最近、サムターン回しなど鍵をこじ開けて泥棒に
入られる事件がニュースなどで報じられていますが、
私の兄夫婦の近所でも今年になって2件入られました。
私も一人暮らしなので、防犯グッツを購入しようかな
と検討しているのですが、友人が見つけた防犯グッツで
不正な開錠をして住居に侵入した場合に、ドアに20Aの
高圧電流が流れて泥棒を撃退をするという外国製のグッツ
があるらしいんです。
ただ、20Aの電流が流れるということは、基本的に1Aの電流が
人間の致死量という観点からも、泥棒を撃退というより死亡
させる程の強力なものなので、万が一死亡させてしまった
場合に法律としてどのように評価されるかが疑問に思っています。
友人に言によれば、自業自得と豪語してましたが、
それは共感する所はない訳ではないんですが、
やはり、やり過ぎではないかと・・・
正当防衛が成立しないのかなと、私なりに考えてみたのですが、
(1) 将来の侵害は急迫不正とはいえない(大判昭7.6.16)。
(2) 相当性の判断基準とされる武器対等の原則から均衡に失する。
という点が成立する余地はないのかな、と結論を出しました。
ということは、万が一この防犯システムが作動して、
不正侵入者を死亡させてしまった場合には、
未必の行為として殺人罪に問われるという事に
なるのでしょうか。
長文になってしまったので、まとめさせて頂きますと、
下記のようなケースが例えば考えれると思います。
(4)以外のケースは急迫性の要件から正当防衛の成立の余地が
ないような気がしています。
又、(4)のケースは正直どういう風に考えたらいいのか分からないです・・・
死亡する可能性のある防犯システムが作動した場合のケース例
(1) 不正侵入者を死亡させてしまった場合
(2) 不正侵入者を後遺症が残る程度の重大な傷害を負わせた場合
(3) 不正侵入者を1週間程度の傷害を負わせた場合
(4) 不正侵入者ではない者を機器の誤作動により死亡させてしまった場合
大学で少し法律をかじった程度の知識からの結論なので、
間違っている可能性大なのですが、どなたがご教授頂ける
と幸いです。
長文で申し訳ありません。宜しくお願いします。
--
Mina Kato
In article <becoq8$qrs$1...@nn-tk105.ocn.ad.jp>,
"Mina Kato" <k_m...@apple.ocn.ne.jp> wrote:
>私も一人暮らしなので、防犯グッツを購入しようかな
>と検討しているのですが、友人が見つけた防犯グッツで
>不正な開錠をして住居に侵入した場合に、ドアに20Aの
>高圧電流が流れて泥棒を撃退をするという外国製のグッツ
>があるらしいんです。
これが前提ってことで。
# だけど20Aってのは本当なのかなぁ。
# (この手の装置で定電流なんてできるのかな)
>正当防衛が成立しないのかなと、私なりに考えてみたのですが、
正当防衛の成立を検討するためには、
まず当該行為が犯罪に当たるかどうかを検討する必要がありますが、
(構成要件該当性がなければ正当防衛を検討する必要なし)
この点は疑いなしということでいいですよね?
>(1) 将来の侵害は急迫不正とはいえない(大判昭7.6.16)。
>(2) 相当性の判断基準とされる武器対等の原則から均衡に失する。
>という点が成立する余地はないのかな、と結論を出しました。
私もそう思います。
調べてみたところでも、刑法36条にいう「急迫」は
現実に迫っている(または継続している)侵害であり、
予期されるに過ぎない場合は含まれないということで
通説判例は決まりだと思います。
あと、刑法36条にもあるとおり、正当防衛は
「やむを得ずにした行為」でなければなりません。
あらかじめドアに高圧電流が流れるよう仕掛ける…なんてのは
とても「やむを得ずに」とは評価されないと思います。
で、
> 死亡する可能性のある防犯システムが作動した場合のケース例
> (1) 不正侵入者を死亡させてしまった場合
> (2) 不正侵入者を後遺症が残る程度の重大な傷害を負わせた場合
> (3) 不正侵入者を1週間程度の傷害を負わせた場合
> (4) 不正侵入者ではない者を機器の誤作動により死亡させてしまった場合
についてなんですが、
>(4)以外のケースは急迫性の要件から正当防衛の成立の余地が
>ないような気がしています。
以上のとおり、私もそう思います。
(1)は、相手が死亡するという結果の認容があるかどうかで、
殺人罪か傷害致死か決まるのでしょう。
(2)(3)は犯罪の成立可否を検討する上では区別はないと思います。
(1)と同様の基準…だと思いますが、
未必の故意による殺人行為が未遂に終わった場合でも、
傷害ではなく殺人未遂になるのでしょうか?
(ここは便乗質問です)
>又、(4)のケースは正直どういう風に考えたらいいのか分からないです・・・
不正侵入者以外にも危害を加える危険があることを知りつつも
「大丈夫だろう」と思っていた…ってことでいいですよね?
ならば、過失になるでしょう。
それだけ危険なものを設置した以上、
注意義務はかなり重いものと見るべきだろうし…
そうすると、刑法210条ではなく刑法211条後段が適用されるかもしれません。
(ちょっと自信ないけど)
-------------------------------------------
Yasuyuki Nagashima
yas...@horae.dti.ne.jp
-------------------------------------------
In article <beeetl$as6$1...@newsl.dti.ne.jp>, yas...@horae.dti.ne.jp says...
>In article <becoq8$qrs$1...@nn-tk105.ocn.ad.jp>,
>"Mina Kato" <k_m...@apple.ocn.ne.jp> wrote:
>
>>私も一人暮らしなので、防犯グッツを購入しようかな
>>と検討しているのですが、友人が見つけた防犯グッツで
>>不正な開錠をして住居に侵入した場合に、ドアに20Aの
>>高圧電流が流れて泥棒を撃退をするという外国製のグッツ
>>があるらしいんです。
>
>これが前提ってことで。
>
># だけど20Aってのは本当なのかなぁ。
># (この手の装置で定電流なんてできるのかな)
何となくですが、20Aというのは型番の一部で、20万Vの高圧電流による
スタンガンの一種ではないかと思います。
#でも確か「通電」しないと効果がない筈なんだけど。
>> 死亡する可能性のある防犯システムが作動した場合のケース例
>> (1) 不正侵入者を死亡させてしまった場合
>> (2) 不正侵入者を後遺症が残る程度の重大な傷害を負わせた場合
>> (3) 不正侵入者を1週間程度の傷害を負わせた場合
>> (4) 不正侵入者ではない者を機器の誤作動により死亡させてしまった場合
(略)
>>又、(4)のケースは正直どういう風に考えたらいいのか分からないです・・・
>
>不正侵入者以外にも危害を加える危険があることを知りつつも
>「大丈夫だろう」と思っていた…ってことでいいですよね?
