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「円周率が3.05より大きいこ とを証明せよ。」

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yoimondai

未読、
2003/09/02 17:22:432003/09/02
To:
はじめまして、Yoimondaiといいます。
今年の東京大学の理科前期の数学の最後の問題
「円周率が3.05より大きいことを証明せよ。」
というのはどう思われますか。


http://box.elsia.net/~yoimondai/

yoimondai

未読、
2003/09/03 5:17:392003/09/03
To:
中学生の数学クラブの研究課題の域を出ていないのではないでしょうか。

> 「円周率が3.05より大きいことを証明せよ。」
> というのはどう思われますか。

IIJIMA Hiromitsu

未読、
2003/09/03 9:45:492003/09/03
To:
いいじまです。

> 中学生の数学クラブの研究課題の域を出ていないのではないでしょうか。
>
> > 「円周率が3.05より大きいことを証明せよ。」
> > というのはどう思われますか。

そうなんですが、現に東大入試に出たんですよ。

で、各予備校の難度評価を見てもらえばわかりますが、「やや難」という評が
ついています。お手上げだった、という受験生の声もあります。

前提知識としては中学レベルで済むけど、実際に解かせてみるとできない。
いまの受験数学へのアンチテーゼという意図が色濃く読みとれます。

#2ch の数学板では出題されたその当日にスレッドが立って、「マチンの公式を
#証明して…」というマジレスとも冗談ともつかない反応があったりします。
#2つ立ったスレッドのうち片方はまだ生きてますよ。
http://science.2ch.net/test/read.cgi/math/1046257108/l50

ちなみに東大は以前に、「三角関数の加法定理を証明せよ」という問題も出して
います。

P.S.
3.10 でなく 3.05 を選んだのは、内接正 12 角形でなく正 8 角形を使っても
正解にたどりつけるように、という配慮ですね。

========================================================================
飯嶋 浩光 / でるもんた・いいじま http://www.ht.sakura.ne.jp/~delmonta/
IIJIMA Hiromitsu, aka Delmonta mailto:delm...@ht.sakura.ne.jp

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fj.os.ms-windows.server2003 の新設に関する投票に多数のご参加をいただき、
ありがとうございました。Windows 関連のグループは今後も引き続き再編の議論
を行うことが予想されますので、引き続きご意見をいただければ幸いです。
────────────────────────────────────

kei.shindou

未読、
2003/09/03 11:21:512003/09/03
To:
レス有り難うございます。

> そうなんですが、現に東大入試に出たんですよ。
そうですよね。

> で、各予備校の難度評価を見てもらえばわかりますが、「やや難」という評が
> ついています。お手上げだった、という受験生の声もあります。

数学で遊ぶなんて事はしないんですかね。中学入試でも手が届きそうですがね。
諸外国ではあるのでしょうか。

> 前提知識としては中学レベルで済むけど、実際に解かせてみるとできない。
> いまの受験数学へのアンチテーゼという意図が色濃く読みとれます。
そうなんですか。

> ちなみに東大は以前に、「三角関数の加法定理を証明せよ」という問題も出して
> います。
あの時は1番目でしかも他の問題と並立していたからまだお愛嬌って感じでしたが

> P.S.
> 3.10 でなく 3.05 を選んだのは、内接正 12 角形でなく正 8 角形を使っても
> 正解にたどりつけるように、という配慮ですね。

そうですね。これが出題意図なのでしょうがπ^2との比較になって中学生にはやや
面倒になりますね。

yoimondai

未読、
2003/09/03 11:32:492003/09/03
To:
メーラー間違えてしまいましたすみません。
"kei.shindou" <04348...@jcom.home.ne.jp> wrote in message
news:jGn5b.3043$Fk4.3...@news1.rdc1.ky.home.ne.jp...

IIJIMA Hiromitsu

未読、
2003/09/03 12:15:382003/09/03
To:
いいじまです。

> > 3.10 でなく 3.05 を選んだのは、内接正 12 角形でなく正 8 角形を使っても
> > 正解にたどりつけるように、という配慮ですね。
> そうですね。これが出題意図なのでしょうがπ^2との比較になって中学生にはやや
> 面倒になりますね。

結局は (3.05/6)^2 か (3.05/4)^2 との比較になるんですが、この2項展開って
いま中学生ではやらなくなったんでしたっけ?

