテーマに合わせすぎかな。
ディテールにはいろんなアイデアが投入されているんだけど、根本
的なアイデアに欠けるところがベアっぽいかも。
終り方が陳腐。まるでハリウッドみたいな終り方だね。もしかして、
映画化とか意識したのかなぁ。直前まで、すごく盛り上がるのに。
斜線都市の方が曖昧な感じで、その方が、この設定に合っている気
がしました。
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グレッグ・ベアの女王天使です。斜線都市の方を先読んだんですけ
ど、こっちの方はなかなか読めなかった。斜線都市は原題は「/」
なのね。なーるへろ。
実はハードかバーの原書を持っていたんですが、もののみんごとに
挫折。だって難しいんだもの。あとがきを見ると訳者も音を上げて
たので、まぁ、しかたないかと。
セラピーとナノテクによる変容者の未来のLAで、詩人のエマニュエ
ルが5人を殺し失踪。それを追う漆黒の女性捜査官マリア・チョイ。
一方、エマニュエルはとらえられ、天才科学者により僭脳されつつ
あった。
みたいな話なんですけど、まぁ、気合いがはいってますね。でも、
ちょっと狙いすぎな感じもしないでもないです。小松左京の「ゴル
ディアスの結び目」も狙いすぎだと感じたけど。でも、面白い作品
ではありますね。
21世紀は脳の時代とか言われてますが、人工知能が意識を持つかと
か、そんなのを合わせて、「国」と呼ばれる脳の中の構造に潜入し
て行く話が同時進行するわけで、そういうテーマに合わせすぎかな。
ディテールにはいろんなアイデアが投入されているんだけど、根本
的なアイデアに欠けるところがベアっぽいかも。
終り方が陳腐。まるでハリウッドみたいな終り方だね。もしかして、
映画化とか意識したのかなぁ。直前まで、すごく盛り上がるのに。
斜線都市の方が曖昧な感じで、その方が、この設定に合っている気
がしました。
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河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科,
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グレッグ・ベアの女王天使です。斜線都市の方を先読んだんですけ
ど、こっちの方はなかなか読めなかった。斜線都市は原題は「/」
なのね。なーるへろ。
実はハードかバーの原書を持っていたんですが、もののみんごとに
挫折。だって難しいんだもの。あとがきを見ると訳者も音を上げて
たので、まぁ、しかたないかと。
セラピーとナノテクによる変容者の未来のLAで、詩人のエマニュエ
ルが5人を殺し失踪。それを追う漆黒の女性捜査官マリア・チョイ。
一方、エマニュエルはとらえられ、天才科学者により僭脳されつつ
あった。
みたいな話なんですけど、まぁ、気合いがはいってますね。でも、
ちょっと狙いすぎな感じもしないでもないです。小松左京の「ゴル
ディアスの結び目」も狙いすぎだと感じたけど。でも、面白い作品
ではありますね。
21世紀は脳の時代とか言われてますが、人工知能が意識を持つかと
か、そんなのを合わせて、「国」と呼ばれる脳の中の構造に潜入し
て行く話が同時進行するわけで、そういうテーマに合わせすぎかな。
ディテールにはいろんなアイデアが投入されているんだけど、根本
的なアイデアに欠けるところがベアっぽいかも。
終り方が陳腐。まるでハリウッドみたいな終り方だね。もしかして、
映画化とか意識したのかなぁ。直前まで、すごく盛り上がるのに。
斜線都市の方が曖昧な感じで、その方が、この設定に合っている気
がしました。
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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus,
PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科,
科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)
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お正月は別なのを読んでいたんだけど、帰りの飛行機で、こっちの
方を先に読み終ってしまいました。スティングの曲に Leagal Alian
ってのがあるので、タイトルは、そこからひろってきたのかも知れ
ないです。
ソウヤーって、なんか「軽い」んだよね。「ターミナル・エキスペ
リメント」「フレーム・シフト」なんかは地獄のように重いテーマ
なはずなんだけど、なんか、そこの方に「しょーもない軽さ」が見
えちゃう。
これは、まぁ、地球に来た宇宙人がお気軽なファースト・コンタク
トの後で殺人を犯してしまうっていう、そもそも軽いテーマなので、
軽いこと軽いこと。終り方も、なんかまるでアシモフでも読んでい
るかのような終り方。そういうのを期待していると、ばっちり、そ
う決まるって感じです。この軽さって、きっと、アメリカの読者向
けの専用サービスなんだろうな。
昔は「宇宙人はみんな人と同じような形になる」なんてのを信じて
いました。が、地球の生命の多様さだけでもこれほどなのに、
そんなことあるわけないよな。一方で、イルカとコミュニケーション
も出来ないんだから、実は、宇宙人とのファースト・コンタクトも
そんなにうまくいくはずない... けど、「宇宙船の中で生肉食う」
ような宇宙人とアメリカ人となら、うまくいくかも知れないね。
「訪れた異国で、部下が犯罪をおかしてしまった」こういう状況だ
と、普通は外交特権みたいなのを持ち出すような気がする。その方
が簡単かな。トクソ人側、地球人側双方とも。もともと、法律って
「慣習」の集大成みたいなものだから、宇宙人に当てはめるって変
だよね。なんとなく、人を殺したゴリラを裁判にかけるような感じ
もしないでもない。
アメリカの裁判制度の話は、映画とかでも良く見るけど、この話にも
さんざんでてくる陪審員ってのは、アメリカ人にとっても、不可解な
ものなのかも知れないね。
この本も「宇宙人にユーモアを期待する」話がちょっとでてくるん
だけど、ユーモアってのは、僕は「猫が自分の獲物で遊ぶ」ような
ものだと感じる。テキサス訛を笑い飛ばすみたいな残酷さを彼らは
ユーモアと思っているみたいだけど、自分達の残酷さの自覚が足り
ないとしか思えないです。
この話のもう一つの側面は、終りの方にちょっとだけしか出て来ない
わけだけど...
眠っている間に侵略されちゃうかも知れないから先に侵略するって
のは、 侵略する側の論理としては、ちょっと、安直すぎる気がす
る。でもさ、これは、アメリカ人にとっては「正当な論理」なんで
しょうね。もちろん、侵略される側だから、文句を言っているんで
しょうけど。実際、ソウヤーは正当だと思っているわけだし。
「お前は家族が(ベトナムがアメリカに上陸して)殺されるような状
況なのに、軍に志願しないのか?」みたいな論法を「非常に説得力
のある議論」とみなす人達に取っては、そうなんだろうなぁ。
「滅びの美」みたいな概念って西洋人には存在しないのか? この本
の安直な終り方には、ソウヤーには、そんなものは存在しないんだ
っていう確信を感じさせるものがありますね。
ワイヤ1本切るだけなんですか? もちろん、わざとそんな風にして
いるんだよね? とでも思ってやろう...
河野さん、こんにちは。私は同じパターンで新幹線の中で読みました;-)
|アメリカの裁判制度の話は、映画とかでも良く見るけど、この話にも
|さんざんでてくる陪審員ってのは、アメリカ人にとっても、不可解な
|ものなのかも知れないね。
最初、『死者の代弁者』みたいな理由での殺人かと思ったけれど、
違いましたね。ミステリーとしては、身体パーツを持ち去った理由の
合理的説明がキモなんでしょうが、なんで片目だけなんだろう、
とまだ腑に落ちていません。
ちょっと宣伝。
研究部門の一般向け宣伝用WEBをつくっているのですが、今回のナノバイオ
はSF編になってしまいました。
http://staff.aist.go.jp/w.mizutani/nanobio/
もとのページで「ミクロの決死圏」で始まっていたもので、あとはいろいろ
とネタをからませてみましたが、コメントや間違いがありましたらお知らせ
下さい。最後のギャグは、判る人には判ると思うのですけど、、、
水谷@産総研
やっと読み終ったい。(東京の蕎麦屋さんに本を忘れてしまって...)
確かにこれは名作ですね。こんなの読み落していたとは。初版が出
たときに買ってるんだけど、なんとなくつんどくになってました。
帯には「女王天使」がどうのこうのと書いてあったけど、全然、関
係ないですね。「火星転移」の方が名作だし。
このベル連続体へのアクセスってのはグレックの好きなアイデアな
のね。「天空の殺戮」にも出て来たし。「凍月」もどっかに転がっ
ているはずなんだが、屋探ししないと出て来ないだろうなぁ。
キャシーアという少女(っていうにはふけてるか.. 大学生から大人
になるまでみたいな感じだから)が、いろんな人と出会いながら(女
として政治家として)成長していく物語と、ベル連続体に関連する
発明(だよな...)から生じる火星の危機に関する話とその解決みた
いな話。そして、そこに火星の古代生物の話がちょっと混じるんで
すね。
なんだけど、恥ずかしいんだよね。「耳をすませば」じゃないけど、
「時代は少女漫画」ってわけかな。前半の火星の化石探しの旅の話
なんか「うわぁ、やめてくれぇ」ってところです。女性は、そんな
感じなんじゃないのと男が考えているようなところがあって、まぁ、
なんつうか、恥ずかしく出来上がっているわけですね。「天空の殺
戮」でも、そういう恥ずかしい話が出て来るんだけど、グレッグ・
ベアってそういう奴? 現実の女性は、もっと計算高いけどね。
まぁ、そういう恥ずかしさも名作のうちってところですか。こう
いうテーマだと「月は無慈悲な夜の女王」と比べられるわけです
けど、だいぶ方向性が違うので、うまく比較を避けるようにでき
ている気がする。ハインラインの方が楽観的に書いてますね。
じゃっかんねたばれぎみいきますが...
前半に出て来る地球にいく話は、ちょっとずれている気がする。僕
が読むと「地球=アメリカ、火星=新興国家(たとえば明治の日本)」
というわけなんだけど、少し違うのかな。ずれていると感じるのは、
火星から来た特使の扱いですね。いまいち政治的必然性が良くわか
らない。無視すれば政治的に特使は失敗なんだから、それで十分な
んじゃないかなぁ。
なんか秘密兵器を持っていそうだってだけで、あんな行動にでるっ
てのは、ちょっと無理があるような気がする。地球側の視点がない
から、説得力がない。でも、一方で、今のアメリカがイラクに対し
てやっているのは、まさに、そんなようなことなんだよね。ただ、
火星があまり無防備すぎるってのは(テロで転覆されそうになるの
はさすがに恥ずかしい...)必要な設定だとしても、無理筋だと感じ
ました。
そういうものの例としては核兵器や水爆があるわけだけど、そんな
風にはならなかったわけだしね。実際、こちらが有利なカードを持
っているうちに、政治的決着をつけなかった無能な政治家のせいだ
って気もする。まぁ、キャシーアも言っているように「こちらも
まずい手をうった」ってことなんでしょうけど。
ただ、こういう相互殺戮みたいになるってのは西洋文化の必然性で
もあるような気がする。おそらく、向うの読者はもっと素直に受け
入れられるんでしょう。相手が必殺の兵器を持っているんだから先
に殺るしかないってわけだね。もちろん、そうは考えない人も多い
んだろうけど、そう考えるグループが先走るってのは良くある話。
一方で、タイトルのMoving Marsという結果に走る火星は、非西洋
文化的な部分があるのかも知れない。でも、グレッグ・ベアの描く
火星の文化は極めて西洋的に映るけどね。こちらの敗走は、やっぱ
りアメリカ人にはあまり受け入れられないものなんじゃないかなぁ。
最後に逮捕されちゃうシーンがあるけど、それは、そういう部分を
代弁しているんでしょうね。それにベアが同調してないのは救い
を感じるけど。
In article <11668.10...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>, ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) writes
> このベル連続体へのアクセスってのはグレックの好きなアイデアな
> のね。「天空の殺戮」にも出て来たし。「凍月」もどっかに転がっ
> ているはずなんだが、屋探ししないと出て来ないだろうなぁ。
なんだけど、東京に帰ってみると、そこにありました。原題の「Heads」
は直接的すぎ。邦訳の方がかっこ良すぎ。
「凍月」は、月に研究用の巨大な冷蔵庫があって、それでその絶対
零度を作る研究をしていて、そこに、「おまけで」冷凍保存された
「人の頭」が運び込まれて来るというお話。で、その頭が政治的問
題、ここでは、サイエントロジーをもじった宗教組織と問題を起こ
すっていうだけの話ですね。火星転移では主役だった絶対零度とベ
ル連続体の部分は「おまけ」なのね。まぁ、若い政治家が苦労する
話という点では火星転移とおんなじ話ですね。
SF協会の会長とかやらされたベアの怒りを感じさせる「汚い政治」
と「科学」の接点の話ですね。火星転移も割とそういう話なので、
確かに「「凍月」と「火星転移」とはペアの話なのかも知れない。
ただ、火星転移の方が良くできてる。正直に言って、「凍月」は退
屈。
一つは、絶対零度と頭の話がまったく連係してないせいだと思う。
どっちかを追いたいのに、反対側を読まされる感じ。この感じは、
「斜線都市」でも感じだっけ。さらに、頭の話と、頭がらみの政治
の話が、これまた「まったく関係ない」。まぁ、もちろん、関連0
ってわけじゃないんだけどさ。
デニス・ダンヴァースの1999年の仮想世界もの。この前に「天界を
翔ける夢」ってのがあるんですね。そっちは読んでない。そういえ
ば、手に取って買うのを止めたような記憶があるけど。
なんか上巻が読むのが辛くって、また、本業が忙しいってのもあっ
たんだけど、ずいぶん時間かかった。下巻は1日で読めました。暇
だったからという説もあるが。(そんなことをその節に知れたらま
ずいが...)