>ならば、過失になるでしょう。
>それだけ危険なものを設置した以上、
>注意義務はかなり重いものと見るべきだろうし…
>そうすると、刑法210条ではなく刑法211条後段が適用されるかもしれません。
>(ちょっと自信ないけど)
死亡させた場合、設置時から人を死亡させかねないものと知っていて、
なおかつ
From: "Mina Kato" <k_m...@apple.ocn.ne.jp>
Date: Tue, 8 Jul 2003 06:30:38 +0900
Message-ID: <becoq8$qrs$1...@nn-tk105.ocn.ad.jp>
>友人に言によれば、自業自得と豪語してましたが、
ということでしょう?
殺人罪に問われる可能性が高いと思うんですが、如何でしょう。
--
-----------------------------------------------------
ではまた mailto:oik...@po.jah.ne.jp
物事の肯定的な側面を証明するより、
否定的な側面を証明する方が、はるかに難しい
-----------------------------------------------------
以下、8/17まで
8/17(日) Y‐33b ハーベストホーム
根本的な問題(かな?)として、「通知」の有無はどうでしょうか。たとえば
本件に関しては「違法な開錠を行った場合は生命に危険がある量の高圧電流が
流れます」と“はっきり判る様に明記されていた場合”どうなるか、と言うこと。
もちろん相手が犯罪者だからと言ってなにをやっても良いと言うものではない
でしょうが、こうなるよと明記されているかいないかで状況が変わるというよう
な気はします。
# いわゆる「猛犬注意」の類かと。
実は以前からこんな例を考えていたのです。私が住んでいる静岡市では近年
野生動物による農作物の食害がかなりひどいのです。それで、田畑にそうした
動物の捕獲あるいは殺害目的で罠をしかけておいて(その旨の表示はしておく)、
それに“人間”がかかってしまった場合はどうなるか、というものです。もち
ろん罠は「明らかに田畑内部に侵入しないと動作しない」(“うっかり踏み込ん
でしまった”程度では影響がない)ように設置されているものとします。
--
成岡@DTI(yn...@jade.dti.ne.jp)
"Mina Kato" wrote
<becoq8$qrs$1...@nn-tk105.ocn.ad.jp>
about "危険な防犯システムの正当防衛の成立の成否"
on Tue, 8 Jul 2003 06:30:38 +0900
>ただ、20Aの電流が流れるということは、基本的に1Aの電流が
>人間の致死量という観点からも、泥棒を撃退というより死亡
>させる程の強力なものなので、万が一死亡させてしまった
>場合に法律としてどのように評価されるかが疑問に思っています。
その防犯システムが誤動作して自分が死んでしまう危険性を考慮したほうがい
いんじゃないかと素朴に思ったりします.
2003/07/08(Tue) 10:06:04
--
Word by DSS
D...@mbj.nifty.com
http://homepage2.nifty.com/DSS/
完全に素人です。
Mina Kato wrote:
> ということは、万が一この防犯システムが作動して、
> 不正侵入者を死亡させてしまった場合には、
> 未必の行為として殺人罪に問われるという事に
> なるのでしょうか。
未必の故意(こっちの方ですよね?)で済まされるのかな?
明らかに殺す意図を持って設置するような気がするのですが...
In article <beemch$1lqa$1...@news.jaipa.or.jp>,
oik...@po.jah.ne.jp (Hiroyuki Oikawa) wrote:
>死亡させた場合、設置時から人を死亡させかねないものと知っていて、
一般論として、刑法の犯罪を考えるとき
「人が死ぬかもしれない」の部分が共通でも、その続きが
「まぁ死んだってかまわないや」になるのと
「たぶん大丈夫でしょう」になるのとでは
前者は(未必の)故意あり、後者は故意なし(「認識ある過失」ってやつ)
という大きな違いになるんです。
んで、
>>友人に言によれば、自業自得と豪語してましたが、
>ということでしょう?
これは不正侵入者に対して思うことだと理解していまして…
そうでない者については上記の認識ある過失ってことで、
>殺人罪に問われる可能性が高いと思うんですが、如何でしょう。
やはり過失致死となると思うのです。
# 公判でそのことを説明するのは大変そうだけど。
ただ、210条適用か211条後段適用かは相変わらず自信なしです。
211条にいう「重大な過失」というのは、
起こしてしまった結果ではなく、
先行する注意義務違反の度合いが重大であることを要求しているので…
たとえば、赤信号を無視して自転車で横断歩道をわたっている
歩行者に突っ込んで怪我させちゃった…なんてケース。
今回がそういうケースに当てはまるかどうかは自信ないです。
In article <befn2u$1j1$2...@newsl.dti.ne.jp>, yas...@horae.dti.ne.jp says...
>In article <beemch$1lqa$1...@news.jaipa.or.jp>,
>oik...@po.jah.ne.jp (Hiroyuki Oikawa) wrote:
>>>友人に言によれば、自業自得と豪語してましたが、
>>ということでしょう?
>
>これは不正侵入者に対して思うことだと理解していまして…
>そうでない者については上記の認識ある過失ってことで、
相手が犯罪者だからってのは理由にならないと思いますが。
ちなみに以下の判例が存在することも考慮すれば、不正に侵入したもの
だからと言って、積極的に害してもいいとはならないでしょう。
>侵害の急迫性は、侵害が当然またはほとんど確実に予期されただけで
>失われるものではないが、その機会を利用し、積極的に相手方に加害
>行為をする意思で侵害に臨んだときは失われるものと解すべきである。
>(最決昭52・7・21刑集31-4-747)
#模範六法平成14年版CD-ROM 判例要旨より。(以下同じ)
>>殺人罪に問われる可能性が高いと思うんですが、如何でしょう。
>
>やはり過失致死となると思うのです。
># 公判でそのことを説明するのは大変そうだけど。
いや、私もそんなに自信ないけどさ、38条の判例要旨でこんなのを見つ
けると、とても過失とは思えないんですわ。
>犯意は、罪となるべき事実の認識予見があれば足り、その事実の発生を
>希望することを必要とせず、また、その認識予見は確定的のものである
>ことを要しない。犯意のある行為とは、自己の意思活動によって罪とな
>るべき事実の発生を予見しながら、あえてこれをする決意の実行である。
>(大判大11・5・6刑集1-255)
In article <beh9h6$29nc$1...@news.jaipa.or.jp>,
oik...@po.jah.ne.jp (Hiroyuki Oikawa) wrote:
>相手が犯罪者だからってのは理由にならないと思いますが。
あ、えーと、私は、
>> (4) 不正侵入者ではない者を機器の誤作動により死亡させてしまった場合
の話について書いていたもので、つまり「相手が犯罪者ではない場合」です。
(今回の話に即して言えば「防犯装置が作動することを想定していない相手」)
相手が犯罪者…というか、まさに防犯装置設置者が
「防犯装置が作動する」と想定していた相手の場合だと、
これは故意有りと見るのが妥当だと思います。
しかも、正当防衛は成立しないだろうから、
違法性を阻却する余地もないと思います。
>ちなみに以下の判例が存在することも考慮すれば、不正に侵入したもの
>だからと言って、積極的に害してもいいとはならないでしょう。
以上のとおり、そのことには反対しないです。
>>やはり過失致死となると思うのです。
>># 公判でそのことを説明するのは大変そうだけど。
これも、「相手が犯罪者ではない場合」
(今回の話に即して言えば「防犯装置が作動することを想定していない相手」)
の場合について考えているものであることはご理解ください。
# 繰り返しますが、不正侵入者=防犯装置の設置者が防犯装置が起動すること
# を想定している相手=の場合は、故意を阻却する根拠はなんら無い
# という点、及川さんと同意見です。
それを前提として…
>>犯意は、罪となるべき事実の認識予見があれば足り、その事実の発生を
>>希望することを必要とせず、また、その認識予見は確定的のものである
>>ことを要しない。犯意のある行為とは、自己の意思活動によって罪とな
>>るべき事実の発生を予見しながら、あえてこれをする決意の実行である。
>>(大判大11・5・6刑集1-255)
確かに判例は、未必の故意について
事実発生の予見があればOKってスタンスにも思えるなぁ…
通説では、未必の故意については「結果が起こるかもしれない」では足りず、
・「起こって欲しい」
・「起こっても仕方ない」
・「起ころうが知ったこっちゃない」
のいずれかの意識まで必要とされているんで、
この点は通説と判例で対立しているのかな?