ちなみに解は、

半径 1、角度 30°ないし45°の扇形(つまり、単位円に内接する正 12 角形
   または正 8 角形の一部を切り出したもの)を考える。
弧の長さは当然 π/6 か π/4。

一方で弦の長さは第二余弦定理より √[2-2cos(30°or45°)] となる
  (第二余弦定理を知らなくても初等的に計算可能ですけど、その計算は
   第二余弦定理の証明にほかならない…)
√を外すのが面倒なので、つまるところ (3.05/6)^2 or (3.05/4)^2 と弦の長さの
比較問題。
ギリギリの数値になる 45°のほうでいくと、
(3.05/4)^2 = (3/4 + 1/80)^2 = 93/160 + 1/6400
ここで 93/160 = 0.58125 だから、1/6400(<1/5000=0.0002)
を足しても足さなくても有効数字 3 桁まで 0.581 で確定。
2-2cos45° = 2-√2 = 1-1.414... = 0.585...
となって、弦は 3.05/4 より長いことになる。弧の長さ π/4 は当然に弦より
長いことになるから、π>3.05、と。

で、あらためて解答を書いてみたんですけど、(3.05/4)^2 の計算のときに 1/6400
の計算を省いて 0.581 で数値を確定させてから 1-1.414... = 0.585... と比較
するセンスとかは、高校の数学じゃ教えてくれないですね。

このへんをきちんと扱うとしたら現行カリキュラムだと、3 年生で習うことが
前提の「数学 C」の中に「数値計算」という項目があるんだけど、大抵の理系
学部は数学 C では「楕円曲線と種々の曲線」「行列と行列式(線形変換は扱わ
ないが簡単な対角化は行う)」の2項目を要求してて、それにあわせてカリキュ
ラムを組まざるを得ないし。

#ちなみに数学 C の内容は、上記 3 項目と「統計」の計 4 つから 2 つ選択。

#旧カリキュラム(93 年までの高校入学者に適用)の「確率・統計」は現行カリ
#キュラムでは数学 I、数学 B、数学 C に分散していて、理系の人も文系の人も
#受験制度上、数学 I レベルは必ず履修するけど、B・C レベルは以前より履修
#者が少なくなっている可能性が大。まあ、旧カリキュラムで文系の人(当然、
#経済学・社会学の人も含む)が確率・統計を全く勉強しないで大学に入るより
#はマシだと思うんですが…

あとは誤差を扱う学問としては物理、化学、天文学あたりですけど、これは高校
レベルだと誤差の扱いはかなりズサンだからなあ…

IIJIMA Hiromitsu

未読、
2003/09/03 12:24:502003/09/03
To:
いいじまです。

> 2-2cos45° = 2-√2 = 1-1.414... = 0.585...

  ↑ここ、もちろん 2-1.414... の間違いです(^^;)

========================================================================
飯嶋 浩光 / でるもんた・いいじま http://www.ht.sakura.ne.jp/~delmonta/
IIJIMA Hiromitsu, aka Delmonta mailto:delm...@ht.sakura.ne.jp

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Shinji KONO

未読、
2003/09/03 19:01:452003/09/03
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <3F55F08D...@ht.sakura.ne.jp>, IIJIMA Hiromitsu <delm...@ht.sakura.ne.jp> writes
> ちなみに東大は以前に、「三角関数の加法定理を証明せよ」という問題も出して
> います。

高校生の頃、自力で思い出そうとして一日費した記憶があります。
なんかヒントがあるならともかく....

> 3.10 でなく 3.05 を選んだのは、内接正 12 角形でなく正 8 角形を使っても
> 正解にたどりつけるように、という配慮ですね。

「3より大きいこと」と読むと、どういうアンチテーゼか良くわかる...