「結構、真面目に死を扱うつもりなのね」ってのが上巻の印象で、
そのせいもあって時間かかったのかも知れないです。読み進むのが
辛いっていうか、そんな感じ。それくらい真面目。
だったのに、役者が出そろうと、一気に宗教的寓話になっちゃうの
ね。まぁ、そういうまとめ方もあるか。ソウヤーの「ターミナル・
エキスペリメント」は、もっと真面目だったけどね。
主人公相当が5人で話がややこしいとかあとがきにはあったけど、
グレッグ・ベアの「女王天使」みたいに、まったく関係ない話が展
開するってわけでもないので、僕には、割と単純な話だと思いまし
た。一つは、ローラとサム、そしてドノヴァンが、あまり主体的に
動いてなくて、他の人の動機にそって動いているからでしょうね。
「他人のために地獄までつき合う奴がいるのか?」ってのはローラ
でなくとも思うでしょう。
まぁ、二つの独立な仮想世界に閉じ込められたティルマンとステフ
ァニーの甘ったるいラブストーリーだと読むこともできると思う。
で、世界を救う話はおまけだってわけか。「恋と冒険」は違うだろ
って思うけど、下巻はそうかもね。
そう考えると、ずいぶんふざけた宗教観だよな。はっきり馬鹿に
しているとも言える。でも、ダンヴァースは大真面目で、普通の
アメリカ人は馬鹿にされているとも思わない... ってのがありそう
な話。
90年にかかれて94年に翻訳された早川文庫青背を、またまた発掘し
て読みました。うちの押し入れにはいったいどれだけ埋もれている
んだろうか?
題名の通り、ヒキコモリのファーザーコンプレックスのコンピュー
タが、可愛い女の子ロボット・マギーを作るお話です。さすが女流
作家って感じで、すげー恥ずかしい、少女漫画的展開で始まります。
ロボット側からの「女性的な」視点で書かれてるところが少し新鮮
かな。なんか幼稚園で読んだ木馬が主人とはぐれて冒険するって話
を思い出しました。木馬の冒険旅行だったかな。
ねたばれとかいうまでもなく、いつもの鉄椀アトムの展開なので、
ある意味で安心して読めます。そういう風に読めば、マギーは可愛
いし、ハッピーエンドっちゃ、そうなんだよな。読みやすいし、AI
関係の破綻もあまりないので二日で読めました。90年なら、AIに関
しては、かなり勉強しているほうじゃなかろうか? 特にメタ・アー
キテクチャ的な構造とかフラクタルメモリみたいなのが導入されて
いるのは今でも説得力があると感じました。あと、セックスに関し
て、ちゃんと書いているのは良い。これが女性の視点なのね。って
感じ。
でも、この年になるとひねくれた読み方になっちゃうね。で
ネタバレバリア..
ど
う
で
も
い
い
んだけどさ。
いくらヒキコモリといえどもホームレスっていう設定はどうなのか
なぁ... マギーに最初にやらせる仕事が乞食ってのも納得できない
です。アメリカ人には恥って概念はないのか? しかも金持ってない
ってわけでもないんだよな。
あと、マギーを色んな不幸が襲うわけだけど、きっと、アメリカで
は普通のことなんだよね。アメリカ人ってアメリカの治安の悪さを
当り前と思っているんじゃなかろうか? もっとも世界の基準として
は日本の方が異常に治安が良いんだろうけどさ。
それは、まぁ、アメリカの社会の問題なんだけど、マギーが創造者
から独立する際に、どうして、あんな暴力的方法を使わなければな
らないのかも納得できませんでした。もし、暴力的な方法を使うの
であれば、人類対ロボット、あるいは、人類抹殺まで、それほど距
離があるとは思えなかった。それだけに、暴力的手法を肯定する、
この女流作家には違和感を覚えました。つまり、マギーには、三原
則がはっきりないんだよね。自己保存優先っていうか。それが、女
性の本質なのかも知れない。男は違うんだよな。男は兵隊になって
死ぬのが主な職業だから。
で、じゃぁ、ロボットの自己保存ってなんなのだろう? この話では
ロボットの自意識はアプリオリに導入されていて、ウィルスかなん
かで起動される一種のサブルーチンかなんかみたいに扱われている
みたい。一方で、自意識があるかないかは、はっきり差別されてい
て、「自意識がなければ奴隷として使って良い」という論法が使わ
れている。これは「牛なら食べて良いが、鯨はだめ」というのとお
んなじじゃん。ちょっと反省が無さ過ぎっていうか、考えなさすぎ
じゃないか? 反省のない自己保存って、すごく危険な思想だっての
が良くわかってないじゃないかな?
特に、マギーが他のコンピュータにコピーされて自分自身を見て、
自分自身と会話するようなシーンがあるのに、そのあたりを人間と
まったく同じように扱うのは、かなり疑問に感じました。
正直に言えば、この話で一番怪物なのは、マギーでありテューリン
グであり、僕は、彼らを禁止するAI法は、人類に取ってまったく正
当なものだと思う。そして、それを肯定するのは、三原則なしの人
間を危険と思わないアメリカ人の道徳的低劣性の証だと思いました。
恥を知らないから、ホームレスになったりゴミあさりしたり物乞い
したりして平気なんじゃないの?
> 題名の通り、ヒキコモリのファーザーコンプレックスのコンピュー
> タが、可愛い女の子ロボット・マギーを作るお話です。
計算機械が出現する前は、コンピュータ(Computer)とは、計算する
人間のことでしたが、ここは、最近のお話だから、コンピュータ科学
者アーノルドのことですよね。
> ねたばれとかいうまでもなく、いつもの鉄椀アトムの展開なので、
> ある意味で安心して読めます。そういう風に読めば、マギーは可愛
> いし、ハッピーエンドっちゃ、そうなんだよな。読みやすいし、AI
> 関係の破綻もあまりないので二日で読めました。90年なら、AIに関
> しては、かなり勉強しているほうじゃなかろうか? 特にメタ・アー
> キテクチャ的な構造とかフラクタルメモリみたいなのが導入されて
> いるのは今でも説得力があると感じました。
ハヤカワ文庫のあとがきでも、拙著「ロボットにつけるクスリ」(ア
スキー)でも、このエイミー・トムソンは、フレーム問題をマジに採
りあげていると高く評価しています。しかし、実験室内でマギーが産
まれたときは、アトムのように(アトムは天馬博士に、マギーはアー
ノルドに)問題なく挨拶しているのに、室外へ出ると、データオーバ
ーフローでパニックってしまうというのは頂けません。室内で本を勉
強しているときでも、フレーム問題は(リアルタイムなストレスは少
ないとしても)深刻なはずです。
> で、じゃぁ、ロボットの自己保存ってなんなのだろう?
これがフレーム問題を解くための基準なんだそうです。パニックにな
ったとき、「自分を一番大切にせよ」とアーノルドに怒鳴りつけられ
て、やっと自己保存に無関係なデータを無視することを覚える。
しかし、しかしです。フレーム問題の難しさは、優先度の問題ではな
く、無関係なものと関係あるものとを判別をすることでしょう?
つまり雨滴が頬を濡らすことは、直接には自分の生存を脅かさないが、
接近してくるトラックを避けることは直接生存に関係がある、という
推理です。しかし、影響がもっと間接的だと推理は難しい。たとえば、
赤ん坊を反射的に抱き上げているシーンがありますが、それが警察の
目にとまるかもしれないし、母親から感謝されて助かるかもしれない。
あくまで、優先度の問題ではなく、推論の広がり・深さの問題だと思
います。
> この話では
> ロボットの自意識はアプリオリに導入されていて、ウィルスかなん
> かで起動される一種のサブルーチンかなんかみたいに扱われている
> みたい。
自己保存は後天的にアーノルドに教えてもらっているようです。
SFの作法通り、コンピュータには自意識は生まれつきあるもの、
また簡単に学習できるものとされています。私に言わせれば、
キューブリック・シンドローム(HAL9000のように、知能は簡単に
持てると信じている)に罹患しています。これを患っていない、
SF作品も、SFファンもほとんど居ませんね。
もっとも、チューリングテストの意味で知能をもっている(かの
ように見える)のは一向にかまわないので、そういう電気羊まで
含めれば納得ですが。
> 特に、マギーが他のコンピュータにコピーされて自分自身を見て、
> 自分自身と会話するようなシーンがあるのに、そのあたりを人間と
> まったく同じように扱うのは、かなり疑問に感じました。
最初は自分をコピーしたものでも、一旦コピーされれば他人のように
独立して行動しているのだから、自己参照など矛盾はあまり起こらな
いようですね。
> 正直に言えば、この話で一番怪物なのは、マギーでありテューリン
> グであり、僕は、彼らを禁止するAI法は、人類に取ってまったく正
> 当なものだと思う。そして、それを肯定するのは、三原則なしの人
> 間を危険と思わないアメリカ人の道徳的低劣性の証だと思いました。
> 恥を知らないから、ホームレスになったりゴミあさりしたり物乞い
> したりして平気なんじゃないの?
自己保存は教えてもらって身に付いたようだから、第三原則は持って
いるのでは?文庫本のあとがきによれば、「もともとマギーの最優先
指令は、アーノルドを幸福にすること」(これがどこに書いてあるの
か見つからなかったのですが)だそうで、もしそうなら、第一・第二
原則も持っているように思えます。
それと、閉じこもっていたチューリング(という名前のコンピュータ
です)が、チューリングテストに合格するのはちょっと難しいでは?