整理する意味でこの投稿にぶらさげる……。
ずいぶん良い問題だと思ったよ。
刑法を勉強している人はすべからく
きれいな説明ができるようになるべし……と思った次第。
まず正当防衛とか緊急避難とか言う前に
そういうのがない場合に成立する犯罪をまず絞らないといけないのは
>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2003/07/08 21:55:21 JST
>Message-ID:<beeetl$as6$1...@newsl.dti.ne.jp>
>
>まず当該行為が犯罪に当たるかどうかを検討する必要がありますが、
>(構成要件該当性がなければ正当防衛を検討する必要なし)
のとおり。
そこで検討してみるに
死という結果が発生した場合には
(自分の宣伝しちゃうけど
http://www.lufimia.net/sub/keiho1/index.htm の各論の部分は、
起きた出来事から犯罪を探すのには割と便利だと思うので
ひまつぶしに使ってくれると作者非常にうれしい!)
>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2003/07/09 09:20:50 JST
>Message-ID:<befn2u$1j1$2...@newsl.dti.ne.jp>
>
>一般論として、刑法の犯罪を考えるとき
>「人が死ぬかもしれない」の部分が共通でも、その続きが
>「まぁ死んだってかまわないや」になるのと
>「たぶん大丈夫でしょう」になるのとでは
>前者は(未必の)故意あり、後者は故意なし(「認識ある過失」ってやつ)
>という大きな違いになるんです。
のとおりで
殺人の故意ありなら殺人罪
ないならこの場合は傷害致死罪成立です。
……ながしまさんは上記投稿で過失致死罪としているけど
この装置は死ぬかどうかは別にして人体に作用することを想定しているし
さすがに人体に作用すること自体については
設置者が知っている訳でしょう?
そうすると人体に対する有形力の行使であって
暴行罪が成立するんじゃない?(=暴行の故意は否定できない。)
で、傷害の結果が発生すると暴行の結果的加重犯としての傷害罪が
さらに死の結果が発生すると
傷害の結果的加重犯としての傷害致死罪が成立でしょう?
そしてこれは相手が誰であっても変わりなし。
というのは
錯誤のところで勉強する話だけど
例えばAさん殺すつもりでAさんを狙って発砲したら
Aさんではなく近くにいたBさんにあたってBさんが死んだ場合、
学説には分かれがあるけど
通説判例は「人を殺すつもりで人を殺した」んだから
Bさんについては殺人既遂罪を問うとしているでしょ。
そうすると相手が泥棒であろうとそうでなかろうと
「人に作用させるつもりで現に人に作用させた」以上
同じ犯罪が成立すると考えていいです。
で、じゃあ殺人罪か傷害致死罪かどっちだ?と言われた場合は
これはこれまでにあげられた情報だと決めかねるというのが正解だと思います。
まず殺すつもりが全くなかった、
まさか死ぬ訳ないと本気で思っていた場合には
絶対に殺人罪は不成立です。
一方死ぬなら死んでもいいやと思っていたら
これは殺人罪成立。
でも、装置の次第では「殺すつもりが全くなかった、まさか死ぬ訳ない」
というのは信じてもらえないというのはあると思います。
例えばまだ冷戦時代のベルリンの壁にあった
自動発砲装置みたいなのをつけてたら
信じてもらえないよ。
基準として「普通それでは人は死ぬでしょう。これ常識。」というものなら
概念上は故意なしの場合があるとはいえ
たいてい信じてもらえないと思うな……。
(もっともこれは立証の問題。)
次に正当防衛が成立するかどうかの問題。
まず相手が泥棒でもなんでもなかったら
正当防衛の問題ではないし
緊急避難もまず無理でしょ。
というのは緊急避難の場合法益の均衡が絶対的に要求されるけど
……避けようとした侵害の方が大きいって言える?
というので相手が泥棒でもなんでもなければ
正当防衛でも緊急避難でもなし。
(この場合
誤想正当防衛や誤想緊急避難を考える余地があるかもしれないけど。
私は消極。)
次に相手が泥棒の場合
これは緊急避難を考えなくてもいい。
で、正当防衛なんだけど、その要件について
>From:"Mina Kato" <k_m...@apple.ocn.ne.jp>
>Date:2003/07/08 06:30:38 JST
>Message-ID:<becoq8$qrs$1...@nn-tk105.ocn.ad.jp>
>
>(1) 将来の侵害は急迫不正とはいえない(大判昭7.6.16)。
という指摘は正しいと思います。
ただし前田先生は
「装置が作動した時点では将来の侵害ではなく現在の侵害である」
と指摘しているんで
この要件で切ることはできないかもしれません。
しかし
>(2) 相当性の判断基準とされる武器対等の原則から均衡に失する。
こっちの要件で不成立だと思うんですよ。
確かに正当防衛の場合、法益均衡の要件は緊急避難ほどうるさくないんだけど
さすがに財産的法益の防衛のために生命まで奪っちゃうのがやりすぎなのは
おそらく異論のないところだと思います。
ですんで過剰防衛として議論するのが正解だと思います。
> (4) 不正侵入者ではない者を機器の誤作動により死亡させてしまった場合
これは端的に「不正の侵害ではない」で切っていいんですよ。
----------------------------------------------------------------------
Talk lisp at Tea room Lisp.gc .
c...@nn.iij4u.or.jp 佐々木将人
(This address is for NetNews.)
