●山形県内
あたりは一面のさくらんぼ。
真っ赤な真っ赤なさくらんぼ。
どこまで行ってもさくらんぼしか存在しない。
そこに花の大都会・東京からAとQが種飛ばし大会を見物にやってくる。
A「ここが種飛ばし大会の会場なのね」
Q「ああ。ここで毎年、種飛ばし大会がひっそりとあるんだ」
A「ひっそり?」
Q「あたりまえじゃないか。おおっぴらにできるわけないだろう」
A「なんで?」
Q「そんなこと聞くな!」
A「な、ちょっとどうしたの? そんなに怒って」
Q「いや。ぼくのほうこそ怒鳴ったりしてごめん」
A「あ。あの人たち選手かしら?」
Q「ああ。とうとう来てしまった」
A「それにしても、名物の大会なのに、見物客ってあたしたちだけなのね」
Q「あたりまえじゃないか。こんなもの見たいわけないだろう」
A「なんで?」
Q「そんなこと聞くな!」
A「ひ、ちょっとどうしたの? そんなに怒って」
Q「いや。ぼくのほうこそ怒鳴ったりしてごめん」
司「さて。今年も始まりました。山形名物種飛ばし大会。観客は二人しか
いませんが、選手のみなさんはそんなこと気にしないでがんばってください」
A「ねえ。選手の人たち、なんで目隠しと耳栓してるの?」
Q「何も見ちゃいけないし、聞いちゃいけないからさ。想像力だけが味方なんだ」
A「想像力?」
Q「ほら。始まった」
A「あ、あれ、なにこすってるのかしら……きゃあぁあぁあぁあぁあぁ!」
//end.
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ノノヽヽ
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ζ # 予定調和。