東京大学言語学研究発表会.2012年第4回

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sakahara

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Jul 19, 2012, 9:12:01 PM7/19/12
to UT-...@googlegroups.com, linguis...@googlegroups.com
皆さま,

下にあるように,本郷言語学研究室および駒場言語情報科学専攻の今年
度第4回目の東京大学言語学合同研究発表会を開きます.どなたでも参
加できますので,関心のある方は,どうぞお気軽にいらして下さい.

坂原茂
2012/07/20
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日時:2012年7月27日(金)16:30-18:30
場所:駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3

(1)
発表者:長谷川明香(東京大学言語学研究室博士課程)
タイトル:日英語の語彙的使役構文~非典型例を中心に~
要旨:
本発表は、(1) に代表される日英語の典型的な語彙的使役構文と、(2)-
(5)などの非典型的な使役構文との関係を、責任・コントロール可能
性・許容使役の観点から論じる。主な考察対象は、有生物を主語とし語
彙的な使役動詞を述語とする日本語・英語の構文である。なお、(5) の
日本語文は母語話者間で容認性判断に揺れが見られる。
(1) 典型的な語彙的使役構文:
a. 太郎は(暑かったので)窓を開けた。
b. John (felt hot and) opened the window.
(2) 主語が、意図しない結果を引き起こす場合:
a. 太郎は(誤って)脚を折ってしまった。
b. John broke his leg (accidentally).
(3) ある人が道具を使い動詞句で表わされた行為を行なっている状況を、
道具を主語にして述べる場合 :
a. この洗剤は頑固な汚れを落とします。
b. This key opened the door.
(4) 主語が、実際の動作主ではなく命令・依頼している人物である場合

a. 聖徳太子が法隆寺を建てた。
b. 花子は先週髪を切った。
c. The Pharaoh built a pyramid.
cf. Mary had her hair cut last week.
(5) 主語が動詞句の含意する変化を意図しておらず、かつ主語が直接身
体を動かしていない(動詞句が含意する変化が主語の働きかけなしに生
じているように思われる)場合:
恵子は昨年の震災で学校を焼いてしまった。
本発表では、(2)-(5)のいずれも、目的語に生じる変化が主語のコント
ロールの範囲内にあるという点で、その主語がその変化に対して究極的
な責任を負っていると言えることを主張する。その上で、最後に、「責
任」という概念を重視したここまでの分析にとって反例になるような例
文(「(私は)暑くて汗をかいた」「うちの子は、3歳のときに盲腸を
切った」等)についても整理・検討し、今後の見通しを示す。

(2)
発表者:佐藤夏生(東京大学言語学研究室修士課程)
タイトル:無声摩擦子音知覚・同定に関わる周波数帯について
要旨:
一般に、無声摩擦子音を特徴づけているとされているのは高周波数帯に
分布するノイズであることが指摘されている。しかしその一方で、無声
摩擦子音の知覚は比較的低い周波数帯のみによっても可能であることを
示す研究もある。
これらを踏まえ、発表者はノイズの分布する周波数帯と知覚との関係を
確かめるため、2段階のローパスフィルタを通した日本語の音声を用い
て音声実験を行った。その結果、多くの場合において低周波数帯(~
3000Hz)のみによっても無声摩擦子音の知覚は可能であることが示され
た。本発表ではこの音声実験の結果を詳細に検討する。


20120727発表要旨(長谷川).pdf
7月研究会要旨_佐藤夏生_1.docx
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