でも、円弧の長さは内接する多角形の辺の長さより長いってのをど
うやって証明するんだろう? (とか試験中に考えるのはやめろって
いうに... )

とか考えると積分しちゃうのが簡単だと思うな。だけど収束の悪い
積分を選んじゃうと死ぬでしょうけど。atan が速いってのは、結
構後になってから知った気がする。

---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus,
PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科,
科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)

IIJIMA Hiromitsu

未読、
2003/09/03 21:48:512003/09/03
To:
> > 3.10 でなく 3.05 を選んだのは、内接正 12 角形でなく正 8 角形を使っても
> > 正解にたどりつけるように、という配慮ですね。
>
> 「3より大きいこと」と読むと、どういうアンチテーゼか良くわかる...

新小学校指導要領へのアンチテーゼと取りますか。

むしろ私は、意味を理解せずに公式・解法の暗記だけで済ませている受験業界へ
のアンチテーゼと取りました。だから「加法定理を証明せよ」などという、誰に
でも解けそうな問題に 20 点もの配点を与えたときには、本当に公式を理解でき
ているのかとか、記述力が身についているのかを見る問題だと取りました。で、
今回の問題もその延長だと捉えているわけです。

#ひょっとしたら「白紙答案が目立つので餌撒き問題を」という意図かもしれない
#ですけど。

で、新指導要領は「3で計算する」ということだけが一人歩きしてるんですけど、
本当は
・3.14 まできちんと教える(無限小数だということまで教えるんだったか)
・手計算の場合は3で概算してよいことを教える
・3.14 が必要なら、電卓を積極的に使う
という意図です。

その中で私が重要と考えるのは2番目で、「概算してよいと教える」というのは
むしろ今までの算数・数学教育にはあまりなかったことなのでは。そう考えると
むしろ、私の例解で示したとおり、(3.05/4)^2 の計算を 0.581 で打ち止めにし
て 2-√2=0.585... と比較するなど、新指導要領を肯定する内容と取れなくもな
いです。

ま、いずれにせよ、新指導要領でこの問題が取り上げられたということを意識し
ているのは間違いないでしょうけど、新指導要領の関係者と東大入試の出題者と
の間でどのくらいの人事交流があるのかは私は知りません。

#東大も一枚岩ではないです。東大付属高校の左巻健男先生(現・京都繊維工芸
#大学教授)は新指導要領に異議ありとして、検定外中学理科教科書を出版し、
#今は小学校・高校の検定外教科書の執筆作業に取り掛かっています。
#私も機会があれば数学と英語の検定外教科書を出してみたい…

> でも、円弧の長さは内接する多角形の辺の長さより長いってのをど
> うやって証明するんだろう? (とか試験中に考えるのはやめろって
> いうに... )

「線分は2点間を結ぶ最短距離」というのがユークリッドの五大公理の中にあっ
たはずです。非ユークリッド幾何は高校数学では扱いませんから(物理で一般相
対論がらみでひょっとしたら出るかも、という)、つっこまれてもその公理を引
用すればいいのではと。

> とか考えると積分しちゃうのが簡単だと思うな。だけど収束の悪い
> 積分を選んじゃうと死ぬでしょうけど。atan が速いってのは、結
> 構後になってから知った気がする。

ええ、高精度で求めようと思ったら積分・級数展開ですね。
でも「そんな必要はないんだよ」というのが今回の出題意図だと思っています。

IIJIMA Hiromitsu

未読、
2003/09/03 21:51:182003/09/03
To:
すいません書き忘れ。

> でも、円弧の長さは内接する多角形の辺の長さより長いってのをど
> うやって証明するんだろう? (とか試験中に考えるのはやめろって
> いうに... )
>
> とか考えると積分しちゃうのが簡単だと思うな。だけど収束の悪い
> 積分を選んじゃうと死ぬでしょうけど。atan が速いってのは、結
> 構後になってから知った気がする。

積分を使うというのは、そういう面倒な部分をすべて定理の内側にカプセル化し
て、カプセルだけを使うという方法ですよね。実際の場面でそれが便利なことは
論を待たないのですが、入試では「正しいカプセルが頭の中に入っているか」を
見たいわけで、その意味では不適切ではないかと。

SATO Tatsuya

未読、
2003/09/04 2:30:392003/09/04
To:
>
> 「線分は2点間を結ぶ最短距離」というのがユークリッドの五大公理の
> 中にあったはずです。

