丸山です。
Android裁判、特許権の問題ではGoogleの勝訴だったのですが、APIの著作権の問題の
判断は、今週に持ち越されました。個人的には、この裁判では、特許権の問題より、
著作権の問題の方が重要だと感じています。いよいよ裁判も大詰めです。
今週には、著作権の問題でも、結論が出ると思います。5月30日の、Androidの会定例会で、
新しい進展を報告しようと思います。
https://www.android-group.jp/event/event9.html
是非、いらしてください。
5月7日の、GoogleはOracleの著作権を侵害しているという陪審の判断について、FSF
(Free Software Foundation)が声明を出しています。
http://www.fsf.org/news/fsf-statement-on-jurys-partial-verdict-in-oracle-v-google
Javaはクラスパスの例外付きですが、Java SEはLGPLを、JavaMEはGPLをオープン
ソースのライセンスとして採用しています。FSF(Free Software Foundation)は、GPL
ライセンスの総本山。FSFの、この問題についての見解は、重要だと思います。
もちろん、FSFの見解は「APIは、著作権の対象となるべきではない」というものです。
FSFは、今回の問題への声明の中で、次のように述べています。
「著作権法は、どんなソフトウェアであれ、そのAPIの特定の機能の使用に対して、
独占的なコントロールを与えているというOracleの要求は、フリーソフトウェアと
全てのプログラマにとって、恐ろしいものになるだろう。それは、非倫理的で、
多くのコンピュータ・ユーザを可能な限り支配下に置こうという目的を表明して
作り出された、強欲な解釈である。」
「次のようなコンテキストに照らして考えると、Oracleの要求は、特別に悪いものだ。
なぜなら、Sunが、フリーソフトウェアのコミュニティの祝福を受けて、あえて、Javaを
フリーな世界での利用に適した言語とした、その時に、こうした問題が起きたのだから。
幸いなことに、Oracleの要求は、まだ、現実のものにはなっていない。
我々は、Alsup判事が、正しい道を保ち続けることを望んでいる。」
ネットワーク上の人権問題に取り組むEFF(ELECTRONIC FRONTIER FOUNDATION )も、
API著作権の問題には、敏感に反応しています。
「Oracle対Googleと、APIを著作権可能にすることの危険な含意」
https://www.eff.org/deeplinks/2012/05/oracle-v-google-and-dangerous-implications-treating-apis-copyrightable
「問題はこういうことだ。APIを著作権化可能なものとして扱うことは、相互運用性と、それ故、
イノベーションに、深刻で否定的な影響を与えるであろう。APIは、あらゆる種類のプログラム
開発にとって、どこにでもあり、かつ、基本的なものである。すべてのソフトウェア開発では、
そのソフトウェアが他のソフトウェアと一緒に動く為に、APIを利用しているというのが安全だろう。
例えば、Firefoxのようなアプリの開発者は、そのアプリが他の様々のOSで動くように、APIを
利用している。」
「はっきり言えば、プラットフォームの開発者は、そのプラットフォームに対するアドオン・
ソフトウェアの開発者を、コントロール可能であっては、いけないのである。」
「フリーでオープンソースのプロジェクトであるSambaを例にとろう。
Sambaは、数百万の組織の共有フォルダーやネットワーク・ドライブで稼働している。
もしも、Sambaが、それが相互作用しているマイクロソフトのSMBプロトコルやAPIの著作権を
侵害しているとされたら....」
Oracleの、Java APIが著作権保護されているという主張は、僕には、許しがたいものの
ように思えます。Sunに代わってJavaの「盟主」となった、Oracleの「非倫理的で強欲」
な主張が、撤回されることを望んでいます。