座標とゆくえ』岩波書店2007)
> 各位:
>
>
杉田米行です。いつもありがとうございます。
> 東大のBurtscher先生から以下のようなお知らせをいただきました。
>
東大の社会科学研究所で以下のような日本人研究者の著名な研究書を英訳するための
>
>
翻訳者を公募しているようです。大沢真理先生はご存知の方も多いかと存じますが、
>
>
比較ジェンダー論などをご専門にされておられる社会学者です。
> 男女共同参画社会基本法の制定にも専門委員として尽力され、政府の
>
審議会などでもご活躍されておられます。
>
これは公募ですので、ご興味おありの方はどうぞ直接Burtscher先生にご連絡してくださいませ。
>
>
杉田米行
>
> ++++++++++++++++++++++
> The University of Tokyo has
embarked on a project to make outstanding work
> by its faculty in the
Humanities and Social Sciences available in English
> translation. The
titles selected will be published by leading academic
> publishers in the
English-speaking world.
> At the moment we are accepting applications for
the following book.
>
>
大沢真理『現代日本の生活保障システム:座標とゆくえ』岩波書店2007
>
> The translation fee will be
JPY 7,600 before taxes per 200 English words.
> The translator is
required to work according to schedule. Payments will be
> made per
chapter satisfactorily completed. It is not necessary for the
>
translator to reside in Japan. However, the translator must be willing to
> cooperate with the managing editor at the University of Tokyo, the
book's
> original author, and the copy editor during the entire process
of revision
> leading up to publication.
>
> The translation
of this book should ideally commence in February and must
> be completed
by August 2009.
>
> To apply please send an outline CV together with
a brief application
> letter stating your qualifications for this
particular translation, noting
> not only your past achievements as a
translator from Japanese to English,
> but also your qualifications for
academic writing on social policy issues.
>
> In addition, please
provide a sample translation of the excerpt below.
> This excerpt
corresponds to roughly three pages of the actual book in
> length. The
entire book contains 229 pages in the original.
>
> Translations
must be both accurate and stylistically well-crafted,
> honoring academic
conventions such as standard usages and idiomatic
> expressions in the
book's field.
>
> Please send your application and sample
translation by 15 February 2009
> per e-mail attachment
to
>
>
mburt...@adm.u-tokyo.ac.jp>
>
Michael Burtscher
> Associate Professor
> Division for International
Relations and
> Institute of Social Science
> The University of
Tokyo
> 7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku
> Tokyo,
Japan113-8654
>
>
>
>
>
>
Excerpt
>
>
> 序論:本書の狙いと構成
>
>
本書は、現代日本の生活保障システム(livelihood security
system)の座標を、歴史的にも、また国際的にも比較分析することをつうじて、その近年の軌跡から今後のゆくえを探ろうとする。ゆくえには、懸念されるシナリオと期待されるシナリオとがあり、方向感覚の軸心として、常にジェンダーの視点が念頭に置かれる。
>
>
人並みの生活が持続的に保障され社会参加の機会が確保されるためには、政府の社会政策と、家族、企業およびコミュニティや非営利協同組織などの制度・慣行とが、システムとして好適に接合する必要がある。日本でも生活が保障されるうえで、中央政府の施策という意味での福祉国家が、大きな役割を果たしていることはまちがいない。しかし、本書の検討対象を福祉国家に限定すると、21世紀初葉以降のこんにちに、生活の安定と社会参加の機会が保障される諸条件を見落とすことになりかねない。
>
>
20世紀後半に確立した福祉国家では、生活が成り立たない状況とは、典型的に、おもな稼ぎ手である男性の所得が、失業や傷病、老齢退職などのリスクにより、家族の生活費にたいして不足することであると捉えられた。そこで、社会保険給付や公的扶助をつうじて所得を移転することにより、生活保障が図られた。「男性稼ぎ主(male
breadwinner)」にたいする所得移転中心
>
の福祉国家といえよう。いいかえると、夫は家計収入の主たる稼ぎ手であり、妻が家事・育児をおもに担うという、「ジェンダー(社会的文化的に形成された性別)」関係が、福祉国家の基軸の一つだった。男性が「生産年齢」にあるあいだ、職業活動をつうじて十分な所得を獲得できれば、妻子とともに家庭を営んで次世代を教育訓練することもでき、老齢退職後の所得も保障されると想定されたのである。
>
>
しかし、20世紀の第4四半期以来、経済が一段とグローバル化し、先進工業諸国を中心にポスト工業化が進行するもとで、従来の福祉国家を基軸とする生活保障システムは手づまりに陥ってきた。福祉国家が「新しい社会的リスク」に対応できず、多くの人々にとって、生活と社会参加が困難であるという「社会的排除」が、広範に現れてきた。日本では、従来の生活保障システムが機能不全に陥るという以上に、逆機能していると見る点に、本書の特徴の一つがある。「逆機能(reverse
function)」とは、生活を保障するはずのシステム
> が、かえって生活を脅かし人々を排除する状況をさす。
>
>
以下、第1章では、20世紀福祉国家を形成させ展開させてきた基軸的な力関係を確認し、経済危機が常態化するもとで、社会的排除/包摂の理念ととり組みが共有されてきたことを見る。ついで生活保障について原理的に考察し、生活保障ニーズが本来多様で個別的であるにもかかわらず、20世紀福祉国家では「男性稼ぎ主」の稼得力の喪失という一次元に還元されたことを、浮き彫りにしよう。ただし、第二次世界大戦後まもない時期に「男性稼ぎ主」規範が欧米諸国のいずれでも強かったとはいえ、20世紀福祉国家がすべて同様の構造をとったわけではない。
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>
第2章では、エスピン・アンデルセン(Esping-Andersen)の福祉国家および福祉レジームの類型論、そしてエスピン・アンデルセンにたいして提起されてきた批判を踏まえ、生活保障システムの類型として「男性稼ぎ主」型、「両立支援(work/life
>
balance)」型、「市場志向」型を設定する。ジェンダー視点に立脚すること、法律や労使の団体による労働市場規制を重視すること、非営利協同組織を含む「社会的経済」による生活保障を視野に入れることが、本書の類型の特徴である。三類型のなかでも「男性稼ぎ主」型は、ポスト工業化への対応にとくにいきづまっているが、1980年代における日本の生活保障システムの構成要素を概観すると、それは諸外国にもまして強固な「男性稼ぎ主」型である。
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そのうえで第3章は、経済が長期的に停滞した1990年代に日本で起こったことを振り返る。90年代初年以来、社会政策を含む種々の政策領域に改革が呼号され続けたが、生活保障システムの「型」を再建築するような改革の必要性は、2001年に小泉政権が登場するまで、政府の基本方針に反映されることはなかった。いっぽう企業と家族は、経済停滞と少子高齢化という趨勢のもとでいやおうなく変化した。日本企業は生活保障の役割から逃避しつつあり、家族の役割を過剰に期待される人々は、子どもを生み育てる以前に結婚の前でも立ちすくんでいる。
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第4章では、世紀転換期の日本の生活保障システムを国際比較の座標系のなかに位置づける。
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