それは入ってません。

(1) 折線との比較なら、三角不等式の証明をせねばなりません。

(2) 一般の曲線の長さとの比較なら、まずは曲線の長さの定義をせね
ばなりません。定義は

「曲線から区分的に選んだ代表点によって作られる折線の長さの上限値」

です。

# 単に「上限値」と言うよりも、もっと詳しい事が言えます。
# このような折線の全体は包含関係について有向集合をなし、
# 更に、折線の長さはこの有向集合についての増加netなので、
# この有向集合についての極限値(+∞を含める)が存在する。
# この極限値が上で述べた上限値になる。

もちろんこの定義を理解するには、折線の長さについての性質
(三角不等式)が証明済みである必要があります。また折線の場合に
値が一致することを証明する必要があります。

以上で「曲線の長さ」が well-defined であることを前提にすれば、
(まあ今回の東大入試では前提にしてよいでしょう。)

「内接多角形の周長」≦「円の周長」

は定義により自明です。

内接正n角形の周長を利用するなら、n≧8 が必要で、 3.05/n > sin(π/n)
を証明する問題になります。n=8 or 12 で計算しようとすると、長い
小数表示を2乗するにあたり、どこまでで切るかに気を使わねばなり
ませんが、 n=10 だと sin(π/10)=(√5 -1)/4 ですので、面倒な計算
無しで √5 > 2.22 にまで問題を帰着させられます。π=3.14…を使え
ない問題で √5 = 2.236… を使うのもどうかと思うので直接示すと
5 = 400/80 > 400/81 = (20/9)^2 = (2.2222222…)^2 > (2.22)^2
でしょうか。

いいじま氏の言うように、長い小数を適切に評価してゆく能力を見る
ことは良いことだとは思いますが、毎年出題する事ではないでしょう。


さて、河野氏は「積分すりゃ良いじゃん」と言っていますが …

いいじま氏 wrote:
> 積分を使うというのは、そういう面倒な部分をすべて定理の内側に
> カプセル化して、カプセルだけを使うという方法ですよね。実際の

> 場面でそれが便利なことは論を待たないのですが、入試では
> 「正しいカプセルが頭の中に入っているか」を見たいわけで、その
> 意味では不適切ではないかと。


しかし積分論の理論構成の理解度を見たいなら、それ相応の出題を
すべきであって、本問ではそれを禁じ手には出来ないと思いますよ。
前の cos,sin の加法定理の時のように

「曲線の長さ、および円周率の定義を述べ、それに基いて π > 3.05 を示せ」

となっていたら、その理解度も見ることが出来ますが、さすがに「一般の
曲線の長さの定義」の正確な表現を高校生に要求するのは無理があります。

また y(x) が C^1級 (1回微分できて、導関数も連続) のときに、
最初に述べた曲線の長さの定義に基づいて L=∫√(1+(y'(x))^2)dx
を証明するには Riemann積分の正確な定義と、連続関数に対してRiemann
積分が存在するという定理を知っていなければならず、これも一般の
高校生には無理があります。

まあ数学者になるわけではない、普通の理系の高校生なら、
「無限小線分の長さ √(1+(y'(x))^2)dx をベターッと足し合わせるのだ」
でも充分だとは思いますが。

積分でやると、 1/√(1-x^2) ≧ 1+(1/2)x^2 を証明して 0≦x≦1/2 で
積分すれば、 π > 3.125 という、充分な結果が得られますね。

河野氏 wrote:
> とか考えると積分しちゃうのが簡単だと思うな。だけど収束の悪い
> 積分を選んじゃうと死ぬでしょうけど。atan が速いってのは、結
> 構後になってから知った気がする。

時間のある人が「何桁まで合わせられるか」を工夫する話ではなく、

「π>3.05 を試験時間を限って一般の高校生に出題するのは、一体
どのような能力を見ているのか」

を議論しているのだと思いますが…

--
**** 佐藤達也 ****

Shinji KONO

未読、
2003/09/04 3:09:432003/09/04
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

んー、距離の方を、

In article <y6aad9l...@piloo.lightcone.jp>, SATO Tatsuya <statuya...@seg.co.jp> writes


