今回は、いつも検索で使うGoogleについて、
ふと疑問に感じた事があったので、宜しかったら皆さんの
ご意見をお伺いしたくってメールしました。
(1) 事実
Google(http://www.google.co.jp/)で、任意のキーワードを
入れて検索を実行すると、実行結果と当時に「キャッシュ」
というリンクが表示されます。
このキャッシュ機能というのは、予めGoogleが機械的にWeb
サイトを巡回して、その際にそのWebページを保存しておき、
検索時に、保存したページを表示できるという機能です。
googleによると、この機能について以下のようにコメントしています。
「Googleではリンク先のサーバーが一時的にダウンした時に備えて、
多くのページをキャッシュに格納してあります。」
http://www.google.co.jp/intl/ja/why_use.html
(2) 疑問点
1. キャッシュをすることは、つまりWebページを複製することである。
2. 巡回するWebページは、サイト管理者の使用許諾していないページ
も含まれている。
Googleの場合、登録申請していないページも巡回してキャッシュして
います。私の会社の同期の未公開サイトが検索に引っ掛かって
本人が驚いていました。
3. Web上に公開することは、著作権法30条の「私的使用のための複製」
にはあたらないとの見解がある。
(3) 私的見解
個人的には、Googleには大変お世話になっているので、大きな声では
言えないのですが、法律的にドライに考えると、やはり前述の(2)3.の
理由によりNGかなぁと、私としては結論を出しました。
でも、これだけ公にやって問題にならないという事は正当化できる法的根拠が
あるのですよね。
そこの「正当化できる法的根拠」に興味を持って投稿しました。
どなたがご教授頂けると幸いです。
※ 関連条文
(私的使用のための複製)
第30条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、
個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること
(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、
その使用する者が複製することができる。
以上です。
宜しくお願いします。
--
Mina Kato
> (3) 私的見解
>
> 個人的には、Googleには大変お世話になっているので、大きな声では
> 言えないのですが、法律的にドライに考えると、やはり前述の(2)3.の
> 理由によりNGかなぁと、私としては結論を出しました。
>
> でも、これだけ公にやって問題にならないという事は正当化できる法的根拠が
> あるのですよね。
> そこの「正当化できる法的根拠」に興味を持って投稿しました。
> どなたがご教授頂けると幸いです。
まず、どこの国の法律が適用されるか
を考察されるべきではないかと思います。
---
やなぎ
ちなみに、米DMCAには、キャッシュに関する避難条項があるそうです。
http://www.zdnet.co.jp/news/0307/11/ne00_google_2.html
もっとも上記ページにある通り、検索エンジンのキャッシュには適用され
ないのではないかと言う意見もある模様。
それと、この件については、どの国の著作権法(に相当する法律)を適用
するべきかと言う点、及び、そのページが著作権法で保護される著作物か
と言う点は、
日本の著作権法が適用される
著作権法で保護される著作物である
とします。
In article <bg8l9p$bg7$1...@nn-tk104.ocn.ad.jp>, k_m...@apple.ocn.ne.jp says...
>(2) 疑問点
>
> 1. キャッシュをすることは、つまりWebページを複製することである。
基本的に同意。
#ただ単純に複製としてしまうと、proxyなんかはどうなるんだと言うこと
#になりそうだけど。
あと12条の2第2項ってえのもあるんで、複製→許諾なくば違法という
図式は短絡かもしれない。
> 2. 巡回するWebページは、サイト管理者の使用許諾していないページ
> も含まれている。
> Googleの場合、登録申請していないページも巡回してキャッシュして
> います。私の会社の同期の未公開サイトが検索に引っ掛かって
> 本人が驚いていました。
ここで言う許諾が63条に言う許諾であってもそうでなくても、何ら防御
措置を講じずにWeb上にファイルを置いて、それでいて閲覧に許諾ないし
管理者の許可が必要というのは無理があると思うんだけど、如何でしょう。
そりゃあパーミッションを設定していたとか、パスワードを掛けていたの
に、といった場合なら、技術的保護手段を回避されたと言えるかもしれな
いけど、今回はそういった場合じゃないでしょ。
> 3. Web上に公開することは、著作権法30条の「私的使用のための複製」
> にはあたらないとの見解がある。
今回の件には影響しないように思います。
てなわけで、
検索エンジンのキャッシュは必ずしも複製権を侵害してはいない
見られたくないものは見えるようなところに置かない
となる......のかなあ?