まあ、道徳的にはさておいて、キューブリック・シンドロームを自覚
しないSF全盛の中では、かなり楽しめるSFでした。
---------
星野 力@つくば
http://www1.accsnet.ne.jp/~thoshino/index.html
PS:拙著『幻層夢』を私家本として印刷しました。まずHPで立ち
読みしていただいて、ファンレターを送って頂ければ、在庫の範囲内
で無料贈呈します。なお、私はキューブリック・シンドロームにはか
かっていません;-)).
In article <3EA1EF64...@mail1.accsnet.ne.jp>, 星野 力 <thos...@mail1.accsnet.ne.jp> writes
> ヴァーチャル・ガールはいいですね。ケチをつけるところがあって
> も、好きなSFです。
つぼにはまってますね。アーノルドに感情移入していると、
ちょっとあれなんだけど。
> ーフローでパニックってしまうというのは頂けません。室内で本を勉
> 強しているときでも、フレーム問題は(リアルタイムなストレスは少
> ないとしても)深刻なはずです。
量的な問題かも知れないですね。観測主体が動いている方が情報量
は多いんでしょう。ただ、コアダンプに近い状態になるのは出来が
悪いとは思いました。普通は、動作が遅くなるように作ると思う。
(マイクロマウスを作っていたときは良く止まっていたけど..)
フレーム問題ってのは、僕は、限界のある情報で判断することによる
問題だと思うので、もともと解決できない問題の一つですよね。
> > で、じゃぁ、ロボットの自己保存ってなんなのだろう?
> これがフレーム問題を解くための基準なんだそうです。
フーカルポイントとかを持ち出すので十分なような気もしました。
自己保存っていうのは、自己を認識しないといけないので、AIのシ
ステムとしては難しい部類だと思う。自己を認識する自己見たいな
形で、リフレクティブ・タワーを作らないといけないわけですから、
最初から、それを想定してシステム構成しないといけません。とい
って、Recurrent Neural Network では単純過ぎるし。
ヴァーチャル・ガールでは、フラクタル状/螺旋状に処理を構成す
るような話が出ていたので、そのあたりも少し関連しているのかも
知れない。このあたりの単語の並べ方はなかなかなものです。
> SFの作法通り、コンピュータには自意識は生まれつきあるもの、
> また簡単に学習できるものとされています。私に言わせれば、
> キューブリック・シンドローム(HAL9000のように、知能は簡単に
> 持てると信じている)に罹患しています。これを患っていない、
> SF作品も、SFファンもほとんど居ませんね。
バリントン J ベイリーは、一応、真面目に考えてはいるようですね。
あとは、イーガンにちょっと期待します。
僕は、どっちかって言うと「メモリ1bitで十分に自意識がある」
ってな立場ですね。人間の意識も記憶に密接に結び付いていますし。
そういう意味では意識ってのは、あまり特別なものではないのかも。
第一原則がないこととか、妙に治安の悪い状況に関しては、もしか
すると、彼女はアメリカの治安の悪さの皮肉のつもりでそうしたの
かも知れないって気がしてきました。
In article <3988214...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>, ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) writes
> 90年にかかれて94年に翻訳された早川文庫青背を、またまた発掘し
> て読みました。うちの押し入れにはいったいどれだけ埋もれている
> んだろうか?
エイミー・トムソンのもう一冊を発掘してきました。ヴァーチャル
ガールが第一作だったのね。それで次がこれと。
しかし、この邦訳と表紙は詐欺だ。って話が前にも出ていたっけ。
「多彩の地(Many Colored Land) 」みたいなかっこいい翻訳は受け
ないんですかねぇ。そういえば、Unborn King は、もう翻訳されな
いんだろうか?
話自体は、調査中に不時着した女性科学者が、その惑星のエイリア
ンによって変身させられてしまい、次の宇宙船が来るまで、そのエ
イリアンの暮らしを強いられることになる。ってなものです。で、
そのエイリアンが森林居住型なんだよね。話は、もっぱら、森林生
活生物の文化を語るわけ。「10億の針」の逆ですね。こういう話は
なんかいくつかあったような気がする。良く思い出せないけど。
ロビンソンクルーソーみたいでもあるし。
というと、ル・グィンと比較されるのは避けられないよな。特に、
「世界の合言葉は森 (The word for world is forest)」かな。
SFファンダム関係の人らしいので仕方ないのかも知れないけど、こ
れも、ちょっと受けを狙いすぎなんじゃないかなぁ。全体的にあま
あまな感じ。ヴァーチャル・ガールと同じで安心して読めるんだけ
どさ。ル・グィンから、格調高さと悲劇を抜いた感じ。なので、が
んがん読める。まぁ、それは、僕がそう時期だってだけなのかも知
れないけど。
この話の中で大きな役目を果たすのが、アリューとかリンクとか呼
ばれる、エイリアン同士の生化学的な接合です。これが、ほぼ、万
能で、傷を直すことから、人間からエイリアンへの変身まで可能に
してしまうという... 一種のエンパス (スポックのあれだな) でも
あるし。面白い小道具ではあるんだけど、ちょっと、万能すぎるか
な。それが話をあまくしている要因の一つでもありますね。
主人公は最初リンクを嫌がっているんだけど、そのあたりが何故な
んだかは良くわかりませんでした。女性にはわかるのかも知れない。
凌辱なんて言う言葉が出てきたので。
9.11以降、人間ってのは馬鹿だってのは身に染みたので、この話だ
と必ず悲劇になるべきなような気がします。そういう意味で「世界
の合言葉は森」の方がリアルだと思う。
こういう状況だと、僕だったら惑星に残るだろうな。特に科学者
だったらそうだと思う。でもないんだろうか?
In article <3EA1EF64...@mail1.accsnet.ne.jp>, 星野 力 wrote:
>(元)筑波大・(現)自称作家、星野 力です。
おぉ,ハードSF作家の誕生ですね.
>ヴァーチャル・ガールはいいですね。ケチをつけるところがあって
>も、好きなSFです。
御意.ちゃんと(?)ファンタジーしているところが好きです.
>ハヤカワ文庫のあとがきでも、拙著「ロボットにつけるクスリ」(ア
>スキー)でも、このエイミー・トムソンは、フレーム問題をマジに採
>りあげていると高く評価しています。しかし、実験室内でマギーが産
>まれたときは、アトムのように(アトムは天馬博士に、マギーはアー
>ノルドに)問題なく挨拶しているのに、室外へ出ると、データオーバ
>ーフローでパニックってしまうというのは頂けません。室内で本を勉
>強しているときでも、フレーム問題は(リアルタイムなストレスは少
>ないとしても)深刻なはずです。
でもこれは処理能力との兼ね合いですから,有り得る設定ではないかと思い
ます.
>> で、じゃぁ、ロボットの自己保存ってなんなのだろう?
>
>これがフレーム問題を解くための基準なんだそうです。パニックにな
>ったとき、「自分を一番大切にせよ」とアーノルドに怒鳴りつけられ
>て、やっと自己保存に無関係なデータを無視することを覚える。
>しかし、しかしです。フレーム問題の難しさは、優先度の問題ではな
>く、無関係なものと関係あるものとを判別をすることでしょう?
う~ん,私は(凄まじく大量の)関係あるものの中からその文脈で適切なも
の/範囲を選択する問題だと思っております.
#いわゆる芸人の「ボケ」というのはこれを意識的に外す芸ではないかと思
#いますが,如何?
>つまり雨滴が頬を濡らすことは、直接には自分の生存を脅かさないが、
>接近してくるトラックを避けることは直接生存に関係がある、という
>推理です。しかし、影響がもっと間接的だと推理は難しい。たとえば、
>赤ん坊を反射的に抱き上げているシーンがありますが、それが警察の
>目にとまるかもしれないし、母親から感謝されて助かるかもしれない。
>あくまで、優先度の問題ではなく、推論の広がり・深さの問題だと思
>います。
同意.
#人間は処理時間を利用して選択しているのではないかと思います.
>> この話では
>> ロボットの自意識はアプリオリに導入されていて、ウィルスかなん
>> かで起動される一種のサブルーチンかなんかみたいに扱われている
>> みたい。
>
>自己保存は後天的にアーノルドに教えてもらっているようです。
>SFの作法通り、コンピュータには自意識は生まれつきあるもの、
>また簡単に学習できるものとされています。私に言わせれば、
>キューブリック・シンドローム(HAL9000のように、知能は簡単に
>持てると信じている)に罹患しています。これを患っていない、
>SF作品も、SFファンもほとんど居ませんね。
>もっとも、チューリングテストの意味で知能をもっている(かの
>ように見える)のは一向にかまわないので、そういう電気羊まで
>含めれば納得ですが。
自己保存機能は(種としての,為念)進化機構があれば自然に(必然的に)
発生するはずのものですが,これを外部から与えるのは結構難しいように思
います.
>> 特に、マギーが他のコンピュータにコピーされて自分自身を見て、
>> 自分自身と会話するようなシーンがあるのに、そのあたりを人間と
>> まったく同じように扱うのは、かなり疑問に感じました。
>
>最初は自分をコピーしたものでも、一旦コピーされれば他人のように
>独立して行動しているのだから、自己参照など矛盾はあまり起こらな
>いようですね。
そうでしょうね.元々人間は自己を他者として認識する仕組み(自分を客観
的に眺める仕組み)を持っていると思われますし.
>まあ、道徳的にはさておいて、キューブリック・シンドロームを自覚
>しないSF全盛の中では、かなり楽しめるSFでした。
人工知能をライフワークにしているとこの手のテーマのSFは中々楽しめな
いのですが,これは明るくて好きです.
--
Hideki Kato <mailto:ka...@pop12.odn.ne.jp>
----== Posted via Newsfeed.Com - Unlimited-Uncensored-Secure Usenet News==----
http://www.newsfeed.com The #1 Newsgroup Service in the World! >100,000 Newsgroups
---= 19 East/West-Coast Specialized Servers - Total Privacy via Encryption =---
一部引用の順序をかえています。
>>>>> 星野 力 <thos...@mail1.accsnet.ne.jp> さんの wrote:
>>>>> in <3EA1EF64...@mail1.accsnet.ne.jp> より
in <3988214...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>, Shinji KONO wrote:
> > それは、まぁ、アメリカの社会の問題なんだけど、マギーが創造者
> > から独立する際に、どうして、あんな暴力的方法を使わなければな
> > らないのかも納得できませんでした。
この点について、読んでて河野さん程違和感を覚えなかったのは、
子どもが産みの親から独立した人格を獲得する成長物語として
読んでいたからかなんだろうなぁと思います。
人が主人公である物語では、親から独立するのに反抗的な手段を
用いているものが結構あります。もちろんそれは、物語を面白く
する(青少年の共感を得る)ための道具としての比喩的表現であって、
実際にはもっと緩やかな形を取る場合が大多数なのでしょうけど。
で、そのAI版なのかなぁと。
この話と同じ『主人公の女性は母親から独立する。一方AIは、独立
した人間性を獲得する』というテーマを持った物語に、タニス・リー
さんの銀色の恋人がありますが、それを連想しながら読んでいた
からかもしれません。ヴァーチャル・ガールでは、主人公の女性が
同時にAIであり、産みの親は母親ではなく男性のアーノルドです。
こちらの話はもっとファンタジックな道具立てになっていて、AIは
人の形をしたアンドロイドの中に隠された不可知な存在として描写
されています。
職業的な訓練と精神的な独立を絡めて書いていないのは、この話と
同じです。
> > で、じゃぁ、ロボットの自己保存ってなんなのだろう?