> もちろんこの定義を理解するには、折線の長さについての性質
> (三角不等式)が証明済みである必要があります。また折線の場合に
> 値が一致することを証明する必要があります。

とかいっておいて、積分の方は、

> また y(x) が C^1級 (1回微分できて、導関数も連続) のときに、
> 最初に述べた曲線の長さの定義に基づいて L=∫√(1+(y'(x))^2)dx
> を証明するには Riemann積分の正確な定義と、連続関数に対してRiemann
> 積分が存在するという定理を知っていなければならず、これも一般の
> 高校生には無理があります。

ってのは、ちょっとバランス悪いかな... 実は、どっちも
同じことをやっているはずなので。

ちなみに上限じゃなくて下限だよね? どっかでなんか計量とか可積
分の仮定はいれなきゃならんので、下限みたいな定義よりも積分で
定義する方が整合性があるだろうと想像します。

それとも距離の方がやさしいのかな? 別に反論しているわけ
じゃないんだけど。僕は、割りと初等幾何の問題を微分積分
を使って解くのが好きな奴だったので。

微分積分を避けるのは、僕は、害があるだけだと思っているので。
単なる自説ですけど。積分の存在とかの方が、距離の下限の存在
みたいなものを仮定するよりも基本的な気がする。

> 時間のある人が「何桁まで合わせられるか」を工夫する話ではなく、
> 「π>3.05 を試験時間を限って一般の高校生に出題するのは、一体
> どのような能力を見ているのか」
> を議論しているのだと思いますが…

まぁ、結局、試験ってのは「出題者の意図を理解すること」
なんだけどさ。

Tsukamoto Chiaki

未読、
2003/09/04 6:45:392003/09/04
To:
工繊大の塚本と申します.

In article <3988939...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>
Shinji KONO <ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp> writes:
> ちなみに上限じゃなくて下限だよね?

上限です.

混乱があるといけないので, きちんと定義を書いておくと,
距離空間 (X, d) の連続曲線γ: [a, b] → X の長さ L(γ)
は, [a, b] の分割 Δ = { t_0, t_1, ... , t_N }
(a = t_0 < t_1 < … < t_N = b) に対して L(γ; Δ) を
N
L(γ; Δ) = Σ d(γ(t_{i-1}), γ(t_i))
i=1
とするとき,

L(γ) = sup L(γ; Δ)
Δ
で与えられます. 勿論, 正の無限大かも知れません.
Euclid空間では L(γ; Δ) は「折れ線の長さ」ですね.

高校生は曲線の長さが「折れ線の長さ」で「近似」される
ことは知っている筈ですが, 上のような定義は知りません.
「上限」は使えませんから. 従って, 一般に

L(γ; Δ) ≦ L(γ)

であることも「知っている」とは言えません.

一方, Euclid空間でのC^1級の曲線についての長さの公式
b
L(γ) = ∫ |(dγ/dt)(t)| dt
a
は知っていることになっています. これを使って,

d(γ(a), γ(b)) ≦ L(γ)

を示せ, というのも問題として成立するかも知れない.

ま, でも気にしない.

結局何でもアリだろうと思います.

π/2
例えば, ∫ sin t dt = 1 から出発して, 積分に対応する
0
領域の面積を, その領域を覆う五角形の面積で評価する位
のことでも π > 3.05 は示せます. π > 3.1 は大変です
けれど.

> まぁ、結局、試験ってのは「出題者の意図を理解すること」
> なんだけどさ。

何か面白いことを(そつなく)示せば良いかと思います.

こういう問題を出すということは, 解答者が考えていることを,
解答を *読んで* 理解した上で, 評価しようとしているのです
から.
--
塚本千秋@応用数学.高分子学科.繊維学部.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chi...@ipc.kit.ac.jp

Shinji KONO

未読、
2003/09/04 12:22:152003/09/04
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <03090419453...@ims.ipc.kit.ac.jp>, chi...@ipc.kit.ac.jp (Tsukamoto Chiaki) writes


> 混乱があるといけないので, きちんと定義を書いておくと,
> 距離空間 (X, d) の連続曲線γ: [a, b] → X の長さ L(γ)
> は, [a, b] の分割 Δ = { t_0, t_1, ... , t_N }
> (a = t_0 < t_1 < … < t_N = b) に対して L(γ; Δ) を
> N
> L(γ; Δ) = Σ d(γ(t_{i-1}), γ(t_i))
> i=1
> とするとき,
>
> L(γ) = sup L(γ; Δ)
> Δ
> で与えられます. 勿論, 正の無限大かも知れません.