----------------------------------------------------------------------
ルフィミア「私のアンソロ本を書くって本当?」
まさと 「それ、微妙に間違っている……。」
話が妙な方向へ行っているからこれにもフォロー入れるけど
相手が犯罪者であろうとなかろうと
法定的符合説とる限りは
成立する犯罪は一緒ですよ。
殺人罪であろうと傷害致死罪であろうと。
それと有形力の行使についての認識がある以上
暴行罪の結果的加重犯としての傷害致死罪であって
過失致死罪ではないです。
(故意としては暴行罪の故意で十分。)
>>>犯意は、罪となるべき事実の認識予見があれば足り、その事実の発生を
>>>希望することを必要とせず、また、その認識予見は確定的のものである
>>>ことを要しない。犯意のある行為とは、自己の意思活動によって罪とな
>>>るべき事実の発生を予見しながら、あえてこれをする決意の実行である。
>>>(大判大11・5・6刑集1-255)
>
>確かに判例は、未必の故意について
>事実発生の予見があればOKってスタンスにも思えるなぁ…
>
>通説では、未必の故意については「結果が起こるかもしれない」では足りず、
>・「起こって欲しい」
>・「起こっても仕方ない」
>・「起ころうが知ったこっちゃない」
>のいずれかの意識まで必要とされているんで、
>この点は通説と判例で対立しているのかな?
そういう意味ではないっす。
上の判例も「希望=結果を積極的に欲する意思」まではいらない
って言っているだけ。
認容=死んでもいいやで足りるとする点では通説と一致しています。
「まさか死ぬことはないだろう」が認識ある過失になるのは
「もし死ぬことが起きるのであればやめてました」ということから。
「もし死ぬことが起きるのであってもやる」なら
……やめるって選択肢がないところが「死んでもいいや」な訳やん。
一応
Message-ID: <20030710...@nn.iij4u.or.jp>
を読んでいることが前提ね。
>From:"Yuuichi Naruoka" <yn...@jade.dti.ne.jp>
>Date:2003/07/09 00:06:03 JST
>Message-ID:<G4BOa.30$qt5....@newsall.dti.ne.jp>
>
> 根本的な問題(かな?)として、「通知」の有無はどうでしょうか。
これは成立する犯罪が「殺人罪」か「傷害致死罪」
もし死なないとしても「殺人未遂罪」か「傷害罪」
けがすらなくても「暴行罪」という
いずれも人の生命・身体に対する侵害の故意犯の問題なんで
通知の有無は関係ないです。
「通知していれば殺人や傷害や暴行をしてもいい」
という理屈は絶対にないでしょう?
もし正当防衛として許容される範囲であれば
通知がなくてもやはり正当防衛だし
許容されない範囲なら
通知があっても正当防衛不成立。
> 実は以前からこんな例を考えていたのです。私が住んでいる静岡市では近年
>野生動物による農作物の食害がかなりひどいのです。それで、田畑にそうした
>動物の捕獲あるいは殺害目的で罠をしかけておいて(その旨の表示はしておく)、
>それに“人間”がかかってしまった場合はどうなるか、というものです。もち
>ろん罠は「明らかに田畑内部に侵入しないと動作しない」(“うっかり踏み込ん
>でしまった”程度では影響がない)ように設置されているものとします。
正当防衛・緊急避難が成立する限度にしておかないとやばいでしょうね。
極端な話をすると農薬をまくのも「害虫を殺す」ためな訳だけど
そこで農薬をまいた田の水を
誰か訳のわからない人が思わず飲んでしまう可能性がある訳で
でもそれを誰も「傷害罪だ」とかは言わない訳で
ある種のおよそ想定できない非常識な行為に対してもなお安全であることまで
要求されている訳ではないとは言えます。
でも一方で水田の中に入っていくのって
それだけで犯罪になる?
もしくは何かの侵害になる?
……せいぜいが所有権の侵害だけど
侵害のレベルはだいぶ低いやん
そうするとそのために正当防衛が認められるかというと
身体に傷をつける程度までいっちゃうと
なかなか難しいんじゃないか?
(緊急避難と考えるともっと難しいよね。)
水田の中に入るような人は稲を盗んだり田をめちゃくちゃにする人だから
窃盗だとか威力業務妨害なんかなんだ……って理論武装が必要だね。
In article <20030710...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:
>……ながしまさんは上記投稿で過失致死罪としているけど
> この装置は死ぬかどうかは別にして人体に作用することを想定しているし
> さすがに人体に作用すること自体については
> 設置者が知っている訳でしょう?
> そうすると人体に対する有形力の行使であって
> 暴行罪が成立するんじゃない?(=暴行の故意は否定できない。)
私はというと、
・不正侵入者に対して=装置が作用することを認識
・不正侵入者で無い者に対して=装置が作用するとは思っていなかった
って理解していたんです。(元記事には「誤作動」と書いてあったし)
そうすると、不正侵入者でない者に対しては
そもそも有形力行使の故意が無いんじゃないか…と。
>錯誤のところで勉強する話だけど
>例えばAさん殺すつもりでAさんを狙って発砲したら
>Aさんではなく近くにいたBさんにあたってBさんが死んだ場合、
この喩えだと、
「Aさんを殺すつもりはあったが、そこにいたのがBさんなので、
そもそも発砲する意図がなかった。
だけど誤って引き金を引いてしまい
(猟銃などでこの手の事故はよくあると聞いています)
Bさんに銃弾が当たって死なせてしまった」
…あたりに相当するのかなぁ、と。
どうでしょう?(自信がないのがバレバレだな^_^;)
>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2003/07/10 21:32:57 JST
>Message-ID:<bejmbk$7ds$1...@newsl.dti.ne.jp>
>
>私はというと、
>・不正侵入者に対して=装置が作用することを認識
>・不正侵入者で無い者に対して=装置が作用するとは思っていなかった
>って理解していたんです。(元記事には「誤作動」と書いてあったし)
でも「不正侵入者」も「不正侵入者で無い者」も
構成要件としては等しく「人」でしょ。
通説判例のとるところの法定的符合説は
錯誤になるかならないかの判断基準を構成要件に求めるから
殺人罪にしても傷害致死罪にしても「人を」となっているところ
「人」以上の区別において錯誤があったとしても
「人」という点に差異がなければ錯誤なしと判断します。
>そうすると、不正侵入者でない者に対しては
>そもそも有形力行使の故意が無いんじゃないか…と。
のように人以上に区別するのは
具体的符合説でこれはこれで有力説の1つだけど
通説判例のとるところではない……。
>この喩えだと、
>「Aさんを殺すつもりはあったが、そこにいたのがBさんなので、
> そもそも発砲する意図がなかった。
> だけど誤って引き金を引いてしまい
> (猟銃などでこの手の事故はよくあると聞いています)
> Bさんに銃弾が当たって死なせてしまった」
>…あたりに相当するのかなぁ、と。
>
>どうでしょう?(自信がないのがバレバレだな^_^;)
まあこの例はまだ過失致死罪の余地があるかもしれない。
(ただ信用してもらえるかどうかがはなはだ疑問だど。)
だけど設例はこれと本当にパラレルなの?