>
> これがフレーム問題を解くための基準なんだそうです。パニックにな
> ったとき、「自分を一番大切にせよ」とアーノルドに怒鳴りつけられ
> て、やっと自己保存に無関係なデータを無視することを覚える。
これはコンピューターにとっては凄い発想なんでしょうね。
勝手にデータを消しちゃうパソコンがないように、一般的なそれに
とってはデータが全てであって、自分なんていう概念はないだろうし、
データより自分の方が大事だからデータは捨てちゃえなんていうことは
思うべくもない。
> > 正直に言えば、この話で一番怪物なのは、マギーでありテューリン
> > グであり、僕は、彼らを禁止するAI法は、人類に取ってまったく正
> > 当なものだと思う。そして、それを肯定するのは、三原則なしの人
> > 間を危険と思わないアメリカ人の道徳的低劣性の証だと思いました。
>
> 自己保存は教えてもらって身に付いたようだから、第三原則は持って
> いるのでは?文庫本のあとがきによれば、「もともとマギーの最優先
> 指令は、アーノルドを幸福にすること」(これがどこに書いてあるの
> か見つからなかったのですが)だそうで、もしそうなら、第一・第二
> 原則も持っているように思えます。
持ってない部分も内に秘めていたり。^^;
自分最優先の別の人格として表現されている辺りは面白いです。
昔のSFのロボット観のように、人を殺そうとすると電源が切れたり、
壊れちゃったりするとわかりやすいのかも。けど、そういう仕組だと
誤動作しやすそうですね。確実に判定する知覚なんていうのもない
だろうし。
結局、それをどう認知するかという問題が関わってくるんだろうと
思います。高度なAIだと、人間と同様に知覚を歪めて回避したり
するだろうし、価値判断なんかも出てくるだろうし。
ロボット三原則と殺人や命令不服従は矛盾しないのだというのは、
結構昔からあるテーマで、いくつか読んだ記憶があります。
本を読んでゆくと、アーノルドを守らなきゃいけないということと、
他人を殺してはいけないということについては、かなり強い強制が
かかっているようです。マギーにとって、アーノルドは特別な存在
として設定されているんですよね。
#アーノルドを守るために他者を殺すことまでするように作られたか
どうかまでは書かれてないけど、イレギュラーな人格の発生が
なければ、そうまでしなかったんじゃないかなぁというのは善意の
解釈。
他者を愛するとか、幸福にするとか、周囲のことに好奇心を持つ
という規範については、学習を方向づけて強化するようなものに
なっているみたいです。
アーノルドを守れず、人を殺してしまったマギーは、自分の記憶を
消して、アーノルドなんかいなかったし、自分は人を殺していない
と思い込んで自分を守ろうとします。
その状態で他の人と関わることによって、自分を作った絶対者の
アーノルドも人間の1人に過ぎないんだということを知るわけです。
戻ったアーノルドの元から逃げ出したのは、独立した存在である
自分が他者に所有されるという矛盾とか、生殺与奪の権限を
握られたことを実感をしたからでしょう。
ここの部分をちょっと読みなおしてみると、具体的な契機になる
ことがなく逃げているので、確かに唐突に感じるかなぁ。
それでは。
--
mihi~star <mi...@childstar.club.ne.jp>
あと少し探せば きっと見つかりますよっ♪
ダンヴァーズのエンドオブデイズの前の時代に相当する天界を翔け
る夢です。エンドオブデイズが蛙の王子様で、こいつがロミオと
ジュリエット。
エイミー・トムソンに比べると読みづらい。まぁ、少女漫画まっつ
ぁおの恥ずかしい恋愛ものでもあるからなんだけど。面白がって
書いているって感じ。
仮想世界にいる少女ジャスティンと現実世界に固執する少年ネモと
いうのが恋の障壁なわけだけど、ちょっと無理あるよね。でも、そ
の無理を結構複雑な背景でもっともらしく見せてます。結構、ジェ
ットコースター的にぐるぐる話が廻る。
ガブリエルが仮想世界ビンをウィルスで破壊しようとする話
ビンを作ったニューマンの暗躍
ネモの両親の陰謀
ジャスティンの過去
とかが絡み合うのがなかなか面白い。ダンヴァーズは複数のプロッ
トを破綻なく繋ぎ合わせるのがうまい作家ですね。ザッピング感み
たいなのをねらったものよりも良い感じ。最近読んだSFはダンヴァ
ーズに限らずどれも佳作だな。
エンドオブデイズと重なっているところも結構あるんだけど、フレ
ディは、こちらの方が好ましい感じで、ニューマンは、こちらの方
が人間的な感じ。まぁ、ビンに長くいればそうなるか。イーガンの
Diaspora も仮想世界ものだけど、時間が立てばイーガンのように
リアルな人間性は維持できなくなるって方が説得力があるように感
じます。
このビンの設定だと、ほとんどの人類はビンに入ってしまって、地
上に残るのはわずかになるんだけど、それはどうなのかな? ゲイト
ウェイとかだと逆で、大半の人は入らないという設定だったりする。
ビンにはいつでも入れると考えると、地上での生活をある程度、維
持してから移るというのが妥当かな。そうであれば、地上が荒れ果
てるってこともないと思うんだけど。
若干ネタばれになるけど、まぁ、だからどうだってわけでもないが...
そ
う
い
う
お
話
..
エンドオブデイズでは最初からばればれなんだけど、ビンの口を閉
じるってのが必然だというのは結構異常な考えだと思う。奴隷であ
るコンストラクトもいるわけだから、もっとたくさん作れば良いん
だよね。エンドオブデイズでは実際そういうことになるわけだし。
とはいえ、日本も鎖国したりしたからなぁ。コンストラクトの多重
人格とかジャスティンの夢とか(それは同じものだけど)もその異常
さを際だたせている。これはダンヴァーズの持っている異常さなの
かも知れないし、わざとかも知れない。たぶん、わざとでしょう。
おばあちゃんコンプレックスのネモもなかなか面白い。怒って出て
行っちゃうところなんかは、もちろん、わざと馬鹿に書いているわ
けだけど、これは、若い奴はそうかもねという感じで読んでました。
ジャスティンが自分は誰なんだと言うように悩むのも、ある意味で
は良くある思春期の悩みだよね。そういう意味では正統的な小説な
んだよな。
ロメジュリというので悲劇を期待して読んでいたし、そういう方向
にどんどん話は進むんだけど... もしかして、最近のSFって悲劇は
禁止ですか? そういえば短篇以外に悲劇を読んだ記憶がないなぁ。
In article <3988190...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>, ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Sh
inji KONO) writes
> デニス・ダンヴァースの1999年の仮想世界もの。この前に「天界を
> 翔ける夢」ってのがあるんですね。そっちは読んでない。そういえ
> ば、手に取って買うのを止めたような記憶があるけど。
「天界を翔ける夢」は実は大学の本棚に埋もれていました。結局、
買ってたのね。表紙を見ると確かに買ったような記憶があった。
ちゃんと初版を買っているんだよな。買ってすぐ読まなくなったの
はいつごろからなのか?
もっともBookoff で探すってのもあるけどね。
(Followup-to も Re: も直してないなぁ。自作のニュースリーダだから
自分が直さんといつまでも直らん...)
Shinji KONO wrote:
> 河野真治 @ 琉球大学情報工学です。(中略)
>もしかして、最近のSFって悲劇は禁止ですか? そういえば短篇以外
>に悲劇を読んだ記憶がないなぁ。
そうなんです。エンタメとは読者をもてなし、楽しませるものなので、
悲しませてはいけないのでしょう。
拙著『幻層夢』(ファンレターを頂いた方に無料進呈中)を某出版
社に打診中、「主人公が病気になって、不幸になるのは困ります」
と言われ、主人公と脇役を入れ替えるという荒技をやりました
(それでも出版してくれない)。
「どうして成功物語にされなかったのですか」という質問が読者か
らも来ます。成功物語にするとプロジェクトXになってしまいます。
>「天界を翔ける夢」は実は大学の本棚に埋もれていました。結局、
> 買ってたのね。表紙を見ると確かに買ったような記憶があった。
この失敗はよくやっていました。3冊も買ってしまったことがあり
ます。手帳にSF蔵書リストをもっていて、カウンターへ持ってい
く前にチェックしていました。
星野@つくば
(幻層夢: http://www1.accsnet.ne.jp/~thoshino/index.html )
In article <3EA7733C...@mail1.accsnet.ne.jp>, 星野 力 <thos...@mail1.accsnet.ne.jp> writes
> そうなんです。エンタメとは読者をもてなし、楽しませるものなので、
> 悲しませてはいけないのでしょう。
ひどい。それって言論弾圧だよなぁ。
もっとも、出版と言うメディア自体が消滅ししつあるんでしょうけ
どね。編集者は何を考えて編集しているのかってのは、良くわから
ないところもあります。
> 拙著『幻層夢』(ファンレターを頂いた方に無料進呈中)を某出版
> 社に打診中、「主人公が病気になって、不幸になるのは困ります」
> と言われ、主人公と脇役を入れ替えるという荒技をやりました
> (それでも出版してくれない)。
電子ブックとかはどうでしょうね?
> この失敗はよくやっていました。3冊も買ってしまったことがあり
> ます。手帳にSF蔵書リストをもっていて、カウンターへ持ってい
> く前にチェックしていました。
結婚したときに、家内が持っている本とCD /レコードなどがかなり
重複していて、もはや気にならないです。沖縄と東京に二冊ずつあ
ったりとか。あはは。
最近は逆に学生に貸すためにわざと重複して持っていたりします。
学生のための必読SFってのを考えると良いかも。(教科書じゃない
んかい...)
「プランク・ゼロ」と「真空ダイアグラム」ですね。
プランク・ゼロの方がいろんな話が入っていて面白いんだけど、真
空ダイアグラムの方はジーリーのワンパターンな話でつまんない。
といいつつ、ゴーストの方がまたシリーズになっているみたいね。
こういう方が量産しやすいんだろうな。それはそれで仕方ないか。
バクスターは、マニフォールド三部作を英語で読んだので、その印
象が強かったんだけど、その分、短篇は駄作が多いですね。SF的ア
イデアに振り回されているものが多く、説明自体も破綻気味。
マニフォールドもそうなんだけど、人類が数億年あるいはそれ以上
生き残るって、バクスターが言う程、重要だとは思えない。ダウン
ロードってのが、少し出てくるけど、ダンヴァーズやイーガンほど
メインにはならない。それがむしろ不思議な感じがする。やっぱ、
宇宙旅行とか宇宙文明には肉体は不要でしょう。むしろ、次に来る
べきものに僕達は何ができるのか考えるべきなのかもね。それがフ
ォティーノであってもぜんぜん構わないと僕は思う。むしろ、フォ
ティーノにダウンロード、つうか、人類自体をダークマター化すり
ゃいいんじゃないの? とか考えてました。真空ダイアグラムの閉塞
感みたいなのは自業自得って気もします。
ジーリー・クロニクルは、もちろん、ゲイトウェイ・シリーズと比
較されるべきものだと思うんだけど、あとがきに、ゲイトウェイへ
の言及がぜんぜんないのは、ちょっと変かな。ぜんぜん関係ないっ
てわけにはいかない話ですよね。ゲイトウェイがヒーチーで、こっ
ちがジーリーだからなぁ。
プランク・ゼロは、何故か、凍月と同じはなし。絶対零度とかプラ
ンク定数ゼロで空間の性質が変わる。そういえば、非A にもそんな
話があったな。ブラックホールに閉じ込めるっていうのは、ちょっ
と安直な落ちだと思う。
ロジック・プールとかゲーデル・フラワーは、ちょっと新しい方向
かな。物理的な空間と数学的な概念が対応するってのは、数学的に
は、ちょっと限界ありすぎな気もしますけどね。
天の筏関連の話もあるけど、どうも、ピンと来ないな。面白いと感
じませんでした。
バクスターって「古いSF作家」なのね。新しいのが何かって言われ
ると、それがあまりないのがSFのいきづまり感なんでしょうけど。
A.C.クラークに絶賛されるんじゃなくって、けなしまくられるって
方が将来性があるのかも。
In article <3EA7733C...@mail1.accsnet.ne.jp>, 星野 力 <thos...@mail1.accsnet.ne.jp> writes
> 拙著『幻層夢』(ファンレターを頂いた方に無料進呈中)を某出版
ってわけで読んでみました。この程度だと、もはや短篇ですよね。
進化するソフトを使った自動演奏ウォークマンと、一時話題になっ
た画面のちらつきの問題を組み合わせて、たまごっちブームと、夢
の中の夢の話が進行するってな感じ? 集団意識みたいな方向に話が
進んでいき、そこに神が絡んでワイドスクリーンになるのかっとい
うところで終るので、ちょっと物足りない気がしました。
ちょっと地味な小道具かも。巨大並列マシンみたいなのを期待して
いたわけでもないんだけど。
大学や会社の様子は日本風にリアルで。居酒屋でぐちっているあた
りも。大学のゼミとかはちょっと恥ずかしい。そういえば並行して
読んでいる「重力の影」もワシントン大学の物理学科の雰囲気をリ
アルに書いている... やっぱり、日本って言うかソフト関係の方が
少ししょぼい?