--
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ではまた mailto:oik...@po.jah.ne.jp
物事の肯定的な側面を証明するより、
否定的な側面を証明する方が、はるかに難しい
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以下、8/17まで
8/17(日) Y‐33b ハーベストホーム
〆 ̄ Hidenori HoRi さんの <bgcb4d$e53$1...@LAXSRV.moat.net>
| Date: Fri, 1 Aug 2003 00:09:49 +0000 (UTC)
| NewsGroups: fj.soc.copyright
| Subject: Re: Google のキャッシュ機能は著作権侵害?
|― から
> その為に robots.txt ってのがあるのでは?
> と、わたしは思っています。
robots.txt は、紳士協定じゃないですかね?
(本当に)知られたくないのに、HTTP protocol を採用するって
比較的リスキーな部類だと思いますけど…
--
作田 泰宣 mailto:sak...@selene.dricas.com
まあ仮に日本法が適用になるとしてだ……。
>From:"Mina Kato" <k_m...@apple.ocn.ne.jp>
>Date:2003/07/30 23:38:48 JST
>Message-ID:<bg8l9p$bg7$1...@nn-tk104.ocn.ad.jp>
>
>(2) 疑問点
>
> 1. キャッシュをすることは、つまりWebページを複製することである。
こうとらえざるを得ないと思います。
> 2. 巡回するWebページは、サイト管理者の使用許諾していないページ
> も含まれている。
> Googleの場合、登録申請していないページも巡回してキャッシュして
> います。私の会社の同期の未公開サイトが検索に引っ掛かって
> 本人が驚いていました。
でも未公開と言ったところで
それは
・いろんな検索エンジンに自らは登録申請していない
・URIを広い範囲に公表していない
だけの話であって
逆に言えばURIを入れると見れる訳でしょ。
……それは未公開と言っちゃいけないと思うし
公開されているものの「すべての」使用に許諾がいると考える方が誤り。
著作権法上権利として保護されている訳ではないことは
できると考えるべきです。
> 3. Web上に公開することは、著作権法30条の「私的使用のための複製」
> にはあたらないとの見解がある。
これもそのとおり
……となると、他に「複製ではない」「複製だけど違法ではない」事由が
どうもなさそうなので……。
>(3) 私的見解
>
> 個人的には、Googleには大変お世話になっているので、大きな声では
> 言えないのですが、法律的にドライに考えると、やはり前述の(2)3.の
> 理由によりNGかなぁと、私としては結論を出しました。
に賛成。
ただし本案ちょっとやっかいなのは
「じゃあ具体的な権利侵害って何?」
となると、行為の外形として複製権侵害とは言えるんだけど
それで侵害された利益はとなると……う~んと悩んでしまうのだ。
なもんで損害賠償請求だとすれば「賠償額いくら?」ってえのが
シビアな問題として提示されるだろうし
犯罪だとしても「可罰的違法性あるのん?」ってえのが悩ましい。
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Talk lisp at Tea room Lisp.gc .
c...@nn.iij4u.or.jp 佐々木将人
(This address is for NetNews.)
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ルフィミア「私のアンソロ本を書くって本当?」
まさと 「それ、微妙に間違っている……。」
SASAKI Masatowrote in <20030804...@nn.iij4u.or.jp> dated Mon, 04 Aug 2003 00:08:30 +0900
on Re: Googleのキャッシュ機能は著作権侵害?