それにしても、くぅ~、錯誤ってむずい。
でも勉強してみると面白い…。
In article <20030710...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:
>でも「不正侵入者」も「不正侵入者で無い者」も
>構成要件としては等しく「人」でしょ。
>通説判例のとるところの法定的符合説は
>錯誤になるかならないかの判断基準を構成要件に求めるから
>殺人罪にしても傷害致死罪にしても「人を」となっているところ
>「人」以上の区別において錯誤があったとしても
>「人」という点に差異がなければ錯誤なしと判断します。
そっかぁ…
とりあえず論点を絞るために、
不正侵入者への殺意に疑いを持たないことにすると、
・認識した事実=不正侵入者を殺す
・発生した事実=不正侵入者でない者を死なせた
と当てはまるわけですね。
>>この喩えだと、
>>「Aさんを殺すつもりはあったが、そこにいたのがBさんなので、
>> そもそも発砲する意図がなかった。
>> だけど誤って引き金を引いてしまい
>> (猟銃などでこの手の事故はよくあると聞いています)
>> Bさんに銃弾が当たって死なせてしまった」
>>…あたりに相当するのかなぁ、と。
>>
>>どうでしょう?(自信がないのがバレバレだな^_^;)
>
>まあこの例はまだ過失致死罪の余地があるかもしれない。
>(ただ信用してもらえるかどうかがはなはだ疑問だど。)
まぁこの例も、おおもとの防犯装置も、「信用してもらえるか」が疑問なのは
In article <befn2u$1j1$2...@newsl.dti.ne.jp>,
># 公判でそのことを説明するのは大変そうだけど。
と書いているとおり、同感です。
>だけど設例はこれと本当にパラレルなの?
実は、私は依然としてパラレルじゃないかと思っているところなんですが…
というのも、もし法定的符合説に従って錯誤なし、故意ありと見るとしても
それは
「不正侵入者に作動させるつもりで設置した防犯装置で、
不正侵入者でない者を死なせた」
場合であって、今回の場合は
「不正侵入者に作動させ、不正侵入者でない者に作動させないつもりで
設置した防犯装置で、不正侵入者でない者を死なせた」
という理解があったんです。
これでも考え方は変わらないのでしょうか?
>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2003/07/12 11:22:11 JST
>Message-ID:<benrad$j3b$1...@newsl.dti.ne.jp>
>
>それにしても、くぅ~、錯誤ってむずい。
うん、あたしもいまいちわからない……。
>でも勉強してみると面白い…。
まあね。
>・認識した事実=不正侵入者を殺す
>・発生した事実=不正侵入者でない者を死なせた
>
>と当てはまるわけですね。
そうです。
で、法定的符合説なら
・認識した事実=人を殺す
・発生した事実=人を死なせた
で錯誤は存在していないでしょう……と評価するのです。
>>だけど設例はこれと本当にパラレルなの?
>
>実は、私は依然としてパラレルじゃないかと思っているところなんですが…
>
>というのも、もし法定的符合説に従って錯誤なし、故意ありと見るとしても
>それは
>「不正侵入者に作動させるつもりで設置した防犯装置で、
> 不正侵入者でない者を死なせた」
>場合であって、今回の場合は
>「不正侵入者に作動させ、不正侵入者でない者に作動させないつもりで
> 設置した防犯装置で、不正侵入者でない者を死なせた」
>という理解があったんです。
まず前提として実行の着手がどこにあったかを考えると
これは説の分かれはあり得るところだけど
こういう装置をつけた時点で
普通の人は結果発生の危険性を感じるんではないか?と思うのだ。
装置はあるけど一定の場合にしか結果は発生しないから安心……だとは
通常考えないんじゃないかなあ……。
そうすると装置設置時に実行の着手を認めることになると思います。
であれば実行の着手があって結果の発生が予期しない相手でも
構成要件の中であれば錯誤として論じず故意犯成立って話になります。
一方
「Aさんを撃つつもりだけどBさんだったので撃たないつもりが暴発した」
だと
そもそも実行の着手が認められないでしょう。
だから故意犯ではなく……って話になるんで
パラレルとは言い難いと思います。
もしパラレルにするなら実行の着手が認められるように
「人に銃口を向けたけどBさんだったので撃つのをやめたが
予期せず暴発してしまった。」
にしなきゃいけないし
この設例だとむしろ殺人罪を成立させる方が自然でしょ。
けっこう瘢雹北海道のNagashimaさんも勉強すると一定のところまでは行くよう瘢雹ですね。これは
結構なことです。で・髟阡惨・蕕・爐靴磴蕕吠拔・靴討發修・逅惨蔽韻貌世蕕譴覆い發里・・・・ります。
知・・韻呂・爐靴磴蕕蚤仆茲任?泙垢・札鵐垢呂修・逅擦蝋圓?泙擦鵑諭K務て擦諒・燭舛飽貳崑・・w)りないところでございます。
そこで一つヒントです。
> ・瘢雹「起こって欲しい」
> ・瘢雹「起こっても仕方ない」
> ・瘢雹「起ころう瘢雹が知ったこっちゃない」
こんなことをいろいろ突っついてもしょう瘢雹がないんです。単なる言い方の問題です。長く生
きて長く言葉に携われば同じよう瘢雹なことをたくさん言い換えられるでしょう瘢雹。しかしそんな
ことは法律学とは本来無関係。法律を知らない文学だけをやっている方たちのほう瘢雹がが言葉
はたくさん出てくるし弄れます。分かりますよね。(尤も・髟阡燦什澆任気・務て擦凌佑燭舛聾杉・w)葉を弄るのが法律学だと思っている・・圓・燭・修譴・・戮鯆磴瓩討い覦豸彊・砲覆辰討い襪・・w)う瘢雹です)
法解・・瓩鬚垢襪箸?膸・覆海箸琉譴弔呂蓮・・・こう瘢雹言う瘢雹・・豺隋・・・
<なんでこのよう瘢雹なことが問題となるのか?>
ここに瞬時に思い当たることなんです。これが「センス』っていう瘢雹やつ。で・髟阡擦・・・なたは何故・髟阡・・w)w)・・?凾タ・瘢雹「起こって欲しい」
> ・瘢雹「起こっても仕方ない」
> ・瘢雹「起ころう瘢雹が知ったこっちゃない」
こんなことを問題にするんですか?ね・髟阡擦匹・逅擦靴討覆鵑任垢・・弔修鵑覆海箸睚・・蕕覆い・・w)じゃ<未必の故意>だけじゃなく<故意>全体がえらく迷惑なことでしょう瘢雹ねぇ。
<未必の故意>も<故意>でう髟阡擦襪海箸亙僂錣蕕此・・・その<故意>は本来的には責任論で問題
とされるべき性・・舛里發里任靴腓・逅察・任蓮・・・刑法で言う瘢雹<責任>とはどう瘢雹いう瘢雹ことなんですか?