前半のゆっくりしたテンポは、眉村卓とかの日本のSF作家の感じを
思い出しました。商品化のあたりは軽く流しすぎかも。本当は、も
っと金も人もかかると思う。
夢と現実と段組で区別するのはわかりやすいかと思ったけど、後半
はなくなっちゃうのね。夢のレベルを表すメータみたいなのが出て
来るのは面白い。後半は、スルーモードとか緑のビームとかが、ち
ょっと突き放した感じで、ちょっと良く理解できませんでした。テ
ンポは後半が良くて、話の面白さは、むしろ前半にあるってことか
も。
僕自身は、
横書きで数式やら証明やらグラフやらが出て来るSF
っての読みたい気もする。面白い論文でもいいんだけどさ...
『幻層夢』の原作者の星野です。お読みいただいてありがとうございます。
しかし、原作者が作品をくどくどと解説(というか、言い訳になりそう)
するのは変ですので、ここはご感想をありがたく「ご尤も」と頂いておき
ます。読者とのQ&Aや著者の解説に興味のある方は、私のHP
http://www1.accsnet.ne.jp/~thoshino/
をお訪ねください。
> 僕自身は、
> 横書きで数式やら証明やらグラフやらが出て来るSF
> っての読みたい気もする。面白い論文でもいいんだけどさ...
そうですか……。書きたくなりました。
実は、FF方式(上段にフィクション、下段にファクトを書く)というスタイル
で半分ほど書いていたのですが、ファクトに相当する部分を「甦るチューリン
グ」
(NTT出版)として昨年出版してしまったので、現在中断しています。
星野@つくば
In article <3988308...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>, ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) writes
> 大学や会社の様子は日本風にリアルで。居酒屋でぐちっているあた
> りも。大学のゼミとかはちょっと恥ずかしい。そういえば並行して
> 読んでいる「重力の影」もワシントン大学の物理学科の雰囲気をリ
> アルに書いている... やっぱり、日本って言うかソフト関係の方が
> 少ししょぼい?
ってわけで「重力の影」です。大学の話がリアル。ビットネット、
Hyper VAX、HEPNET、VT-220 そうそう、そういう時代の話なのね。
このアイデアは... バクスターとクラークのあれとおんなじような
ものだな。使い方がえげつないところもそっくり。
まぁ、そのあたりを気にしなければ佳作かな。途中に出て来る
トンのお話の方が面白いような気がするのは気のせいか?
最初の乗りは、まるで「宇宙のスカイラーク」。ちょっとエンジン
がかかるのに時間がかかるけど。少し小さくまとまり過ぎな気もし
ます。Eienstein's Bridge は翻訳されているのかな? もっとも、
最近は、英語で読むことも結構多いわけだけど。
今後は電子媒体で自動翻訳を使いながら読むようになるんですかねぇ?
クリックするだけで辞書があくってだけでもうれしい。
In article <3988344...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>, ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) writes
> ってわけで「重力の影」です。大学の話がリアル。ビットネット、
> Hyper VAX、HEPNET、VT-220 そうそう、そういう時代の話なのね。
中に出て来るハッキング(クラッキングだろっていうのはあるけど)
の手法は、当時としてはリアルじゃないかな?
log をあさってパスワード入力ミスを見付けたり、トロイの
木馬を入れたり。まさか、ちょっと長いパケットでサーバが
落ちるとは当時の人は思わなかったわけだけど。でも、
この頃には既にInternet Wormの騒ぎはあったはずだけどね。
どれも英語で読んだものなんだけど、和訳の文庫も買ってつんでお
いたのを読み直してみました。
ファウンデーションの彼方/ファウンデーションと地球は、二つで
一つの物語。夜明けのロボット/ロボットと帝国の関係とちょっと
似てる。そして、その話をファウンデーションの世界の方からなぞ
ってみせるわけだね。
夜明けのロボット/ロボットと帝国も英語で読んだんだけど、確か、
買ったときには既に翻訳が出ていたと思う。アシモフは割と読みや
すい英語なんだよな。ファウンデーションと地球は読みにくかった
記憶があります。
ファウンデーションの彼方は、避雷針というタイトルで先に考えた
部分があるらしい。 だいたい、どこら辺かはわかる気がします。
ロボットと帝国にも心理歴史学の話がちょっと出て来るので、おそ
らく一緒にしようという考えは、避雷針というタイトルの時にもあ
ったんでしょう。
ファウンデーションと地球は、ロボットものとのすり合わせになっ
てます。たぶん、こちらを考えて、初めて、彼方をどう完結させる
かを決めたのではないかと想像します。彼方の方の話で、地球を探
しにいく話が、あっちにいっちゃうので、完結させるためには、ァ
ウンデーションと地球が必要だったんだよね。
ガイアが出て来るのは、ちょっと唐突。たぶん、最初は入ってなか
ったんでしょう。こういうのが出て来ると人類が終っちゃう感じだ
し。新三部作でも「ファウンデーションと地球」の後のガイアの時
代は出て来ないんですが、僕は、割と書く余地あるような気もする。
ガイアは単一の意識ってわけではないので、そこに複数の人格の
相互作用ってのはあるはず。そこに物語の余地があると思います。
9600ボーが高速通信の代名詞として使われてたりしてましたね。。
あと、すこしネタバレになりますが、、、
一発逆転技に使われてたのが Phys.Rev.Lett への電子投稿ですが、
今じゃブラウザで修正から校正刷りチェックまで出来るまでに
進化してしまいました。
しかし、巨大企業だったらレフェリーを調べ上げて買収し、論文を
リジェクトさせてしまえばプライオリティを失わせることが出来ると
思いますが。。プレプリントという手もありますが、特許絡みの法律で
これがどういう扱いになるかは微妙ですね。
-
M.Itakura, Tokyo, Japan
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-SanJose/9606/index.html
最近は、量子コンピュータがらみはWWW中心で議論が行われていた
りするようだし...
この話って、まぁ、良くある多次元宇宙ものなんだけど、こっち側
と向こう側に「機材のあるなし」という非対称性があるのは、ちょ
っと変だと思いました。
そのあたりの説明が合理的に出来たりすると面白かったんだけど。
ダークマターが重力しか相互作用を持たない物質であるとかは良く
見るけど、多次元宇宙に相当するとかは割と新鮮だった。
In article <3988370...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>, ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) writes
> どれも英語で読んだものなんだけど、和訳の文庫も買ってつんでお
> いたのを読み直してみました。
の続きです。アシモフの晩年の作。「お前たち、こういうのが読み
たかったんだろ?」と言われているみたい。その通りです。これも
二つペアで読むべき話ですね。
出てすぐに読んだはずなんですが、当時もfjになんか書いた気もす
るんだけど、少し記事をなくしてしまった所もあるので... 見付か
らない...
英語で読んだときも、なんかつながりが悪いとか説明が良く分から
んとか思ったんだけど、日本語で読んでもそうなので、特に英語の
問題ではなかったのね。結論をはっきり書かないのはわざと?
誕生は最初のファウンデーション三部作に習った構造になっていて、
結構嬉しい感じ。おぉ、セルダン危機じゃん。みたいな。
ちょっとねたばれありでいきますが...
若い頃のハリ・セルダンがR.ダニエルと関係しながら成長して行く、
あるいは、心理歴史学自体が成長して行くってのは面白い。そうい
ったものが可能なのか? みたいなアシモフの自問でもあるんでしょ
う。
序曲のセルダンが逃げ出すあたりの無理矢理さ加減は、ちょっとひ
どい。いきなり幽閉されそうになるとかそういうのがあれば、もう
少し納得できるんだけど。
ユーゴ・アマリルの登場は序曲では本当の「ちょい役」なのね。彼
のモデルは、きっと、ラマヌジャンなんだろうな。だとすれば食事
とか奥さんとかの話が出て来ると面白かったと思う。
ドースにテレパシーがないのは異常な設定だと思う。セルダンの能
力を加速させる機能がない方が変。誕生の方のアマリルは明らかに、
そういう圧力下にあるように読めます。おそらくテレパシーと能力
の強化の機能はあるんでしょう。しかし、明示的には書いてないね。
セルダンの一人称小説だからセルダンが気づいてないだけなのかも。
序曲ではトランターを頂点とする帝国の構造が心理歴史学を可能に
するみたいな結論だと思うんだけど、それだったら数学なんている
の? って気もするね。実際、そういう記述も出て来るあたりアシモ
フ自体数学の役割には疑問があるのかも知れない。
誕生の方ではプライムラディアントの記述に期待していたんですが、
浄化機ってなんだ? しかも、極めて優秀で、実際に、メインの成果
を出したエラ博士を殺しちゃうのはひどい。3原則はどうした!