あ、そうか。その曲線上の折れ線の和の上限なのね。任意の中間点
の折れ線の長さの和の下限かと思っちゃった。でも、なんかの下限
でユークリッド計量が出て来るわけもないか。それだと、d をfix
するのには使えないな。なので、なんでもありなのは、その通りで
すね。

> > まぁ、結局、試験ってのは「出題者の意図を理解すること」
> > なんだけどさ。
> 何か面白いことを(そつなく)示せば良いかと思います.

そこまで受験生に余裕があるかどうか.... でも東大生なら期待し
て良いか。結構、「距離とは何か」ってのを考えたことがないと
難しいかも知れないですね。

> こういう問題を出すということは, 解答者が考えていることを,
> 解答を *読んで* 理解した上で, 評価しようとしているのです
> から.

それは、少し高度な要求だと思うけど... それを期待していること
も確かかな。

「多角形の近似を利用して」とか一言入れないのが面白い?

yoimondai

未読、
2003/09/04 17:08:402003/09/04
To:
Yoimondaiです。すごいです。何が書いてあるかわかりません。(T_T)
正方形に内接する4つの四分円の共通部分(正方形を膨らました形)の面積を求める
場合
塚本先生ならどう求めますか。

> 塚本千秋@応用数学.高分子学科.繊維学部.京都工芸繊維大学
> Tsukamoto, C. : chi...@ipc.kit.ac.jp

SATO Tatsuya

未読、
2003/09/04 6:14:032003/09/04
To:
すんません、訂正です。

SATO Tatsuya <statuya...@seg.co.jp> writes:
> (a) f(x)=√(1-x^2) から ∫_{x=0}^{x=1/2} √(1+f'(x)^2) dx を計算
> すると、グラフの弧長 π/6 になる。
> (b) f(x)≧1+(1/2)x^2 を証明。
> (c) ∫_{x=0}^{x=1/2}( 1+(1/2)x^2 )dx = (1/6)( 3 + 1/8 )
> (d) よって π/6 > (1/6)( 3 + 1/8 ) だ。

(b) は

√(1+f'(x)^2) ≧1+(1/2)x^2 を証明。

ですね。

--
**** 佐藤達也 ****

SATO Tatsuya

未読、
2003/09/04 4:38:582003/09/04
To:
ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp (Shinji KONO) writes:
>
> ちなみに上限じゃなくて下限だよね? どっかでなんか計量とか可積
> 分の仮定はいれなきゃならんので、下限みたいな定義よりも積分で
> 定義する方が整合性があるだろうと想像します。

いえいえ、上限ですよ。河野さんは

(1) 2点間の距離が定義済のEuclid空間において、曲線の長さを定義する問題 と
(2) C^1 曲線の長さが定義済のRiemann空間において、2点間の距離を定義する問題

を混同しているのでは?

(1)は折線の長さの上限だし、(2)は2点間を結ぶ曲線の長さの下限ですね。
(2)の前提となる曲線の長さは、Riemann計量と積分で定義するけれど、
それは(1)の結果を模範としています。

なお今回の出題に関して言うと、弧長と積分の関係についての大学レベル
の話なんぞは要求されていないと思います。単に

(a) f(x)=√(1-x^2) から ∫_{x=0}^{x=1/2} √(1+f'(x)^2) dx を計算
すると、グラフの弧長 π/6 になる。
(b) f(x)≧1+(1/2)x^2 を証明。
(c) ∫_{x=0}^{x=1/2}( 1+(1/2)x^2 )dx = (1/6)( 3 + 1/8 )
(d) よって π/6 > (1/6)( 3 + 1/8 ) だ。

で充分でしょう。

ちょっと整合性にこだわるなら、(a)では、cos, sin の微分積分には
全く触れず、(つまり x=sin(t) などと置換して計算するのではなく)、
積分が弧長の計算であり、円周率の定義から π/6 であると述べるべき
でしょう。 cos, sin の微分積分には、

lim_{t→0}(sin(t)/t) = 1

などという、これまた教科書には循環論法による説明しか載っていない
公式が必要なので。

--
**** 佐藤達也 ****

Tsukamoto Chiaki

未読、
2003/09/05 4:07:272003/09/05
To:
工繊大の塚本です.