う髟阡擦覆燭亘厂遽儖譴気鵑梁皇鏤劼気鵑陸踉侍業をお聴きになった方ですか?まさか・髟阡惨・號務て・・w)でもそ~んな「化石」みたいな人はいないでしょう瘢雹から・髟阡桟宰,埜世・逅察秬嫻ぁ笋箸蓮嵌麁餡貯・w)能性」・髟阡擦海・逅珊佑┐討いい任靴腓・逅擦諭・・w)w)つまり・髟阡察稾ど・慮琉奸笋陸苳詞合も非難可能性がどの程度に高まったときに故意有りとすべき
かの問題に畿髟阡暫紊垢襦・靴燭・辰討海譴話陸踉傘の問題ではない。既に知・・韻・淑・任盡・鬚・・・w)なることがう髟阡擦辰禿・魁9?ぐ嫐・任硫礎揚獣任量簑蠅任垢諭M廚垢襪法・・・どの程度の心理的
要素が入ったときに故意う髟阡擦蠅箸靴堂瓲踉産犯以・・紊糧麁颪魏辰┐蕕譴襪・・・・と言う瘢雹結果から逆算
しての選択の問題なのです。
でも・髟阡・・w)w) ・瘢雹「起こっても仕方ない」
・瘢雹「起ころう瘢雹が知ったこっちゃない」
こんな区別を大げさにやるところを見ると・髟阡伺櫓踉晒な指導・・圓・虧蟻未覆海箸鬚笋蕕気譴討い・・w)からなのかも知れまへんが・髟阡史[Г噺世・逅擦世韻任覆・修發修盂慳箘貳未・・・辰討い泙擦鵑諭・・w)これからですこれから。センスを意・・韻靴道・疏阿隆萃イ蠅波垈鵑任靴腓・逅察・修・逅擦靴燭藉?・・w)進歩を断念している佐々木さんの・・紊鮃圓・海箸世任?襪・癲・覆。・・・う髟阡擦覆燭・任欧身塾磴吏・w)見解と言う瘢雹のも言葉に表れた表現ではなく事・・造鮓・襪海箸任后・匹・逅擦い・逅算・踉斬を前提にして
判例はそう瘢雹表現したのか・髟阡擦海譴肪緻椶垢襪海箸任后・・w)w)w)?w)本州の親切くん
In article <20030712...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:
>こういう装置をつけた時点で
>普通の人は結果発生の危険性を感じるんではないか?と思うのだ。
>装置はあるけど一定の場合にしか結果は発生しないから安心……だとは
>通常考えないんじゃないかなあ……。
ここの認識に収束したような気がしています。
私はここを「自分はそう考えた」んで…。
だとすれば、この議論は評価の差に落ち着いたのではないでしょうか?
ここが佐々木さんのおっしゃるとおりであれば、
>そうすると装置設置時に実行の着手を認めることになると思います。
に異論がありません。
>From:Yasuyuki Nagashima <yas...@horae.dti.ne.jp>
>Date:2003/07/15 00:01:09 JST
>Message-ID:<beughf$bu0$1...@newsl.dti.ne.jp>
>
>たぶん、私と佐々木さんの意見の違いは
>
>In article <20030712...@nn.iij4u.or.jp>,
>c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote:
>
>>こういう装置をつけた時点で
>>普通の人は結果発生の危険性を感じるんではないか?と思うのだ。
>>装置はあるけど一定の場合にしか結果は発生しないから安心……だとは
>>通常考えないんじゃないかなあ……。
>
>ここの認識に収束したような気がしています。
>私はここを「自分はそう考えた」んで…。
ここは説が分かれていいと思いますよ。
似たような議論としては
「人間を道具とするような形態における間接正犯の実行の着手」
もありますし、実際実行の着手には複数の説があるから。
>だとすれば、この議論は評価の差に落ち着いたのではないでしょうか?
でし。
まあ故意があることに変りはない
(未必の故意は故意に含まないと言うのでない限り。)
以上、どっちでも議論としては大差ないのであまり気にすることもないです。
情状の問題はともかく成立する犯罪は同じということ。
未必の故意とか認識ある過失とかいうのは、実際の行為者の心理状態をどう評
価するかという際の理論上のメルクマールにすぎない。
最終的に重要なのは「故意があるかないか」。
# って言うか、未必の故意ってのは故意があると明言できないが故意犯として
処罰する必要がある事件で故意の認定を正当化するために言い出したんじゃ
ないかとすら思ってんだけどね。
--
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wat...@yahoo.co.jp
青林書院「大コンメンタール刑法 第2巻」初版P375には、
盗難予防のための電撃装置による死傷事故について、重過失致死傷罪の成立を
認めた事例がある(札幌高判昭和34・3・31下集1巻3号602頁)。
とあり。
……但し、どういう状況で作動したのかは不明ですが、状況次第で重過失致死
傷罪もあり得るという話。
>まず相手が泥棒でもなんでもなかったら
(中略)
>正当防衛でも緊急避難でもなし。
同じく、
防衛のための装置が、設置の意図に反し急迫不正の侵害がないときに作動した
場合には、侵害の急迫性の要件を欠くことになり、正当防衛はもとより過剰防
衛成立の余地もない(小野ら・註釈141頁)
とあり。
> 誤想正当防衛や誤想緊急避難を考える余地があるかもしれないけど。
同じく、
(もっとも、誤想防衛ないし誤想過剰防衛が問題となる余地はあろう)
とあり。
>次に相手が泥棒の場合
(中略)
>>From:"Mina Kato" <k_m...@apple.ocn.ne.jp>
>>Date:2003/07/08 06:30:38 JST
>>Message-ID:<becoq8$qrs$1...@nn-tk105.ocn.ad.jp>
>>
>>(1) 将来の侵害は急迫不正とはいえない(大判昭7.6.16)。
>
>という指摘は正しいと思います。
>ただし前田先生は
>「装置が作動した時点では将来の侵害ではなく現在の侵害である」
>と指摘しているんで
>この要件で切ることはできないかもしれません。
同じく、
将来の侵害を予期してあらかじめ防衛のための装置を設けておくことも、侵害
が現実化した段階において初めてその装置の効果が生ずるものであるときは、
急迫の侵害に対するものであると考えるのが通説である
とあり。
>>(2) 相当性の判断基準とされる武器対等の原則から均衡に失する。
>
>こっちの要件で不成立だと思うんですよ。
……と言うか、そもそも「武器対等の原則」って生命身体に対する侵害行為に
対して相手の生命身体を加害する場合の話で、財産犯に対して「武器」云々は
違うんじゃないの?って気がしますけど。
明確に述べた文献は見たことがないけど、財産権に対する侵害行為において