>>(3) 私的見解
>>
>> 個人的には、Googleには大変お世話になっているので、大きな声では
>> 言えないのですが、法律的にドライに考えると、やはり前述の(2)3.の
>> 理由によりNGかなぁと、私としては結論を出しました。
>
>に賛成。
>ただし本案ちょっとやっかいなのは
>「じゃあ具体的な権利侵害って何?」
>となると、行為の外形として複製権侵害とは言えるんだけど
>それで侵害された利益はとなると……う~んと悩んでしまうのだ。
>なもんで損害賠償請求だとすれば「賠償額いくら?」ってえのが
>シビアな問題として提示されるだろうし
>犯罪だとしても「可罰的違法性あるのん?」ってえのが悩ましい。
たとえば、ウェブコンテンツ制作者がある時点t0 までは A0 の内容、ある時
点 t1 までは A1の内容…となる時系列の変更を行う表現をとろうとする場合
に、過去のある時点でのウェブコンテンツを固定化してしまうことは制作者側
の意図に反した公開になってしまいます。
この時間間隔を十分小さくすると、期間限定のストリーム配信サービスのコン
テンツを保存することと等価になります。
あるいは、もっとありそうなのが、最初に出した内容の表現に問題があった場
合。秘密の情報を出してしまったとか、個人攻撃になってしまうとか、で気づ
いて修正したのにその間に偶然ロボットが読みにきちゃって制作者の知らない
ところで古い問題のある内容のまま公開されちゃうってのはありそうです。
もちろん最初に問題のある内容を公表してしまった制作者にも多少の落ち度は
あるのでしょう。
しかし、落ち度のない場合もあって、公開した時点では問題のない情報であっ
たのに、その後問題のある情報に変化してしまった場合。
例えば、ウェブページに連絡先を載せておいたら社会的に評判になってしま
い、無関係な人からたくさん電話がかかってくるのでウェブから消したとして
もキャッシュを見れば連絡先がわかってしまいます。
また、当初は個人名を公表していた未成年の事件の関係者が容疑者になって匿
名にしても、ニュース記事のキャッシュでは個人名が公表されたままになりま
す。
複製には制作者の修正がすみやかに反映されれば問題はないですが、現在のロ
ボットでは数日のディレイがあるためにその間に取り返しのつかない損害が発
生したりする可能性はあります。
--
Takashi Yoshimi mailto:tak-y...@rio.odn.ne.jp
>From:Takashi Yoshimi <tak-y...@rio.odn.ne.jp>
>Date:2003/08/04 13:19:47 JST
>Message-ID:<bgkmt6$2v8v$2...@nwall1.odn.ne.jp>
>
>この時間間隔を十分小さくすると、期間限定のストリーム配信サービスのコン
>テンツを保存することと等価になります。
でもそれ自体は著作権侵害か否かの議論とはとりあえず無関係でしょ。
>あるいは、もっとありそうなのが、最初に出した内容の表現に問題があった場
>合。秘密の情報を出してしまったとか、個人攻撃になってしまうとか、で気づ
>いて修正したのにその間に偶然ロボットが読みにきちゃって制作者の知らない
>ところで古い問題のある内容のまま公開されちゃうってのはありそうです。
これも同様。
複製にあたって複製権侵害だというならそれで十分。
で、これらは損害のある場合ではないかという
吉見さんの指摘かもしれないけど
これらはどうも損害とは言えなさそうというのが私の第一印象。
期間限定だからと言って
一旦公開したものを公開しなくなった後で
利用することまで著作権が禁じている訳ではないから
複製権以外の議論はちょっと無理じゃないかなあ……。
(未公表のものなら公表権侵害の線は出てくるけど
インターネット上に置いて未公表というのは通らないよというのは
前に書いたとおり。)
それと「内容の表現に問題があった」の類って
冷静に分析すれば
書き手が被害者に損害を与えたものであるところ
書き手が削除した後も公開をし続ける場合
その損害は公開をしたことで発生しているんだから
公開した者に損害賠償責任を認めればすむ話であって
書き手に対して著作権で保護するのはあまりメリットなしだし
筋が違うと思います。
>複製には制作者の修正がすみやかに反映されれば問題はないですが、現在のロ
>ボットでは数日のディレイがあるためにその間に取り返しのつかない損害が発
>生したりする可能性はあります。
これも同様。
その損害は公開した側の責任とすべきであって
その方が妥当な解決になりませんか。
法律的にも簡明だし。