記事を書いてから思い出したのですが, この春の日本数学会の
年会で, 新しい指導要領やらに対して大学教育はどう対処する
するべきか, といった話のセッションがありまして, 例の如く
東大の O先生が入試問題についても獅子吼されていらっしゃい
ましたが, それが少しは頭の中に残っていたのかも知れない.

In article <3988941...@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>
Shinji KONO <ko...@ie.u-ryukyu.ac.jp> writes:
> 「多角形の近似を利用して」とか一言入れないのが面白い?

でしょう.

# 高校数学の範囲だけで解答しようとすると, むしろ佐藤さん
# の解法の方が本来のものになるということを除いて考えても.

Tsukamoto Chiaki

未読、
2003/09/05 4:16:342003/09/05
To:
工繊大の塚本です.

In article <sRN5b.3064$Fk4.3...@news1.rdc1.ky.home.ne.jp>
"yoimondai" <yoim...@jcom.home.ne.jp> writes:
> 正方形に内接する4つの四分円の共通部分(正方形を膨らました形)の
> 面積を求める場合

懐かしい. 小学生には正三角形の面積をどう処理するかが
問題でしたか. まあ, 積分で解くことはありませんね.

yoimondai

未読、
2003/09/05 8:27:012003/09/05
To:
Yomondaiです。
ああそうなんですか。
安心しました。
こういうのも、難しく解くのかなと思ったもので。

IIJIMA Hiromitsu

未読、
2003/09/06 2:19:462003/09/06
To:
いいじまです。

> 微分積分を避けるのは、僕は、害があるだけだと思っているので。
> 単なる自説ですけど。

ん~、大学入試のレベルでいうと、ケースバイケースだと思いますよ。

大学の理論数学のレベルは脇に置いて、大学入試の数学のレベルだと、積分の計
算は解法の暗記だけで比較的高得点が取れる分野なので、論理的思考力とか数学
のセンスとかを測るテストとしてはあんまり多用したくないように思います。

もちろん、「高3レベルの積分の知識は要求しないけど、知ってると入試で大き
なアドバンテージになる」というケースはいくらでもあります。具体的には、
慶応の環境情報とか。(あそこの入試は数学必須じゃないですけど。)

逆に、高校物理みたいに、積分だとかベクトルの外積だとかを使うと綺麗に記述
できる分野では、無用な「答えだけの暗記」を避けるために積極的に活用すべき
だと思いますけど。

#それでも私は、一般教養の電磁気学で挫折しました……div とか rot とかの
#イメージがわかないので。grad はすぐにわかるんですけどね。

> 積分の存在とかの方が、距離の下限の存在
> みたいなものを仮定するよりも基本的な気がする。

理論家の立場からはそういう発想になるんでしょうね。
ただ、大学に入る人間が全員理論家になるわけでもないわけで。

Shinji KONO

未読、
2003/09/06 5:25:342003/09/06
To:
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <3F597C82...@ht.sakura.ne.jp>, IIJIMA Hiromitsu <delm...@ht.sakura.ne.jp> writes
> > 微分積分を避けるのは、僕は、害があるだけだと思っているので。
> > 単なる自説ですけど。


> 大学の理論数学のレベルは脇に置いて、大学入試の数学のレベルだと、積分の計
> 算は解法の暗記だけで比較的高得点が取れる分野なので、論理的思考力とか数学
> のセンスとかを測るテストとしてはあんまり多用したくないように思います。

どっかで誰かと議論したんだけど、

構文的な置き換えとしての代数的な微分積分
と、
数値解法的な求積法、速度測定的な手法としての微分積分

の二つがあるんですよね。この二つが合わせて一つであることを理
解するのが重要なんだと思う。

で、それと、

幾何学の持つ構造 ( = 時空間の構造) を理解すること
物理法則を理解すること( = ニュートン力学)