「武器」というものがそもそも観念できるの?と。
そして、片方に「武器」を観念できない段階で「対等」を論じることは不可能
だと。
>確かに正当防衛の場合、法益均衡の要件は緊急避難ほどうるさくないんだけど
>さすがに財産的法益の防衛のために生命まで奪っちゃうのがやりすぎなのは
>おそらく異論のないところだと思います。
>ですんで過剰防衛として議論するのが正解だと思います。
前掲書で挙げている例としては、単なる財産犯に対する身体的加害は相当性を
否定する傾向があります。
強盗とか恐喝とか有形力を行使する財産犯だと単なる財産犯とは違う扱いにな
ると思いますが。
……ちなみに、西瓜の窃盗対策として囲いに電気を流してやけどさせた事例で
過剰防衛とした判例あり。
……のはずなんだけど、どこにあったか完全に忘れました。
って言うかこの設例だと、そもそも動物相手に罠を仕掛けているのであって
「人間に対して使おうという気は全くない」のが普通でしょう。
だからまず故意が無い
(ぎりぎりいっても認識ある過失まででしょう。)。
なので問題になるとすれば過失犯。
そして、誤って入り込む可能性があるようなところならともかく、明らかに入
れないようになっているところならば大概は過失もないとなるでしょう。
また、一般に動物捕獲用に使う罠である限り、罠自体の威力が過剰だというこ
ともないでしょう。
しかもうっかり入った程度では作動しないってんだから作動するのはよっぽど
の場合。
で、動物相手に罠を仕掛ける必要があるような場合(動物の捕獲を主目的とす
るのでない限り)、大概は侵入防止に柵を設けてそれでも防げないから罠を仕
掛けるというのが普通。
注意看板もあるということだし。
だとすれば、柵が壊れているのに放置したとか、罠自体が過剰なまでの威力の
あるものであったとかいう事情がない限りは過失は否定することになるでしょ
う。
誤作動の場合は考慮の余地があるけどいずれにしても、せいぜい過失犯。
とまあそういうことで純粋に過失犯として論じれば足りると思います。
で、過失犯が成立する場合、過失行為による正当防衛を認めなければ正当防衛
も過剰防衛も成立の余地がない。
で、防衛の意思必要説に立ち、その内容を緩和する説に立つと(他の要件を充
たす限り)ぎりぎり認められることもあり得るけれど……、認められないん
じゃないかなぁ。
# なお、田畑に勝手にはいるのは軽犯罪法違反がいいところ。
35号に「田畑」と明示。
ところで、盗撮が軽犯罪法違反になるという記述をどっかで見たけど、一体
何号?
……覗きと盗撮は違うぞ。
>From:SUZUKI Wataru <omega...@anet.ne.jp>
>Date:2003/08/08 00:12:17 JST
>Message-ID:<3f325e9b.5246%omega...@anet.ne.jp>
>
> ……覗きと盗撮は違うぞ。
違うこと自体は争わないが
1条23号について言えば
「ひそかにのぞき見した」という行為に
盗撮は含まれるんじゃないの?
>From:SUZUKI Wataru <omega...@anet.ne.jp>
>Date:2003/08/08 00:12:15 JST
>Message-ID:<3f32534a.5245%omega...@anet.ne.jp>
>
>>……ながしまさんは上記投稿で過失致死罪としているけど
>
>青林書院「大コンメンタール刑法 第2巻」初版P375には、
>盗難予防のための電撃装置による死傷事故について、重過失致死傷罪の成立を
>認めた事例がある(札幌高判昭和34・3・31下集1巻3号602頁)。
>とあり。
>
>……但し、どういう状況で作動したのかは不明ですが、状況次第で重過失致死
>傷罪もあり得るという話。
まあ事案見ないとわかりませんな。
>>>(2) 相当性の判断基準とされる武器対等の原則から均衡に失する。
>>
>>こっちの要件で不成立だと思うんですよ。
>
>……と言うか、そもそも「武器対等の原則」って生命身体に対する侵害行為に
>対して相手の生命身体を加害する場合の話で、財産犯に対して「武器」云々は
>違うんじゃないの?って気がしますけど。
この点だけど
>前掲書で挙げている例としては、単なる財産犯に対する身体的加害は相当性を
>否定する傾向があります。
ということを
上記の説明の延長線上にとらえるのはまずいのかい?
「まずい」と言うかそれは当然のことであってそれを言い出すのは話が逆で
しょう。
言い換えれば、それは単に「相当性がある/ない」と言っているのと同じこと
だと。
どちらも「相当性の有無」という同じ判断軸上の話なのですからその意味で一
方が一方の延長線上にあるのは当然のこと。
そこで、「相当性とはなんぞや」という具体的判断基準として「武器対等」と
いう話が出てくるのにそれを「武器対等」が観念できない場合にまで広げては
「具体的判断基準」として無意味、という話。
つまり、
「相当性」の'具体的'判断基準として「武器対等原則」というのを定立したの
ではないのか?
だとすれば、「武器対等」を観念できないものにその基準をあてはめることは
できないはずだ。
もしあてはめてみたところで、その場合、「武器対等原則」は結局のところ
'抽象的'な「相当性」の単なる言い換えと同じである。
ならば、言うだけ意味がない。
ということ。
単なる財産犯に対して身体加害による反撃行為が相当性を欠く理由として、
「武器」が対等でないからと言ってみても、「武器」に当てはまるものがなけ
れば「対等」かどうか判断できないので理由を述べたことにならない。
それは結局、「相当性を欠く」と抽象的に言っているのと何ら変りない。
と。
ああ失礼。
いわゆる迷惑防止条例で規制している'公共の場での'盗撮の話です。
最近流行の携帯電話付きカメラ(^^;での盗撮。
……ちなみに、23号に該当する盗撮について、無人撮影装置による場合、撮影
だけで終っただけの場合にのぞき見に当るんだろうか?
言い換えれば、撮影しただけで誰も見ていない状態で既遂となるのか?と。
武器対等の原則の話は了解。
>From:SUZUKI Wataru <omega...@anet.ne.jp>
>Date:2003/08/23 01:59:12 JST
>Message-ID:<3f464ad6.5374%omega...@anet.ne.jp>
>
>いわゆる迷惑防止条例で規制している'公共の場での'盗撮の話です。
>最近流行の携帯電話付きカメラ(^^;での盗撮。
>
>……ちなみに、23号に該当する盗撮について、無人撮影装置による場合、撮影
>だけで終っただけの場合にのぞき見に当るんだろうか?