第零則的にもドースなんかより、エラ博士の方が重要だと思うのは
僕だけか? この手の装置への対処はR.ダニエルは良く知っているは
ずだし、そういう予防措置もあるはずなんですけどね。新シリーズ
ではドースは甦っていたりしますが、ちょっと安直かなぁ。
最後のワンダとパルヴァーの話は「それってインチキじゃん!」み
たいなものだけど、二人ともR.ダニエルの操作が入っていると考え
る方が妥当でしょうね。そのあたりの関与を明示的に書くのはさす
がに抵抗があったのか? 第一巻でも「なんでターミナス(テルミナ
スって方がピンと来るんだけど)にきまっとる」なのかってのは実
は第三巻になって「なんだ、そういうインチキがあるのか」って感
じだったけど。ある意味で誕生では、ねたばれは最初からわかって
いるので、それでもいいんだけどさ。
資金の話が出て来るけど、心理歴史学の部分的な応用としては株式
市場があるので、そのあたりで大儲けしたとかいう方が面白かった
かな。
In article <3988414...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>
ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) writes:
> の続きです。アシモフの晩年の作。「お前たち、こういうのが読み
> たかったんだろ?」と言われているみたい。その通りです。これも
> 二つペアで読むべき話ですね。
おっと、誕生の方は読んでない気がします。
> 序曲のセルダンが逃げ出すあたりの無理矢理さ加減は、ちょっとひ
> どい。いきなり幽閉されそうになるとかそういうのがあれば、もう
> 少し納得できるんだけど。
逃げ出すのは、多いからなあ。名前を忘れちゃうんだけど、成行き
で地球を探しにいく議員とか。
何万年後に「大学の自治」が残っているんでしょうかね。
日本国の大学はどうなるんでしょうね。
> ドースにテレパシーがないのは異常な設定だと思う。セルダンの能
> 力を加速させる機能がない方が変。誕生の方のアマリルは明らかに、
> そういう圧力下にあるように読めます。おそらくテレパシーと能力
> の強化の機能はあるんでしょう。しかし、明示的には書いてないね。
> セルダンの一人称小説だからセルダンが気づいてないだけなのかも。
ドースには、テレパシーも何にもない方が楽しいと思います。
Scientific Fantasy だし。
原書の本の日付は1988年となっていますが、強い女性が大立ち回り
するあたり、そういう時代かなあと思います。「宇宙の小石」は、
古い感じがするけれど。
> 序曲ではトランターを頂点とする帝国の構造が心理歴史学を可能に
> するみたいな結論だと思うんだけど、それだったら数学なんている
> の? って気もするね。実際、そういう記述も出て来るあたりアシモ
> フ自体数学の役割には疑問があるのかも知れない。
一応、理屈は、「単純じゃないとモデル化できない」ということに
なっているんじゃないですか。
> 若い頃のハリ・セルダンがR.ダニエルと関係しながら成長して行く、
> あるいは、心理歴史学自体が成長して行くってのは面白い。そうい
> ったものが可能なのか? みたいなアシモフの自問でもあるんでしょ
> う。
ロボットものと銀河帝国ものの大統一の最初って、夜明けの方でし
たっけ。あ、年代順に発刊されたんじゃないんだった。
アシモフの大統一理論は、成功したと思います。ロボットものは、
現実のコンピュータの方が偉い部分が出てきたりして、あんまり読
んでないんだけれど、統一理論の方は楽しみました。宇宙船の操縦
をロボットにさせて、宇宙船を壊してしまう話があったと思いまし
た。それはあんまりにあんまりだと思ったので。
大統一理論というと、松本零二の大統一理論という恐ろしい話を最
近聞きました。
\\ 新城 靖 (しんじょう やすし) \\
\\ 筑波大学 電子・情報 \\
邦訳が出てるのは知っているんですが、何故か英語で読みました。
そろそろ電子ブックで読みたいよ。辞書引くのめんどくさい。(っ
て、わからない単語があっても、ほとんど引かずに読んでいるんだ
が...)
前半がバンパイヤと戦うリングワールド原住民の話。後半が、
プロテクターのお話。
前半は単なる戦争物になっちゃってる。つまらないというわけでも
ないんだけど... リングワールドって異常に広いんだから、別に、
そんな戦わなくてもいいんじゃないの? っていうか、ローカルに戦
っても、全体から見ると、ほとんど、影響無いんじゃなかろうか。
サンフラワーでもそうなんだけど、一つの生物がリングワールド全
体を占拠してしまうっていう恐れがニーブンは強いみたいなんだけ
ど、こういう一次元的できわめて距離のある世界だとそうはならな
いんじゃないかなぁ。
あと、バンパイヤの催淫臭の対抗策って、そんなに難しいのかな?
Audo Doc' みたいなものがあると、そういうものに対する解毒薬
っつうか対抗薬みたいなものが作れそうな気がする。
後半のプロテクター同士の争いと、ルイス・ウーの、そこへの介入
も、僕にはピンと来ませんでした。誰が勝ってもいいじゃん。見た
いな感じ。これも、ニーブンが多様性の本質と必然性をわかってな
いからじゃないかなぁ。まぁ、確かにブランみたいな間抜けに玉座
に座って欲しくはないが。
もっとも、今の現実社会も、そういうのを理解している人はあまり
いなくて、均一な社会とか社会制度とかを広めることを良としてい
る人が多いんだろうな。
リングワールド自体の無理さ加減は、既に、いろいろ突っ込まれて
いるんでしょうけど、なんかまとめたものはないんですかね?
どうやって作るのかってのが興味がありますが、角運動量保存はど
うするんだろう? 静止軌道上に作って回転させるってのはまずいよ
ね。でも、リングになる前に回転しているというのも無理あるし。
リングっていうよりは、ストリングみたいなものですよね? 全体が
波打ったりすると思うんだけど、そういう描写はないんだよな。と
っても剛性があるという設定なんでしょうが、それだと神の拳山は
出来ないんじゃないかなぁ。
ソフトウェア、ウェットウェア、フリーウェアと続くルーディ・ラ
ッカーのシリーズの一番古い奴。86年? ふーん、って感じ。
ウェットウェアは読んだ記憶があったんだけど、ソフトウェアはど
うも「買ってなかった」らしい。最近、どっかで見つけたので買い
ましたです。実は、この三部作は名作だというのを発見しました。
ソフトウェアの話の前に、コッブ・アンダーソンが進化するロボッ
ト(バッパー)を作って、それが反乱する話があるのね。おそらく、
それは短篇なんだろうな。どっかに発表されているんですかね?
で、ソフトウェアでは、その大バッパーが地球でうらぶれた老人に
なっていたコッブの心をソフトウェアとしてバッパー頭脳に移植す
るってのをやって上げる話。ところが、その大バッパーは、ステイ
・ハイっていう馬鹿者の手伝いで、バッパー労働者階級に反乱され
て倒れちゃう。で、コッブは哀れ、そのまま消されちゃうのね。で、
最後にステイ・ハイは、何故か、ウェンディっていう可愛い女の子
を妻にするんだよね。
ウェットウェアでは、ステイ・ハイ改めスターンが、殺人事件
の操作をするうちに、バッパーの人類一体化計画みたいなのに
いきついて、で、まぁ、それは阻止されるんだけど、ユカワの
その報復によって、バッパーは、モールディっていう知性を持つ
カビ生物に変えられちゃう。で、その過程で、何故か、スターン
は、元の奥さんのウェンディ(自分で殺しちゃってたんだけど)
のクローンが、そのモールディに乗っ取られて復活するという
うれしい目にあうわけ。
フリーウェアは、そのモールディが大活躍してモールディを奴隷に
しようとする人類の陰謀を阻止している、のとまったく別なところ
で、月の方で、宇宙線の中から宇宙人を復活させるなんていうのが
実現し、これまた、あやうく人類は抹殺されそうになるんだけど、
モールディの活躍で阻止されるというそんな話だな。
どうでもいいけど、一貫した話を書けないのか? こいつは。でも、
なんか、それが良い感じなんだよな。なんか続きがあるって話なの
で、期待してます。本当かよ、おい。
ソフトウェアは、さすがに古い感じがするかな。ジョセフソン素子
とか出て来ちゃうからね。といいつつ、記憶の抽出をRNAレベルでNMR
とか化学的分析(脳を直接削りつつ...) 行なうとかいうのは、ダン
ヴァースとかより全然説得力あるぞ。そのついでに脳を食べようと
するところの記述なんか、もう最高って感じ。
あと面白かったのは「ワン(one)」記述だな。おそらくは、その短
篇とかに入っているんだろうけど、進化する時のきっかけを提供す
る乱数を宇宙線から得るっていう機構があって、それが、バッパー
の中で宗教のような役割をするってやつ。日本人に取って宗教って
のはあんまり重要でないんだけど、西欧人にとっては、なんか「必
要なもの」なんでしょうね。それでロボット社会にもそういうもの
があるはずだという形でひきずりだしたものなんだろうな。面白い。
で、コッブ・アンダーソンが、バッパーに向かって「そんなものは、
単なる乱数発生器だ」とか言うくせに、自分はていよく、人類に「
ワン」を宗教として広める組織の創設者に収まるというわけ。「人
類なんて、そういう馬鹿なんだよ」っていうか「宗教なんてペテン
なんだけど、 居心地良くて、金が儲かる」みたいな、ルーディ偉
いぞってな社会感が出ていて良いです。
そういえば... マイケル・クライトンのタイムラインなんだけど、
あれって、とんでもない駄作だったと僕は思うんだけど、なんか、
順調に映画化されたようですね...
タイムマシンが壊れるって話はなかったので、原作通りに映画
化されるわけではないのだろうな。
何が駄作だったかって、やっぱり、パラドックスを避けている
ところでしょう。あと、SFという名を借りたホラーでしかない
ところ。話がつまんない。あと、これもリンチものだし。裁判
ぐらいしろよ...
顔のずれとか、転送回数制限とか、妙にこだわっているところ
があって、まぁ、その辺は面白かったんだけどな...
いけね。Deamon じゃなくて Demon だってばさ。Wizard だから
つい...
結構ゆっくり読んじゃった。Titan が翻訳されたのが82年、Wizard
が 94年。Deamon は 06 年ってか? 英語で読めて良かったって感じ。
Deamon 自体は84年に書かれているので、もっと早く翻訳しないと
だめだったかも。何故だめだったかと言うと、始まりが「核戦争で
壊滅する地球」なんだよね。あーぁ。ペーパバックで460p。短い方
かな。
Titan が木星でガイア=巨大な生物=宇宙島で、ケンタウロスやらキ
ングコングやらエンジェルがいるところをシロッコが冒険して良く
話。シロッコたちは、いきなり敵対勢力にとらわれてしまい、なん
とかガイアの中心にまでいきつく話ですね。
Wizard は、ガイアのWizardになったシロッコがガイアを殺すDeamon
として目覚める話。(大雑把なのは良く覚えてないから :-p)
Deamon は、もちろん、Wizard から Deamon となったシロッコがガ
イアと対決するお話です。ちゃんと終ります。割りと安心して読め
る本だね。
Short Subject, First Feature,Second Feature,Third Feature, Fade
Out という構成になって、Short Subject は核戦争の話でちょっと
ひどい。それだけじゃなくて、とってもひどいかも。First Feature
でガイアの陰謀が明らかになる話。Second Feature がゆったりし
たペースで、ちょっとSteal Beach っぽい割りと良い短い話の集合
になっていて一番良いです。で、Third Feacture, Fade Out でガ
イアと戦うってな話です。Gaby が活躍するので、やっぱりTitan
を読み直してから読んだ方がよかったかもね。
80年代以前の映画のモチーフがたくさん出て来る。ガイアがその
ファンだっていう設定だから。それが、また、古くしているわけだ
けど。映画の話だったらマトリックスとか出て来ないのはなんか不
思議だよね。既に。Japanimation とかウルトラマンとかも出て来
る。ヴァーリィは結構マニアだったのね。
もう少し細かく... ねたばれありで。
Short Subject は、とにかく最低。なんで、こんな始まり方に
したんだろう? ってくらい。
最初は、コナルって馬鹿な若者がシロッコを殺しに来る話で始まる
んだけど、これが最低。本当に馬鹿だし、シロッコが彼にすること
もひどい。シロッコは快傑ゾロみたいなカッコしているし。でも、
シロッコがガイアと喧嘩している状態で旅する話があって、これは
とってもいい。で、ロビンとその娘のノヴァが登場するんだけど、
これがまた、とってもひどい話。Short Subject は読まない方がい
いんじゃないだろうか? そもそも、いらないんじゃないの?
First Feature は、ロビンの息子のアダムがガイアに誘拐されるま
でのお話。それがもちろんDeamonを滅ぼすガイアの陰謀なんですね。
ここで、ノヴァの性格の悪さが良くわかる。一方で、コナル (これ
って、明らかにコナンなんだよな。ハンサムでムキムキっていう設
定だから) が一気に良い奴に変わっている。そんなんでいいのか?
って感じ。ここで導入されるシロッコたちの飛行機がかっこいい!