は、密接に結び付いています。

微分積分を理解することは目標にされがちだけど、本当は、微分積
分は道具であって、目標は幾何学や物理法則にあるはず。なので、
微分積分を避けると言うことは、目標を避けることになってしまう
ので、本末転倒なんだと思う。

> #それでも私は、一般教養の電磁気学で挫折しました……div とか rot とかの
> #イメージがわかないので。grad はすぐにわかるんですけどね。

それは、もったいない。流体力学的な直観が働く理解しやすいとこ
ろなのに。排水口がdivで、渦巻がrotだと思えばすごく良くわかる
のに。

> > 積分の存在とかの方が、距離の下限の存在
> > みたいなものを仮定するよりも基本的な気がする。
> 理論家の立場からはそういう発想になるんでしょうね。
> ただ、大学に入る人間が全員理論家になるわけでもないわけで。

これは、ちょっと裏があって、微分積分の存在を仮定すると、結構
問題が簡単になるんです。なので、きっと、数学者はそれはずるい
と言うことであろう。それを仮定しなくても使える定義とかが重要
とかいうんだよな。

IIJIMA Hiromitsu

未読、
2003/09/06 8:15:292003/09/06
To:
いいじまです。

> 微分積分を理解することは目標にされがちだけど、本当は、微分積
> 分は道具であって、目標は幾何学や物理法則にあるはず。なので、
> 微分積分を避けると言うことは、目標を避けることになってしまう
> ので、本末転倒なんだと思う。

御意。幾何学や物理学のほう、それもけっこう高いレベルのほうが目標、という
前提があれば、微積分を避けるのは邪道ですね。あとは統計学もかな。

#高校物理が微積分を避けるためにいろいろ苦労していることはご存じでしょう
#けど、高校「数学 B」「数学 C」(今年の1年生からの新カリキュラムでは少
#し変わるんだったか)の確率・統計分野も同様です。機会があればそのへんの
#教科書・参考書をごらんになって、大学用の統計入門の教科書(たとえば東大
#教養学部編著のもの)と読み比べてみると面白いです。

ただ、大学入試で微積分を扱うと、どうしても「微積分そのものを理解している
か」を問う問題にならざるをえないんですよね。そういう意味であんまり入試数
学で微積分偏重はいただけないなあ、と。

> > #それでも私は、一般教養の電磁気学で挫折しました……div とか rot

> > #とかのイメージがわかないので。grad はすぐにわかるんですけどね。


>
> それは、もったいない。流体力学的な直観が働く理解しやすいとこ
> ろなのに。排水口がdivで、渦巻がrotだと思えばすごく良くわかる
> のに。

ええ、その譬えはわかるんですよ。でも、これを使うとどういう物理的実在が
取り扱えるのかがわかんない。マックスウェルの方程式をど~んと出されても、
結局のところ電波は目に見えないですから。grad は目に見えるでしょ(笑)

#担当教官との相性もあったのかも。担当教官は「最終的にはマックスウェル方
#程式に行きつくので、いきなり出しちゃいます!」と宣言したけど、私は逆に
#帰納的な勉強をする人間なので、高校物理で個別に扱ってきた諸法則を基点に
#してそこからマックスウェル方程式にたどりつく、という方法のほうが性に合
#ってたような。一応、成績は下駄を履かせてもらったのか、「可」でした。

#まあ、そのころには理系の専門分野に進むことに疑問を感じていたので(選択
#科目のシラバスを読んでも、数理系の科目は面白そうだったけど物理系の科目
#は全く面白みを感じなかった)、わからなくなった時点で諦めたというのが正
#確なところですね。1年夏の「熱力学」(必修ではないけど全員取れとの指示
#あり)は途中で挫折して放棄、1年冬の「振動・波動論」(これも必修ではな
#いけど、ほとんどの学生が履修)は同時間帯の別科目のために捨てたという…

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飯嶋 浩光 / でるもんた・いいじま http://www.ht.sakura.ne.jp/~delmonta/
IIJIMA Hiromitsu, aka Delmonta mailto:delm...@ht.sakura.ne.jp

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