>言い換えれば、撮影しただけで誰も見ていない状態で既遂となるのか?と。
器具が入ったらだめってことはないと思うがどうだ?
> 佐々木将人@函館 です。
>
> 武器対等の原則の話は了解。
>
> >From:SUZUKI Wataru <omega...@anet.ne.jp>
> >Date:2003/08/23 01:59:12 JST
> >Message-ID:<3f464ad6.5374%omega...@anet.ne.jp>
> >
> >いわゆる迷惑防止条例で規制している'公共の場での'盗撮の話です。
> >最近流行の携帯電話付きカメラ(^^;での盗撮。
> >
> >……ちなみに、23号に該当する盗撮について、無人撮影装置による場合、撮影
> >だけで終っただけの場合にのぞき見に当るんだろうか?
> >言い換えれば、撮影しただけで誰も見ていない状態で既遂となるのか?と。
>
> 器具が入ったらだめってことはないと思うがどうだ?
撮影した画像を見たら間に器具が入っただけで「のぞき見」にあたる
だろう(ここはSUZUKIさんも佐々木さんも一致している)けど、
画像を見る前はどうなのだろうというのが疑問なのだと思います。
--
Tomoaki Nishiyama
e-mail:tom...@nibb.ac.jp
National Institute for Basic Biology
えーと、これは勘違いっぽいです。
大コンメンタール刑法2巻の375頁に載ってるのを見落としていたんですが、
実例法学全集刑法総論[新版]136頁に載っている様子。
これが「実例」なのであれば判例がありそうですが、それなら端的に判例を示
すと思うので、おそらく判例はないのではないかと思います。
これと
>>……ちなみに、23号に該当する盗撮について、無人撮影装置による場合、撮影
>>だけで終っただけの場合にのぞき見に当るんだろうか?
>>言い換えれば、撮影しただけで誰も見ていない状態で既遂となるのか?と。
これは別の話なのでそれを一緒くたに引用しているところからして意図が伝
わっていないと推測しますが、軽犯罪法の禁止する「覗き」について、
At 23 Aug 2003 22:00:45 +0900,
in the message, <86smnsy1...@koke.nibb.ac.jp>,
Tomoaki NISHIYAMA <tom...@nibb.ac.jp> wrote
>画像を見る前はどうなのだろうというのが疑問なのだと思います。
ということ。
端的には、未遂じゃないのか?ってこと。
>From:SUZUKI Wataru <omega...@anet.ne.jp>
>Date:2003/09/11 23:32:17 JST
>Message-ID:<3f607d77.5573%omega...@anet.ne.jp>
>
>端的には、未遂じゃないのか?ってこと。
人間が見たことで「はじめて」既遂になるって主張?
----------------------------------------------------------------------
Talk lisp at Tea room Lisp.gc .
c...@nn.iij4u.or.jp 佐々木将人
(This address is for NetNews.)
----------------------------------------------------------------------
ルフィミア「お兄ちゃん、もうすぐ秋休みだよ。」
まさと 「それ黄色いリボンつけて言わないとわかりにくい……。」
>Date:2003/09/12 00:27:13 JST
>Message-ID:<20030912...@nn.iij4u.or.jp>
>
>>端的には、未遂じゃないのか?ってこと。
>
>人間が見たことで「はじめて」既遂になるって主張?
ちなみにあたしは註解特別刑法の線でいいと思っています。
すなわち(フイルムの)カメラの事例で現像して見たというまでいたらないと
のぞき見たことにはならないという考え方もあるだろうけど
カメラで撮影すればほぼ確実に見ることが可能になる上
被害者から見ればカメラで撮影される方がより恥ずかしいことからすれば
カメラで撮影した時点でのぞき見たと言えるとする線です。
(どうも伊藤栄樹元検事総長がこの線らしい。)
----------------------------------------------------------------------
Talk lisp at Tea room Lisp.gc .
c...@nn.iij4u.or.jp 佐々木将人
(This address is for NetNews.)
----------------------------------------------------------------------
ルフィミア「兄さん、秋休みだね。私をどこに連れていってくれるの?」
まさと 「それ青いブレザーでキュンキュンさせながら言わないと……。」
じゃないのかなって疑問。
# 主張まではしない。
At Fri, 12 Sep 2003 17:51:51 +0900,
in the message, <20030912...@nn.iij4u.or.jp>,
c...@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>すなわち(フイルムの)カメラの事例で現像して見たというまでいたらないと
>のぞき見たことにはならないという考え方もあるだろうけど
>カメラで撮影すればほぼ確実に見ることが可能になる上
>被害者から見ればカメラで撮影される方がより恥ずかしいことからすれば
>カメラで撮影した時点でのぞき見たと言えるとする線です。
立花書房の注解特別刑法2巻の記述だと思いますけど、わざわざ、露光した時
点で既遂となるとして「良かろう」みたいな書き方をしているところからし
て、両説あり得ることを前提にしているのでしょう。
ただ、「自動」撮影を想定してんのかねぇ……って気はしますが。
でも「自動」でなければ「ファインダー越しに除いた段階で既遂」かも。
めくら撮影というのもないではないけれど……。
もっとも、自動だとしてもそもそもカメラを設置して写真を撮れる状態にする
段階で既に覗いているのじゃないか?って気もします。
本罪の客体は「場所」なのでそこに人がいなくても構成要件該当性は充たすと
すれば、アングルを決めるために覗いただけで既遂じゃないの?って。
そういう意味では、露光以前に設置だけで既遂に達している可能性もあろうけ
ど、そうすると今度は、露光した段階で併合罪?って疑問が……。
>From:SUZUKI Wataru <szk_wat...@yahoo.co.jp>
>Date:2003/09/29 21:18:25 JST
>Message-ID:<3f7822ec.5824%szk_wat...@yahoo.co.jp>
>
>でも「自動」でなければ「ファインダー越しに除いた段階で既遂」かも。
ファインダーを通しても見てもそのことでアウトなのに異論はないからこそ
「無人・自動」のパターンを想定しているのでしょう。
>本罪の客体は「場所」なのでそこに人がいなくても構成要件該当性は充たすと
>すれば、アングルを決めるために覗いただけで既遂じゃないの?って。
時間を限って構成要件に該当するような場所の場合もあります。
……時限撮影装置?
また「人がいなければ構成要件該当性はないんだ」って反論に対しても
対応可能。
----------------------------------------------------------------------
Talk lisp at Tea room Lisp.gc .
c...@nn.iij4u.or.jp 佐々木将人
(This address is for NetNews.)
----------------------------------------------------------------------
ルフィミア「兄さん、秋休み、終わっちゃったね?」
まさと 「それ青いブレザーでキュンキュンさせながら言わないと……。」
なるほど、こいつは思い付かなかったや。