ここは前のTitanをそのままなぞった感じ。
Second Feature は戦いの準備のお話。全体の1/3を占める部分はか
なりゆっくりしたペースで進みます。時間的にも2年くらいという
設定らしい。結構、短いいい話がたくさん入っている。ハインライ
ン的とも言えるし、Steal Beach的とも言える。ガイアにデモンス
トレーションしたり、Gabyとシロッコがいろいろ暗躍したり。ロビ
ンとコナルの色恋沙汰(おばさんと若者。えー? って感じ。でも、
いいと思った) とか、ノヴァの性格に関する話とか。ここを読むの
は楽しい。軍隊作るところなんかすごくハインラインっぽい。ブリ
ンプとカルビンの話もいいし、ロビンとナスの話もすごくいい。Gaby
の話はTitanと密接につながっていて、とっても興味深い。これが、
ちゃんと最後にみんなつながっているし。
Third Feature, Fade Out は、十分に満足するスペクタクルになっ
ています。どんぱちって感じだね。大空戦があったりしてさ。シロ
ッコがガイアに向かって「臆病者、逃げるのか!」とかいって剣を
振りかざすところなんか最高。闘牛ってのがモチーフらしいんだけど、
僕にはピンとこなかったけど。
終り方は、僕には甘すぎるかな。例の「悲劇は禁止」みたいなところ
があるのかもね。でもハイラインだってそんな感じだし。甘く感じる
のは、結局、何も変わらないの? みたいなところがあるからかも。
十分納得できる終りではあるんですけどね。
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Demon には2ヵ月近くかかりましたが、これは一気に読んでしまい
ました。前に出たけど文庫収録されたのね。表紙もきれい。確かに
これは名作です。まいりました。
パラドックスがない前提のタイムトラベルものなんだけど、それは、
単なる設定で、現代と中世での疫病騒ぎの話なのね。しかも、SARS
でおなじみのミクソ・ウィルス。92年に書かれたものなのに、まさに、
SARS騒ぎの詳細を読んでいるよう感じ。逆に、この本に出て来る
T細胞強化とか類似体によるワクチン作成とかは未だに実用化できず
じまい。この時代に10年先の話を的確に書けるってのはすごい。
しかも、主人公は「道も一人で渡れないような」かわいい女の子(
女子大生)で、中世に置き去りにされてしまい、いじめまくられる
という... しかも、それをカッコイイ(?)大学教授が助けにいく(っ
つうか、心配しているだけじゃん、お前は...) という、まるで、
映画そのものの魅力的ではあるが単純なプロットなんだよね。
うしろについている書評とかが結構的確なのであんまり書くことな
い気もするけど、単純な話なのに、妙に長くて、しかも、飽きない
し、面白いっていう... 良くこんな小説書けるよなって感じですね。
繰り返しの面白さっていうのを再発見する感じ。さすがは教師が書
いた本って感じでもあるかな。技巧的なものは好きじゃない方なん
だけど、ここまでやられると。なんか入念なマッサージみたいな小
説だな。
同じ中世のタイムトラベルもののマイケル・クライトンのTime Line
がみじめな失敗(やすものホラーって、クライトンは、それ、専門
だったか) に終っているのに対して、この本がなんと格調高く仕上
がっていることか。ある意味で、真面目に信仰とかを扱っている本
でもあるし。
翻訳も良いです。大森望偉い!
「航路」も「犬は勘定にいれません」も楽しみだな。「リメイク」
は、そんなにピンとこなかったけど。
いまさらなんだけど、ふっと、読み直してみました。今でも再版さ
れてるみたいね。
僕が持っているのは77年で350円の青背ですね。これくらいのペー
ジ数がいいよな。600ページとか1200ページとか多すぎ。フォート
ランとかアルゴルとか出て来るところが時代を感じさせるな。
テロに絡む暗号だと思われていた「バベル17」が実は、まったく新
しい言語だと見抜いた天才美人詩人リドラ(お前は、バットマンの
敵役か?) は、その言語を追求すべく宇宙船のメンバを集め宇宙に
乗り出したが、バベル17は、人間の認識スピードを加速するだけで
なく、人の思考を変えてしまうインベーダーの秘密兵器だった...
見たいな話? う、つまんなそう。
後書には尻切れとんぼとか書いてあるけど、まぁ、一応、終ってる
じゃん。ただ、人類全体がバベル-18を話すようになったら、怖い
なとは思いました。なので、そういうところを、さっぱり抜いてい
るので、やっぱり、足りない感じがする。
これと並び称される(本当か?)「カアエンの聖衣」とかデューンと
かだと戦闘用言語みたいなのが出て来るので、そういう限定的な用
途の言語のアイデアはあるんですよね。
あと人間の脳のノイズを人間の脳の広さのアンテナで受け取る
っていう形のテレパシーってアシモフの第二ファウンデーション
そのものじゃん。結構、借り物のアイデアの本なのね。
でも、今、読むと、割りと古典的な言霊思想の焼直しって感じ。「
ゲド戦記」とたいして差ないじゃん。言語の構造だけで人間の思考
とか問題解決がそんなに変わるとは思えない。ま、仕方ないかな。
「地球幼年期の終り」は、「ブラッド・ミュージック」によって
カッコ良く甦りましたけど、「バベル17」には、そういう
復活はないのだろうか? 新しい言語理論とか人工知能論に基づく
カッコ良いハードSFで...
「つまらん」それだけ。時間旅行者の方は結構面白いと思ったんだ
けどな。
死んじゃった兄弟が、仮想世界か死後の世界かそんなんで、互いに
探し合う話。
仮想世界の設定とかを作者がどうでもいいと思っていることは確か
なので、SFとして成立してないと思う。少なくとも、「なんらかの
ルール」がないと小説になり得ないと思う。そのあたりがどうでも
いいってのは最初の方でわかってしまうので、話自体がどうでもい
い感じなんだよね。どうせ死んでいるし。
仮想世界ものだと、DIASPOLAとか、ダンバースとかの方が良かった
な。肯定的な感じだし。死んでいるって言っちゃったら、やっぱり、
終っちゃうと思う。
兄弟の記憶とか人生とか関係が、もっと面白いなら、まだ、読める
んでしょうけど、内容の割りに長すぎ。余計な部分も多いし。これ
だったら、純粋に兄弟の回想だけで構成した方がいいと思う。「タ
カハシ」なんていらないです。
最初の20ページと最後の1ページで十分かも。ここまで、つまらない
小説読んだのひさしぶりかも。「手で育てられた少年」以来かな?
「ドゥームズデイ・ブック」が良かったので、こっちも買いました。
こっちは臨死体験もの。ソニーマガジンズってSF結構出しているの
ね。SFなか? モダンホラーっぽいか。Science っぽいのはたくさん
出て来るんだけど、いわゆるSFっぽい設定がないからかな。
粗筋は書きにくい話だけど、臨死体験をシミュレーションする薬を
使って研究する男女の医学研究者の話。「ドゥームズデイ・ブック」
に似た構成ってのは嘘かな。後半1/3 で盛り上げるみたいな、そう
いう構成は似ていると思うけど。登場人物の割り当てとか。
ハードカバー上下なんだけど、やっぱり、うまいよね。一気に読ま
せる。ただ、「どうして、こんなにつまらない話を、こんなに面白
く書けるの?」みたいな感じもあるかな。ちょっと、Mr. Bean のギ
ャグのしつこさみたいな感じ? 特に上巻はそんな感じ。なんか、切
羽詰まった感があるのは何故かな。そういうのを維持できるのはす
ごいと思う。
一気に読んじゃうのがいけないんだけど、疲れる。ジョアンナの偏
執狂的なところがいけないんだろうな。なんかかろうじて踏みとど
まっている感じを、少しはみ出ている。「ドクター・ライト」の
まったく気付かない感じも逆に偏執狂的なんだよね。普通、なんか
お義理でも、なんかするのが普通だと思う。
「ひきのばしの女王」ってのは、コニー・ウィリスのためにある
言葉か? でも、「ひきのばしの女王」が良い感じで活躍します。
ゲド戦記の5冊目。
死者と生者を分ける石垣を崩す夢をみたハンノキは、ロークの長たち
にゲドのところへ行くように言われる。ゲドは彼を、レバンネン王
とテナー、テハヌーのところに送るが、王は、敵国から送り込まれた
異国の王女の扱いに悩んでいた。その頃、竜が乱暴を働くようになり、
テハヌーは竜の姉妹を召喚するのだが... みたいな話。
前作は最後といいつつあきらかに終ってなかったので、こんなもの
でしょう。前半はいいんだけど、終盤ちょっと急ぎすぎ。少し良く
わからないし。石垣って結局なんだったんだろう? 天国とか死後の
世界の信仰とかそんなものの象徴なのはわかるんだけど。
レバンネン王のマリッジ・ブルーのお話だったような気もします。
女性はそれをこころよくは思ってないのは知ってますが。
ruby のメーリングリストでも「バベル17」は言及されたことがありましたが、
少なくともプログラミング言語がスタイルに与える影響は大きいと思います。:-)
> 「地球幼年期の終り」は、「ブラッド・ミュージック」によって
> カッコ良く甦りましたけど、「バベル17」には、そういう
> 復活はないのだろうか? 新しい言語理論とか人工知能論に基づく
> カッコ良いハードSFで...
イーガンの「しあわせの理由」あたりは、けっこう近いテーマかも。
-- 阿部雅之
In article <bjf2qh$8uh$1...@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>, ABE Masayuki <at...@infoseek.to> writes
> ruby のメーリングリストでも「バベル17」は言及されたことがありましたが、
> 少なくともプログラミング言語がスタイルに与える影響は大きいと思います。:-)
C は結構圧縮されてますね。ruby は、結構「文字ばっかり」の印
象が強い。ruby は、あんまり使わないな。
> イーガンの「しあわせの理由」あたりは、けっこう近いテーマかも。
読んでないな。短篇ですよね。どれに入ってましたっけ? 結構買っ
たような気もするんだが... どっかに埋もれているのかな。
また、発掘作業をしなければ...
「しあわせの理由」は短編でもあり、短篇集の名前でもあります。
今年7月のハヤカワ文庫SFです。
# 今月はテッド・チャンの短篇集に期待。
-- 阿部雅之
見つけたので読んでしまいました。なんかどっかの話(2chかも)で
聞いてはいたんだけど、実際にあるとは知らなかった。日本人が書
いていたのね。「リゲルのレンズマン」は読んだんだけど「ドラゴ
ン・レンズマン」は、まだなんだよな。正直にいっていまいちな気
がしてました。でも、「サムライ・レンズマン」は良くできてます
ね。
オリジナルを、ここまで「再生産」できるのは日本人だけかも? 話
の筋もスミスのよりわかりやすいし。ただ、同じパターンを精密に
たどるから、ちょっとパロディっぽくなるのは仕方ないかなぁ。「
グレーレンズマン」/「第二段階レンズマン」の関係に似てるな。
というより、「第二段階レンズマン」を正確に複製したって感じで
すね。エンディングはジャパニメーション的だけど。
原作は、相対性理論無視だし、太陽ビームは電磁場で光を曲げちゃ
うし... だから、もちろん、こっちでも許される... 相対性理論無
視なのは、スタートレックだって同じなんだからいいんだよね。
クザクの精神的鏡面はアリシア/エッドールの精神バリアに似てる
ような気がするので、そのあたりで「レンズの子ら」につなげるこ
ともできたんじゃないかな。たぶん、続きはないんだろうけど、あ
るとしたら、そういう展開? イレギュラーというよりは、グレイ・
ロージャーのようなアリシア人に制限されたエッドール人だという
方が設定的にはあっているような気がする。
そうじゃなくて、別な展開があるんだとかいうと、「 渦動破壊者」
みたくなるわけだけど。
アニメ化されたりしない.... よな。
85年の翻訳がなんで今ごろ昔のが再版? サイティーンの関係かな?
これって、Faded Sun 三部作と同じ宇宙という設定なのね。あれと
は隨分異なる感じ。
C.J.チェリィは暗いです。でも読ませることは確かだな。ただ、ち
ょっとのんびり話が進むので、忙しいときに読むのには向かない。
ってだいたい忙しいときの方が読むものなんだが。
地球に閉じ籠りがちの「会社」と、それに見限られたにも関わらず
勝手にステーションを守るために戦っている「艦隊」。地球に敵対
する人工的に改良された集団「同盟」。ステーションの周りをうろ
うろする「マーチャンター」って、なんかガンダムSEEDの設定その
ものだな。スターウォーズがなんとかって解説にはあったけど、ち
ょっと違うと思う。
艦隊が敗走してペル・ステーションに戻って来るところから話が始
まるので、どうせ暗く終るんだろうなとか思って少し読むのが辛か
ったです。が、ちょっと意外な終り方だったかな。
ダウンビロウ・ステーションとは、ステーションの下の原住民のい
る惑星上の基地のことなのね。というわけで、結構、いろんな局面
がいり乱れるので、少し読みにくかったです。ちょっと悪役がはっ
きりしすぎかな? 最初から悪役ってわけじゃなくて、状況的に、そ
れを承知で、悪役にならざるを得ないという感じもリアリティがあ
っていいです。
ステーションや艦隊の結構上層部の人間が細かいところ(個人の処
罰の問題や、管理部門の腐敗) にこだわるあたりが結構リアルな感
じが出ているんだけど、それだけに退屈。でも、ちゃんと話には絡
むんだけど。
扉絵のステーションとシグニー・マロニーの宙母ノルウェイがカッ
コ悪いです。本文とは関係ないんだけどさ。最近は挿絵が入ってい
る文庫は滅多にないですね。ちょっとさびしいな。
In article <bjhokg$q5i$1...@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>, ABE Masayuki <at...@infoseek.to> writes
> 「しあわせの理由」は短編でもあり、短篇集の名前でもあります。
> 今年7月のハヤカワ文庫SFです。
家内に買ってもらいました。
いくつか読んだけど、グレッグ・イーガンってやっぱり異常。結構、
SF ずれしている僕でも「良くこんなこと思いつくな」って感じで
すね。星新一的な「こんなこと」じゃなくて、割りとハードSFより
で「こんなこと」なんだけど、結構、基礎をおろそかにしないみた
いなところがあってさ。
「しあわせの理由」は「バベル17」とは、あまりつながらない気が
しました。この「脳味噌の中をいじくり回している感じ」は割りと
良かったけど。なんか便利そうなんで、自発的にこういう手術受け
る人もいるかもね。ちょっと古いけど、「前世再生機」を思い出し
ました。あれにも自分で脳の認識をいじくる話があったと思う。
この終り方は良くわからない。ニュートラルな終り方なんだろうか?
一方向しか動くことが出来ない時間的ワームホールの中にいる人を
救出する「ランナー」の話も良い。でも、これ、あきらかに説明不
足だと思う。イーガンはいつもそうだけど。前にひっぱっちゃいけ
ないとか、紐がうしろにのびているとだめとか、妙に細かいところ
が笑える。こいつは相対性理論を一生懸命勉強した口だな。fj.sci.
physicsの誰かさんとは大違い... しかし、この暗い終り方はいっ
たい?
暗いと言えば「適切な愛」とかも、別に長い夫婦ならそんなものなの
であって、だからどうってわけでもないんだと思うんだけど。なんか、
暗く終る必要あるのかなぁ。
まだ、いくつか読んでないのが残っているので、もう少し書くかも
知れない。でも、祈りの海よりは、こっちの方がいいみたいですね。
なるほど。
でもまあ、あちらとつながらなくてもイーガンは必読ですよね。
ちなみに、今読んでいるチャンの短篇集「あなたの人生の物語」の表題作でも
エイリアンの言語(文字)を学んで認識が変容していまして。
>まだ、いくつか読んでないのが残っているので、もう少し書くかも
>知れない。でも、祈りの海よりは、こっちの方がいいみたいですね。
わたしは荒削りでも個性がより強烈に出ていると感じる「祈りの海」の方を押
します。
イーガンはある考えを押し進めて極限まで行ってしまうというか、あっちの世
界へ行ってしまったというか、まぎれもなくSFと感じさせてくれるのがうれしい
ところ。
-- 阿部雅之
Movies でも TV でも良かったんだけど...
WOWOW の無料キャンペーンをやってたのでひさしぶりに見たら
こんなのやってるのね。
話は聞いていたんですが、「ETの焼直しだろ」みたいな感じで馬鹿
にしていました。が、大河ドラマっぽくできあがっていたかな。
見終ってみると、最終話しか印象に残らん。
グレイ型宇宙人と地球人の家系を三代に渡って追うというドラマな
のね。で、ETっぽく軍隊が脇役で出て来て、そこにUFOを追う偏執
狂的な人達がからむという泣いちゃうような陳腐な設定。なんだけ
ど、なんとなく9話見てしまいました。
こんなに軍隊が馬鹿なはず無いだろとか昔だったら思っただろうが、
イラクの米軍を見ていると、こんなものかもと思います。
いくつか疑問の点もあるけど、スピルバーグにそのあたり期待して
も仕方無いからなぁ。
実はかぐや姫のお話なのね。なんとなく、両親もついていくんじゃ
ないかと思っていたんですが、そう思うのは日本的過ぎたか。かぐ
や姫は両親はいないけど。
あの博士のビデオメッセージはなかなか良かったです。
In article <bkulq4$r2p$1...@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>, at...@infoseek.to (ABE Masayuki) writes
> でもまあ、あちらとつながらなくてもイーガンは必読ですよね。
うん。
> わたしは荒削りでも個性がより強烈に出ていると感じる「祈りの海」の方を押
> します。
っていうわけで(例の通り、押し入れから発掘した) 「祈りの海」
を読み返してみました。僕は、「貸し金庫」だけ読んでつんどくに
したみたい。短編集ってあんまり好きじゃないんだよね。
貸し金庫は、ファーマーの「デイワールド」を思い出しました。
違う人生を渡り歩くってところが共通してるわけだね。
> イーガンはある考えを押し進めて極限まで行ってしまうというか、あっちの世
> 界へ行ってしまったというか、まぎれもなくSFと感じさせてくれるのがうれしい
> ところ。
極限っていうわけではないけど、現代科学の確かな理解があるのが
良いですね。数学の学士なのか。それにしては良く知ってるなぁ。
「祈りの海」「しあわせの理由」の表題作二つは、両方共、脳とそ
れに関与する薬物の話なんですね。宗教的体験と薬物を組み合わせ
るってのは、実は、宗教関係者にとっては周知のことなんじゃない
かな。荘厳な音楽なんてのもそういうものだし、お香とかもそうだ
し。「そういうものの影響を理解すれば自由になれる」までは、誰
でも思いつくわけだけど、その結果がなんなのかってのに向かい合
える人は少ない。
全体的に感じるのは、倫理の問題に関してかなり悲観的なこと。お
そろしく低劣な倫理的な問題を持って来る。それが現実的であるか
らこそ、悲観的に感じる。ま、楽観的な人間がいたら、そっちの方が
おかしいか。キューティーとか百光年ダイアリーとか本当に最低。
繭もひどい。でも、人間はそういうのを選択するものだよな。
ミトコンドリア・イブなんかも「科学を社会的に利用する人間の
低劣さ」みたいなのが出てます。
なんか達成感っていうかハッピーエンド的なのは「イェユーカ」
だけ。しかも、すごく不倫理な形のハッピーエンドなんだよね。
その背景の説得力があるということが結構悲しい。
「ぼくになることを」は、現実から仮想現実への移行みたいなのを
問題しているわけだけど、コピーとその修正みたいな間でアイデン
ティティがどう動くかってのは面白い。割りと、あきらめちゃって
る終り方だけど、僕は、もう少し違う可能性があるとおもいました。
無限の暗殺者は、宇宙消失でもあった「ちゅーとはんぱなハードボ
イルド」みたいなのがあって、ちょっと笑える。同じ時期に書いた
ものなのかも。テーマ的にも似てるし。暗殺者をフラクタル次元に
閉じ込めるってのは面白すぎるぞ。
「しあわせの理由」の方だと「愛撫」がそういうハードボイルド系。
これも道徳的に低劣な話を書いているのだが、登場するキメラの美
しさみたいなのがそれを救っているいるような気がする。僕はそう
言うのを容認する人なのかも。
「ボーダガード」に出て来る量子サッカーってイーガンは実際に作
ったのね? 面白いのかなぁ。話的にはおばあさんをなぐさめる
子供みたいなところがあって、珍しく良い感じ。
「血を分けた姉妹」とか「道徳的ウィルス学者」は僕はつまらなか
った。良くあるつまんないホラーですな。
とか振り返ってみると、「祈りの海」の方が若干すぐれている
かも。
Distress とかTeranesia がまだ出てないですね。買うか...
「連中(宇宙人エイリアン)はETほどやさしくない」は恐ろしかったです(^^;
> いくつか疑問の点もあるけど、スピルバーグにそのあたり期待して
> も仕方無いからなぁ。
亡くなった人の復活の実態は宇宙人が化けていたのだ、は独身で生きる決心を固めるのに役立ったと思います。演出がポルノだったのが残念(^^;)
> 実はかぐや姫のお話なのね。なんとなく、両親もついていくんじゃ
> ないかと思っていたんですが、そう思うのは日本的過ぎたか。かぐ
> や姫は両親はいないけど。
帰って来るとしたら自分で宇宙船を動かせる成長した人になってるかな、
それとも、人間である私に宇宙人の子孫の現実の未来を想像するのは不可能かな、とか悩んじゃいました。
スピルバーグさんの次回作なら撮影が大変にならないように現代劇を望みたいです。
In article <blc36o$hbr$1...@pin3.tky.plala.or.jp>, "えす" <shir...@wmail.plala.or.jp> writes
> 帰って来るとしたら自分で宇宙船を動かせる成長した人になってるかな、
> それとも、人間である私に宇宙人の子孫の現実の未来を想像するのは不可能かな、とか悩んじゃいました。
だいぶ先になるんでしょうね。でも、どうせ向うでも利用されるだけ
って気もしました。
> スピルバーグさんの次回作なら撮影が大変にならないように現代劇を望みたいです。
結構安上がりに作ってあったような気がしますが...
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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus,
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科,
インプラントの謎が理解できる時が待ち遠しいです(^^;
続編が出来るとしたら、他にもグレイ型エイリアンと人間との子孫がいて、
一緒に地球に帰って来る事も出来て、
超温暖化の地球から人間が宇宙にも住めるようになって・・・(-_-;)
> 結構安上がりに作ってあったような気がしますが...
「インサイドTAKEN」で「時代劇なので撮影の準備が大変でした」とナレーションしてました。
なぜか「アインシュタイン交叉点」に手を付けたんだけど、
はやばやと挫折して、例のバクスターのManifold三部作の
関連の短編集「Phase Space」を読んでます。
まだ、あんまり読んでないんだけど、割りと関係ないのも
入っているのね。この人は「ミステリ」っぽいのは向かない
と思う。
近地球軌道上の小惑星に住む宇宙飛行士が何万年もの
歴史を見る話のOpen Loopsは、楽観的で良い話だな。
ちょっと2001年宇宙の旅っぽい。こういう話が彼の
得意なところでしょう。
また、なんか、面白いのがあったら、ここに書きます。
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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus,
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科,